私にとっての「アンガージュマン」
聖心女子大学の授業。「現代の脳科学」
NHKにて打ち合わせ。
読売新聞の読書委員会。
小泉今日子さんと映画の話など
をふらふらふらりとした。
最近自分に課しているひとつの倫理感は、
どんな対象も、あたかも
自分がそれを能動的に作り上げる
かのように想像して感受せよ
ということである。
絵画ならばどのように絵筆を動かし
音楽ならばいかにして楽器をならべ
機械ならばどのように組み立て
人ならばその人生の境地に身を置き。
他者の行為を観察している
時に、あたかもそれが自分の行為
であるかのように処理する脳内の
ミラーシステム。
感じるクオリアの質が変わって
くる。
主体性という大切な要素が加わる。
何よりも、自分を棚上げした無責任な
批判をしなくなる。
テレビ番組についてもミラーシステムが
働くようになったのは、『プロフェッショナル
仕事の流儀』のスタッフの仕事ぶりを
つぶさに見てきたからかもしれない。
昨日のグーグルのCEO、エリック・シュミット
博士への私と住吉美紀さんによる
インタビューも、
「そうか、こんな風に編集するか」
とぶつぶつ言いながら見ていた。
最大の野心は、
この宇宙を、創造主の立場に
たって、つくってみるということかもしれない。
その中にクオリアなるものがなければ
ならない必然性は何か。
そのことについて思いを巡らせている
意識の最も麗しい時間。
感覚するだけでなく、能動において
全てをとらえようとすること。
それが、私にとっての「アンガージュマン」
の意味である。
5月 30, 2007 at 07:14 午前 | Permalink
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» 人間力が欲しい トラックバック 鈴木正和 (すずきまさかず) ブログ日記 文学の痛みと感動
「プロフェッショナル仕事の流儀」を観ていると、「人間力」が欲しいと、つくづく思わされる。
この番組に登場する人たちが、同じ流儀や考え方で、自らの分野の仕事をこなしているわけではないことは、周知の通りである。
今回は、リーダーの立場にある数人の人たちが登場するスペシャル編であったが、それぞれのリーダーの考え方は、一見、多種多様にも思えたりするのだが、やはりひとつ共通していることは、そのリーダー達の語る言葉が、どこかに向かって、良い意味で「逸脱」している印象を与えるというものである。
* * *
... [続きを読む]
受信: 2007/05/30 7:55:49
» 人間力は希望に満ちている トラックバック 鈴木正和 (すずきまさかず) ブログ日記 文学の痛みと感動
「プロフェッショナル仕事の流儀」を観ていると、「人間力」が欲しいと、つくづく思わされる。
この番組に登場する人たちが、同じ流儀や考え方で、自らの分野の仕事をこなしているわけではないことは、周知の通りである。
今回は、リーダーの立場にある数人の人たちが登場するスペシャル編であったが、それぞれのリーダーの考え方は、一見、多種多様にも思えたりするのだが、やはりひとつ共通していることは、そのリーダー達の語る言葉が、どこかに向かって、良い意味で「逸脱」している印象を与えるというものである。
* * *
... [続きを読む]
受信: 2007/05/30 16:46:06
» なにものにも変え難い・・・ トラックバック なんでもあり! です 私の日記!!
自分の中に十分なエネルギーを感じる時
これ即ち至福の時…
なにものにも変え難い、「満ちる」感覚。
*
泥だんご、粘土だんごに白玉だんご。
そうそう、ハンバーグにドーナッツの種。
あちらからギュッギュッ。
こちらからギュッギュッ。
こうして綺麗に仕上がるのです。
そうして美味しくなっていくのです。
*
水の入れ加減や、
白玉粉は一袋を、全部一度に入れず、
少し残して微調整…
ハンバーグのつなぎは欠かせません…
こんな軽い雑文を書きたくなる今日。
*
... [続きを読む]
受信: 2007/05/31 21:51:37
» 私にとっての「アンガージュマン」 トラックバック Uneder the INFLUENCE
茂木さんのブログ になぜかコメントできなかったので、トラックバックしてみます。 アンガージュ=エンゲージ を思い出してググっていたら 面白いサイトがありました。 http://ryomichico.net/bbs/cafe0005.html 社会との婚約って、人さまざまな形が あるんだなー、と。 答..... [続きを読む]
受信: 2007/06/01 2:49:59
» 2007-06-02 トラックバック 銀鏡反応 パンドラの函
@人の立場に立った言動が如何に大切か。ここ数日、色々改めて考えさせられたことである。
@今の世は、利己的な言動ばかりだ。近隣間の迷惑行為や、無責任な発言を繰り返すお偉いさん、青空駐車や各種マナー違反…。数え上げれば、きりがない。
@自分自身も気をつけないと、そういう利己中な言動を、やらかしかねない。
@そこで是非心がけておきたい“流儀”がある。
@“どんな対象も、恰も自分がそれを能動的に(自ら進んで)作り上げるように、想像して感受せよ”(5/31付「茂木健一郎 クオリア日記・私にとってのアンガージュ... [続きを読む]
受信: 2007/06/02 4:48:26
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コメント
「アンガージュマン」はサルトルの言葉だったでしょうか。
サルトルの時代には一人で研究ばかりしていると、文字があたかも文字ではないような錯覚に陥ったと思うのですが、現在はインターネットが
ありますからね。サルトルの考えに至るでしょうか。
投稿: naritoku | 2007/06/01 22:40:45
アンガージュ=エンゲージ
を思い出してググっていたら
面白いサイトがありました。
http://ryomichico.net/bbs/cafe0005.html
社会との婚約って、人さまざまな形が
あるんだなー、と。
答えを生きるか、問題を生きるか、とか。
ミラーリングが許される環境にいることは、
本当に幸せなことだと思います。
究極の俯瞰を得られる、数少ない存在が
茂木さんだと信じています!
投稿: だい | 2007/06/01 2:44:37
アンガージュ=エンゲージ
を思い出してググっていたら
面白いサイトがありました。
http://ryomichico.net/bbs/cafe0005.html
社会との婚約って、人さまざまな形が
あるんだなー、と。
答えを生きるか、問題を生きるか、とか。
ミラーリングが許される環境にいることは、
本当に幸せなことだと思います。
究極の俯瞰を得られる、数少ない存在が
茂木さんだと信じています!
投稿: だい | 2007/06/01 2:42:21
nomgroove♪WEBlogue!(のむぐるーぶえ♪ぶろぐ!/仮題)
創刊!?準備カウントダウンFILE:011
>>史上最強のミラーマン としての 茂木健一郎
[私の「茂木先生」試論Ⅰ]
これは私の棲んでる・・というよりヤッカイニなってる 例のアノ maison des 一刻館ヌーヴォ!の家主にしてTVタレント&農家学者・・ちっちがうでしょ!DELL!!・・脳科学者etc まあなんだな
平賀源内か茂木健かってんでこないだも あの分からず屋の横丁の
ご隠居と BEER飲みながら床机でヘボ将棋指しつつ口角泡を飛ばし
ついでにウマイ麦の泡をヌグイながらさ ギロン議論にヨッパラチャッテ・・かみさんにまた大目玉食っちまった・・
とにかく私・・ってのも窮屈だから おいらの「謎の大家さん」=
茂木健のダンナ(失敬!)ウォッチャーの この「風のモバイラー」がだ 煮るなり焼くなり好きにしな!ってゆってくれることを期待しつつおいらなんかじゃあ 煮ても焼いても食えねえ 脳ミソをお持ちのダンナについての 「仮説」を論証しようじゃないか っていうてやんでえ(編集部注:提案で のこと)べらぼーめえ まったく傘張り内職だけじゃあ食ってけねえからしょうがないけど たいそうな仕事の依頼受けちまったもんだぜ まあみなさん聴いてください(人生幸路いくえー
幸子師匠見ててくださーい♪)
さてここで おいらの「仮説」をさきに提示する・・
二三みつくろってんで ご覧なすってちょうだい
仮説其壱:茂木健は(失敬!)おいらの睨んだ通り マダムキラー
であるウラヤマシイ>>わが愛!モナムウ音無響子サン♪との関係は!?・・手えつけたら先生・・(またまた失敬!汗出てきたなあ)
仮説其弐:茂木健は 史上最強のミラーマンである
仮説其参:茂木健のダンナはnomgroove AWARD!2006-07
の発表を意外と気にしてくれている・・
GOOOOOOOOOOOOOOOONNNNNNNNE!!!
夜も更けてまいりました オアトガよろしいようで♪
投稿: 風のモバイラー&野村和生 from nomgroove.com | 2007/05/31 2:35:28
茂木博士は、全ての対象を能動によってとらえようとされている。
それはきっと「利他」ということと、深いつながりがあるのではと思う。他者と同じ気持ち、思い、立場にどれだけ立てるか、ということに繋がっている。
“絵画ならどのように絵筆を動かし、音楽なら如何にして楽器を並べ、機械ならばどのように組みたて、人ならばその人生の境地に身を置き。…”
其々の立場にたって、行動を想像することで、感じるクオリアの質が変わっていく…。
それらは脳内のミラーシステムの為せる業。
さて我が生来の“クセ”の一つとして「他人の立場に立ってものを考えるのが難儀」というのがある。
私の場合、心の痛み、“あや”を読むことが、人より難しいのだ。
それでもいまは若い頃より、それがほんの少し、上手くなった。
きっとこれは、我が脳内のミラーシステムが、きっとまだまだ不完全で未熟な状態にある事から、来ているのだろう。
しかしそんな私のミラーシステムも、もう少し自分が他人を思いやるようになっていけば、知らぬ間に今よりは、確実に他人の行動を鏡のように映し、自らの行為のように処理できるようになるだろう。
そして何時かは、人なみよりももう少し、他者の立場に立てるようになるだろう。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/05/30 21:01:45
ミラーシステムがきちんと行われると
見たことしか無い事に対しても
行なう勇気が出るのだろうか
一度行なっているのだから大丈夫という
『今会いに行きます』の
ひまわり畑の竹内結子が頭に浮んだ
さて何を思い何を行なうか
僕は何を見て来たか
アンガージュマン
どう世間に意思を投げよう
言葉が描くその波紋を社会参加の一つの形としたい
投稿: nobori | 2007/05/30 20:18:03
わー、なんだか最近、
ホントにキラキラしていますね。
ナンダカ(^-^)ウレシイ
投稿: cassis | 2007/05/30 17:45:17
アンガージュマンの言葉の意味を調べてみた。
調べても無駄だった。
自分でアンガージュマンやって見つけるのが正しいんだと思った。
投稿: 平太 | 2007/05/30 14:48:34
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、いつも、
出演されている、その方独自の、気、みたいなものが
画面から、じかに伝わってきます。
テレビで初めて拝見した、エリック シュミットさんは、
どこか、校長先生のような雰囲気で、小学生の頃、
ばったり廊下で会って、思わず緊張したときの気持ちを
昨晩、思い出していました。
投稿: F | 2007/05/30 14:17:19
僕もミラーシステムによって他人の主観をいかに掴むのかと言うことをいつも考えています
それは客観的視点ではなく、他人の主観で
自らを個から切り離し他の個になるというのは難しく
生涯の課題になりそうであります
投稿: 後藤 裕 | 2007/05/30 11:49:14
キーワード「自閉症 ミラーニューロン」のGoogle検索をやってみました。音声認識とミラーニューロンについて考えるためです。しかし、音声の音楽的側面とシンボル的側面を分離できるのかという問題で行き詰まってしまった。茂木先生の追体験へのこだわりはすごいですね。
それを反芻している内に「アーキタイプ(原型)から出発して自分なりの現実へ適応した型へ到達するというのが発声、動作に共通して見られる。」と思い始めています。
投稿: 福地博行 | 2007/05/30 9:52:52
アンガージュマン!初めて知りました。ハーバードよりもケンブリッジよりも知というものについて勝るインターネットで検索してアンガージュマンは哲学の言葉で自分らしさ(クオリアでしょうか)は行動でしか現実にならないという主体性の話でしょうか。
主体性がなき自分は自分ではないのだろうか・・・
今まで哲学との接点が余りなかったので今後は原文で哲学を読めるように頑張ろうと思います。
ところで、先日の「脳と学習」のmp3からドーパミンの出る状況を知りなんだか得した感じです!ドーパミンだすぞー!
投稿: 果汁1%以上 | 2007/05/30 9:39:54