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2007/08/29

自然発光

中野のスタジオで、
小池博史さんにお目にかかる。

小池さんは、表現集団「パパ・タラフマラ」を
1982年に設立。

以来、日本だけでなく世界各地で、
踊りと歌と台詞と舞台芸術と、
さまざまな要素を総合したその
パフォーマンスを作・演出・振り付け
している。

日本で見ると「無国籍」の自由空間
に遊んでいるかに見えるPapa Tarahumara
の舞台だが、
外国に持ってくと、やはり、
日本的なものとして受け取られるのだという。

「身のこなしなどに自然に生活の中で
染みついた仕草が表れるのでしょう」
と小池さん。

小池さんは、現在、10月に東京の
アサヒアートスクエアで上演される
「トウキョウ ブエノスアイレス書簡」
の準備をされている。

生バンド付きの楽しい舞台。
皆さん、ぜひご覧ください。

小池さんとお話したスタジオには、
大きな鏡があった。

「日本の踊りとバレエの違いは・・・」
小池さんが言う
「バレエは鏡を使って、人から
どのように見えるかに顧慮して
身体を動かすのに対して、
日本の踊りは内面の表出だという
ことです」

なるほどと思った。

以前、金森穣さんとお話した時、
金森さんは、「どんなにうまい人でも、
鏡の前で練習してこなかった人は
すぐにわかる」
と言っていた。

他者からの視線をどのように取り入れるか。
あるいは、没我か。
歌舞伎や日本舞踊でも、他者の目を
意識しないわけではない。

一方、バレエは、鏡なしでは成立
し得ないほどに、他者の視線を内面化する。

小池さんのように、「アウトリーチ」
しなければ見えない自分自身の姿が
あるのだなと思う。

諸君、小池博史さんのように
地球の隅々まで足を伸ばす
「タコ」になろうではないか。

有楽町にて、林望さんにお目にかかる。

林さんと言えば
『イギリスはおいしい』に始まる
一連のイギリスに取材したエッセイで
あまりにも著名。

ご専門は書誌学であり、日本の古典に
造詣が深く、古典に関する著作が
数多ある。

ケンブリッジ大学への留学も、
大学図書館にある一万冊の
日本の古書の目録をつくることが
目的であった。

夏目漱石が漢籍の素養をもとに
イギリスに向かい合ったように、
林望さん(リンボウ先生)は、
古典の教養が血肉と化していたから、
丸谷才一さんも絶賛するあの文体に
結実したのである。

何しろ、私もケンブリッジやイギリスを
心から愛しているので、これは
仕事ではないのではないか、
こんなに楽しくて良いのだろうかと
対談中微笑みがこぼれて
しまうような素敵な時間。

「茂木さん、ケンブリッジ大学の
入試が、どのように行われているか
知っていますか」
「知りません。」
「2時間の面接が3回あるのです」
「ええっ」
「試験の成績は、Aレベルを幾つとったか
ということしか見ません。たとえば、物理と数学と
化学と生物学でAレベルをとっていれば、
それで良し、あとは中身は見ないのです。」
「ふむふむ」
「それで、面接の時は、6人の面接官が
徹底的に質問します。たとえば、
氷が浮かぶ湖で泳ぐカモの足は、なぜ
凍えないのか、というような質問を
するわけです。」
「なるほど」
「しかる後に、受験生が答えると、
その考え方はちょっと違うとか、
もう少し深く考えてみようとか、
こんな視点もあるんじゃないかなどと
助け船を出して、徐々に正解へと
導いていきます。そのプロセスにおける
受験生の受け答えを見るわけです。」

異文化を受け入れる時に、
もともと自分たちの文化の中にあった
受け皿に合ったものしか入らない
とリンボウ先生。

日本の大学の入試は、
「科挙」という東アジア固有の文化に
すぽりとはまり、
その限りにおいて移入されたのであろう。

リンボウ先生とは、
再びお目にかかると思う。

さらにイギリスの話、
異文化との向き合いの話をさせて
いただくのが
本当に愉しみである。

対談の模様は、9月10日の週に
朝日新聞に掲載される予定です。


有楽町にて、林望先生と。

ソニーコンピュータサイエンス研究所の
ブレスト。

所長の所眞理雄さんが、
ローマクラブの事蹟について言及。

丁々発止。

帰宅する道すがら。

午前1時30分に起きて
ずっと仕事をしていると、
さすがに疲労が蓄積する。

暗闇の中に思う。
充実した一日だった。

知の集積と創造の
「自然発光」にこそわが人生を賭ける。

8月 29, 2007 at 08:35 午前 |

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» ズキッ、バキッ、バリッ… トラックバック なんでもあり! です 私の日記!! 
実は、ここだけの話なんですけどね…そぉーっと、そぉーっと、聞いておくんなさい。できれば内緒にね… 得意な大きな内緒話。 * この夏、またしても「究極の自分の裸」を見るはめになった。 先日のMRIとかCTとかに引き続いての究極の写真だ(笑) で、今回は腰のレントゲン。実は腰痛、ぎっくり腰でコルセット使用中なのだ。おそらく私、ぎっくり腰のベテランの域に入ると思われ。 んん、身体の中心は腰にありと実感する日々。 * これだけレントゲンなどで「自分の内部」を見ることが重なるとなんだか「外側」というのがとても... [続きを読む]

受信: 2007/08/30 1:46:10

コメント

ENGLAND! ENGLAND!  (きのうのスペルチェック・・>> RAND
ではなく >> LAND)
>>
異文化を受け入れる時に、
もともと自分たちの文化の中にあった
受け皿に合ったものしか入らない
とリンボウ先生。

というくだりは、先生のミラー・ニューロンのハナシと重なりますね。
他者に抱く感情は実のところ「自分が持つ感情のバリエーション」のなかで終始する、というところと。

きわめて構造主義的な「人間の不自由さ加減」とつながってくる話で、読んでるだけでもスリリング。

投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/08/31 6:05:38

ENGRAND! ENGRAND!・・
>>
「ドコカラ来たの?」
「イングランドだよ」
「やああ、イングランド大好きだよ。フットボールが好きなんだ」
「どのクラブ・チームが好きだい?」
「リヴァプールさ」
「いいね♪」

大阪では世界陸上が開催されている真っ最中。京都市美術館へ向かう途中の地下鉄の車内で、初老の英国紳士三人衆と少ししゃべった。
from ENGRANDと訊いて血が騒いだ。(笑)

「ENGRAND!ENGRAND!・・Good luck じゃあ!」
応援上手の「彼らも」笑顔。。 ^。


投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/08/30 7:52:19

林望先生とのツーショット、とっても素敵です!

その林望さまいわく、異文化を受け入れる時、もともと自分達の文化の中にあった受け皿にあったものしか入らない…と。

う~ん、そう言われて見れば、そうかも知れない。

明治の文明開化時代を思い起こして見るに、この島国の場合、当時のヨーロッパの、最先端の思想や文化などを取り入れる際に、イギリスの文化をあまり受け入れず、当時鉄血宰相としてならしたビスマルクのいたプロイセンの文化、それも軍事的・産業的なものを多く受け入れたようだ。
(だから「富国強兵」なんてやってたんだな…)

これは要するに、日本の場合、イギリス文化よりも独逸の軍事的・産業的文化が、自分達の文化にあった受け皿にぴたりとはまったからなのではないかと、少なくとも個人的には思える。

夏のたまった疲れがドッと出る時節、何卒御自愛下さいませ。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/30 5:31:47

本当の自己とは、自分自身の外にある

そして自分に課された課題をつかまえる

内部に探すのではなく、課題は外なる生がもたらしてくれるはず

自分の中にもぐりこんで聞き耳を立てても

何も得られない、迷宮の中にもぐりこむだけ

In The Light Of The Miracle を聞きながら、
はてしなく直感してます。

投稿: harvey | 2007/08/30 1:54:51

お疲れ様でした。
今日も大忙しでしたね。
でも、リンボウ先生との対談はとっても楽しかったようですね。
ものすごくいいお写真ですもの・・・

ケンブリッジ大学の入試と
日本の入試は本当に劇的に違いますね。
センター試験にいたっては、「あれで何をテストするの?」という
制度です。しかも、高校では、テストに出ないからといって、日本史や世界史、地理までも履修科目にいれないなんてバカみたいなことを
やっていますね。
これだけ、グローバルといっているのに、世界の都市も歴史も位置も
人口も面積も生産高もわからないで、どうやって交流するのでしょう。

ケンブリッジの試験は、文化の違い?ですね。
日本では、こういう試験(「面接3回」)に対する対策をできる先生もいないし、面接する大学の先生がいないんじゃないかな??
受け皿にないものは、文化として受け入れらない・・・確かに・・・
イギリスの入試はある程度クローズしたものなのではないでしょうか?
ある階層しか受験できないような制度???
日本の試験は、ある意味オープンですね。誰でも受験は自由です。
そういうのも文化の違いでしょうか?

投稿: ふわく | 2007/08/29 21:17:06

いつもいつも思いますが、すばらしい雑食ぶり。
エンゲルスではないけど、茂木さんに劇的な量→質転換が迫ってるよう期待します。

私が何かなすとき、先ず直面するのは睡眠時間の削減です。
この数日、久しぶりの統計の仕事で、ノンパラ信頼区間で睡眠を削った。

でも、眠らなければならなのが悔しいような仕事は楽しい。

投稿: fructose | 2007/08/29 16:42:27

>知の集積と創造の
「自然発光」にこそわが人生を賭ける。

知の集積は茂木さん著書の全部を読み貪り、
それに自らの経験を体ごとすべりこませて
そこから自然発生する創造を光り輝かせます!

投稿: 新屋敷 恒 | 2007/08/29 12:25:19

29日の英語のクオリア日記をみたら、
ざっそう・がーでにんぐのお写真に思わず、
わは、と笑ってから、なんだか、とっても、
ううむ、と考えさせられた!もし、自分の
内面に、照らし合わせるとしたら、
いま、どんな説明できるかなあ。。。?
そして、今日の「自然発光」、
とても読みごたえがあり、
充実した気持ちになれました。

投稿: F | 2007/08/29 11:16:54

テレビなどで、脳からの光(赤外線)を受けて、頭の活動を調べる機械が登場しますが、詳しく調べれば、意識は、物理的に光っているのかも?

投稿: tain&片上泰助 | 2007/08/29 11:06:10

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