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2007/07/21

電車が来るまで

金曜日。

空港から家に直行し、
荷物を置き、シャワーを
浴びて、仕事にでかける。

文芸春秋の大川繁樹さんに
お目にかかる。

大川さんは、文學界の編集部に
14年いらした。
ここ数年は編集長として
辣腕を振るい、
私も「脳の中の文学」
(単行本『クオリア降臨』)
の連載の際にとてもお世話になった。

今年の春、長年いらした
文學界編集部を後にして、
書籍の方に移られた。

この度、
松岡正剛さんと私の対談本を
ご担当下さることになり、
本当にありがたく思っている。

大川さんとは、「持調子」
が合うとでも言うのか、
仕事を抜きにしてもいろいろ
意気投合することがある。

大川さんはクラッシック音楽に
造詣が深く、ボクは演奏会場から
足が遠ざかっているので、
いろいろ教えていただいた。

日本のオーケストラは、
随分レベルが上がっているのだと言う。

ワグネリアンでありながら、
ボクが一度も行くことができない
でいるバイロイト音楽祭。

大川さんは、二十年くらい前に
出かけてシノーポリ指揮で
『パルジファル』を聴いた。

チケットを持っていなくて、
Ich suhe Karteとプラカードを
持っていたら、
合唱団にいた日本人の女の人が、
かわいそうに思ったのか、
チケットをくれたのだという。

それが現在の奥さんならば
話ができすぎているけれども、
残念ながらそうではなかった。

大川さんは、ホテルも予約して
いなくて、音楽祭の時期のバイロイトが
予約なしでホテルがあるはずもなく、
駅で、シュトゥットガルト行きの
電車が来るまで6時間待っていた
のだという。

「いやあ、今思い出すと良い想い出ですよ」
と大川さん。

そんなことを言う大川さんが、ボクは好きだ。

7月 21, 2007 at 03:37 午後 |

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受信: 2007/07/21 23:00:45

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茂木健一郎さんの「クオリア日記」http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/を見たら、「河合隼雄先生のこと」ということで、気になって、本を見返してみました。 「ゲド戦記」のプロモーションのための「ゲドを読む」という糸井重里さんがプロデュースしたフリーペーパーに河合隼雄さんの記述が掲載されています。 この本を読んでいるときに、すごいソフトな人なんだろうな・・・なんて、思っていたのですが、残念ながら、亡くなってしまったのですね。また改めて、この河合隼雄さ...... [続きを読む]

受信: 2007/07/21 23:37:56

コメント

気の合うお方がいらっしゃるのって、とてもいいことですよね。

「クオリア降臨」を担当された文藝春秋の大川さん、

20年前、バイロイトで「私にチケットを分けてください!」と独逸語で書いたプラカードを掲げていたら、合唱団にいた優しい大和撫子がチケットをくれた、というエピソード。(まさにこれこそ幸運、セレンディピティじゃないですか!)

ホテルも全然予約してなくて、駅でシュトゥットガルト行きの電車を6時間も待っていたというお話。う~ん…こりゃまた凄い。

筋金入りのワグネリアンであられる茂木博士ですら、一度も赴かれたことがないと仰る、バイロイトの音楽祭。

ましてや、外国はおろか、国内のクラッシックすらよくわからない、まったくの「ずぶの素人」である私達には、尚更遠い存在。

そんななか大川さんは、執念でバイロイトのチケットを手にして、ジュゼッペ・シノーポリ指揮の『パルジファル』を聴きに行かれたというのだ…。

その大川さんが言われるには「日本のオーケストラは随分レヴェルがあがっている」とのこと…。

国内の演奏会にすら足を運ぶ勇気のなかなか出ない私達(私事ですが個人的にはここ数年、何処のオケの演奏会にも行っていないという、何ともはや、悲惨な状態!…とほほ)。

ともあれ、何はなくとも生クラッシックに、今一度、触れて、聴き惚れて、そして深く味わってみたい。仮令一生、外国の演奏会に行けなくとも…。

そして…!何時の日か茂木博士のもとにも、バイロイトへ赴かれるチャンスが必ずやってくるに違いない!

それまで、博士もお元気で、御自愛なされますよう…。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/07/22 6:21:55

クラッシック好きの茂木さんの様な人から見ると
コンサートに一度も行ったことが無い自分の様な人は
どう見えるのだろうかと考えた

??????????
と考えて自分も都合がついたら切符でも買おうと思った
コンサートに行かない自分を正当化してもしょうがないかと思ったから

投稿: climb decoy | 2007/07/21 23:25:13

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