« confusion | トップページ | 星の時間 »

2007/08/23

星を見上げて

朝、温泉の脱衣場に
ある牛乳の自動販売機を
見ていて思い出した。

幼稚園の頃、毎日牛乳代を
持っていった。
小さな袋に入れて持っていった。

普通の牛乳の時は白い袋。
コーヒー牛乳の時は赤い袋。

友だちは、赤い袋を持って
きている人も多かったのに、
うちの母親は、普通の牛乳の方が
健康に良いと何時も白い袋を
渡された。

あこがれた。コーヒー牛乳が
飲みたいなあと思った。

大人になったから、自分で買う
ことができる。

瓶の口にくちびるをつけながら、
「過去は育てることができる」
と念じた。

大分合同新聞、
西日本新聞、佐賀新聞、長崎新聞、
熊本日日新聞、宮崎日日新聞、南日本新聞
の九州各県の新聞社が共催する
「九州創発塾」。

姜尚中さんの話は、ロジックの底に
熱いパトスがある。

とりわけ、ご自身の体験に基づく
発言に、ちろちろと燃えるような
情念があって、クールな声との
対照が心地よかった。

パネル・ディスカッションは、
ノンフィクション作家の長田渚左さん、
国際協力政策、コミュニティ開発がご専門の
三好皓一さん、
別府でアルゲリッチ音楽祭を立ち上げた
伊藤京子さんが加わる。

多様性を持つことは良いことである。
同時に、いかにそれらの力を
まとめ上げていくか。

多様性と統一は、まさに脳が
進化の過程で直面した問題でもある。


九州創発塾 2007 パネル・ディスカッション
Photo by Atsushi Sasaki

会場となった立命館アジア太平洋大学(APU)
は留学生が半分を占めるのだという。

大分湾の眺望がすばらしい。
高崎山の姿が一目で焼き付いた。

あそこに、猿たちが住んでいる。
そう思うと、いろいろと想像をしてしまって、
もうだめである。

九州に残る自然は素晴らしい。

多様性の中に自分を投げ込まなければ
元気になどならない。

雑多なる生活空間を突き進んでいく。
その中で、グランド・ヴィジョンを
失わない。

最近見たイギリスのコメディにあった台詞。

「ボクらは、皆、ゴミための中にいる。
しかし、そのうちの何人かは、星を見上げている」

海にまで緑が迫る。
哀しくなるほどの美しい光景。

雨で星は見えなかった。

8月 23, 2007 at 07:38 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 星を見上げて:

» At The Edge トラックバック Tiptree's Zone
He has tried. And keeps trying. At the edge of the world and time . Until the time will have come. The wind blows. The world shakes. The time shakes. All of them makes him feel better. Leading him to a new world and time. [続きを読む]

受信: 2007/08/23 8:57:42

» カクカクシカジカ トラックバック 4月8日
久しぶりに茂木先生の話題。ブログは毎日お邪魔しておりますが・・・。 昨日の外出先で見つけたポスター。 ねんりんピック茨城2007 のシンポジウムにいらっしゃるんですね。 11月13日(火)県民の日・・・。そんな先まで・・・。 スケジュールのパンパンの一旦はこれか・・・。お忙しいのに ありがとうございます!! 平日ゆえ、またもや【生・茂木先生】とお会いできるチャンスを逃すことになりそうですが、 ブログの話題にのぼる日を楽しみに待ちたいと思います。 ... [続きを読む]

受信: 2007/08/23 10:30:02

» それがなくては生きていけない 日本画家・千住博 トラックバック 須磨寺ものがたり
今朝の産経新聞の「わたしの失敗」という、 連載に、日本画家・京都造形美術大学学長、 千住博氏が、日本画家をめざす過程について、 紆余曲折を語っていた。 [続きを読む]

受信: 2007/08/23 11:56:33

» 子供の頃の白い恋人たち。 トラックバック 坂本龍一なファンブログの管理人の個人的なブログ
茂木健一郎さんのブログを読んで思いだした。 小さい頃、友達だったか、いとこだったか忘れたけれど、 ちょっと遠い家に遊びに行くと、夕方に何人かで銭湯に行った記憶がある。 財布には278円くらい入っていて、 それで買うのは 1.牛乳 2.コーヒー牛乳 3.フルーツ牛乳..... [続きを読む]

受信: 2007/08/23 15:24:30

» 記憶のゴミを磨く トラックバック おやじスケロプタ―
記憶は育み、星として輝くのがいい。 傷ついた記憶はいわばごみの山である。 現代社会もほとんどがゴミの山である。 我々はごみの中で暮らし、 這いずり回っている。 ゴミの中で収拾がつかず、疲れ果てていく。 曇った記憶は、時を飛び、磨き、育め... [続きを読む]

受信: 2007/08/23 22:34:20

» 燃焼のタイプと方向性 トラックバック なんでもあり! です 私の日記!! 
今日の私は、夕方まで、 今年度の院生幹事としての「お仕事」で、 学内・学外を忙しく動きまわる。 地べたをジワーッと走り回ったような気分の一日。 じっとりと疲れる。 * 多様性というものをどのスケールでとらえるか。 ひとりひとりに置かれた環境、状況は異なるから 多様性の解釈自体が、既に多様。 相変わらず、ブレーキの存在を感じる日々、不完全燃焼系。 それがまた次につながるエネルギーでもあったり。 燃焼のタイプと方向性の不思議さの連続。 ... [続きを読む]

受信: 2007/08/24 7:45:15

» 「過去は育てることができる」クオリア日記より トラックバック うっぴっぴっ
茂木健一郎さんのクオリア日記「星を見上げて」からの引用。 『過去は育てることができる』 キーワードとして備忘録。 [続きを読む]

受信: 2007/08/24 10:21:51

» 気になった記事[070818〜0824/My nifty clipより] トラックバック Seeds of Design!
今週[8月18日〜8月24日]での追加されたクリップ数=60個(8月17日時点の総クリップ数=904個、非公開5個含む)。その中から特に気になった記事に「markup」タグを追加。 イソムラ式 : インハウスデザイナーのロールモデルハイアール、水リサイクル全自動洗濯機が国家重点新商品に - ニュース - nikkei BPnet山根一眞の『The環業革命』:エネルギーの地産地消の行方[前編]シトロエン C5 新型の姿が見えた! 【 carview 】 ニュースparckdesign: Déjeu... [続きを読む]

受信: 2007/08/25 16:24:46

» なんてこったい! トラックバック しきさい想像力紀行
私が京都に行っている間に、 茂木さんが別府に行っていたようではないか! しかも、APUにいたなんて!! まあ、茂木さんのブログを見ていた限り、 「APUにも近いな。」とは感じていたけどさ。 茂木さんも、あの別府湾の眺めを気に入ったらしい。 久しぶりに戻....... [続きを読む]

受信: 2007/08/27 13:46:16

コメント

はじめまして。

金沢で「芸術脳」のイベントがあったのですね~

参加したかったです。

あ、僕も自分で髪切ってます。

投稿: changsu | 2007/08/26 22:46:44

「過去は育てることが出来る」ていいですね。
国内をいくつか移り住んで育った私は、記憶と現実がなかなか一致しないし、あれもこれも自分の手の内からなくなってしまったものなんです。多分、今、一所懸命過去を育ててるんだと思います。これだったら何もつらくないんですね~。このフレーズ、今後も使わせてもらおうと思います。

投稿: ☆ | 2007/08/24 10:16:47

「九州創発塾」
今度は、大分にいらっしゃるんですね。
APUはおもしろいことをやっていますね。
九州在住の人間としては、地方発信の試みとして大いに興味があります。九州の片田舎?で、アジアの学生が大量に学んでいるという環境は不思議です。
今、「フューチャリスト宣言」を読んでいますが、これだけインターネットが普及してくると、地方だ、マイナーだなんて関係なくなりますね。「ネットでの評判がパワーになる」少子化を迎えて大学も淘汰の時代に入っていますが、今までになかった「インターネットを使いこなす(何を受け止め、発信するか)」という能力を徹底的に鍛えていく大学は生き残るのでしょうね。学生たちも、現実7仮想3の世界に現実に生きつつありますもの・・・・九州からどんな発信ができるのか、とっても楽しみです。


姜尚中さんの話は、ロジックの底に
熱いパトスがある。

姜さんは、熊本出身ですが、九州での思い出は、結構苦くつらいものだったようですね。前回のconfusionがいくつもいくつもあって・・・
そういう体験を通して鍛えられ、自ら磨かれたのが今の姜さんでしょう。
熊本には、「肥後の引き倒し」といういやな言葉があります。
いまだに、政治、経済、教育、福祉いろんな面で厳然とあります。
でも、そういう古い体質は、インターネットの前では無関係になります。しがらみのない発信⇔受信ができれば引き倒されることもなく、正当な評価がされることになるわけですね。
本物であれば、生き残りますね。ダーウィンの進化論にも通じるような気がしてきました。

テレビで拝見するときの、姜さんの「おちついた語り口」にいつも感銘を受けます。相手の意見を無視したカブルようなしゃべり方をするコメンテーターが多い中で、姜さんのコメントは、逆にキラ星のように心に届きます。茂木博士のお話の仕方も似ていますよね。「うなずきがやさしくて」・・・とても好感をもちます。
人前で話をするとき、討論するときに、心がけたいと思っています。

投稿: ふわく | 2007/08/24 6:30:32

「ボクらは、皆、ゴミための中にいる。しかし、そのうちの何人かは、星を見上げている」

ゴミためのように雑多な生活空間の中で、懸命に各々の生を突き進む私達。その中で、如何にそれぞれの中の、グランド・ヴィジョンという名の「星」を見失わずに生きていけるか。

この問題は、茂木さんご自身の課題のひとつでもあられるだろうし、同時に私達全体の命題でもあるのだろう。


また、多様性を持つことと、如何にして同時にそれらの力を纏めていくかという、多様性と統一の問題。

ただ多様的であってよいとはせずに、それらの持つ力を有意義な方向に纏め上げていけば、それぞれが持つ力が合わさって大きな力となり、世界が変わっていく、ということなのではないか。

茂木博士いわく、それは「まさに脳が進化の過程で直面した問題でもある」とかや。

よく世に言うところの「団結」も、実はこの“多様性の統一”のことを言っているのでは、と思うのだが。


高崎山と言えば、かつて海岸で、芋洗いをするサルがいたということで有名になったところとして有名だ。

芋を海水で洗うと塩味がついて、美味しくなるということ発見したサルの姿は、ひょっとしたら人類はあんなふうにして、初めてものに味をつけて食べることを覚えたのだろうか、という想像をさせてくれる。

茂木さんの幼稚園時代。毎日牛乳代を小袋に入れて持っていったのか…。

しかも珈琲牛乳の時が赤袋で、普通の白牛乳が白袋という…。

私は保育園に通ってはいたが、毎日牛乳代を袋に入れて持っていったという決まりはなかったように記憶している。

珈琲牛乳に憧れながら、お母様が渡してくださった白い袋を持って、幼稚園に通う、当時の小さな健一郎少年の姿が思い浮かびます…。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/23 22:08:26

>「ボクらは、皆、ゴミための中にいる。しかし、そのうちの何人かは、星を見上げている」

今年の4月に他界した、アメリカの作家カート・ヴォネガットのユーモアを彷彿とさせるものです。

投稿: s | 2007/08/23 21:53:55

We are all in the gutter・・・私も大好きなオスカー・ワイルドの言葉。

私はこころが苦しいときに、そのSome of usになりたくてはるか遠くを見つめます。

投稿: Kaori | 2007/08/23 20:14:53

茂木先生、こんばんは。はじめてコメントさせて頂きます。

>「過去は育てることができる」
>多様性の中に自分を投げ込まなければ元気になどならない。

という2文に勇気づけられました。
ぼうっと生活していると、自分の考えが凝り固まって、どんどんおバカになっていく気がします。
実際にバカになりつつあった私の脳が、(茂木先生の文章を読んで)少しだけ広がる方向を見つけたような気がします。ありがとうございます。
先日購入した「家庭画報」に偶然、茂木先生の記事を見つけて嬉しくなりました。
毎回新しい発見を頂いております。
暑さも長引きますが、頑張って下さい!

投稿: okra | 2007/08/23 19:32:25

>「ボクらは、皆、ゴミための中にいる。
しかし、そのうちの何人かは、星を見上げている」

確かに私はゴミための中にいます。
しかし、ゴミための中から、
星を見上げている何人かのうちの
一人でありたいです。

生まれ故郷沖縄本島最北端、
ヤンバルの夜空は星がとてもきれいです。
最近、寝転がって夜空を見上げました。

奇麗な星空を見上げながら
お忙しすぎて身を滅ぼしそうな
茂木さんのことを考えたら
なんだか切なくなってきました。
でも、茂木さんは間違いなく星を見上げて
いると思うので心配ご無用ですね。

展覧会が終わったらまた沖縄に帰ってきますが
茂木さんの本を一緒にお連れして
ヤンバルの星空を見せてあげようと思っています。

投稿: 新屋敷 恒 | 2007/08/23 14:01:43

>多様性と統一は、まさに脳が
進化の過程で直面した問題でもある。

多様性→短期記憶、統一→長期記憶、として、短期記憶×長期記憶×意識≒知能、と、考えたりしてみたりします。

意識と知能の関係は面白いかも?

投稿: tain&片上泰助 | 2007/08/23 13:19:18

小学校1年の時に、給食で出るビンの牛乳の、丸い紙のふた。あれを、せっせと集めてたことを思い出しました。宝物のように、黒いフェルトに花のアップリケが貼ってある四角い箱に入れて。今思うと、色もデザインも毎日同じ、違うのはスタンプされた日付だけなのに、しかも牛乳は嫌いで「義務」で飲んでいたのに、何が心を動かしたのでしょう。

牛乳のふた。

投稿: | 2007/08/23 11:19:10

九州創発塾 2007、私も
会場でお話ききたかったなあ。
大分にも行きたかった。
ずっと長く、ミカンを、ひと箱分
送ってくれた親戚がいて、
(いまは、年を取って闘病中で)
ときどき、あとから、また
ひと箱届いて、手紙が入っていて、
「この間、送ったミカンは酸っぱくて、
あんまり甘くなかったでしょう。
ごめんなさいね。今度の分は
美味しいから沢山食べてね」と
書かれてあった。
そんな、おじさん、おばさんが
いる大分なので。。。


投稿: F | 2007/08/23 11:00:03

グランド・ビジョン―時々星を見上げると、ゴミためのなかにいても宝をみつけたりゴミ成分の研究したり、なんか発明したり、けっこう楽しく暮らしていけそうな気がします。

投稿: すくすく | 2007/08/23 9:38:23

コメントを書く