パッションを貫くと、そこに「非人情」の世界が
谷淳さんが泣いた。
「もう十年も一緒にやってきたのに」
と涙をこぼした。
熱い議論の末に、
目にじわっとにじませた。
ぼくは、こんな熱いハートを
持った人がとにかく好きなんだなあ。
池上高志と二人で、
「何言っているんだよ、谷さん。友だち
じゃあないか。そのことを前提に
話しているんじゃないか。」と
しきりに言った。
そうしたら、みんな胸がいっぱいに
なって、まず、ボクと、谷淳さんと、
池上高志と、入来篤志さん
で肩を組んだ。
そうしたら、藤井直敬さんと
柳川透も肩をいっしょに組むこと
になった。
まずは4人で、それから6人で
みんなでうわーっと肩を組んで、
胸がいっぱいになった。
それを、佐々木厚さんが撮った。
なんでそうなったかというと、
つまり、ワタリウム美術館で
池上高志と南方熊楠の話を
していたわけだな。
そして、その打ち上げを、
和多利浩一さん、和多利恵津子さん
としていたわけである。
そうしたら、理研脳科学総合研究センター
(BSI)の10周年のイベントを
終えた谷さんたちが、
わーっと合流してきたのである。
ボクたちは、熱い議論をした。
それで、谷さんが感極まって泣いた。
オトコだって泣くんだゾ。
そうそう、肝心な。
ワタリウムにおける池上高志とオレの
「闘論」も熱かった。
和多利浩一さんがびっくりしていた。
深い信頼関係があるから、
はげしく直言するのである。
昼過ぎには
TBSラジオに行った。
伊集院光さんは実に生きものとして
イキオイのある人だった。
ぼかあ、また伊集院さんと会って
笑いの話をしたいヨ。
ラジオの後、
実は中央公論の原稿が落ちそうで、
ぼかあカツ丼を
食べてから必死になって書いたよ。
コーヒーを飲みながら、人の目も
気にせずに、一生懸命
「新・森の生活」を書いた。
ネットの向こうでは、井之上達矢さんが
あの「にこにこ赤ちゃん」のような童顔で、
しかし校了間近のまなじりを決して
待っていたらしい。
井之上さんは、メールで返事をくれた。
****
茂木さんの
原稿の
もっとも面白いと思うところであり、
「個性的」なところである、
「論理」と「実感」のカクテルが
素晴らしく知的に刺激的な世界を
つむぎだしていたと思います。
「ハリウッドのスタアだけが
生きるに愉しいのではない」
と書かれて、
いわゆる
「普通の人」を
元気づけているようにも読めますが、
その裏には
「現在の社会的客観性において見た場合、
どれほどひどい状態になろうとも、
生きるに愉しいと思えるようにならないと、
人間の生は危機に陥るのですよ」
という
非人情的な厳しさが読み取れました。
「非人情」と言えば、
夏目漱石ですが、
「非人情と言えば茂木健一郎」
と言われるきっかけとなる
連載になれば素晴らしいと思います。
***
原稿はもちろん読者のために
書くのであるが、
このような、筆者自身でも気づいて
いない視点を与えてくれる
編集のヒトによって、
原稿は生命を吹き込まれ、
著者というものは精一杯
心を込めて踊るのである。
パッションを貫くと、
そこに「非人情」の世界が
顕れる。
それこそが、ボクと池上高志が
セッション中に一生懸命追い求めて
いたことではなかったか。
セッション前の打ち合わせにて。
和多利浩一さん、和多利恵津子さん、
和多利志津子さん。
枝の上のジュウシマツのように一緒になって。
(左から)茂木健一郎、谷淳、池上高志、入来篤史
ジュウシマツが6羽になった!
(左から)
藤井直敬、柳川透、茂木健一郎、谷淳、池上高志、入来篤史
10月 29, 2007 at 09:08 午前 | Permalink
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金曜の夜から土・日にかけて
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そのためブログの更新ができませんでした。すいません。
***
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スポーツと言うものには必ず勝ち負けがある。
その勝負のときに....... [続きを読む]
受信: 2007/10/29 22:16:01
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コメント
先日訪れた、建仁寺の襖絵、「唐子遊戯」に上記のジュウシマツ6羽絵図がそっくり。寺で思わず、目が点になりました。
建仁寺・・・完璧と調和この言葉がぱっと浮かびました。
私の感覚では、このふたつの意味が同じ線上にあると思いました。
土の隆起、苔、陰影、風、全部完璧な調和でした。
投稿: おおはたみやお | 2007/11/01 13:08:12
いつもパッションの茂木さん。
実は中沢新一さんとの対談のとき
とても冷静な「科学者」っぽく見えました(私には)!
あの素敵なおじ様の中沢さんが
前髪をなでつけながら飄々と
「僕は前世でお女郎さん、やってたこともあるんだよ~。」
と、仰ったとき!
茂木さんの「えっ。。。。。!」という反応。
それがなければ、危うく信じてしまうところでした(笑)。
投稿: まり | 2007/10/30 23:31:08
どんな無遠慮なことでも率直に言える友人を持っているかどうかで人生の豊かな色合いが違いますよね。私も男子高校時代のクラブの仲間がそれです。こちらは高校を出て以来もう40年を超えるつきあいで毎年1年1回あつまります。遠慮会釈ないですよ。テーマはあるんですがそいつの生き方にぐさぐさつきささるただただもうしゃべるために集まるのです。メタコグニションなんて言ってられないというか、お前は高校時代こういう人間だった、俺の彼女を取ろうとした、とかそのゴーマンな態度をなくさないと高級官僚として失敗するだろう、とかまあ言いたい放題なんですが、この仲間のなかではすべて気持ちが開けます。六十過ぎても熱いのです。死ぬまでかれらと人生のマラソンしていくのかなあ、と思っています。
投稿: 五十嵐茂 | 2007/10/30 6:58:13
こんにちわ、二度目の投稿失礼します。
「人情」がある人が、本当の「非人情」になれるのではないでしょうか?
そんな感じがしてきました。(^^)
投稿: tain&片上泰助 | 2007/10/30 0:58:00
皆さん、いい笑顔ですね!
こちらまで、笑顔がこぼれてきます。
「もう十年も一緒にやってきたのに」
という言葉は、内容は不明でも
心にぐっときます。
(僭越ですけれど…)
ガンバレ!!!
投稿: kei | 2007/10/29 23:10:49
いいですね〜。
見てる方が楽しくなります!
投稿: チモマルくん | 2007/10/29 20:56:04
昨日のワタリウムでのトークセッションは、当日飛び入り参加で聴いた。
南方熊楠についての池上・茂木両博士のトークセッションを聴きながら、熱くなって、持参してきた「ネタ帳」にクマグスへの2人の思いや自分の考えなどを必死で書きなぐっていた。
池上氏と茂木氏が激しく火花を散らす激論。それが出来るのも、深い信頼の絆で両氏がつながれているからなんだな…。
そのあとにあった打ち上げのお写真を見ると、まさに6羽の十姉妹のように、燃える人々がくっついて、ニッコリしている。暖かな雰囲気が伝わって参ります。
友情と熱い情熱でつながれた人達の見せる表情は、なぜこんなにも充実しきって温かいのだろう!
ここで言っている「非人情」とは、勝手な推測ですが、人間がこの世知辛い世を生きる為には、どんな状態でも愉しいと思えるよう、強く前向きに生きようとする力が必要なのだ、だから、何があっても強くあれ!ということなのに違いない。
人生でパッションを貫くには、何があっても前向きに生きられるだけの、強い生命力が要るのだ。
そしてそうなる為には、やはり、心を通わせる仲間・同志が必要なのだ…!
投稿: 銀鏡反応 | 2007/10/29 18:46:14
こんにちは。
今、受験浪人してる者です
blogっていうメディアを介して茂木サンの考えを知ることができて非常に嬉しいです。
ただ挨拶がリアルタイムでないので、こんにちは、なのか、こんばんはなのか気にかかりますが(笑
この間、予備校の先生が
「自分では気付いていないこと、それを他人を介して気付かされること、その時、初めて人間は自分の本質の一側面を知る」ということを言ってました(言葉は多少違いますが)
この言葉を聞いたとき、自分の世界観の変化?を感じた気がしました
そして今回の茂木サンのblog。
僕のなかで、自分の世界観が変わっていること、を気付かされました。
疑念が確信になった感じです
そろそろ昼休み終わるので無理矢理文を結びます(笑
稚拙で、読みづらいコメントすいませんでした!
ただ浪人して、世界が狭まったように感じていた僕にとって支えになる、そんなblogをありがとう。
投稿: いち浪人生 | 2007/10/29 13:25:58
あ~~~~!
読んですか~っとします。
すかっとさわやか 秋晴れ日記!
投稿: おおはたみやお | 2007/10/29 9:16:47