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2007/04/19

吸って吐く息づかいのように

タモリさんは、となりに座って話して
いて、とてもやわらかく温かい
印象の人だった。

舞台裏で待っている時に、広報の中谷さんが
写真をとってくださった。

沢山のお花や、電報をいただきました。
皆様のご厚情に心から感謝いたします。

CMの間に話していたことは、脳には
「取り扱い説明書」がないし、
一人ひとりの個性は違うので、
人生は結局自分の脳がどのような個性を
持っているかを見つけるプロセスである、
タモリさんもそうではありませんでしたか、
ということだった。

タモリさんも、「ぼくもわからない時期が
ありました」と言われていた。

むろん、個性は周囲の人との行き交いや、
様々なものに感化される中で変わっていく。
それでも、どうしても自分なりの感じ方、
切り取り方というものあるものである。

自分と志向性が違う人に会うことで、
かえって自分の個性が逆照射される。
だから、多くの人々と会った方が良い。

スタジオにいる人たちに向かって、
「みなさんがここにいる人たち全てと
自分を比べたら、それだけで自分の個性が
わかるはずです」
と申し上げた。

英訳の『悲劇の誕生』の中には、次のような一節
がある。

At the very climax of joy there sounds a cry of horror or a yearning lamentation for an irretrievable loss. In these Greek festivals, nature seems to reveal a sentimental trait; it is as if she were heaving a sigh at her dismemberment into individuals.

この処女作には、苦痛と喜びの関係とか、
「世界の個別化の原理」についての
紛れもないニーチェのユニーク
な思想が現れていて、その後の生涯は
その個性を陶冶する過程であったように
思われる。

(「悲劇の誕生」のドイツ語原文は
Project Gutenbergのサイト

http://www.gutenberg.org/dirs/etext05/8gbrt10.txt

で読める)

私自身、いろいろな形で世界と関わり、
様々な方と向き合うことで、
かえって、自分がどのような存在なのか、
少しずつわかってきたように思う。

ここのところ一週間くらい、
朝近くの公園を走っている。

雨模様の中を、木立の斜面を駆け上がる
といった無茶をするが、今のところ
すべって転んで「おお痛」という
ことにはなっていない。

一人になっている時と、誰かと向き合っている
時のコントラストが、
吸って吐く息づかいのように、徐々に
自分というものを変えていく。

4月 19, 2007 at 08:43 午前 |

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コメント

「いいとも」を365分の1日、たまたま観ていました。茂木先生のことを初めて知りましたが「脳」という言葉には敏感なので、はりついて拝見いたしました。ところで私は文字に色を感じる共感覚者なのですが(♀)養老先生が以前「僕は共感覚者に会ったことがない」と書いておられましたが、茂木先生もそうなのですか?ネットの世界では結構います。自分は「あ、この人違う。イメージが豊かなだけ」というのがわかります。共感覚者自身は「私ってそうなのかしら?」などとは思わないものなのです。私の日記に迷い込んでくれた男性はもっと症状が凄いです。ここを見つけるのが遅くなってしまい、読んでいただけないかと思いますが私自身、あの場(アルタ)に3人というのが気になったものですから。お忙しいところ失礼いたしました。

投稿: Toshi | 2007/06/06 2:13:43

>脳には「取扱い説明書」がない

「取説」に反応してしまいました。

自分自身の取説が欲しいとは、発達障害の当事者がよく口にしています。

周りの人は、本人以上に解りにくい代物だと困惑される方が多いと。

ご自身も解らなかった時期に相当悩んでいたそうです。

ただ、

発達障害に境界線は無く、別世界な話ではないのですけれど。

自閉症スペクトラムに言われるように、連続しているのですから。

誰もが持ち合わせているそれぞれの特性があり、

それが社会生活に支障があるかないか、本人が生き難さを抱えているかどうか、

診断はそのあたりだそうですね。

異文化交流だと考えれば納得出来る事なのですけれど。

>人生は結局自分の脳がどのような個性を持っているかを見つけるプロセスである

本当にその通りだと実感しています。

また一つ、自分の中で繋がった気がしました。

投稿: ちゅん平 | 2007/04/20 8:48:09

上の私のコメント追伸部分についての訂正:

茂木さんの表情は、ちょっと緊張ぎみになってました。
写真を拝見しますと、何故か周りが赤っぽい光に包まれています。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/04/19 21:01:20

“人生は、結局自分がどのような個性を持っているかを見つけるプロセスである”…。

たしかにそうだと私も思う。自己が他者との触れ合いや、独りになっているときに自分がどんな個性を持っているかを見極めようとしていくうちに自分が変わっていく、そういう、自分が自分として生きていくためのプロセスが、人生の主要な面なのだろう。


いろいろな人に出会い、いろいろなものに触れていく、そうして年を経るたびに自分だけしか持っていない特性…それが「個性」というものなのだろうが。…が、変質していく。そのプロセスをもっと自己なりに楽しんでいけるような生き方が出来れば好いのだが…。

脳にはコンピュータと違い、たしかに取り扱い説明書なるものはない。その取説なしでいろいろな思考をし、自分と言うものを構築し、人生を作り上げ、文明や藝術などを生み出してきたのが人脳というものだ。

この不思議なるものをもって、人として生まれてきた以上、如何でか高みに向かって、己の人格・個性を陶冶せん。そういう思いが常にある。

もっと沢山人に逢いたい。もっとたくさん、本物に巡りあいたい。そうやって己も、もっと変わりたい。自分が何者か、何時かはっきり見極めたい。そういう思いがこの文を書いているうちに静かにではあるが、ことことという感じで静かに沸き起こってくる…。

追伸:茂木さんの出番待ちの表情がなんともいえず、どこかリラックスしてみえます。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/04/19 20:47:06

>タモリさんは、となりに座って話していて、
 とてもやわらかく温かい印象の人だった。
☆いいともの茂木さんも、看ていて
 とてもやわらかく温かい印象の人に思えた。
 あの日はとても寒く辛い日だったものだから
 そのやわらかさと温かさ 身に沁みて助かりました。

投稿: tomo | 2007/04/19 19:47:57

拝見しました!茂木さん、タモさんお互いに会話の引き出しを
出し合いっこしていて、お二人の思いやり精神がほほえましく
好感がもて、短時間でしたが会話もいろんな内容で楽しかったです。

笑い・・男女の受け止めかたの違いのお話ですが、あれが「愛想笑い」の場合はまったく逆の理論がなりたちませんか?

女性が男性の会話を聞いて愛想笑いしてるときは

「馬鹿じゃねーの?つまんねー。早く終わんねーか?」(嫌悪感大)

って思っていて、男性が女性の超つまんねー話に愛想笑い全快してる時は

「かわいいな~。いいね。いいね。」(好感度大)
って思ってるでしょ!!!

違いますか!!!茂木さん!男性諸君!研究結果でてませんか!

投稿: 平太 | 2007/04/19 14:45:46

初めてコメントさせていただきます。
いつも様々なメディアで拝見しております。いつも勉強になります。

まだまだ、20年そこそこしか生きていないので人と語らう経験値が少ないのですが、少ないなりに話した人との違いは感じてきました。
ただ、違いはわかってもそこから個性へとなかなかつながっていかないんです。
今、自分の個性とは?ということに迷いを感じているのですが、人との違いをみつけていくことで見えてくるのでしょうか?

投稿: chibako | 2007/04/19 12:56:01

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