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2007/08/09

映し合う

日米学生会議
(Japan America Student Conference)
というのは、1934年に始まり、
戦争による中断を挟んで今日まで
続いている学生主体の会議。

今年で59回目。毎年、交互に
アメリカないしは日本で開催され、
日米の学生が約1ヶ月間、
各所を回りながら経験し、討論を
重ね、相互理解を深め合っていく。

宮澤喜一さんや、ヘンリー・キッシンジャーも
かつて参加した。

私は第38回に参加した。
アメリカに行く回で、シカゴや
ミシガン、ボストン、ニューヨークを
回った。

本当に強度の高い経験で、
さざざまな忘れられない想い出がある。

最初の夜に、アメリカ側の
参加者たちが、「I am a typical American」
という劇をやった。

それぞれの祖先がどこからやってきたかを
喋ってから、最後にI am a typical American
(私は典型的なアメリカ人です)
と付け加えるのである。

私の祖母はイタリアから、祖父はイギリスから
来ました。ニューヨークで会って恋に落ちました。
私は典型的なアメリカ人です。

私の両親はロシアから移民してきて、
カリフォルニアに住んでいます。
私は典型的なアメリカ人です。

私の祖先はアフリカから来ました。私は
典型的なアメリカ人です。

様々なバックグランドの人たちが
いて、それぞれが「典型的なアメリカ人」
である。

 素晴らしい演し物だった。
 アメリカ側の学生たちは、
各地に散らばっていて、
 出会ってから一日くらいしか
経っていない。

 それで即興で劇を作り上げる。
瞬発力に感銘を受けた。

 ミシガンでファーム・ステイした時は、
毎日食事はポークとポテトとコーンだった。
 夏の盛りで、フェアーが来て、
メリーゴーラウンドとかそういう
ものがどこまでも広がる麦畑の中に
ぱっと現れ、夢のように消えた。

 とても宗教的な人々。
 海辺に二組の足跡がある。
 「もう一人は誰ですか」と聞くと、
神が、「私がお前と一緒に歩いたんだよ」
と答える。
 「なぜここは一組しかないのですか」
と聞くと、神が、「私がお前を運んで
歩いたんだよ」と答える。

 そんなカレンダーをくれた。
 心の優しいひとたち。

 シカゴで突然大雨に降られて、
アレックスたちとびしょ濡れになって
大笑いしたこと。

 ニューヨークのアムネスティ・
インターナショナル本部を訪問して、
「手紙を書くこと」が良心の囚人の
待遇を劇的に変えることができる
ことを学んだこと。

素敵な想い出がある。
私は22歳だった。

第59回の会議は日本各所を回りながら
開催中だが、その実行委員長の
川口耕一朗くんから、
秋田フォーラムに来てくれないかと
お誘いを受けた。

日米学生会議からの依頼ならば、
ぜひとも受けなければならない。

秋田駅前の秋田ビューホテル。

会場にいる日米の参加者に声を
かけて、談笑した。

どれだけ準備が大変か、経験者
としてよく知っている。
自分たちで全部やる。
企業を回って、寄付をお願いすることとか、
各所のイベントの準備、関係者との
折衝とか。

だから、ボクは、参加者たちに、
偉い、がんばれ、楽しめよ、
身体には気をつけろよ、と言いたい。


第59回日米学生会議の参加者たち

明石康元国連事務次長のお話を
うかがう。

英語で、国際情勢などを
大所高所から見た素晴らしい講演。


講演する明石康元国連事務次長

川口クンからは、秋田の高校生など
地元の人も多いし、同時通訳も入っているから
日本語でと言われていたが、
ボクもどうせだったら英語漫談を
やりたいと思った。

それで、日米学生会議の
思い出と、日米関係についての
思いを40分くらい喋った。

いやあ諸君、楽しかったであるゾ。

秋田で日本とアメリカの学生が
出会い、高校生がたくさんきて、
出会って、共鳴して。

こういうことは掛け替えがない。
他者とは出会うべきだ。
映し合うべきだ。

8月 9, 2007 at 06:24 午前 |

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コメント

はじめまして。
こんな風にコメントするのは初めてですが、上記日記を読んで心動かされて書いてます。私はJASC55th参加者でした。いまや全国・世界各地にちらばったJASCerたちと折に触れて語り合い、今でも刺激を受けています。まさに、他者と映し合うことは自分を知ることだと思います。かつての自分たちを思い出しながら、JASC59thも成功するよう祈ってます。

投稿: nekyu | 2007/08/12 23:58:01

おはようございます。映し合う、って、いい言葉ですね。
人と出会って、映し合う、茂木さんから、また、良いことをきいた。

投稿: F | 2007/08/10 5:21:08

優秀な日米の学生達が、こういう形で交流しているんですね。
しかも、戦前から・・・続いている事実。

茂木博士はこの会の出身者とのこと・・貴重な体験だったんですね。
がんばってる後輩さんたちとの交流もたのしかったことでしょう。

「映しあうべきだ」がキーワードですね。

ちなみに、「映す」は英語では、「reflect」でしょうか?
”reflect”を英和辞書でしらべると
①鏡などが像を「映す」「映じる」
②<光、熱を>反射する。<音を>反響する
③<考えなどを>反映する。表す。示す
④・・・をよく考える。熟考する。
⑤<信用、疑惑を>もたらす、招く
等が、あがっていました。

また、語源として
「後ろへ曲げる」という意味もありました。

異国に住む若い世代の学生が、交流をして、お互いの文化や考え方の相違点をしっかり理解する・・・そして、お互いの考え方に深く浸透し、その後の人生に深く影響するんですね。

教育現場の荒廃が、何度も何度もメディアで取り上げられますが、
こういう、プラスの側面にはあまりスポットがあたらないですね。
でも、こういういい交流というのは、もう少し一般人?も知っていてもいいのかもしれませんね。(すでに、一般人はしっているのかもしれませんが)


やはり、人間は多少は、「明るいもの」「前向きなもの」「楽しいもの」という側面がないと、近づきにくいし”映しあえない”かもしれないですね。心の底から、楽しかった、共感できた瞬間というのは、何にもかえがたい喜びです。これが、人間がよき方向へすすむ原動力なのかもしれません。
すばらしいエピソードのご紹介、ありがとうございました。


投稿: ふわく | 2007/08/10 2:47:41

こんばんは。

茂木先生は本当にすばらしい経験と出会いを一杯されているのですね~。
明石康元国連事務総長さんに似た方を夕べ
スーパーでお見かけました。似ている方か分かりませんが・・。
だからちょっとびっくりしました。

それから、最近の音声ファイル、本日の以外は全部聞かせて頂きました。本日のはこれからか明日聴かせていただきます。
大変、楽しくありがたく拝聴させていただきました。
やはり、ポジティブな思考は大切ですね。先日はヘンテコなことを
コメントしてしまったので、ちょっと後悔しています。

それにしても、この猛暑の中パワフルに活動され、本当にすごいな~と。私も自分にハッパを掛けているのですが空回り。でも「夏を制すものは全てを制す」という受験生向けのフレーズが脳裏を過ぎっております。
 どうかお体の方自愛くださいね。

投稿: tachimoto | 2007/08/10 0:42:43

アメリカ合衆国は人種のるつぼ。いろいろな国から移民が寄り集まり、あの巨大な多民族社会を作り上げている。

本日の日記にもあった、日米学生会議でアメリカ側の参加者が、それぞれの祖先が何処から来たのか喋ってから、最後に

「I’m typicai American」

と、やる劇について思ったことは、バックボーンはみんなそれぞれ違っていても、僕等はみんなおんなじ「typicai American」だ!という思いが、アメリカ人の中にやはり強くあるのだ、ということだった。

アフリカ系国民などに対する人種差別やその他、色々なややこしい問題を抱えてはいるものの、基本的にはそういう国民性が、合衆国の人のなかには間違いなく、ある。

それでもって、アメリカの人は、率直で、精神に瞬発力があって、思ったことをはっきり言えて、物事を何でも前向きに捉えられる人が多い。

そのアメリカと日本の学生同士が、出会って、語り合い、びんびんと共鳴し、互いを映し合い、互いに理解と友情を深め合っていく。本当に素晴らしいことだと思う。

双方の生命が出会うことで、互いに大きく響きあい、そこから掛け替えのないものが生まれるのだから。

学生たちだけではなく、“倭(やまと)の世界”に、とかく篭もりがちな私達一般人も、もっと他者…この場合は他国の人々…と出会って、お互いに映し合って、分かり合っていくほうがいい。

そう遠くない将来、多民族・多文化との共生が、日本と日本人が生き残る為の必須条件となるかもしれない。

そうなった時の為にも、私達は、いろいろな「他者」と出会って、掛け替えのない体験を沢山積んでいくしかないと思う。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/09 23:25:33

いつも読ませてもらっています。


「あしあと(Footprints)」として日本でも有名な詩ですね。
こちらに原文と訳の解説があります。
http://home.interlink.or.jp/~suno/yoshi/poetry/p_footprints.htm

投稿: jack | 2007/08/09 9:32:08

今日の茂木さんのプログを診て思ったことですが、アメリカ人の朝食って、母方に由来するのではないかと思ったのです。フランス人母方の人は、フレンチトースト、ベルギーでは、ワッフル、イギリスでは、シリアル、日本の味噌汁の味のように受け継がれるのではないか、私の想像ですがどうなんでしょう?


自慢ではないですが、私は外国語以外、すべて話せます(笑)。

投稿: tain&片上泰助 | 2007/08/09 8:37:25

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