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2007/07/29

ボクがもし地球だったら

箱根における、NHK社会情報番組部
『プロフェッショナル 仕事の流儀』チームの
合宿。

昔から、映画などでは小津安二郎監督の
撮影チームを「小津組」などと言ったり
するわけであるが、
私たちはいわば「有吉組」。
しかし、

「歓迎 有吉組ご一行様」

などとホテルの至るところに
書かれていると、映画などの映像方面では
ない「別の方面」のヒトタチだと
思ってしまう向きもあるかも
しれない。

遅れて到着した時の光景。
河瀬さん、有吉さん、赤上さんが
宴席で声を張り上げて歌っている。
NHKの近くの楽器店で買ったという
一万二千円のギター。

ギター一つでこんなに楽しめるなんて!
「数字を持つ男」河瀬デスクも、
本領発揮である。


伝統正しき宴席ソング。
左から赤上亮ディレクター、有吉伸人チーフプロデューサー、河瀬大作デスク。

すみきちブログ(July 28, 2007)にあるように、 
住吉美紀さんはパワー全開で、
鯛が威勢良くピチピチピチ! と跳ねる
ように、別の生きモノのようであった。

その気合いの入り方は、皆でカラオケを
歌っている時のこのスナップの「眼力」
に明らかであろう。


住吉美紀さんの眼力(拡大部分)

 明けた朝、温泉から出て戻る道すがら、
前夜に有吉伸人さんと熱く語り合った
ことを思い出した。

 それで、自分たちのやろうとしている
ことの意味がふと降りてきた。

 今まで、テレビではできないと
言われてきたことを目指すこと。

 数字だけではない。
 新しい文法、精神の感触、
つまりはフロンティアを開拓すること。

 ああ、それは、勇気と希望を
与えるヴィジョンである。

 すみきちの眼力を「守護神」として、
これからも有吉組は奮闘しますゾ。

 都内に移動。

 東京大学理学部物理学科は
私のふるさと。
 建物の近くを歩いていると
昔の匂いがする。
 懐かしい。

 小柴昌俊先生のノーベル賞受賞を記念して
作られた小柴ホールにて、
 Lisa Randallさんの講演会。


小柴ホールで講演するLisa Randallさん

 Lisaさんは、女性として初めてハーバード大学
の理論物理学の教授になった人で、
 専門は超ひも理論、超膜理論。

 この宇宙には、「4次元」時空以外に
もう1次元の余剰次元が存在し、
 その中での超膜理論のダイナミクスから、
重力などの力が生じ、
 重力が自然界の他の力に比べて
弱いという「階層性問題」などが
解決できるという理論的仕事で
有名になった。

 その著書Warped Passagesは、
全米でベストセラーになり、
 翻訳書『ワープする宇宙』がNHK出版から
発売中である。
 今日の讀賣新聞には、私が書いた
『ワープする宇宙』の書評が掲載されている。

 LisaさんのLectureの後に、
私との対談があった。

 とても率直で、気さくな方で、
対話を心から楽しんだ。

 印象的だったのは、
「理論物理学者になるには何が
必要か」と聞いたのに対して、
 「dedication」(献身)だと思う
とLisaさんが答えたこと。

 「どれくらい献身的だったのですか?」
と聞くと、
 「一番集中していた時の私には、誰も
会いたいとは思わなかったでしょう」
との答えが返ってきた。

 当日の模様は、8月25日(予定)
のNHKBS『未来への伝言』
で放送される予定。

 最後は、みんなで
スタンディング・オベーションして
Lisaさんに感謝。

 科学することの最高のエキサイトメントと
インスピレーションに満ちた時間だった。

 NHKの堅達さんを始めとする関係者、
『ワープする宇宙』を監訳された
東大の向山信治先生と、学生さんたち、
私の研究室から、石川哲朗、柳川透、
箆伊智充、それに電通の佐々木厚さんが
Lisa Randallさんを囲む。

 黒澤明監督ゆかりのしゃぶしゃぶのお店、
「黒澤」。


Lisa Randallさんと。永田町の「黒澤」にて。

 学生たちがLisaさんといろいろ議論している
のを見ながら、
「ああ、長い一週間だったなあ」
と呆然と振り返る。

 ボクがもし地球だったら、
くるくるくるくると回り続けても、
 太陽さえしっかり見据えていれば、
きっと疲れないはずだ。
 
 ボクの太陽は、生命哲学のど真ん中に
きっとある。

7月 29, 2007 at 09:02 午前 |

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@命の循環&弱肉強食。それらは、実はワンセット。 @ある日、とある雑居ビルの下に生えている草むらに、黄色いアシナガバチが透き通った膜で出来た翅を細かげにふるわせ、虚空を飛び回ったかと思いきや、雑草の一本に止まった。(アシナガバチに限らず、飛んでいる蜂は皆働き蜂(雌)である。 @彼女が止まっているところをよくよく、眼を凝らしてみると、嗚呼、なんと!彼女は獲物を捕らえていたではないか。弱肉強食・・・。 @彼女は、獲物をあたまからガリガリ、バリバリという感じでかぶりついていたのだ。気持ち悪くなる以前に、そ... [続きを読む]

受信: 2007/07/29 10:12:35

» ワープする宇宙~5次元時空の謎を解く~ トラックバック 相聞花伝ブログ
この6月に、以前に(お正月のBS番組から:2007-01-13)このブログでも御紹介した理論物理学者、リサ・ランドールの書いた話題の著書Warped Passages(ワープする宇宙)の邦訳が出ました。(この本は、昨年の全米の自然科学部門でベストセラーになっています。) 一般向けに数式はいっさい使わないで書かれていますが、英米の大学では最前線の物理のテキストとしても使われているそうです。私は丸善で購入して、これから読んでみますが、また感想など書きたいと思っています。女性らしい語り口で、読みやすい物語... [続きを読む]

受信: 2007/07/29 16:54:48

» 茂木さんに降りてきたヴィジョンを、また借りならぬまた降りする トラックバック PASSION HACK 情熱でマーケティングに差をつけろ!
脳科学者、茂木健一郎さんのブログで、この一文に出会った。それで、自分たちのやろうとしている ことの意味がふと降りてきた。 今まで、テレビではできないと 言われてきたことを目指すこと。 数字だけではない。 新しい文法、精神の感触、 つまりはフロンティアを開拓..... [続きを読む]

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私たちが住んでいる地球は、太陽系の惑星の中で唯一(ゆいいつ)生命が存在する惑星です。 [続きを読む]

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 拙ブログ「物理学界がいま最も注目する5次元宇宙理論」にて紹介(ただの言及?)し [続きを読む]

受信: 2007/08/21 0:50:57

コメント

「量子マシーン宝くじ抽選機箱(以下抽選機箱)」で、面白い点を見つけた。

抽選機箱が、宝くじが販売されて、箱を閉じるとする。
箱の中に居る人は、抽選機が番号を決めたとき、誰が当たりか、箱の中では量子的収縮をする、これはわかる。
すると、箱の中から見ても箱の外も量子的収縮をするのかが問題である。ここが私自身よくわからないし、面白い点である。


これは、2重のシュレーディンガーの箱が考えられる。猫の入った箱の外にもう一つ箱があり、そこに人が入っている。その人が猫の入った箱を空けると、猫は生きているか死んでいるか量子的収縮する。しかし、二重の箱の外にいる人は、猫の量子的収縮を知らない。一方、箱の中にいる人は、外の人たちが、猫の認知的量子的収縮がどう行われるか知っている。

何か、私自身、量子力学の罠にはまった感じがしますが、罠をはずして、罠の勉強します(笑)。

投稿: tain&片上泰助 | 2007/07/31 5:14:44

茂木さんへ おねがい
「未来への伝言」放送日、はっきり決まったら、
クオリア日記で教えて頂ければ助かります。

  歌ったり踊ったりするとき、
  人間には、神さまが降りて来る。
  自分が自分でなくなり、
  ただ、祈りだけが、そこに。。。

ほわああ、今日も、やっぱり暑かったあ。。
帰宅してから、頭上にアイスノン乗せてました。

投稿: F | 2007/07/29 18:32:10

土曜日は“有吉組”の合宿、Lisa Randallさんとの講演会における対談と、文字通りハードに飛び回られた茂木博士。

宴会ソング熱唱のお写真を拝見。…皆様、いい感じ出しておられるなぁ(笑)。それになんとなく、懐かしいムードも…。

カラオケのなかった時代、宴会ソングと言えば、もっぱらお写真のように歌本とギターかなんかを持って、宴席でそのギターをかき鳴らしつつ、みんなで声を張り上げて歌うものだったような気がする。

すみきちさんの眼力ですか…ムムム!…暗いお写真(失礼!)でよくわかりにくいが、目の奥から光とともに気合いが放射されておられます!

新世紀TVのフロンティアたらんとする有吉組の意気に、ただ感服するのみ。
これからも頑張って欲しいと思わずには、いられない。

書評を読ませていただいた。

「余剰次元」…前後・左右、上下の空間三次元、時間の一次元(四次元)以外に、この宇宙に隠れている「五番目の次元」…を率直に追究されるRandallさんには、物事の真理とは何かを真摯に見極めようとされる、科学者としてのあるべき姿勢が脈打っていると感じた。Randallさんはこれを『ワープした余剰次元』と説明している。

何故第5の次元は隠れているのだろう?
そしてそれは何故、ワープしているのだろう?

四つの次元以外にもあった、隠された次元があるという事を知るだけでも、知の世界は広がっていく。

「科学は好奇心をエネルギーにして発展する。
最先端の興奮を知り、内面を磨く。最先端の理論を分かりやすく説明した本書を読み進める時、その人の目は思わず輝いていることだろう。」
(書評より)
好奇心をエナジーとして、未知の分野に飛びこみ、そこを開拓し、新しいものをみつけだす。

有吉組の皆様も、Randallさんも、そして無論茂木さんも…!

国籍と立場、研究分野は各々違えども、常に眼前に“太陽”を見据えて生きるフロンティアな人=開拓者なのに相違ない。

8月のNHKでの放送を楽しみにしています。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/07/29 15:05:06

「量子マシーン宝くじ抽選機箱」が、あるとして、宝くじ販売前に扉を閉めて、抽選日に開けると、宝くじの当選番号が表示されるとする。

宝くじ箱の開けると、外の世界で量子的収縮が起こり、宝くじ当選者が、新しい世界へワープすると、考えられないだろうか? う~ん、まだ、思考中です(笑)。

住吉さんの写真の目、ドル紙幣のピラミッドの目のように、こちらの世界を覗いているような感じがします。ただ、ドル紙幣は、「政府がちゃんと見ています。」って感じだが、住吉さんは、べろんべろんに酔って、「みんなぁ~、こっちにこ~い、こっちの頭は楽しいぞ、あぞびにおいでぇ~」って、見えます(笑)。

投稿: tain&片上泰助 | 2007/07/29 14:06:55

別の方面のひとより、結束力硬くて、ひとりひとり強いと思います。
だって、プロフェッショナルですから!!!

全国各地のセミの鳴き声聴きくらべ出来るくらい 飛び回ってお忙しそうですね。

どこのセミがうるさかったか、よろしければお聞かせて下さい。(笑)


投稿: おおはたみやお | 2007/07/29 12:55:12

どうも、昨日のRandallさんの講演会にお邪魔した者です。

lattice理論、現象論、超ひも理論等、
とかく自分の分野に閉じこもってタコツボ化しやすい今の素粒子理論の世界において、
分野にとらわれずに自分が本当に面白いと感じていることに、徹底して「献身」する。

そんなRandallさんの「自然」を見据えたまっすぐな姿勢が、
飾らないストレートな語り口にも現れているような気がして、
とても清々しいというか、爽やかな気分になりました。

本当に参加できてよかった。ありがとうございました!

P.S.
あのあと、茂木研の学生さんたちは
Randallさんと食事をしながら議論してたんだ!
なんと贅沢な!うらやましい^^)

あと、ラストでの茂木さん発案の
スタンディング・オベーションは最後を締めるのにふさわしかったです。
素敵でした^^)

投稿: zitterbewegung | 2007/07/29 11:46:45

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