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2007/09/20

ナントカカントカ

女満別空港で、「和樂」の渡辺倫明
さんと食事をしている時に、
ふとテーブルの上のミネラル・ウォーターの
メニューに目がとまった。


シャテルドンのメニュー

シャテルドン Chateldon
ミネラルウォターの第一級品

とある。

フランス王ルイ14世に愛された

水のドンペリ

ミネラルウォーターのロマネコンティ

とある。

価格を見ると、500mlで1000円!
である。

「うーむ」と顔を見合わせた。
「行きますか」と渡辺さん。
「ここは一つ、取材という意味でも、
行くしかないでしょう」と私。

二人の男が「行く」と決意した
以上、もう後には引けない。

うやうやしく運ばれてきた水を、
渡辺さんが検分した。


シャテルドンを検分する渡辺倫明

違いのわかる男が、肯く。

違いのわからない私も、口に
含む。
まろやかな微炭酸。
泡の粒子が細かい。

いやあ、
世の中にはいろいろな
ものがあるんだねえ。

また一つ、世界の多様性に出会った。

ザ・ベストハウス123の
控え室で、
昆虫写真家の海野和男さんと
話し込む。

「ホタルの木が見たいんだったら、
日本から一番早くて一泊二日で
行ける場所がありますよ。クアラルンプールに
飛ぶんです。そこから車で一時間。
ホタルを見たら、空港に戻って、
23時過ぎの飛行機でそのまま日本に帰って
くればいいんです。」

「それ、やろう!」
と一瞬マジで思ってしまった私は、
真性のバカというものであろう。

海野さんは若い時から東南アジアの
いろいろな土地を歩いてきた方なので、
さまざまな事情に通じている。

四方山話をしながら、
海野さんの手が動く。
持っているカメラで
お茶の缶をテキトーに取ると、
あら不思議。
とても鮮明に写っている。

「いいですね! そのカメラ」
「ああ、これは、ぼくたちが
いろいろ要望を出して出来たカメラ
なんですよ」
「そうなんですか!」
「焦点深度がナントカカントカで、
こうやって手をかざしてとれば
ナントカカントカでナントカカントカ
なんです。」

「ナントカカントカ」のところは、
実際には海野さんはスルドイ
写真用語を駆使しているのであるが、
私は写真の理論関係は一向に
詳しくないので、私にとっては
「ナントカカントカ」
なのである。

よくわからないが、とにかく、
海野さんの持っているカメラが、
昆虫を撮影するのに大変適した
ブツであることだけはわかる。

「そうですか、いやあ、実に、
ナントカカントカですね!」
私は感激して、もう
そのナントカカントカを入手
することに決めていた。


スグレモノのカメラを手にした海野和男さん

控え室には、水中撮影の大家
中村宏治さんや、発光生物学の権威
近江谷克裕さんもいらして、
本番前から
大いに話がふくらんでいった。

生放送はスタッフの超絶技巧で
進められていく。

隣りに座った荒俣宏さんも、
「いやあ、面白いなあ」
と連発する。

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のチーフプロデューサーの有吉伸人さんの
京都大学時代からの盟友で、
『ザ・ベストハウス123』の
プロデューサー、
フジテレビ編成制作局編成部副部長の
小松純也さんと話す。

「小松さん、ああいう時は、副編集室は
どうなっているんですか」
「すごいですよ。怒号が飛び交って、走り回って
いますから」
「オモシロイでしょうね」
「そうですね。客観的に見たら、きっと
オモシロイでしょうねえ」
「それにしても、編集して作る番組と、
ああいう生放送は、必要とされるノウハウが
全然違うんじゃないですか」
「そうなんですよ。だから、テレビ屋は、
両方の技量を身につけていなければならない
んですよ。」

そうですか、小松さん。
いやあ、実にナントカカントカだなあ!

帰りの車の中で、静かな仕事の方に
戻っていく。
手元に目を落とし、暗闇の中、
部品を組み立て、湿らせ、
しっとりと発光し始めるのを待つ。

いつの間にか、私は、
まだ見ぬホタルの木のことを
思っていた。

9月 20, 2007 at 08:53 午前 |

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コメント

ねぼけていて、感想コメント、
送付できていたでしょうか。
自分が、お布団になったように、
よく眠ってました。
しっかりせねば。

投稿: | 2007/09/21 6:08:50

ザ・ベストハウス、
ぜんぶは見られなかったけど、
チャンネルをあわせて、
用事しながら見ていました。

これまで、気が張っていたのが、
ほっとしたので、昨日の夕方から、
ぐうぐう眠っていました。
いま、やっと起きられました。
これからも気持ちをしゃんとせねば。

投稿: | 2007/09/21 6:03:18

ナントカカントカ・・・

フフ、うまい表現ですね。
こういう感じは、相手がやたらマニアックで
専門的な方との会話でよくあります。
専門用語が多いと特に・・・

こういうナントカカントカで通じる世界も多いものです。

ホタルの木のことは、どっかで聞いたことがあります。
それはそれは見事で、息を呑むほどだそうです。
ホタルの光が心臓の鼓動とシンクロして
まるで大地が息をしているように感じる・・・そうです。
いってみたいですね。

投稿: | 2007/09/20 21:47:32

水のドンペリ…!この銘柄は私もはじめて知りました。
好くコンビニでいろんな銘柄のミネラルウォーターが置いてあるのを見かけますが、これは流石に置いてないようです。

昨夜、ベストハウス123・4時間生放送スペシャルを拝見させていただいた。
(長丁場、お疲れ様でした…!)
番組の中で「光る生物のベスト3」が出て来た時、近江谷先生がフラスコをぐるぐる振って光らせていた、渦鞭毛藻のほわりとした青い光や、兜クラゲの自然界のものとは思えないネオンのような光に、何ともいえない神秘を感じた。

ホタルの木で思い出したが、あれはオーストラリアであったか、ニュージーランドであったか、たしか古い蟻塚に住み着いている虫で、夜になると、その虫の住んでいる蟻塚が星空と一緒に光って、明滅を繰り返している映像を、TVの自然番組で以前見た記憶がある。

天空の星空と絶妙にマッチして非常に美しかった。あの映像もひょっとしたら海野和男さんの手になるものだったのだろうか。

茂木さんがもしその、海野さんのナントカカントカを手にされたら、ホタルの木や、美しい蝶たちの姿をまずはじめに撮影なさるのでしょうか…。

乱文何卒お許し下さい。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/09/20 20:39:10

女満別は知らないけど、30才台はよく北海道へ行かされた。
でも結構楽しかった。ビールも酒もワインも食い物もなんでもうまかった。
銭箱という町で本州では考えられない大きさのシャコを茹でる前に見せられた上司はその後帰るまで食が細くなってしまった。
勿論、絶品のシャコも食べなかった。

というように、とにかく時間が無くてがっつくので、出張での地方行きは極めて楽しかった。

ところで、ミネラルウォーターの写真を見ていて、傑作な「迷訳」を思い出した。

グレン・グールドは胃弱で、欧州帰りでますます胃が痛んでいた。しかしアメリカで理想の水を見つけてのんでいた。名前は polish water (精製水)。なんと「ポーランド水」と訳されていた。

専門家といえども文脈と雰囲気に流される例をご紹介しました。

投稿: | 2007/09/20 17:15:37

イヤー(感激!)先生女満別にいらしたんですね。
不思議な感覚です。尊敬する方が、近くにいらしたとは。
すみません、アカデミックなコメントでなくて。

投稿: | 2007/09/20 16:59:06

むむむ、写真の中のカメラ、デザインが市販のものではなく、特注品に見える!!
そのカメラほしい感じがするけど、そのナントカカントカが分からないと、素人の私には、ちゃんとした写真が取れないのだろう・・・。

500ml、1000円、石油より高い、名水を掘り当てたら、アラブの王様並!!(笑)

投稿: | 2007/09/20 16:10:19

茂木さんのαでも絞りを絞ってストロボ使えば鮮明に撮れるんじゃないでしょうか?

光が届く範囲で、ストロボの光でレンズの影が画面に写らないようにしないといけませんが。

レンズは広角側のほうがシャープになりやすいのですが、近づくと影が写り込みやすくなるので、注意が必要です。

試してみてはどうでしょうか。

投稿: | 2007/09/20 13:15:34

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