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2007/06/30

オオバタンの一日机

NHK西口で有吉伸人さんと
別れ、タクシーを拾おうとしたが
雨でつからまらず、
何となくふらふらと
NHK出版の方に歩いていって
しまった。

この「判断ミス」の結果として、
私は
飛んで火にいる夏の虫。

大場旦に会って
しまった。

うぁあ。
たんたんたん、○○○が大好き、おおばたん〜
(ドラエモンのテーマのメロディーで)
に会ってしまった。

大場旦さんは、
『心を生みだす脳のシステム』
『脳内現象』
を一緒につくった戦友であり、
NHKブックスが誇る
名物編集者である。

心から尊敬、敬愛申し上げており、
出会ったことにモンダイはないはず
なのだが、
いかんせん私は原稿を書いて
いないのである。

案の定、私は3階の編集部に
拉致され、
「茂木さん、スケジュールを決めましょう」
とスゴまれてしまった。

しかし、私は、そこで、オオバタンの
思わぬ弱点を目撃することになる。

それはつまり、オオバタンの机である。

再びうわあ。

あ〜
今までいろいろな机を見てきましたが、
これはあまりにも凄まじいのでは
ないでしょうか。

書類がうずたかく積まれ、あまつさえ
「崩壊」し、なだれ現象を起こし、
こんなところで仕事ができるとは
とても思えない、
という惨状を呈しているのでアール。

ところが、
オオバタンは、「落ち着くなあ」
とばかり自分の机に座ってすましている。

「ここで仕事ができるんですか」
と聞くと、涼しい顔で
「あっ、仕事は他の机でやりますから」
と答えた。


わっはっはっは。わがはいは大場旦であ〜る。


いやあ。ここに座っていると、落ち着くなあ(大場旦談)。

オオバタンと雨の中を歩いて、
しばらく立ち話をした。

外に出ると、不思議なことに、
オオバタンの気配が悄然としてくる。

「どうしたんですか、大場さん」
「いやあ、今日、編集部内の
引っ越しなんですよ」
「えっ、じゃあ、あの机・・・」
「そうなんです。今晩中に片付けなければ
ならないのです。」

光秀の三日天下。
オオバタンの一日机。
たけきものもつひにはほろびぬ。
そんな諸行無常の机とは思わなかった。

早晩伝説と化すであろう「オオバタン机」
の最後を見ることができたのは、
僥倖であった。

合掌。

朝日カルチャーセンターの後の
飲み会に、幻冬舎の大島加奈子さんも
来た。

電通の佐々木厚さんも交え、
その他の参会者とともに静かに
語らっていると、何やら
邪悪な気配がする。

振り返ってみると、やはり、
筑摩書房の増田健史だった。

たけちゃんマンセブンは、
ビールをかけつけ二杯飲み干し、
「だいたい茂木さんはさあ」
と例の調子で絡み始めた。

ボクはそれで、いつもの
憲法問題とか、日本の人文系学者の
話とか、そういった「凶器攻撃」
を繰り出すタイミングを逸してしまって、
ただ単に、「たけちゃんの顔は
○○に似ているでしょ、ねっ、そうでしょ」
と周囲に力なく同意を求めるしか
なかったのである。

「ボクはね、反省したよ。」
「やるよ。もっと仕掛けるよ。」
「やったるで」

ボクの決意表明を、増田健史は
ビールアタマでどれくらいちゃんと
聞いていたのだろう。

編集者の織りなすエコロジカル・システム
内には、いろいろな種がいる。
大島さんのように常識をわきまえた
人もいれば、
オオバタンのような妖怪系、
増田健史のようなゲバルト系もいる。

しかし、そうじゃないと森が
枯れてしまうんだな。うん。

私は一人先に帰った。

途中で増田健史に電話すると、
「今一人でタクシーを待っている
んですよ。ひどいんですよ、みんな。
トイレに行って帰ってきたら
消えていたんですよ!」
と訴えてくる。

「無鉄砲」な若者としての
人生の半ばをすぎて、気が付くと
誰もいない森の中にいた増田健史であった。

6月 30, 2007 at 09:17 午前 |

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コメント

大場さんの机、なんだか小鳥の巣みたいですねw
奥に、からっぽの戸棚があるというのが非常に象徴的です。
他人の机で仕事をするスタンスは大好きです。

投稿: | 2007/07/02 15:11:58

茂木さんは、いろいろな人に会って、いろいろな所へいって、私から見るとある意味うらやましい限りなのですが、意識的に外部との接触をシャットアウトして、沈思黙考瞑想の時間を増やせば、今より格段に質の高いアウトプットを、僕らは茂木さんから享受できると思うのは私だけでしょうか?

投稿: | 2007/07/01 1:21:32

最近、「感情」に茂木さんの言う「質感」があるように感じています。

「『うれしさ』の『質感』」なんて、面白いのではないでしょうか。

投稿: | 2007/06/30 22:17:44

今回の日記はツボにはまったのでマイベストですね(笑)。
日記に散りばめられたメッセージのうちいくつを汲み取れたかわかりませんが。

誰もいない森の中に行きたければ、無鉄砲な若者を演じるのがよろしいでしょうか?

投稿: | 2007/06/30 21:44:38

「オオバタン机」は、ほろびません。
引越し後、半日で不死鳥のごとくよみがえると思います。

「オオバタン机」からは「これだけの仕事をしているんだから
こんな机でも誰にも文句は言わせない!」という気迫が
漂ってくるような。。。
…きっと仕事をする「他の机」とやらも、かなり荒れていたはずです(笑)。

「トイレに行って帰ってきたら消えていた」なんて
私なら大喜びしてしまうのに…。
しばら~く、たてこもっていてから「もう、いないはずだ!」と
おそるおそる外に出たところを酔っ払い集団につかまり、
「待ってたよ~!2次会にいくよー!」なんて言われるより
ずっと幸せな気がするのですが。

8/3日の朝カルは、もう申込みしました!
今度こそ、始めからお話を聞けるようにしたいです。

最凶編集者の方々とのふれあいで英気を養われたようで
良かったですね。
楽しげなやりとりにこちらも明るくなります。
また茂木さんの身近にいらっしゃる「うぁあ。」な方々との
交流を日記に書いてくださるのを楽しみにしています。
茂木さんは、何系なのでしょう?
妖怪ではないなら…ビジュアル系でしょうか(笑)?

投稿: | 2007/06/30 20:43:51

茂木さん楽しそうだなあ
とうらやましく思ってブログを読んでいます

本で要塞を造る人の話は聞いたことがあったのですが
実物を見せて頂いたのは始めてでした

何でも出て来そうな机
羨ましい様な・・・

投稿: | 2007/06/30 20:29:14

う・・・。一瞬絶句。(失礼!)
おゝ、これはまた・・・すごいことになっているんですね、
オオバタンさんのお机。
確かに、いまにも雪崩を起こしそうに見受けられます。。
でもじっっ・・・と見ていると、なんだかほっとするといいますか、
安心感のようなものが、わいて参ります・・・。
ここに座っていると落ち着くなぁ、とおっしゃる大場さんのお気持ち、わかる気がします。
このお机も一晩で片付けなければいけないとは、
さすがの大場さんも寂しそうですね。
常識系、妖怪系、ゲバルト系・・・。
茂木さんの周りにおられる出版関係の方々は、本当に多士済々で、
とても面白い方ばかりなんだなぁ。
出版界という森も、本当に多様的ジャングル的な世界であると、納得した次第。

もし出版関係者がみんな同じ顔、同じ個性だったら(そんなことあるわけないですもんね)、出来上がる本もたとえ作者は違っても、同じ編集トーンの本ばかりが出来上がってしまうのだろう。

出版界も「みんなちがってみんないい」多様的な世界だから、
作者は同じ茂木健一郎博士でも、編集者の個性によって違ったおもむきの本が出来上がるのだ・・・!
オオバタンさんも、たけちゃんマンさんも、
そして勿論茂木さんも、お体だけは気をつけて、
何卒世間に、私たちに、にこれからも、「新しい知」の贈り物を届けていってほしいと思います。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/06/30 17:37:58

諸行無常の机って・・・(笑)

ところで、光秀の三日天下といえば、
先月の文楽はご覧になったのでしょうか?

投稿: 小豆 | 2007/06/30 12:58:26

どうもお久しぶりです。脳科学の反逆のカリスマ、茂木さんを応援する
者です。
オオバタン氏の事では、前回も失礼ながら笑ってしまいましたが、
又今回も朝から笑ってしまいました。
松本ひとしは、怒りを笑いにしてしまいますが、
茂木さんは、追い詰められる恐怖を笑いにしてしまう力があるようですので、期限は区切りませんから(笑)、笑いの本をぜひお願いします。
笑いを分析する本ではなくて、何と言うか、応用編のような。
吉本などとは違う、脳を知っている者の笑いが見たい読みたいです。

ここに書いておけばきっと筑摩さんかどこかが・・・・。(笑)

投稿: | 2007/06/30 10:48:25

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