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2007/08/06

魂の周辺視野

富山から金沢への列車の旅は
短いがそれゆえに
車窓の風景が心地よくまた
ゆかしく。

現代アートはあらゆる表現
行為の中でもっとも自由で、しかし
だからこそ難しく、苦しく
やりがいがある。

気づいてみると、ここの
ところしばらくアートの中に浸る
ことがなかった。

その日が来た。

金沢駅で、21世紀美術館の
秋元雄史館長、新潮社の大久保信久さん、
桑原茂一さん、吉村栄一さんと
合流。

ずっと行きたい場所であった。
車で行くと、思いもかけぬ
市の中心部に21世紀美術館は
あった。

入り口で、作品を制作中の
日比野克彦さんに遭遇する!

日比野さんが段ボールを
マテリアルとして選んだのには、
運命的符合があるんじゃないかなあ。

いつ会っても、段ボールのように芯が
強く、軽やかで、そして温かいのだ。


日比野克彦さんと秋元雄史館長。


日比野克彦さんと。
(photo by Atsushi Sasaki)

アサガオで包まれた建物に入る。

中央に、レアンドロのプールが
あり、上からのぞくと、プールの
中を人が歩いているように
見える。

芸術的高みを目指すことと、
子どもでも楽しめるような空間作り。
この難しい命題の両立に、
21世紀美術館はとりくんでいる。

アニッシュ・カプーアは
ボクが大好きな作家。

斜面に大きく一つ黒いだ円を
描いたカプーアの作品のある部屋で
ながめていると、
様々な視覚、心理現象が生じた。

やっぱりこの人は大した人だと
感心していると、子どもが
数人、部屋に入ってきて、
中の様子をのぞくと、うひゃあ
という感じであっという間に去って
いった。

この感覚は覚えがある。
小学生低学年の頃、
近くの高校の文化祭に行った。

お化け屋敷があり、好奇心に
かられてのぞき込むと、
暗いなかでなんかアッサリとした
ものが動いている。

なんだ、と一瞬で逃げ出す。
あの時の、いかにも子どもらしい
相手の苦労とかそういうものを
一切顧慮しない爽やかな見切り。

それと同じものをカプーアの
部屋の入り口で引き返した
子どもたちに感じた。

それで良いのだと思う。
アートのすそ野が広く、
同時に高みを目指して。

ジェームズ・タレルの部屋で見上げ、
手をかざす。

向かい側から、電通の佐々木厚さんが
写真を撮っている気配がした。

佐々木さんはいい人で、後で
写真をくれた!


ジェームズ・タレルの部屋で
(photo by Atsushi Sasaki)


タレルの空とボクの手

楽しみにしていた金沢在住
アーティストの方々とのセッション。

塩を使って迷路をつくる、山本基さん。

ガラスで自らの脆弱さを表現する辻和美さん。

漆で「乗り物」としての動物を表現する伊能一三さん。

久谷焼でバナナ、牛乳などのオブジェを作る上出惠悟さん。

楽しかった。友情が芽生えた。

桑原茂一さんもステージに参加。
芸術における創造性の源泉について、
自らの体験を交えて熱く語った!


金沢アートセッション!

インターネットの時代になっても、
移動する、そこにいる、出会う。
このことの価値は変わらない。

アートは「魂の周辺視野」を高める。
かすかに見えるものに心を向けなければ、
美を生み出すことはできないのだ。

8月 6, 2007 at 09:04 午前 |

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コメント

「坊ちゃん」の哀しさ をめぐって
>>
8月6日月曜日 晴れ

昨日、堺の阪和鳳自動車教習所で中型免許(この6月から新しくできたカテゴリー、主に8tまでのトラックを運転できる)の卒業検定に合格。

これで「つぶしの利く」何者かになる準備がひとつできた・・まあトラック野郎への道が拓けてきたわけだけど。

そう簡単にことは運ばない。喜んだのも束の間、免停の通知が届く。しかも60日である。少なくとも30日は運転できない。BEATに乗れない。トラックのドライヴもおあずけである。

神様はいったい何をお試しされようといているのか・・

駐車違反ごときで・・しかもパーキングメーターのある駐車エリアに停めてて・・この仕打ちか。「シアワセの黄色いHONDA BEAT」は狙われる。人のココロを波立たせる。当局もやっかんでる、タクシードライバーの気持ちを逆撫でする・・。こないだ東京・原宿のナントカHILLSからR246へ向かって走っていると一台のタクシーが右側に並びかけてきた。そして左側のウィンドウを全開して運転手が怒鳴っている。

「おめえの来るとこじゃねえよ。とっとと大阪へ帰んな!」

私もアッカンベエーで応酬したが、なんで見ず知らずのタクの運ちゃんにそこまで言われなきゃならないのか。和泉ナンバー付けてちゃいけないのか。おまえは親子三代江戸っ子なのか?

三車線の道が工事で一車線になっているからってご丁寧に一列で順番こでお行儀よく並んで走んなきゃいけないのか東京では・・アホちゃう?イタリア人やフランス人も吃驚の「芸の無い」烏合の衆である。時間の無駄遣いも甚だしい。呆れた Boysである。平和ボケの不思議の国の都の「面目躍如」たるものがあるね。

坊ちゃん でなくってもホントきれるぜ。

漱石の「坊ちゃん」は「鬼が島」の松山から東京に還り、愛する清と暮らした。そして電車の運転手として大人しくクワイエット・ライフを過ごした・・ 。

「坊ちゃん」の読後の哀しみは、そこにある。井上ひさしさんが書いていた。私もそう思う。ピカレスクは負ける。でも「負けるが勝ち」の言葉もある。花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ・・

「坊ちゃん」を哀しいままにしておくのは忍びない。

それから の坊ちゃんは、やがて「三四郎」に姿をかえて私たちの前に現れる。流石は漱石先生、読者の気持ちをつかんで離さないのである。

(それからの我輩を知りたい人はこちらまでお越しやす>>http://nomgroove.cocolog-nifty.com )

投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/08/07 4:14:54

こんにちわ

今回のプログを見て、思い出したのですが、妹が大学のとき、実験した事の話で、小学生に絵を描かすと、小学校1、2年以上になると、お母さんやお父さんが描けなくなり、代わりに、ポケモンとか、漫画のキャラクターが描けるようにるらしいです。
よく、ショッピングセンターの活動等で、保育園児、幼稚園児がお父さん、お母さんを描いた絵が出されているときがありますが、あの心が輝いているような絵は、小学校1、2年の時以上の時に描けなくなくなるらしいです。どうしてか、までは、妹の研究外でしたのでわかりませんが・・・。


私は、芸術について詳しくないですが、茂木さんのプログから、芸術センスでも、すこし頂こうと思います。(笑)

投稿: tain&片上泰助 | 2007/08/07 4:04:13

なんだ、と一瞬で逃げ出す。


子供達のこの反応・・・・

正直ですよね。でも、この子供の感覚って大切ですね。
とくにアートは・・・
金沢におもしろい美術館ができたんですね。
最近、私も美術館にはいっておらず、是非一度いってみたいです。
日比野さんは、ずっと注目しています。

北陸で講演したり、アーティストたちとのセッションですか?
お忙しそうですが、体に気をつけてくださいね。
博士の出演される番組、結構チェックしてみてます!!
私は、九州在住ですが、こちらでの講演の予定はないですか?
是非、一度拝聴したいと思います。

投稿: ふわく | 2007/08/07 2:04:29

美術館も教養を求めるかび臭いいれものから、楽しみの場に変わっているようで、嬉しいです。ホント、一昔前の美術館にはクサい人間が多かった(私も込みで)。

阪神巨人戦を見に行くように、期待を抱いて現代の陶器を見に行く。
楽しいです。

もろに「経営」を前面に出す金沢21世紀美術館長の本心は、自分への言い聞かせと理解できます。
海外でも、いい美術館には観光客が一杯で、華やかで、明るいですね。

前田家の趣味人殿様の意向が長い年月を経て、新たな展開を遂げているようで興味深いです。

けど、金沢といえば、冬に駅の居酒屋で飲んだ銘酒[万栄楽]の思い出です。花もいいけど団子もね。

投稿: fructose | 2007/08/07 1:53:47

茂木さんはどこにいても
体がラクそう~な感じに見えるのが羨ましいです。

実は「ラクそう~」なヒトにすごく憧れているんです。

自分が鎖かたびら、鎧かぶと系になってしまうコトが
多いから。。。
いつどこにいても、自分の部屋で過ごしているときのように
ストンとリラックスしてしまうのが理想なのに(笑)!

投稿: まり | 2007/08/07 1:25:58

金沢21世紀美術館、いつか行きたいです。
茂木さんの タレルの空 のお写真見てたら、
光が、ほんとに、生きてる!って感じ。。。

光は、こちらに話しかけてくるような気がする。

天気の良い日、町を歩きながら、空を見上げ、
とてもいい笑顔で、音の聞こえない人が
手話で、尋ねている。
 
  「ずっと昔から知りたかったんだ。
   太陽の光は、どんな音がする?」

そんな映画を観たのを、思い出しました。
当時若かった私は、その場面に涙した。


投稿: F | 2007/08/06 23:07:06

本日(08/06)、私が勤務している清掃現場の現場で、午前の仕事を終えて休憩室のTVを見ていたら、金沢21世紀美術館のニュースが!

映像に、きょうの日記にもあったレアンドロのプールが現われ、

「おや?なんで、水底をお客さん達が服を着たまま歩いているのかな~?」

と、見ているこちらも不思議な気持ちに…。

トランペットのようなモニュメントに子どもが楽しそうにつかまっているさまも映し出された。

いろいろな壷やモニュメントに触って、歓んでいる人達もたくさんいた。

とにかく、美術館に大挙してやって来たお客さんたちの表情がとても楽しそうだった。普段なかなか出来ない体験が出来るので、みんなニコニコしているんだな。いいなぁ。

都内にある美術館は、こんなに楽しくない。コンテンポラリーアートなんかも「お手を触れないで下さい」なんて、小さい立て看板が作品の前に建てかけてあったりしてる。

観客はタダ、その前に突っ立って作品を眺めているだけ。

そこに作品と観客との「溝」みたいなものが生まれてしまっているのだろう。

日記のお写真を拝見すると、日比野克彦さんと館長の秋元さん、同じく日比野さんと茂木さんの其々のツーショット。お4方の後ろにカラフルな壁があった。何でも日比野さんの手になる作品(製作中)だとのこと。

見ていてトテモ軽やか、スコーンと抜けた明るさと、ウキウキするような楽しいクオリアが沸き上がってきそうだ。童心に返れそうだ。

出来れば是非、実物を見に行って、ウキウキの実際体験をしてみたい!

ジェームズ・タレルの部屋でくつろぐ茂木さん。タレルの青空に伸ばした手のシルエットが、何かツノのある想像上の動物にも、マダガスカルのバオバブのようにも見えた。

茂木博士も述べられているように、芸術的高みを目指すことと、子どもでも楽しめるような空間造り。崇高な目的とポップな目的との両立。何故か他の美術館が二の足を踏んでやらずにいることを、この金沢の美術館は、見事果敢に挑戦して、実現している。

子どもや大人が五感をフルに使って、その作品にじかに触れ、何かを感じるとき、触れた人の心が大きく開かれる。現代アートだから可能なことなのかもしれない。

「インターネットの時代になっても、
移動する、そこにいる、出会う。
このことの価値は変わらない。

…アートは『魂の周辺視野』を高める。
かすかに見えるものに心を向けなければ、
美を生み出すことは出来ないのだ」。

かすかに見えるものにはたして、自分は、心を向けているか?

そしてそこから美を生み出す為の努力をしているか?

…自らに問うべき課題だと思った。

(長文乱筆お許しを…)

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/06 19:34:13

立山の感動がひたすら続いております。懇親会ではお宝賞品(2位)をいただきまして、感激しました、ありがとうございます。金沢21世紀美術館は実家からいつも眺めている風景で、そこに日比野さんや地元アーティストと交わる茂木さんのお姿が加わって、いい景色だなぁ~、とうれしくなりました。またぜひ魂のリフレッシュにいらしてくださいね。暑中お見舞いを申し上げるとともに、ますますのご活躍、お祈り申し上げます!

投稿: 三宅エミ | 2007/08/06 10:22:18

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