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2007/09/04

モンキアゲハに

私にも記憶があるけれども、
博士課程くらいで、大先輩たちと
タメを張って発表するというのは
ひとつの画期的な経験である。

柳川透くんの進化学会の発表は、
彼にとって忘れられない想い出に
なるんじゃないかと思う。


京都大学での進化学会での発表を終え、
打ち上げでくつろぐ
柳川透くん(一番右)
先輩方は(左から)谷淳さん、岡ノ谷一夫さん、
池上高志。

若い学徒にとって、「こいつはバカだ
「つまらん」「面白くない」
と思われてしまうことは最大の恐怖で、
だからこそ、一つガツーンとやって
やろうと柳川クンはテッパって
準備をした。

若さとはロックンロールである。
そして、若い時にロックンロールの
リズムをつかんだ人は、
うまくすれば一生ロックンロールを
することができる。

柳川くん、がんばったねえ。

東京工業大学大学院 知能システム科学専攻
の入試。

一人ひとりの学生さんの話を真剣に
うかがう。

すずかけ台の食堂で昼食をとる。

どうしても好きなので、カレーを
食べてしまう。

手元に仕事が山積していて、
移動しながらもひたすら
仕事を続けた。

このところ、メタ・レベルの認知の
問題で心の中は激動していたが、
目の前の仕事をする
ことは、魂に対する不思議な
癒しの作業がある。

先日タケちゃんまんセブン
(筑摩書房の増田健史)
と会った時に、日本には
インテリがないうんぬんの
話を塩谷賢などと
したけれども、
それは、つまりは、
そもそも日本語で本を出版する、
ということのどうしょうもない
「閉ざされた感じ」
にかかわることで、
だからこそ、タケちゃんとは
いつもその点が議論になる
ことなんだけれども、
その点について、タケちゃんと
電話で少し話した。

「あのさ、つまりさ、合わせて
やっているだけの話なんだよ、
オレたちが」

「世界が英語圏中心に回っている
ことは事実だけれども、
オレたち、他の言語を母国語と
するやつらは、心優しいから、
合わせてやっているだけの
話だよ。
もちろん、降りないし、
そこで勝負するけど、
いい気になるな、
ざけんなよ、ってことだよ」

「つまりさ、自分たちの
母国語がlingua francaに
なってしまったやつらは、
ラクであると同時に、固有の
モラル・ハザードがあるという
ことさ」

私はタケちゃんにそんなことを
言いながら、すずかけ台の
豊かな森の中を飛ぶ
一匹のモンキアゲハを
眺めていた。

モンキアゲハに、英語も
language policyも言語的鎖国も
カンケーねえ。

タケちゃんは、「いやあ、すっきり
しました」と言った。

モンキアゲハはどこかに消えてしまった。

渋谷のNHK放送センター
に実に久しぶりに行く。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

担当のディレクターは、
函館局の滝川さん。


久しぶりの打ち合わせ。左から、
山口佐知子さん、デスクの山本タカさん、
滝川一雅ディレクター


笑顔が頼もしい有吉伸人CP

住吉美紀さん(すみきち)が
中国土産でもってきた
アメが美味しかった。

今日も目の前の仕事を
淡々と全力でこなしていくだけの
こと。

全体の写真さえ見失わなければ、
こぎ続けて、
いつか大海に出ることができる。

9月 4, 2007 at 08:31 午前 |

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今や、企業合併、買収という文字が、 マスコミに日常的に取り上げられ、 一企業単独では、生き残りは厳しくなってきた中、 玩具業界も例外では、無かった。 [続きを読む]

受信: 2007/09/04 13:56:35

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受信: 2007/09/05 0:59:27

コメント

なんか久しぶりに茂木さんに光を見たような気がします(笑)
『合わせてやってるだけの話だ』ってのがいいですね。
なんかそのバランス点でいる茂木さんはパワフルでいい感じ。
英語圏にぶら下がってるようなときは、読んでるこっちが息苦しくなるようですよ。特にここ最近は(笑)
両方のコミュニケーションが出来るのだからいいではないですか!
両方を旅すれば!
そして置きたいのなら、たまには日本に軸をおいてもいいんじゃないですか?
茂木さんの多くの部分を日本人によって生かされているわけだし。
日本に、もしくは限定された世界に安住したくないという思いからいろいろと苦しむのでしょうか。
ぼくは現実として、他の国の昆虫を見るときと、日本の昆虫を見るときではまるで受ける感覚が違います。
それは私の中の事実として違う。そしてそれは私にとってとても好きな違いです。
安住しないようにする工夫はコミュニケーションや言語だけではなく、また違った部分でも出来ると思います。
そっちの可能性の方がよりスマートでかっこいいかもしれませんよ。
その可能性が何なのか、私には想像もできませんが、
なんか、とても最高なんじゃないかと勝手に予感してます。

投稿: | 2007/09/05 15:54:56

>全体の写真さえ見失わなければ、
>こぎ続けて、
>いつか大海に出ることができる。

今の自分には、何よりずしっと来る言葉でした。

自分を信じてずっと継続し続ける才能

何百年、何千年、じっとそこで生き続ける
明治神宮や伊勢神宮の大樹

ただただ敬服するばかりです。

“所変われば品変わる”
“サピア・ウォーフの仮説”
“しがらみ”
云々・・・

でもこぎ続けて、いつか大海に出たい。
全てを超越して、いつかモンキアゲハのように。

投稿: fayway | 2007/09/05 15:21:01

きょうの日記は、読むと元気になりそうな内容で、私も読んだらよーし!明日はきょうより頑張るぞ!! という気持ちにさせてくれる。

若き日にロックンロールのリズムを捉えれば、一生ロックンロールをし続けられる。

所謂「偉い」人達をガツーン!とやりながら、一生を送る事が出来る。

でもって、自分の若い頃を思い返せば、…私が若いときに掴んだリズムはロックンロールのそれではなく、ニューウェーヴのそれだった。

ニューウェーヴも、そもそもは既成の概念への反感を音楽にしているところから出発しているから、その点ではロックンロールと似ているかもしれない。

京都大学で大先輩たちとタメを張られて、茂木さんの代役を務められた柳川さんは“ロックンローラー”だと思った。

無論、その柳川さんの師である茂木博士は、さらに輪をかけた“ロックンローラー”であられると思います。

すずかけの森に舞うモンキアゲハには、人間の言語世界なんて確かに「カンケーねえ。」ものだ。
(カンケーねえ、とはまるで当今はやりの“海パン芸人”のフレーズのような(笑))。

蝶達に限らず、人間以外の種族には、英語も日本語も、言語的信条も言語的鎖国も
しょせん「知ったことじゃねぇよ!」の世界なのだから。

そもそも、私達人類の持っている言語」を持たなくても、彼等にはそれぞれ個々の種におけるやりかたで、意思の疎通が出来るのだから。

茂木博士は、明日もまた、目の前の仕事を淡々と全力でこなしていかれるだろう。

大事なのはやはり、全体の像(Vision)を見失わないことなのだろう。

そのようにしながら、日々の仕事をこなしていこう!とおのれを勇気付ける
台風の前触れの夜。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/09/05 0:34:54

心の中を激動させるような問題って
しばらく前、ノートにマジックインクで大きく
記されたという件に関係のあるものでしょうか?
「ド・文系」以外にもいろいろ問題のある頭なので
なにがなんだかわからないのですが、
ワクワクしています。

お写真の先輩方の大先輩っぷり!を見て
柳川さんの大変さを少し実感できたような気がしました。。。(笑)

カレーがお好きなんですね!
カンディンスキーの絵のような色とりどりの
キレイなカレーは作れなくても
フツーのカレーは何も見ないでつくれるように
なったほうがいいでしょうか…。
切るのは好きなんです。
乱切りとかイチョウ切りとか千切りとか
短冊切りとか小口切りとかみじん切りとかとかとか!
「カンケーねえ」ですね(笑)。

投稿: | 2007/09/05 0:22:14

モンキアゲハといえば、高槻の生命誌館の食草園で見た乳白色の斑が目に浮かびました。生命誌館には趣向を凝らした展示もあるけれど、食草園と肺魚のエンピツ君とアボガド君に会うのがたのしみ。いつも進化の階段を駆け上って、まず屋上の食草園へ。建物に囲まれて隠れ家的レストランの趣かもしれないけど、ちょっとビル風がきつそう。その日は、風に吹き飛ばされそうになりながら、真っ黒な羽のアゲハチョウが飛んでいた。そこで生まれたばかりなのか、羽の隙間から見え隠れする模様が新雪のように鮮やかで。入り口にもどれば、オーストラリアからやってきて鯉のえさで暮らしているというエンピツ君とアボガド君。アボガド君の方が、ちょっぴり人なつこく近寄ると顔をガラスに寄せてくるけど、クールなエンピツ君もいい感じ。飽きずに見ているとすぐに時間がすぎる。もう一度屋上に行くとやはりまだモンキアゲハはそこにいた。もしかしたらこいつも展示の一部でICチップで飛んでるのかも、と疑うほどの精巧な姿だった。

投稿: | 2007/09/04 23:42:04

う~ん、漫画で科学本出すとか・・・。ただ、どのような市場があるのかわかりませんが・・・。


私が、昔、海外の掲示板に書いたときは、「これは、日本語から英語へコンピュータで変換したものです。」と、最初に書いていました。批判的な英語の返信があると、どう答えたら良いかわからず困った事がありました。文面から人柄がわかるぐらいにならないと、私は英語は怖くて、使えません。

ユーチューブ、で見られるように、日本語の作品に英語の字幕をつけるのも、手かな?(笑)

投稿: | 2007/09/04 12:11:35

   おはようございます。
今朝、とても怒っている夢をみて、
うなされて目が覚めました。
入院して手術した人は、そのあと、
怖い夢をみた話をされます。
本人だけでなく、付き添っている人も、
それに近いのかも。
経過がよくてもそうでなくても、
ひとつひとつのりこえていることに
ちがいはない、と思う。
いま、洗濯機じゃぶじゃぶまわして、
クオリア日記よんで、今日いちにち
たいせつに過ごそうと思っています。

投稿: | 2007/09/04 9:29:03

目の前の仕事をすることは、魂に対する不思議な癒しの作業がある。

この部分は私も実感しています。なんと言うのでしょうか・・遊んだりしている時よりも、「生きてるなぁ」と感じるんですよね。1つの仕事から次の仕事へ行く、ほんの隙間に癒しを感じます。

投稿: | 2007/09/04 8:49:43

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