どんな境遇でも
朝の少し冷たい空気の中で、
公園の森の梢を見て、
カラスがカアカアと鳴いているのを聞く。
もう少ししたら、あの森の下を走って
やろうと思う。
そんな時間を心地よいと感じる自分。
最初に「心地よい」環境があって、
その中に自分が生まれ落ちたと考え勝ち
だが、
むしろ、所与の時空を「心地よい」
と感じるように進化、発達してきたのだ。
木星の86%が水素、13%がヘリウム
からなる分子組成の大気が、ぐわんぐわんと
渦巻く環境を「心地よい」と感じる
存在もあるだろうし、
地球の地殻とコアの間にあるマントル層の、
モホロビチッチ不連続面を心地よいと
感じる存在もあるだろう。
常に仕事に追われ、情報がぎゅうと
圧縮されて猛スピードで行き交う、
そのような状態に自我をさらすことを
「心地よい」と感じることも
きっとあるはずだ。
千葉工業大学のFUROに古田貴之さんを
訪問する。
かって、古田さんが作った
Morphを見た時には驚いた。そのスピード。
古田さんは幼少期をインドで育って、
それから大病をして、ある種の生命哲学を
得た。
小さい時に鉄腕アトムを見て、
小学校の時から機械設計製図便覧を
眺めていた。
大学でロボット工学にはまり、
ご本人によると「一ヶ月で10時間しか
眠らない」集中ぶりで、
体重が30キロ減ったのだという。
ロボットをやることがオプションの
一つなのではなく、まさにそのために
生まれてきたとでもいうべき古田さん。
その熱やキラキラが一緒に行った
柳川透や野澤真一にもよき感化作用を
与えたようだ。
津田沼駅前でカレーうどんの専門店を
見つけ、昼食。
汐留に移動。
『世界一受けたい授業』の収録。
Segwayに乗って登場するという演出。
Segwayは、カリフォルニア工科大学の
近くでぎゅわーんと走っているのを
見たことがある。
うらやましくて仕方がなかったが、
ついに乗る時がきた!
つま先をちょっと乗せると前に動く。
もどすと止まる。
慣れてくると、ぎゅわんと曲がる
ことができる。面白い。
思い切り深く、濃く、考えて
行動してやろうと思う。
カレーうどんにさらにトウガラシ粉を
かけるがごとく、
いちご大福にあんことイチゴを
うんうんと詰め込むがごとく、
サンゴ礁の中で、驚いた魚たちが
色をまき散らすががとく。
どんな境遇でも、それを心地よい
と感じることは原理的にできるはずだ。
4月 22, 2007 at 05:39 午前 | Permalink
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» 茂木健一郎先生序文『蒼天のクオリア』読者の皆さまへ(5) トラックバック 御林守河村家を守る会
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
結城(仮名)からコメントがきました。
一昨日の日記にです。
いまお読みの記事の左「最近のコメント一覧」に、
君の中の僕へ
と書かれているのがそれです。
コメント文を転載してみましょう。
*************�... [続きを読む]
受信: 2007/04/22 8:38:48
» ポジティブに考えよう トラックバック 須磨寺ものがたり
雨です。
なんだか梅雨のような。 [続きを読む]
受信: 2007/04/22 16:07:38
» 銀鏡版・生きて死ぬ私(21)-空位。 トラックバック 銀鏡反応 パンドラの函
@きょうは晴れたり曇ったりだったが、春らしく暖かな日であった。もっとも、季節は花いっぱいの春から、新緑輝く初夏へと移行しつつある。明日からまた東京は天気が愚図ついてしまう。あ~また雨模様。やだやだ!でも温かい日が続くからいいや。
@ある人が、物理学は「科学界の王者」の位を滑り降りた、と言っていたが、科学の探索すべき分野が脳・神経のそれへと及び、様々な生理的機能から、意識や感覚といった「脳の高等な振る舞い」、そして量子力学など物理学の脳研究への応用等がなされるようになった21世紀、純粋な物理学は、もう... [続きを読む]
受信: 2007/04/22 17:40:33
» セグウェイ トラックバック セグウェイ
セグウェイは未来の乗り物として開発されました。セグウェイの魅力、最新機種や価格、乗り方、日本国内での販売店を紹介します。 [続きを読む]
受信: 2007/04/24 0:46:53
» 覚書として…だけでなく… トラックバック なんでもあり! です 私の日記!!
ドンとした、揺るがないエネルギーの塊に触れ、
ものすごく大きな流れと、力強いものを感じています。
以下の記事は、昨晩遅く、自分への覚え書きとして
下書きに入れておいたのですが。
自分の中に湧き上がる好奇心や探究心を、
ますます大切にしていこうと改めて感じて、
アップすることとしました。
-----------( 以下 下書き記事より )------------
タイトル 【本日の覚書として】 2007-04-2... [続きを読む]
受信: 2007/04/24 2:22:23
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コメント
見知らぬ人たちが行き交い
街の喧騒さんざめく大阪ミナミのアーケードで
目に留まったSHOP のおにいちゃんや、おねえちゃん等を
ヒヤカシナガラ、笑いながら・・ 。
不思議と、僕の住んでいるいなかまちなどより
都市のど真ん中、真っ只中に身を置くほうが
怖くない。>> 二児の父親として近頃の
郊外都市の荒廃ぶりを・・とくに様々な領域の人たちの精神の・・
シンパイしているのだけど。
それと、アレやめてもらいたい。
僕には近づいてこないでくれ!
あの、鼻の上、目の真下までの「マスク」
僕はアレが苦手でやめてもらいたい。花粉症の方には
申し訳ないと思うけれど。
昨晩は漂白の想いに駆られて・・
おもわず夜行バスかなんかで
東京見物>>おのぼりさん>>を
一瞬画策したけど
小学一年生の娘にガマンヲオボエロ!と叱ったばかり・・
だった手前
僕もグッとこらえて>>風呂上がりのBear で我慢した。
でも春ってのは人を芭蕉や北斎にするのか?
モーツアルトやカサノバ(笑)にするのかな・・フフフ
>>つづく
投稿: 野村 和生 | 2007/04/23 7:30:53
『所与の時空を「心地よい」と感じるように進化、発達してきた』のは
所与の時空に適応しようという意思が動くから
自分の身体や心、または、自分の置かれている境遇に働きかけて
変えていこうとする意思が生まれるから
水泳のオリンピック選手は、息継ぎをせずにたくさん泳ぐことができますが、
ふつうの人がまねしたら溺れてしまいます
その人が、そうなれる資質と そうなりたいという意思をもって、
年月をかけて訓練したから そうなれた
言うまでもないことばかりかも知れないですが、
日記を読んで、そのようなことを強く感じさせられました
木星や、モホロビチッチ不連続面という場所と、
相思相愛になれる存在っていうのは、全く想像がつきませんが・・・
環境なり自分自身の細胞なりの 宇宙が与えている時空や物質 と
自分自身または境遇を 何とかしようとする意思 は
同じくらい濃いもののように思えます
その意思は、
仮想する力と同じものであり、
自由意志だと、私は思います
いちご大福は あまり馴染みがないのですが
いちごと大福 私は別々に食べるほうが好きかも知れません
投稿: u-cat | 2007/04/23 3:07:14
梅田望夫さんのブログで1月22、23日の東大駒場での講義を聴くべきと感じてipodに落として聴いたけれども1950年生まれの頭が痛くなった。でも基本的には1970年代学生時代の古い人工知能がグーグルで使用されているようだと知った。中小企業の経営者になって無関係と思っていた世界がネット検索という形で迫ってくるとは思わなかった。トランスパーソナル心理学が誕生した時と同様のクロスオーバーが生じているようだ。youtubeが初期2ちゃんねるのような動きを見せているようだが、川柳、俳句のような世界を発振できる日本的なビデオが出てきて欲しい。知的な面での貢献はそれからでも良い。
投稿: 福地博行 | 2007/04/22 19:41:06
広い宇宙を見渡せば、それがドンナに酷い環境-境遇であっても、それを自らの力で自分にとって「心地よい」境遇に変えてしまう存在が無数にある。
辛い境遇に負け、酷い時には自殺を選んでしまう人々は、きっと己の投げ込まれた環境を心地よいものに変えていく力が、弱くなってしまっているのかもしれない。境遇に適応し、克服していく力が弱まってくると、生きる力も低くなっていくのだろう。
“どんな境遇でも、それを心地よいと感じることは原理的にできるはずだ。”
苦は楽し、という言葉がある。どんなに苦労に満ちた境遇であってもそれを楽しみきっていける、心地よいものと感じていける精神の強靭さを示しているが、いまこんな境遇で苦労が絶えないのでやだなぁ、と思っている人でも、思いきって考えを切りかえれば、原理的にもその境遇を楽しみきっていけるようになるのではないか。
閑話休題。
フラワーピッグが、ついにあの「セグウェイ」に乗った!…茂木先生が子供のように喜んで、セグウェイに乗っている姿が浮かんできます。その場面が「世界一受けたい授業」に出ると好いですね。放映が楽しみです。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/04/22 10:40:47