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2007/09/06

「キャンドル・ライト」

ソニーコンピュータサイエンス研究所の
合宿で観音崎に来る。

これは集合時間に間に合わないかな、
と思っていたら、
不思議なことに湘南新宿ラインが
遅れていて、
京急が遅れていて、
ちょうどみんなが乗っている
電車と同じになった。

首都圏の電車が少しずつ遅れて
私の出遅れを吸収してくれた
ようで、罪悪感の入り交じった
安堵感があった。

セッションが始まる。
田島茂さんの電源パケットシステム、
北野宏明さん、白石哲也さん、
ナターリヤ・ポリューリャノフさんの
システム生物学、
張キさん、田谷文彦、私の
脳科学、
ソニーコンピュータサイエンス研究所
パリの所長であるリュック・スティールズの
発表と続き、盛りだくさんだった。

私は、自然界における多様性が
いかに統合されて適応性に結びついて
いるかという話をして、
そのcounterpartとしての脳内の
多様性がいかに意識の発生に
結びついているかという
見通しを示した。

多様性は、21世紀における
持続可能な社会を考える上での大切な
キーワード。
ソニーコンピュータサイエンス研究所
における研究テーマ自体が、

きわめて多様である。

http://www.sonycsl.co.jp/frl_j.html 

東北大学の教授を辞めて
きた高安秀樹さん(経済物理学)や、
今度東京大学の教授になった
暦本純一さん(ユーザーインターフェイス)
など、多士済々。

そして、研究所の取り組むテーマは、今、
持続可能性や多様性へと
大きく舵を切ろうとしている。

1988年設立の
研究所を構想したのはアイボを作った
土井利忠さんと、当時慶応大学
教授だった所眞理雄さん。

所さんは、全ての発表に対して
鋭く突っ込んで、
特に今回は田谷文彦が
「鍛えられて」いた。

丁々発止は伝統である。

夕食前の時間、田谷文彦と
ホテルの横、海岸沿いのボードウォークを
歩く。

台風が接近している。

もう日は暮れていて、
生暖かく湿った風が
吹いていく。

時折、大波が来てざぶーんと跳ね上がる。

田谷文彦はEuropean Conference for Visual
Perception(ECVP)でイタリアから
帰ってきたばかり。

私もこの会議に行く予定だったが、諸般の事情
で行かなかった。

「田谷、イタリアどうだった?」
「良かったですよ」
「フィレンツェでウフツィは行ったのか?」
「初日に行きました。」
「受胎告知はもう帰ってきていた?」
「ありました。ヴィーナスの誕生もありました。
メジャーな作品は、全部ありました」

そんな会話を交わしながら、
ざぶーん、ざぶーんを避けながら、
ボードウォークを一周する。

暗闇に包まれることは、
心が安らぐことである。

台風の接近の影響か、
セッション中、時々停電した。

リュック・スティールズが
話す時は1時間くらい停電したので、
仕方がなく、リュックのパワーブックの周囲に
皆で集まって、
「キャンドル・ライト」の集会となった。

それが、とてもあたたかく、
近しくて、また、「持続可能性」
というリュックのトークのテーマとも
合っていて、
忘れがたい印象があった。

実質的な仕事と、
魂の慰安が結びついたとき、
精神は力強く動き出すのである。

9月 6, 2007 at 06:26 午前 |

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コメント

台風接近による停電の中、「キャンドル・ライト」に集まった人々のようすが、目に浮かぶようでアリマス。

始終明るくて、やかましいノイズばかり響く所に四六時中いると、心がいつもざわついて、落ちつかない。

自然界のささやきのほかは、何も聞こえない暗闇のほうが、心は安らけくなるものだ…。

そんな安らかな暗闇にほんのり光るキャンドル・ライトは、安らいだ心を静かにやさしく温めてくれる。


1988年設立の、Sony CSLには、世界有数の優秀にしてユニークな頭脳が集う。
(実は自分のブログでも、この研究所について何度か、書かせていただいたことがある)

この研究所についていつも思うことが、研究テーマの多岐さが、まさに多様性を具現していることだ。

システム生物学、ユーザーインターフェイス、経済物理学(エコノフィジックス)、電源パケットシステム等々、多岐にわたる分野の研究者が集い、各々日々理想と情熱に燃えながら、前向きに研究活動に勤しまれている。

SONYグループの持っている研究所は、草創期からのメンバーである木原信敏さんが設立された「木原研究所」、CSLを所眞理雄さんとともに設立された土井利忠(=天外伺朗)さんが設立された「インテリジェント・ダイナミクス研究所」などがあったが、何(いず)れも近年のSONYグループ内の統廃合で廃止された、と過日の経済ニュースで知った。

私が思うに、CSLには、現代日本の科学界が忘れてしまった(と思われる)もろもろの「希望」や「夢」が沢山詰まっている。

そのCSLの取り組む研究テーマが、持続可能性と多様性へと大きく舵を切ろうとしているとは、まさに今日的。

CSLの未来に栄光と多幸あらんことを!

投稿: 銀鏡反応 | 2007/09/06 22:29:03

性別に関係なく、性格に関係なく、諸般の事情に関係なく

押し寄せろ自然の事情。

あなたは悲しい人だからって、さびしい人だからって
大波や暗闇や台風に遠慮されたら

もっと悲しい。かまわずにやってこい。

それが癒しになる。


投稿: | 2007/09/06 14:41:44

小学校中学年の頃、コンピュータ雑誌の投稿欄に、「アニメの主人公たちは、最終回を迎えた後、どうなるのでしょう。」と、言う投稿があった。私も、そうだ、アニメのその世界で生きているのでは、と、真剣に考えていた事があった。

今から考えたら、実際には、アニメ主人公はアニメを見た私たちの記憶の中にいるのがわかる。

自分というものは、会った人の中の記憶の中にもいることになる。

相手の中の、自分を考える、アイボ(人工知能)なんて出来たら、すごいのではないでしょうか?

投稿: | 2007/09/06 13:10:04

台風は、だいじょうぶだったでしょうか。
被害が少ないようにと祈っております。

今日も一日、出来るかぎり落ち着いて、
あせらず、おこたらず、私なりに、
じっくりと考えて、答えは、とても単純、
で、次に進もう、と思います。。。

投稿: | 2007/09/06 9:13:39

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