花見と感性
ヨミウリ・ウィークリー
2006年4月15日号
(2006年4月2日発売)
茂木健一郎 脳から始まる 第49回
花見と感性
抜粋
ヤマザクラは、葉が出るのと同時に花が咲く。現代人が「桜」と聞いて思い浮かべるイメージと、ヤマザクラのそれは違う。宣長がヤマザクラに見ていた美とは一体何だったのか。現代の私たちが「ああ、桜は綺麗だなあ」と感じるその脈絡とは異なるかたちで、宣長はヤマザクラに美しさを感じていたのだろう。
ソメイヨシノに対して、私たちが培ってきた感性は大切なものである。葉が出る前にぱっと咲いて散る、その姿を美しいと思う気持ちには切実なものがある。その一方で、自分の感性が絶対的ではないかもしれないという疑いも大切にしたい。
イギリス人にとっての「保守主義」は、自らの危うさを自覚することと結びついているという。桜の何に美を感じるのかという問題を突きつめると、伝統を守ることの大切さと難しさが見えてくる。
全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。
http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/
4月 2, 2007 at 05:11 午前 | Permalink
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» 桜でピンクに染まる川。 トラックバック 「パンドラの函」の裏書き
きょう、現場からの帰りに隅田川の川面を見たら、1面に川面が極淡いピンク色に染まっている。みたら、散ってしまった桜の花びらが沢山川面に漂い、水面を全面的にピンクにしているのであった。
嗚呼、なんて壮麗で素晴らしいのだろう。やっぱり桜は好いなァ。どんなドドメな煤けた世界もあのソフトなピンク色があるだけで、風情ある爛漫たる麗しい別世界になるのだ。桜さえあれば汚い川面も美しいピンクの大河となるのだ。
桜、といったら今の我々にとっては染井吉野だが、室町や江戸の人々にとっては、八重桜や山桜、江戸彼岸、... [続きを読む]
受信: 2007/04/02 20:14:27
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伊佐新次郎岑満は、
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コメント
近くの公園の桜を通り過ぎる時、電車の中に桜色の陽光が差す時、日常の中の別世界を感じます。
日本人の宴会の中で花見は「変る」ことの悲哀を感じさせる特別なものと、酔っ払う前には、感じます。
山桜は別の趣です。
牧水の故郷で見た山桜には坦々と流れる年月の力強さを感じました。
投稿: fructose | 2007/04/05 4:01:56
ソメイヨシノやこぶしって力強い木だと思う。
たいてい、葉の光合成で栄養を得、
種を生産する。
でも桜は葉を有している時期はごく僅か。
光合成で栄養を得ず、冬という過酷な環境の中
黙々と生きる糧を蓄え、育み、
春に一斉に開花し、潔く散る。
日々、人の見ていないときにも自分の開花に向け
吸収し 蓄えることが出来ているのだろうか?
黙々と・・・黙々と・・・
投稿: hi | 2007/04/02 15:02:46