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2007/07/23

穏やかな作用

新潮社の塩澤則浩さんから
メールをいただき、
Engineの鈴木正文編集長が
「スピードは脳が求めるんだ!」
と言っているから、
スーパーカーと一緒に
写真に収まって欲しいと
ご依頼いただいた。

日曜日の朝、
目黒近くのスタジオに出かけた。

現場に、とても不思議な恰好を
したヒトがいた。
半ズボンで、上はポロシャツに
ネクタイをして、
プラダのバッグを持っている。

まるでアニメに出てくる
キャラクターのような
方。
ちょっと、『千と千尋の神隠し』
の「かまじい」にも似ている。

服を選んでいる時や、
撮影中、
「うーん、ジャケットよりコートの
方がいいかなあ」
「車を愛している、っていう
感じで寄り掛かりましょうか」
「うん、学者らしくなってきた」
などとスルドイひと言を飛ばすので、
ボクはてっきりこのヒトは
アートディレクターとか
そういうヒトに違いない、
と思いこんだ。

撮影が終わり、では、机に
座ってお話を、
とおもむろに取りだした
名刺を拝見してびっくりした。

そのプラダのかまじいのヒトこそ、
他ならぬ鈴木正文編集長だった
のである。

Engineの前はNavi編集長を
つとめた伝説のヒト。

話しているうちに、どんどん
内容はハイブロウな方向に行き、
心脳問題とか、現象学とか、
メディア論などが飛び出す。
「あのう、これでいいんでしょうか」
と時々不安げにうかがうと、
「これでいいのです!」
と力強く断言する鈴木編集長であった。

リアリティが変容するような
不思議な体験をした気がして、
「いやあ、世の中にはいろいろな
ことがあるものだ」
という感慨を抱きながら、
等々力の村井正誠記念美術館へ。

隈研吾さん設計の美しい空間で、
隈さんと対談をする。

宝島社の田畑博文さんの
発案。

館長の村井伊津子さんのご厚意で、
場所を提供していただいた。

隈さんと、「負ける建築」とは
どういうことか、
人間の欲望のあり方を
どのように方向付けて
いくべきか、
生命の本質とは何か
などの点について、
ディープな話をゆったりとする。

対談を終えると、隈さんは
「いやあ」と手を挙げて
さっそうと帰っていった。
ナイト・フライトで
パリに向かうとのこと。

村井伊津子さんには、
とてもおいしいランチを
ご馳走になった。
絶品だった鶏レバーのパテ。

レシピをいただいた。
今度作ってみようと思う。
ありがとうございました。

庭にある二つのビオトープに
メダカが泳ぎ、
トンボが舞い、
自然の様子を見ていることが
実に穏やかな作用を心理に
もたらすことを
改めて実感した。

村井さんに、等々力渓谷まで
送っていただく。

「ゴルフ橋」というのは、
昔はゴルフ場があったから
なんですよ。

鬱蒼と茂った森の気配に、
過ぎ去りし時の不可視な
姿が、少し手元に
引き寄せられた気がした
日曜の夕刻。


対談を企画した宝島社の田畑博文さん


隈さんと。ビオトープの庭を眺めながら。

7月 23, 2007 at 08:04 午前 |

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自分がやらなきゃ、誰がやる。 今夕張で医療の再生に奔走する一人の医師がいる。 [続きを読む]

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» 等々力渓谷 トラックバック 等々力渓谷
等々力渓谷は、都内にある唯一の渓谷です。等々力渓谷で森林浴を楽しむための情報提供ブログです。 [続きを読む]

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» 小さなビオトープ トラックバック この地球を受け継ぐ者へ † Life log
睡蓮を浮かべた大きな水瓶に、メダカが泳いでいた。 この小さな水瓶は、メダカが生活できる小宇宙。 小さなビオトープの中で、小さな生態系が育まれている。 このメダカは、広い空間の水の中、 大きな川の流れの中というものを夢でみることがあるのだろうか。... [続きを読む]

受信: 2007/10/02 17:46:12

コメント

ついに来たか!
>>

鈴木正文編集長と・・どんな会話がなされ,TWIN SPARK
(by アルファ・ロメオ)したのか!興味は尽きませんが・・

先の東京遠征を「シアワセの黄色いHONDA beat」を道連れに
敢行したのは、「彼女」の里帰りをかねてのこと。15年近くも暮らした東京の街を「私と走りたがっている」と思ってさ。
で、当初の計画では「NAVI関連エンスー人脈」への「あいさつ回り」も視野にいれてたんだけど・・浅草で道草をくいすぎちゃったので
・・果たせず。

「スズキさん」や徳大寺巨匠に私のもとで達者にしてる「彼女」を
ひきあわせたかったな・・まあ早晩、いつかその日が来ると予感めいたものがあるのだけど。

鈴木編集長といえば「NAVI編集長」であった当時、ブリティッシュ・オープン・スポーツの名車「モーガン」を毎日の通勤の足として、
雨の日も風の日も・・雨が激しい時はドライバーズ・シートで傘を差し・・使い倒し「オープンエアモータリング」に代表される英国的精神の「在りか」をあたかも「まさぐる」ように!過ごされた>>

という「伝説」を残したヒト。
私は月刊誌 ENGINE の熱心な読者ではありませんが・・
数年前になるけど シアトル・マリナーズの大魔神となった佐々木主浩
や最早名匠と呼んでもよいパトリス・ルコントが名車とのツーショットで登場していた号が特に印象深い。

さてさて茂木先生がどんな「彼女」とともに表紙を飾るのか・・
もしや奥山清行さんのデザインした史上最も美しいと評された
「エンツォ・フェラーリ」だったりして♪・・とても楽しみなのデアル


投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/07/23 23:33:56

すこし、ミッシングリンクがつながりかけています。
ちょっと、生活にめげていて、現象学的に、本質直観でもやったるか~と思って、どうしてもぶち当たるのが、今まさにここに発生しているクオリアでして。
どうでもいい起立性低血圧、というか、立ちくらみの最中でさえ、世界が虚構の精密な模写のように見えてきますし、ましてやジンが体内を駆け巡ろうものなら、コギトなんてうそだろー!と思えます。


いったい私は、被写体なのやら、フィルムなのやら、スクリーンなのやら、観客なのやら。もしかして、現像液に過ぎないのかもしれませんが。それはそれで、なかなか傲岸不遜な妄想ですが。

投稿: 無碍 | 2007/07/23 23:23:10

こちらは今日、梅雨明けのニュース。
これから、夏らしい日が続きそうです。
お天気によって、予定が変わるし、
もしかしたら人生変わっていたかも。
「プロ流儀」でお聞きした、
隈研吾さんの「負ける建築」のお話、
また、詳しく知りたいです。

投稿: F | 2007/07/23 21:44:44

プラダを持った「かまじい」のようなアートディレクター、実はENGINE編集長の鈴木正文さんだったとは…。

何だか、まるでTVの「どっきり○○」のようですね。

実は一度、ENGINEを手にして読んだ記憶がある。まだ創刊して間もないころのもので、たしか…出井伸之さんと鈴木さんとの特別対談が載っていた。

御両人とも、本当に「ちょい粋」な感じの大人で、とても格好良かった。

村井正誠記念美術館で、隈研吾さんと対談されているお写真を拝見。

2つある庭のビオトープの水の中に沈む水草、そして周りの木々の緑の美しさ。

お二人のお顔が暗く写ってはいるが、とても穏やかで、くつろいだ表情をされているのがわかる。

コンクリートと鉄で出来た都会の一角に息づく小さな自然。
トンボが飛び交い、メダカが泳ぐ、多々なる生命の躍動する空間。

そこで二人の、自然の摂理をこよなく愛する人物が、

「負ける建築」とは、
人間の欲望のあり方の方向付け、
生命の本質とは、

…と深く語り合う。

緑の自然のもつ力は、如何せん天然の摂理から外れてしまいがちな、人間の心に穏やかな作用をもたらしていくものなんだな…。

そんなわけで隈さんと茂木さんの表情も、柔らかい、いいものになるのだなぁ。

投稿: 銀鏡反応=ヤマダミユキ | 2007/07/23 21:36:53

茂木さんは、一日で、スピードの時間、スローの時間を堪能したようですね。

「スピードとスロー時間」、スローに感じるのは、脳の処理スピードが速くなっていることで・・◇□△・・。いかんいかん、妄想モードに入りかけていた・・・。

私が以前書いた、「脳とスポーツカー」が実現してしまった、の、かなと思ったりします。

よっしゃ!!

「脳と釈迦」
「脳とキリスト」
「脳とムハンマド」
「脳と自然」
「脳とお金」
「脳とビール」
「脳と水着」

仕事、発注しときましたよ(笑)。

投稿: tain&片上泰助 | 2007/07/23 9:32:40

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