« Janice Tay's article in the Straights Times | トップページ | ルオー »

2007/08/20

人生の神様

白洲信哉さんと、
日枝神社の本殿前で会った。

「子どもの頃赤坂に住んでいたのでね。
ここは、ボクの鎮守の森なんですよ」
と白洲さん。

撮影してくださったのは、
長年白洲正子さんとともに
紀行して写真を撮り続けて
きた野中昭夫さん。

「白洲さんと付き合ううちに野中さんは
すっかり酒呑みになってしまった」
と家庭画報の押鐘裕子さん。
ここでの「白洲さん」というのは
信哉のことである。

押鐘さんから、注文が飛ぶ。
「もっと背筋をのばしてください」
と白洲氏に。
そのあと野中さんから
「かたまらないでください」
と注文。

「背筋をのばすとかたまるのは
仕方がないことである」
と異議を唱える信哉氏。

押鐘さんがすかさず
「自称、白洲次郎よりもカッコいい
男なんですから、お願いしますよ」
と突っ込む。

これは聞き捨てならぬ。
あの「日本一カッコいい男」
白洲次郎よりもさらに
カッコいいというのか。


日枝神社で白洲信哉氏と。野中昭夫氏撮影
(This photo by Atsushi Sasaki)

Wakiyaに場所を移して
真相をただす。

「いやあね、あなたのおじいちゃんは
カッコいいですねと会う人が
みんな言うもんだから、イヤになって」
と信哉氏。

「そうだ、真実であるかどうかは
重要ではない。言い切ることが
大切なのだ。」
と援軍を出すと、野中氏が、
「やっぱりおじいちゃんの方がカッコいい」
とばっさり。

「しかし、両方を知る者にとっては、
やはり、時々似ていることが
ありますよ」
野中氏の感慨。

事実においてどうか
ということよりも、これからの
精進であろう。

白洲信哉よ、日本一カッコいい男に
なってバサラを貫徹しておくれ。

本題は「日本の神様」のことであった。
信哉氏が「家庭画報」に連載して
いたシリーズが本になるのである。

10月刊とのこと。
私も一文を寄せさせていただく予定でいる。

出会うか出会わないか。
言葉にできるものできないもの。
生命原理。
歴史の横糸と縦糸。

話し始めるともう
止まらない。


帰り際に、なぜかHeinrich Böll
のMein Onkel Fredという話を
思い出す。

第二次大戦が終わり、復員してきた
フレッドおじさんに家族は皆
期待するが、おじさんは
ソファに寝転がって何もしない。

ところが、ある日おじさんは花を
買ってきて家の気分が変わる。

それから、おじさんはおもむろに
事業を始めて、大成功するのである。

ソファに寝転がって何も
せずにごろごろしている時間。

その時のフレッドおじさんがゆかしく
思えたのは何故だろう。

誰だって、胸の中にはフレッドおじさんが
一人住んでいる。

信哉さんは、子どもの頃夏祭りにいって
ひよこを買い、家にもって帰ったら
飼えないから返して来いと言われた
そうである。

ソファに寝転がったり、
花を買ったり。
ひよこを求めたり。

そんなことの中に、人生の神様は
ひょっこりと顔を出す。

8月 20, 2007 at 07:44 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 人生の神様:

» 海と彼女と海人(うみんちゅ) 海人写真家・古谷千佳子 トラックバック 須磨寺ものがたり
美しい沖縄の海を舞台に、 海人(うみんちゅ)とよばれる男達の、 海での生活の姿をとり続ける、 一人の女性カメラマンに密着。 [続きを読む]

受信: 2007/08/20 11:02:58

» 快適な生活 トラックバック 毎日の発見が新鮮 身近に・・・・・・・・・
快適な生活毎日の発見が新鮮 身近にも築かなかった事がいっぱい なんでもないことが幸せかも少しの痛みでも気持ちはブルー健康が一番 [続きを読む]

受信: 2007/08/20 15:02:21

コメント

「フレッドおじさん」のお話で
去年の4月28日の日記を思い出しました。

目から一筋の涙が流し、
寝ころんで身動きしない人は
何もやっていないようにも思われるけれども、
脳髄の中で起こっている精神運動の嵐の中に、
全宇宙を包み込んでしまうような
波乱はあるに決まっている。

これを読んで、
「そうだ!そうだ!」と感動すると同時に
「さぼってる自分の言い訳にするなよ!」と
思っていました(笑)。

フレッドおじさん状態の時に、
「思い切りアクセルを踏め」と言われたら
きっと、壊れてしまいます。
掛け声をかけるタイミングは、
結構難しいものですね!

平田オリザさんがお話されていた「口べたな子」や、
プロフェッショナルの「馬なり調教」。
でも、そんな様子を見守っているほうは
「イラッ」としてしまう時もあるのでしょうね。。。(笑)

仕事術のバンダナ姿…見てしまいました。
次回は「暇でもなるべくならお料理したくないの」という
女子でも平日に思わずチャレンジしたくなるような
お料理特集が見たいです。うそです!!

投稿: | 2007/08/21 23:22:10

白洲信哉氏の、幼少時代の話で思い出したことがあります。

・・・・・・

あれはたしか、保育園に通う直前の頃だったか、当時住んでいた家の近くで、よくいろいろな夜店が出ていた。

そのなかにひよこを売っている夜店があった。
売られているひよこの中には、おそらく数羽ほど、ピンクに色づけされたものが混じっていた。

私はそれが欲しくて堪らなくなり、母親だったか父親か、記憶の程は定かではないが、とにかく、親の服の袖を引っ張って、

「ねぇ、あれ~、買ってよ~…」
と、ねだってみたのだが、
結局「駄目!」と断られた。

そんなような記憶が、脳の端っこあたりに残っている。

あの時、私がひよこを求めたのは、
きっと自分の胸中の「フレッドおじさん」の仕業なのかも。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/20 22:20:56

いま人生の道端でひとやすみしています。
紅茶をいれたり水撒きしたりする生活の中で、自分の中の大事なものは何か、という軸がはっきりしつつあるのを感じます。

神様の時間かなぁと思いました。

投稿: すくすく | 2007/08/20 20:11:05

もう、「此処しかない!」ってタイミングで
>>

ええいもう好きにしやがれ!
って、瞬間すべてを放擲(ほうてき)して寝っころがった。
もう煮るなり焼くなり、勝手にしやがれ!このすっとこどっこい。
・・。しばしの安息。・・! すると・・降ってきた何かが。
それはなんだかよくはわからない、というよりうまく言葉にできないけどストンと胆(ハラ)に落ちるような感覚である。釈然とした何かであるに違いない。なんだろう、この抜けたカンジ。

ともかく、こうして「旅籠」
http://nomgroove.cocolog-nifty.com
に戻って文をしたためている。四面楚歌。前門のへなちょこ、後門の腰抜け。いったいどのくらい時間を費やせば「天国への階段」は眼の前に拓くのか。
なぜ奴らは徹頭徹尾、内規を利用者に押し付けてくる?マニュアルどうりにしか応酬しないのだ?それでもバンカーか?それなら対面の店舗なんて必要ないだろ。すべての窓口業務を音声案内にしマシーンにやらせろ・・莫大な時間の浪費。エネルギーの無駄使い。えんとろぴいのぞうだい。

でも、いいことも「背中合わせで在る」のだな。
このかんじ・・忘れずに持っておきたい、この感覚。
天国。板いちまいしたは、地獄。
「やつし」の芸の道は、the Long and Winding Road なり。


投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/08/20 16:53:23

フレッドおじさんの買って来た花・・・なんでしょうね。

バラかな?イヤ・・・そんな華やかななんじゃないな~
きっと、マーガレットかガーベラみたいな一重の花だったのでは
ないかと想像します。

ヒトには、次へのジャンプをするときに、「しゃがむ」時期が必要ですよね。フレッドおじさんは、戦争できっと、くたくたになってしばらく、リセットする時間が必要だったんでしょう。
でも、周りの家族はやきもきしたでしょうね。

ふとしたモノやコト、ヒトが、大きな転機になることって
多いですね。
茂木博士の、「アハ体験」も、この一種でしょうか?
今朝、2回目読み返しました。

・・今日は、福岡に出張です。帰りに博多人形でも買って帰ろうかな?

白洲次郎のお孫さんですか???
きっとハンサムさんでしょうね。写真ではちと確認できませんが・・・
一度、茂木さんと千さんとTVにでていらした方?ですか???
本、読んでみます。

投稿: | 2007/08/20 15:28:46

「信じるという事ができない人からは、」ですね

投稿: | 2007/08/20 12:17:04

信じるという事ができない人は、
事実を話しても、第三者の妄想的事実に照らし合わせてウソだとか間違ってるとかそんなはずないとか、訳わからないこと言われたりしますよね。
なんでなのかなあ。

投稿: | 2007/08/20 12:15:53

私は、気分障害で、何もしなくても疲れている状態で、気分が悪くなる前にゴロゴロしないと、気分が悪くなり、酷くなれば、病院で点滴を打ってもらう事もあります。私の場合、あまり、外出が出来ないので、ネットが外出みたいなものです。


私の家で、子供の頃、祭りで、ひよこを買って、ニワトリまで育てた事があります。草を食べてくれるので、有難かったですが、白州さんがすんでいるような、日本庭園だったら、庭がぼろぼろになるでしょうね。


今、考え中の事業が、うまく行けば良いのですが、うまく行くかな?(笑)

投稿: | 2007/08/20 10:01:32

人生に無駄な経験などない とは日頃から考えます。
実用性、効率性を重んずるだけでは無味乾燥。

ひとの一番輝く個性は、他人から見て無為に過ごしているようなそんな時間に育まれるのかもしれません。

白洲信哉さんは、はにかみ気味の表情がなんとも魅力的なかたですね。
おじいさまは、自信たっぷりでゆったりとした佇まい(写真で拝見するかぎり)
白いTシャツ、ジーパン姿はジェームス・ディーンの比ではなく・・・などと書けば、信哉さんがまた反感をもたれるかしら。  

10月刊行予定のご本 楽しみにしています。

投稿: | 2007/08/20 8:22:43

朝、茂木さんの英語の日記をみていたら、
人生の神様 が入ってきました。
(25日のテレビ、楽しみにします。)

今日、入院中の母の手術の日です。
付き添いは私ひとりだけど、あの世にいる、
大好きだった、おじさんや、おばさん、
おばあちゃん、おじいちゃん、みんなで、
見守ってくれていると信じています。

投稿: | 2007/08/20 8:18:49

コメントを書く