どこかでなじみのある顔
羽田から函館が満席だったので、
関西空港に降りた。
人工島から見る和歌山の街並みが
日本で最初に見る光景。
そんな外国人も多いことだろう。
関空から函館空港まで、
ひたすら眠る。
朝からコーヒーしか飲んで
いなかったので、お腹が
空いた。
函館ハーバービューホテルの横の
ラーメン屋に入る。
何気なく選んだが、
かつて青函連絡船で営業していた
地元の人にとっては大切な想い出の店らしい。
私は小学校5年の時に、
一度だけ青函連絡船で往復したことがある。
青森の魚市場で、エイのヒレを
売っていたことを鮮明に思い出す。
あの時、私は海峡ラーメンの
前を小さな足で通ったのだろうか。
目の前に置かれた
「海峡ラーメン」にはホタテや
海老が入り、
濃厚な味わいのスープを
飲み干した。
会計の時に、おかみさんが
声をかけてきて下さった。
「気に入ってもらえたんですか?」
「はあ。」
「最近、よくいらしていただいて
いますよね。」
どこかでなじみのある顔だと
思われたのかしらん。
認知科学の探究のきっかけは
至るところに転がっている。
松原仁さんと一緒に
はこだて未来大学へ。
中島秀之学長や、大沢英一さん、
小野哲雄さん、光藤雄一クンなど、
なつかしい顔、お馴染みのひとたちと
お話するのは本当に楽しかった。
講演開始まで、たっぷりと
時間をとったスケジュールだったの
が結果として良かったと思う。
はこだて未来大学を満喫できた。
はこだて未来大学は、受験生や父母の
間の認知度はまだまだ上昇するだろうが、
われわれ研究者の間ではすでに大変存在感の
ある大学である。
何よりも、上に挙げたティーチング・スタッフが
多士済々で豪華である。
未来大のキャンパスは、「吹き抜けが凄い」
と噂には聞いていたが、
実見して作り込みの美しさに感心した。
松原さんと渡り廊下を歩いていると、
さまざまなところで行われている
学習、授業、実習、談笑、事務作業等の
様子が俯瞰できる。
さまざまであること、それが俯瞰できること。
この空間性は貴重である。
函館の地に誕生して7年目のアカデミズムの
殿堂。
大きく実を結ぶ日も近いだろう。
講演時間になり、
「脳科学の現在とテクノロジーの未来」
というタイトルで60分話し、
続いて中島秀之さんと対論した。
とっぷりと暮れた道を
「裏夜景」を眺めながら
梅乃寿司へ。目下、函館随一の
お店だという。
魚介類をいただきながら、
中島さん、松原さんと愉しく懇談した。
香りの良さで、ネタの新鮮さがわかる。
柔和な表情をした御主人との
お話で、感覚がひらいていく。
興味深い会話ほどの魂にとっての
滋養はなく、
美味しい食事と響き会ったときには
まさに陶然とする。
函館山には星のように光が
輝いていた。
10月 23, 2007 at 10:55 午前 | Permalink
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コメント
函館で、海峡ラーメンのおかみさんに「最近、よくいらしていただいてますね」と声をかけられた茂木博士。
う~~む、ひょっとしたらひょっとして、そのラーメン屋には茂木さんとよく似た人物が来て、おいしい海峡ラーメンを食べていっているのだろうか?
函館か…。年が明けてチャンスがあったら、行ってみたいなァ。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/10/26 5:51:00
函館、去年の冬に行ってきました。
いろいろ観光地化されてはいたけれど
それでも夜景は綺麗でした。
茂木少年はピーチクパーチクの頃から
「俯瞰」について悟っていたような
イメージも浮かんで微笑ましくなりました(笑)。
最近、以前書かれていたように関係を
「ネットに丸投げ」するのは
やっぱり問題だなあと切実に感じるようになりました。
私がここに来るときに感じることと
好きなものに近づこうとする時に感じることと
似ているんです。
どちらの時にも、
今の自分の現実をおろそかにしているという
後ろめたさがある。
ここでネットを通して
他人の別世界をのぞきこむのは確かに楽しい!
でも学生でも先生でもない人間が
やるべきことは他にいっぱいあるのに!と思ってしまう。
会社勤めの人間が勤め先でカントだのデカルドだのと
言っても(言ったことないけれど)信用されない。。。
仕事も半人前の私が趣味の世界で遊び呆けて
感受性の繊細な優しいヒトごっこをして
現実逃避しているようなのが不安。。。
このままだと水あめみたいに
ここにべったり居ついてしまいそうでいけない(笑)!
現実をもっと一生懸命、生きて
時々、ここに来て異界に接して
鋭気を養ってまた現実に帰っていく、
という距離が本当は理想です。
小さな蛍の光程度だけれど
これから進んでいく道を照らしてくれる
光がみえてきたような気がするので
今は、ちょっと強気です(笑)。
逃げないことが、これほど快いことだなんて!
すっかり忘れていたけれど
以前にも味わったことのあるこの感覚。
やけくそのハイテンションとは違う、
脳内の小人が100人で行進しているような
気力みなぎる楽しい感じです。
こんなことに気付けたのも茂木さんのお陰です。
いつまでも私の「異界」でいてください(笑)!
多様性、大事ですね。
まわりのものが多様であればあるほど
自分にとっては「異界」なものに接することができる。
異界は現実を生きる力をわけてくれる。
さまざまな可能性を垣間見せてくれる。
偶有性の不規則な要素が増えて
楽しくなるような気がする。
なんだか力が入っちゃって
長くなりました、ごめんなさい。。。(笑)
投稿: まり | 2007/10/23 23:10:41
ああ~~~~~~
茂木さんいらしてたんですね。
ちょっとブログチェックをさぼっていたので、
告知に気付きませんでした…。
はこだて未来大、認知度あるんですねぇ。
地元ですが(ちなみに函館高専生です)そんなに知らないので、驚きました。
それにしても、行きたかったなぁ…
これからはマメにチェックいたします。
投稿: 高橋くるみ | 2007/10/23 17:41:22
こんにちわ
>「気に入ってもらえたんですか?」
「はあ。」
「最近、よくいらしていただいて
いますよね。」
むむむ、茂木さんに似た人が北海道にいるのか?、おかみさん流の挨拶なのか?、おかみさんがたまたま思い違いなのか?、茂木さんが一つ分かると十分からない事が出てくると言うのは、複数の可能性を推論するなのか?
私は、北海道にニセ茂木さんがいる事を期待したい!!(^^)
投稿: tain&片上泰助 | 2007/10/23 16:23:36