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2007/06/07

その人の「音楽」

ぼうっと座っていたら、途中の
駅で勢いのある人がとなりに来た。

腰掛けながら「あれ、茂木さん」
という。
ボクはびっくりして顔を
上げると、保坂和志さんだった。

「偶然ですねえ」
「セレンディピティです。今朝、ちょうど
保坂さんと小島信夫さんの対談を
携帯音楽プレーヤーに入れて
聴こうと思っていたところだったんです。
どちらに行かれるのですか?」

それにしても、何という奇遇
であろう。
沢山列車がある中で、
数多の座席がある中で、
たまたま保坂さんが隣りに座ったのだ。
ボクがその線に乗ることなど、
滅多にないというのに。

降りる駅まで、話がはずんだ。

ボクは、最近、その人の「音楽」
のようなものに関心がある。

保坂さんの音楽を聴いた。

ぎゅんぎゅんとバネが利いた
組み合わせ棒がうなりながら
回るような、
そんな力動的な音楽だった。

「次の長編小説は?」
「今年の末くらいまでに書き始められれば
と思っているのです。」

降りる駅が来た。
ばね棒をぴゅんぴゅん当て合う
ラリーをしていたような、
そんな気持がした。

保坂さんの音楽が少し残っている
ような心持ちのまま、ボクはこれからの
ことを考え始めた。

6月 7, 2007 at 07:44 午前 |

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コメント

これはなんとはなしに思うことなのだが…。

茂木さんの大樹のような、それでいてやわらかな気配を漂わせている姿は、古代世界の吟遊詩人を思わせる。

それも、両手にハープを抱えている、歌う詩人を。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/06/09 0:38:30

こんな時間ですが・・。

昨日のことですが、指揮者の大友直人さんが麻布十番を外人女性(多分演奏家)と歩いてるのを見掛けました。前日、新聞に写真入りの記事が載っていたので、あっ、あの人だ! と思って・・。

音楽家の方って、背筋が真っ直ぐしていて、それでいて、ふんわりしていて、不思議なオーラがあるのですよね。

それで、先日コンサートを終えた後の、茂木先生の上野公園での姿は何だか音楽家のようだなぁ~と思ったので、そうそう指揮者のような感じで・・・。

一昨日は、宮本亜門さんを見かけました。表参道で。
もちろん、私は無名なので、ただ見ただけです。でも家具屋さんに入ったら、「宮本亜門さん、さっきここに来ましたよ」て言われました。
全然離れた場所だったのですけど・・。

2年半前に、私はジャーナリストになりたいな~と思っていたら、
櫻井よしこさんと、八重洲で遭遇し、挨拶をしました。
その後、大宅映子さんを見かけたり・・。
あれは本当に不思議でした・・。

投稿: tachimoto | 2007/06/08 1:45:41

素敵な偶然、セレンディピティ!

保坂さんと遭遇されて、茂木さんの驚き喜ばれる様と、お二人の心弾む会話のさまが浮かぶようです。


このエントリーにいう「音楽」とは、その人のもつ生命の躍動であり、会話やシグサ、立ち居振る舞いの中にそれが現われてくるのに相違ない。

人によって力強いもの、しなやかなもの、ガチガチのもの、ヒステリックで“不協和音”に満ちたもの、さらさらと小川の流れるように心地よいもの…。

その「音楽」は個々人によって、またその人の心の状態によって違ってくるのだろう。

保坂さんの「音楽」はバネのようにギュンギュンで、弾力的とありますが、
とても強力な響きなのですね。

さて、自分の「音楽」はどんなものだろう…如何やら、状況によりて、調和がとれてたり、不協和音が多くなったりするものらしい。

朝カルの講演や美術解剖学の講義などで聞く、茂木さんの声の響きの中に、何か大河の源流のような、常に瑞々しくも、激しく力強く、かつ光にあふれた「音楽」を聴く思いがする…。


投稿: 銀鏡反応 | 2007/06/07 21:43:55

保坂さんが次の長編を今年の末までに書き始められればと言っていた
という話が印象に残りました
それまでになにをするのかを聞いてみたい気がしました
言葉を集めるのでしょうか
人物を集めるのでしょうか
心に引っ掛かる何かを集めるのでしょうか

分からない事がいっぱいです

投稿: ルアー | 2007/06/07 19:24:52

茂木さんにも、音楽がある。話されている時の心の傾きとか、言葉の間合いとか、声の響きとか。文章の中にも漂っている音楽がある。それが好き。ほんとうに不思議な事ってある。やっぱり不思議。どうしても不思議。

投稿: 井上良子 | 2007/06/07 18:30:21

小島さんと保坂さんの対談、持ってるのですか
ウラヤマシイです
発売の話が昔あったらしいのですけれど・・

保坂和志さん小説書き始めるのですか楽しみです

投稿: 後藤 裕 | 2007/06/07 14:35:20

台所で、母は、よく話す。
炊事場には、そんな作用があるみたいだ。
どこかで読んだ話を、私にしてくれる。
小島信夫さん、そして保坂和志さん、
茂木健一郎さんの本の話。
こんなことが書いてあった、とか、
ただただ、そういう会話ですけど、
たくさんのなかのどこに反応するか、
それが、ほんとの母だったりする。

投稿: F | 2007/06/07 12:30:39

はじめまして。

①保坂さんの「何も起きない」小説が好きです。

②大学では法学部で団藤重光刑法学を学びました。団藤先生、まだ、お元気なんですね。

③尾崎豊の「15の夜」「シェリー」なんでも好きです。全CDを持っています。カラオケでも必ず、です。

④ちなみに尾崎豊さんのお兄さんとは、ある中央官庁の研修所で同期でした(1年間)。

⑤そのお兄さんも私もそれぞれの理由で同役所を離れました。

⑥「朝日歌壇」「朝日俳壇」に、作品が時々掲載されるようになりました。先般の「週刊新調」の「朝日歌壇」批判記事に「何、これ」と言っていただきましたことに感謝しています。

⑦昭和36年石川県生まれです。貧乏だっったのに、訳も分からず、明るかった昭和30年代の空気を吸って過ごしました。

⑧森の中に「秘密基地」なんか作っていました。まさにアジールでした。

⑨モーツァルトは一日中、かけっぱなしです。ピアノのピリス、内田光子、ヴァイオリンのクレーメルが秀逸です。

⑩モーツァルトはあまり録音されていませんが、アルゲリッチのタッチも好きです。

⑪クレーメルとアルゲリッチがデュオを組んで来日した当時、サントリーホールとザ・シンフォニーホールをハシゴしました。

⑫将棋が好きで、羽生さんの棋譜は並べます(分かります、とは別です。)保坂さんに「羽生」というエッセイがありました。

⑬「潮」誌での河合隼雄さんとの対談は秀逸でした。同先生の御快癒をお祈り申し上げています。

⑬昨日「フユーチャリスト宣言」を一気に読ませていただきました。勇気をいただきました。

⑬茂木さんの体は、もはや茂木さんだけのものではない時代になりました。御自愛お祈り申し上げます。

投稿: 砂山鉄夫 | 2007/06/07 9:40:20

偶然と音楽と読書

投稿: tomoko | 2007/06/07 8:12:43

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