全スペクトラム
筑摩書房の増田健史さんと
作った
『意識とはなにか』
の中でも論じたように、
意識の本質は、「あるシステムの中で、
「あるものがあるものであること」
が保証されるメカニズムである。
しばしば、言語と意識の関係が
議論される。
極端な論者は、人間のように言語を
持つ存在でなければ「意識は
ないとする。
しかし、進化的視点から見れば、
自己同一性を保証する意識の
一般的メカニズムが先にあり、
それを利用して言語が発達
してきたと考えるべきだろう。
朝一番で代々木公園へ。
ロシアの文豪のマネをしていたら、
椅子が壊れて崩れ落ちた。
撮影の場所にはソメイヨシノの大木
がたくさんあって、
花見の季節には格好の場所に
なることだろう。
新潟に日帰りした。
新潟にくると、いろいろな
ところに美しい鳥「朱鷺」
がフィーチャーされている。
財団法人 にいがた産業創造機構
(NICO)の
高橋豊さんにうかがった
ところによると、
朱鷺は新潟平野にもごく普通に
見られたのだという。
とーき、とーき、飛んでゆけ
というような具合の歌が、子どもたちの
間で歌われていたのだという。
それが今は、佐渡で細々と
命をつないでいるだけである。
現在、佐渡島では
朱鷺を人工的に繁殖し、野生に返す
試みが行われている。
NICOの木川義裕
さんによれば、難題が積み重なっている。
朱鷺は、つまりはある複雑な
生態系の象徴であり、
それが存在し得るということは、
背景に豊かな自然があるということを
意味する。
ちょうど、私が心の中で
感じる一つのクオリアが複雑な
脳の神経ネットワークの精華である
ように。
和田京子さんを相手に、
ロシアの文学について
話す。
ITとハイテクで世界が
覆われた今、
地球のどこに行っても
利便性は追いかけてきて、
本当の意味での「旅をしている」
という実感を持ちにくくなった。
悲惨や貧困の中にこそ
栄光を見ようとするロシア文学に
おける感性は、私たちが魂のどこかに
置いておくべき大切な宝石である。
平穏な市民生活を送るための
秩序は大切だが、
その一方で、人間の「振れ幅」
の全スペクトラムを使い切る。
そんな生き方はかけがえのない
ものとなる。
いろいろな所で、すすきの穂が
目を惹くようになった。
9月 27, 2007 at 07:30 午前 | Permalink
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受信: 2007/09/28 1:58:13
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コメント
椅子が壊れるようなロシア文豪の
真似というのが気になりますがw
新潟の日帰りお疲れさまでしたー
相変わらず忙しく日本を横断していますね。
移動中に変わりゆく季節を堪能できる位に
お仕事に余裕があればいいのですが。
秋は好きな季節です。
でも他の季節も好きです。
多様性のある好きがあって
全てのスペクトラムを体感できるから
日本っていいなあと思います。
月は常に魅力溢れています。
桜と共にあり
紅葉と共にあり
深く情感を語る月の
素晴らしさは尽きることがありません。
季節の与える喜びと寂しさ、
「今」の実感を言葉として心に刻んでくれる
そんな才能を堪能しております。
投稿: momo | 2007/09/28 6:19:44
茂木健一郎著 『脳とクオリア』を読み終えました。
本の中の、深遠な問いの立て方と、問題から推論を重ねて数学的構造を引き出してくる内容に爆発的な感動をしました!(相互作用同時性の原理を仮定して同時性円錐を導く、「睡眠」の前後で私の意識は持続しているのか?、自由意志とはあるのか?とか)
もっとも、批判的に読んで、その中の<数理物理的センス>を読み取らないと勉強にならないけど!
音声ファイルを聴いていて「大幅に改訂して文庫にする」と仰っていましたが、
何時ごろ出版される予定でしょうか? 発売を期待しています!
投稿: meurtsol | 2007/09/28 1:46:23
>極端な論者は、人間のように言語を
持つ存在でなければ「意識は
ないとする。
その人に、
狼に育てられた人間は?って聞いてみたいです。
それに、私の内面の体験だから理論的に証明できないけれど、、、。
私に私の感情を教えてくれたのはこころに聞こえる声ではなく、
つまり言葉ではなく、映像化された乙女でした。
彼女はほんとうに名女優の様にその目つきや仕草で私の感情を
私に伝えてくれました。
・・・あれ?そう言えば、最後に「私を忘れないで」と一言だけ
残して消えたんだった。
ふ~~む、、、、。
よくわからんようになったけど、茂木先生に一票。
投稿: あすか | 2007/09/27 21:48:57
ロシアの文豪。大きな木。もしかしたら、、、。
椅子に腰掛けたトルストイの真似だったのでしょうか?
ロングブーツがあんなに似合う男性は未だあったことがありません。
凛々しく、ジェントルマンって風格におもわずその写真が載ってあった
新聞を切り抜きました。
・・・今、トルストイを検索したら、彼は貴族だったのですね。
知らなかった。
人生論(だけ)を読んでわかいいおじいちゃんが部屋をうろうろしながら
ぶつぶつ言っているのがイメージされてなんか大笑いしながら
人生論を読んでいたのでこの記事の写真を見たときはほんと、
ドッキ!って感じでした。
・・そんで、今回はトルストイの真似をしている茂木先生の椅子が壊れて崩れ落ちた先生を想像したらあの写真といつの間にか脳内でトルストイから茂木先生に変換されて、クスと笑ってしまいました。
投稿: あすか | 2007/09/27 21:37:08
ロシア文学の感性…貧困や悲惨の中にこそ人生の栄光があるというその『宝石』は、私達が時代の変遷とともに、文明の利便性と引き換えに置いてきた、かけがえのない大切なもののように思える。
ドストエフスキーやトルストイといった文豪たちがこめた、貧しさと哀しみの中に見出せる人生の本当の「栄光」。
私達はどんなに生活が便利になっても、決してその存在を忘れてはならないだろう。
今あるこの境遇の中で、そんな本当の「栄光」を見出せる人生を歩んでいきたい。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/09/27 18:44:51
こんにちわ。
私の家では、犬を飼っているのですが、うれしいとピョンピョン跳ねて、散歩に行きたいときは、散歩道の方向を向き、チラチラこちらを見ます。また、ご飯を忘れていると、ワンワンほえます。ある程度高度な動物になると、言語までは行きませんが、意思表示、ボディーランゲージのようなものを持っているのではないでしょうか?
最近は、コンピュータ技術で、便利性に、引っ張られている感じがしますね(笑)。
投稿: tain&片上泰助 | 2007/09/27 15:07:16
昨日は楽しく滋養のあるご講演、ありがとうございました。参加した中小企業のオヤジさん達も元気をもらったと思います。さて、朱鷺の歌の続きですが、「トーキ、トーキ、飛んでゆけ、信濃の国まで、飛んでゆけ」というものです。新潟の中山間地、魚沼地方の鳥追い歌の一節です。当時の棚田を耕す農民にとって、朱鷺は稲をついばむ害鳥だったのでしょう。里山と棚田、朱鷺と百姓が共生する良き時代であったと思います。朱鷺は人の手の入った、里山、棚田などで生きる鳥です。人と自然の共生のいわばシンボルとも言えます。近い将来、佐渡の大空を朱鷺が舞っていることでしょう。その時は、是非佐渡へ・・・・・。
投稿: 高橋豊 | 2007/09/27 15:06:30
新潟の講演会は大変楽しかったです。多様性を認めるのは、日本の文化ですね。「もののあはれを知る心」こそあらゆる生物、無生物まで心を投影する対象とするのですから。自己の「うつしみ」を感じ、自分をとらえなおす、寛容さこそが大事なのだと深く考えさせられました。
これからもご活躍を祈念します。
投稿: 五十嵐 | 2007/09/27 12:52:09
すすきの穂も少なくなりましたね。ウォーキングをしながらさがすのですが、形はすすきに似ているが穂先は似て非なるものがすすきが生えていた斜面を圧倒しています。去年はまだ何カ所かで見たのですが。あの穂がたわわに垂れた風景はやはり日本の固有ですね。彼岸花も今頃はどこでもふっと出会ったのですが。土手や田んぼのへりにくっきりと自己主張する鮮烈な朱の群生。日本の秋の風景は絶滅危惧なのかしらん。
投稿: 五十嵐茂 | 2007/09/27 8:51:58