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2007/07/07

一瞬たりともとどまることのない

朝一番で「美」に関する
ミーティング。

2時間、集中して美の生物学的意味、
社会心理的構造、
そして実証への道筋を考えた。

「ぼくのなつやすみ」
シリーズをつくってきた
綾部和さんにお目にかかって
話す。

最新作は、プレイステーション3用の
『ぼくのなつやすみ3』
北国篇- 小さなボクの大草原。

綾部さんのふるさとである
北海道の羊蹄山付近が
モデルとなっている。

「ぼくのなつやすみ」は、夏休みに
親戚の家に預けられた少年が
昆虫採集をしたり、魚とりを
したりして次第に自分の世界を広げて
いくというストーリー。

昭和40年生まれの綾部さん。
あの頃の少年の夏休みの
なつかしさが美しく表現されて
いて、シリーズでミリオンを
超えるセールスを記録している。


綾部さんは、少年時代、どちらかと
言えば家にいて一人で絵を描いて
いたりしたので、
友だちと野外で思い切り遊ぶという
ような夏休みを経験している
わけではないのだという。

自分が経験したことの記憶を
ノスタルジーを持って描くという
のではなく、むしろ経験しなかった
ことの「欠落感」が創造の鍵に
なるということは、しばしば見られる
現象である。

宮崎駿さんも、自分の作品は理想的な
子ども時代を過ごせなかったことと
関係していると言われていた。
 
今まで、「ぼくのなつやすみ」
は日本の「典型的な夏」、
たとえば関東近辺の夏を描いている
という世界観だったが、
今回は北海道を舞台に選んだ。

植生や昆虫も日本の典型とは
違う。
しかし、「ぼくのなつやすみ」
は実は北海道の夏を惜しむ感覚が
背景になっているのだという。

「ぼくも、最初につくっている時に、
これほど切ない感じになるとは
思わなかったのです。北海道の
夏は、休みの終わりが近づくと
もう秋の気配で、そのはかなさが
シリーズのトーンを決めたのかも
しれません。」
と綾部さん。

いい話を聞いた想いがした。

綾部和さんと。

ゼミ。
野澤真一が、大脳基底核、視床、
皮質のループについて、サーベイを
した結果を報告し、「こんな研究を
したい」と「青年の主張」をする。

野澤クンの目指している方向は
正しいと思います。
しかし、いろいろな困難があると
思うので、そこは一つぜひ
がんばってくださいね。
応援するゾ。

関根崇泰がついに論文を書き始めた
らしい。

修士一年の戸嶋真弓さんは、
実は大学で英語を教えているという
レッキとした大学の先生である
という不思議な人で、
茂木研究室の英語戦略の重責を
担っている。

「英語ゼミ」で実に高度な
話をしているのを、「横耳」で聞いていた。

朝日カルチャーセンター。

Natureに掲載された
パーソナリティーの進化に関する論文。
Life history theoryにおいて、
将来のresourceに対する期待が
変化するに従って、
hawk and dove gameや
predator gameにおける
risk taking behaviourが
変わってくるというもの。

市川猿之助が狐忠信、板東玉三郎が
静御前を演じた『義経千本桜』
を見る。
1992年の収録。

私が心から愛する猿之助の「四の切」。

忠信になって、一生懸命に語ったり、
舞ったり、回ったりしているのを
見ていて、
過ぎし日が偲ばれ、
一瞬たりともとどまることの
ない時というものを思った。

グーグル・ブック・サーチの
プロダクト・マネッジメント・
ディレクターのアダム・スミス
氏にお目にかかる。

アメリカで先行している
本の一部を検索表示するサービスは、
今まで知られず、売れなかった本が
「動く」きっかけになっていると
言う。

深き胎動を感じる。

山に登れば、遠く
広く見渡すことができる。

グーグルは文明における造山運動
である。

ちょっと忙しすぎた。
ヘトヘトになった。

眠って起きたら
なおった。

木々は相変わらず葉をさざめかせている。

7月 7, 2007 at 09:27 午前 |

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@「信ずる」とは、よく宗教でのドグマ的信仰姿勢にあるような、「教条的にその教義しか信じず、他者の良さを知らずにいる」という意味でなく、「その人と向き合ったときに、仮令あとで騙された、としても、そのときは相手を全力で信じる」という意味が「信ずる」の本来的な意味合いだという説がある。 @信じても間違いがないものがもしあれば、一生信じ抜いてもかまわないのだが、世の中は複雑でしかも真偽があいまいなものが多数流布している。@そんな複雑な世の中でも、人は、自分が「信じたいもの」を必死に選び、それに向かって... [続きを読む]

受信: 2007/07/07 18:13:49

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受信: 2007/07/08 2:08:10

» 茂木先生、私もMです。 トラックバック hello-jasmine
いま書こうとしてわかったんだけど、今日って777だ。 素敵な字並びや特別な日に(例えば誕生日とか)特別素敵な事が起こるとは限らない。 今日はそんな日です。 なーんか体がだるくて目も覚めないけど朝イチでみなとみらいへ。 茂木健一郎さんの講義。と...... [続きを読む]

受信: 2007/07/08 3:49:40

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受信: 2007/07/08 3:51:35

» 「欠落感」が創造の鍵になる。 トラックバック Drummer's Direction
携帯電話にメモってた「昨日」の話。 眠っているのか、いないのか、半分読書している [続きを読む]

受信: 2007/07/09 23:29:49

» Dragon quest トラックバック この地球を受け継ぐ者へ † Life log
普通、人は自分のマイナスの部分を大きく見る傾向があって、 それをどうにかしようと思い悩むことが多い。 マイナスのものを改善し、ゼロ、またはプラスに転じるのは、 相当な労力が必要で、効率が悪い。 さらに、他に持っているプラスのものを潰してしまうことが多い... [続きを読む]

受信: 2007/07/11 22:37:15

» 花火 はなび hanabi トラックバック この地球を受け継ぐ者へ † Life log
夜23時。外の気温は手元のアルコール温度計(精度はいかに?)で32度・・・・ 打ち上げ花火、最後に。 クリックすると大きく炸裂します。                        ... [続きを読む]

受信: 2007/08/11 0:12:39

コメント

朝日カルチャー、当日の授業の内容がわかり、ありがたく存じます。当日、仕事の用事で途中退席しなければならず、大変残念でした。また、失礼しました。次回の授業も楽しみにしています。

投稿: ウエタ | 2007/07/12 1:03:17

経済学において時間選好率という概念があるようですが、これも「タカ派戦略、ハト派戦略」と同じことを言っているのかも知れませんね。
「将来に対する期待感がゼロ」という人間は「既に死んでいる」人間か、または「イッチャッタ」人間ということになるのでしょうね。

投稿: naritoku | 2007/07/10 16:09:32

PS3 have good choice.

三四郎池で量子化学を勉強したかったんですが
いつの間にか、小学生を鬼ごっこをしました。

頭のいい小学生は
ゲームでぼくの夏休みをやりつつ
東大生と三四郎池でおにごっこをするみたいです。

しかも、ある子は
なにもわからないのに
僕のもっている多変数関数の微分積分の本をずっと
よんでました。

functionってのはね
自動販売機にお金を入れると缶ジュースに代わるでしょ?
関数ってのは自動販売機っていうんだよ?
って教えてあげましたw

わかってくれたかな?
塾にいって受験勉強をすることより
三四郎池で鬼ごっこした方が勉強になるって面白いですねw

Dr.Mogi
Can you do this???????
i can do it!

i dont wanna be crazy!
毎日、ユリイカ!って言ってます。
       Good Luck!

投稿: NAMONA.KI.MONO | 2007/07/09 4:10:43

猿之助さんの四の切
私も、舞台で何度も見ました。 
もうご本人のナマ身は見ることができないのでしょうか?
 
甥の亀冶朗がそっくりに受け継ぎ、
海老蔵が猿之助の指導の下先日四の切を演じ、
若々しさとエネルギーに満ちてはいました。
でも、猿之助という人全体からあふれ出るものは、その演技だけ
にあらず。 
従って、一時も止まらない時間の流れを、逆流させてでも、
もう一度見たいと思う。

世の中に元気を配り歩く天才達よ、一秒も止まれないエネルギーと
才能を長くながく、この世にナマ身で留めさせてください。

茂木さんもね。 一つよろしく。

投稿: sakuranomori | 2007/07/08 22:00:08

邂逅 >> アヴァロンの女神のダンス3

SCENE 2/ACT 1
>>風のモバイラー 大江戸捜査網始末帖控FILE8810
三十石夢の浮橋 編

私 まあ あらためて言うまでもありませんが・・
落語的世界の住人でありたいと こころからねがうもの
・・じぶんでは芸人の はしくれ だと
だから 芸事には 人一倍関心が あるんで・・

生涯の見果てぬ夢 として 天満天神繁昌亭の高座で
噺ができれば まあ 三十石などの大ネタのサワリだけでも
やれたらなと

でこないだ 浅草 雷門で昼間 客待ちしていた 人力車に
のっけてもらい 浅草仲見世から浅草寺周辺 正面向かって
左側 演芸場のあたりまでを案内してもらい いたく感激しました

案内してくれた車夫の御兄さんの芸人さんのエピソードをからめた
口上に あいのて をいれながら いつかは 此処に 写真を掲げ
られるような 一人前の噺家に!・・なんてウットリしたり

で 落語の噺に係わる古典芸能ならなんでも触手をのばすわけで


つい先日 ふつかつづけて 江戸芸「かっぽれ」にからんで
「おしょっさん」おふたかたにお目にかかる

>>つづく


 


投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/07/08 8:35:30

グーグルについて、毎度ばかばかしい同じようなことを述べます。

今までの本でも世に出た理由は、中身以外にも種々ある。
これにグーグルの本文検索で何が付け加わるのか?
今まで以外のパターンは付け加えるでしょう。でも、その程度の新しさなら文明の革新ではない。

強力で十分な技術と金を持つグーグルには、目先の「売れる」ものだけを追わないどっしりとした戦略を期待したい。

科学者でも、技術だけはあるが、policyとやりたいことがない人からは、うつろな印象を受けることがある。

投稿: fructose | 2007/07/08 1:23:04

茂木先生、お疲れ様です。

今夜は晴れていますね。雲が少し多くて天の川は見えませんが・・。

猿之助さんの四つ切、すばらしい身体性でした! 訓練の賜物ですね。
ありがとうございました。良いものを観せて頂いて。

高貴な方のお話も頷けるものがありました。最近そのような方と
繋がっている感じがあります。

どうかお体の方ご自愛くださいね。

投稿: tachimoto | 2007/07/08 0:40:13

2度目の投稿お許し下さい。

グーグルが起こした文明の造山活動。いまに大きく盛り上がって大山脈になったとき、私達の文明は如何進歩しているのだろうか。

そしてそのとき、日本の社会はどうなっているのか?

真に世界に開かれた、希望あふれる明るい社会になって欲しいと、本当は強く願っている。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/07/08 0:37:16

北海道の夏は、本当に涼しくて休みの終わりどころか
毎日、夕暮れの時刻が近づくと秋の気配が漂っていました。
車道の横には、そよそよと風に揺れるコスモスも咲いていて…。

祖父母の家の水道の水も、裏庭のポンプから出る水も
いつも驚くほど冷たくて顔を洗うのも大変!
真夏の夜、庭に親戚一同が集まってジンギスカンを食べたときも
ジュージュー肉を焼いていたのに暑かったという記憶がありません。
ほとんど湿気の感じられない、さわやかで清潔な夏。
見わたすかぎり平らで、山のない十勝平野。

「北海道に行った」と言うと、「北海道のどこにいったの?」
「何を見てきたの?」とよく聞かれましたが
いつも祖父母の家とその周辺にある親戚の家にしかいなかったので
「観光」といえば摩周湖を見に行ったことがある程度。。。(笑)
(霧に覆われていて、湖面は見えませんでした!)

摩周湖は、水温も低く微生物がほとんどいないため
湖底に沈んだ木も腐らずにそのままの姿を留めているそうですね。
戦前に食料増産のために放流した魚も増えなくて…。
生き物を遠ざけているかのような冷たさや純粋さを湛える湖水、
まるでベルナデッタのように命を失ったあとも腐敗することなく
湖底に眠る木々に神々しさを感じてしまうのは、
なぜなのでしょう?
こんな自然とともに生きてきたアイヌの神さまはどんな
神さまなのでしょう?
環境破壊が進むと摩周湖に降る雨も変化して水質も水温も
変わってしまうのでしょうか?
世界に誇ることのできる素晴らしい透明度がつくる摩周ブルー。
その神々しい青い姿がいつまでも続いてほしいです。

投稿: まり | 2007/07/07 20:59:58

「ぼくのなつやすみ」のCMを何回か視たことがあるが、単に少年時代の経験からくるノスタルジーからあのゲームは生まれたものだと思っていた。

しかし、作者である綾部さんが、少年時代、夏休みに友達と一緒に外で虫取りとかしていたわけではなく、むしろ、家にいて一人で絵を描いているほうが多かったとは・・・。

うーん・・・。あのゲームは綾部さんが少年の頃、経験していたわけではなかった「夏休みの思い出」を、創造力&想像力を思い切り働かせて、ゲームとして生み出されたものだったというわけか・・・。その創造力の鍵になったのが、みんなといっしょに野外で過ごす典型的な「夏休み」の「欠落感」にあったとは・・・。

過ぎにし少年の日に、経験できなかったことを、大人になってから己の創造力をフルに使って、ゲームの形ですばらしい「夏休みの思い出」を作り上げる。そしてそれが多くの人の心を揺さぶり、大ヒットにつながっていったのか。

宮崎駿さんも、「千と千尋の神隠し」や「トトロ」など、毎回すばらしい作品を生み出しておられるが、あの幾多の名作も、理想的な少年時代を過ごせなかったことが「創作の鍵」あるいは「源」になっていたのだ。

そういえば私事だが、自分も他のみんなが過ごしていたような夏休みは、ついぞ過ごしてこなかった気がする。(宿題はなんとかこなしてはいたが・・・)
(夏休みの過ごし方なんて、人それぞれでいいのだものね・・・)

過ぎ行く時間は一瞬たりともとどまってはいない。そのような時間の流れの中で、過ぎにし日を時折惜しむことはあるけれども、常に前へ、未来へ向かって歩み続けていくしかないのが人間を含めた生き物の性(さが)なのだ。

猿之助の狐忠信、型の決まった演技の中にも、秘められた「狂気」がほとばしっているのが、昨夜の朝カルの講座での映写を視て、改めて感じられた。

ある種の「狂気」と「欠落感」はきっと、自分の中に眠れる創造力を目覚めさせる鍵となるのだ・・・ということを、私が今日の日記と昨夜の朝カルの聴講で深く知覚したことだ。
追伸:ところでささやかながら、挑戦していることがあります。それは英文の訳を試みることです。まずは茂木先生の「可能無限への頌詩」を何としても日本語に翻訳しようと、辞書と首っ引きになっているところです。先生の深い哲理を秘めたあの英詩を、語学力がないのに翻訳なんて、生意気で本当に申し訳ないと思っています。しかし、英文の力をつけることと同時に、自らに負荷をかけて、まだ眠っている自分の可能性を開いていくために、自ら決めて始めたことなので、がんばってみたいと思います。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/07/07 16:46:54

欠けている、と思うから、
かけらを探しにゆく、どこまでも、
もし、なにもかも満たされていたなら、
「ぼくのなつやすみ」は生まれなかったんですね、
良いお話、聞けました。

投稿: F | 2007/07/07 16:22:50

「ぼくのなつやすみ」は、
北海道以外の人は、北海道を楽しめるし、北海道の大人は、昔を楽しみ、北海道の子供は、現在と違う、夏休みを楽しめることになる。

>野澤真一が、大脳基底核、視床、
皮質のループについて、サーベイを
した結果を報告し、「こんな研究を
したい」と「青年の主張」をする。

(寝ている時の)夢と関係しているような気がする。


>パーソナリティーの進化に関する論文。
Life history theoryにおいて、
将来のresourceに対する期待が
変化するに従って、
hawk and dove gameや
predator gameにおける
risk taking behaviourが
変わってくるというもの。


企業経営者の企業買収心理と言ったところでしょうか。


>アメリカで先行している
本の一部を検索表示するサービスは、
今まで知られず、売れなかった本が
「動く」きっかけになっていると
言う。


借りられない図書館の横に、書店がある感じ。


すると、「ぼくのずるやすみ」は、皆勤賞をとった人しか売れない事になる(笑)。

投稿: tain | 2007/07/07 15:59:16

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