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2007/03/15

コンセプトワーク

甲野善紀さんや、日比野克彦さんに久しぶりに
お目にかかる。

 その他、新鮮な切り口への出会いもあった。

 早稲田の理論生物学シンポジウムは、
朝一で私が喋る番だった。

 ボクは、honestでありたいと思った。
 心脳問題は、剃刀でこまごまとした細工を
するというよりは、
 ナタで大まかなかたちをつくるという
段階にある。

 表面的には精緻でもっともらしく見える
モデルの多くは、実は重大なるごまかしを
している。

 どこをどうごまかしているのか、
現状における問題点は何か、そのあたりを
概観した。

 塩谷賢、郡司ペギオ幸夫、池上
高志や、相澤洋二先生と忌憚ない意見の
交換ができた。

 意識問題について今必要なことは、コンセプト
ワークである。

 量子力学においては、波動関数の
数理の詳細を知らない段階でも、
 コンセプトレベルでその本質をつかむ
ことはできる。

 たとえば、粒子と波動の二重性。

「ダブルスリット」の実験に
おいて、電子を現す波動関数が
両方のスリットを通り、それがスクリーン上で
干渉して、複素振幅のノルムが
粒子としての電子がそこで発見される
確率になる。

 そのような形で、詳細を計算しなくても、
理論的枠組みを理解することができる。

 意識の問題については、そのような
形での「理論の概略」がない。

 たとえ、あるモデルで記述される
対象があったとしても、その対象が
一切の意識的表象が随伴しない「哲学的ゾンビ」
であるという可能性はどうして排除
されるのか?

 この、「哲学的ゾンビ問題」について、
答えられるモデルは現時点ではない。

 全速力で間違った方向に走っているよりも、
たとえ少しずつでも、正しい方向に
歩んだ方が良いと思う今日この頃。

 ベームの指揮するウィーンフィルの
ブラームス第一番を聴いていて、心が
高揚した。

 誰もが言うことだが宇宙的な広がりの
ある音楽。

 自分がもし今月面に立っていたら
 我が身を焦がす
地球上の細々とした悩みは、一体どのように
見えることだろう。

3月 15, 2007 at 08:26 午前 |

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 『 植物は自分を変えて、環境に適応する    動物は移動して、環境に適応する    人間は環境を変えて、環境に適応する 』  細かいことは別として、  適応という観点から見ると、大筋ではそう言えます。  *  例えば、障害学というものがある。    これも、そもそも社会があるから  障害が生まれるのであり  そこから、障害学というものが生まれる訳です。  人は環境を変え得るのですが  また、環境が人に与える影響も大きいものがあります。  こんなところも相互的・・・ ... [続きを読む]

受信: 2007/03/16 7:28:34

コメント

こんばんは。

「哲学的ゾンビ」って面白い表現ですね。意識の問題って、議論もとても難しいのですね。私などは全くの素人なので、携帯電話が遠距離間で瞬時に繋がって話すことが出来るのと、意識は似ているように思います。

たとえば、友人のAさんはどうしているかしら? と思うと、Aさんから電話が掛かってくる、ということがよくあります。
音声ファイルを耳で聞いているとき、視覚では、そこの状況が見えないのですが、話しの内容を聞いていると、無意識のうちに、脳のネットワークが動き出す不思議。

何だか、言葉を記号として耳からの音として入った情報が脳のニューロンを高速光通信みたいなスピードでスイッチが入り続けるみたいな感じがします。

音としての振動とか電磁波とかそんなものが、意識を構成する上にはあって、そう考えると、物理学的なものと、数学的なものとが一致するような? 気がします。(全くの素人ですのでバカにしないでね)
それから、アポトーシスって、あるでしょ。自殺細胞の。アポトーシスもそんな風に考えると納得できると思うのですが。

先生方のお話が余りにも難しかったので(音声ファイルを聞いて)、かみ合っていないかも知れません。

投稿: tachimoto | 2007/03/16 1:11:41

MP3とても面白かったです。

私がわかっているかどうかは、
すさまじくともかくとして

塩谷さんや郡司さんの言わんとしていることは
(郡司さんはもっと簡単に表現してくれればいいのに
塩谷さんはわかりやすく言い直しているはずなのに)
確かになあと思う部分で

相澤さんの言っていることは、
それでも気づかざるを得ないことがあるよねと
言う感じ。

あと、私が生気論に感じていることは
ゲシュタルト心理学的なのかしらん?


http://www.20q.net/


これ知っていますか。
人工知能研究所?というところがやっていて、
「20の扉」をコンピューターが解くのです。

解けなかった場合には、その間違いが
データーベースに登録され。
ゲームをする人が多くなるほどこのプログラムの精度は
あがっていくという仕組みです。
一応世界的に配信されているみたいです。

このシステムは、あらゆる「不思議の疑問」が
因果的か、力学的か、それともメタファーか
(比較的)客観的な同一のものさしで区分けできる
良い方法論になりうるなあと思いました。

たとえば、
「何故鳥と人間の愛情表現は似ているの?」と
「何故林檎は落ちるの?」と
「何の為に光速には時間がないの?」との疑問は
それぞれ今言った意味で違うよね、ということです。
(そしてそれぞれにもなりうる)

また、同時に回答にも向かいやすく
同じ回答(回答が無かったとしても)項目に
向かったものを同一ロジックとして
捕らえることができるのかしらん。


今色々生気論的要素が
各分野にある気がしているので、
内的エンテレキーとしての要素、
味見嗅聞触 内臓運動平行時間から
適当にネットサーフィンしていましたら、
セミオゼキ教授に行き着きました。
今日のMP3の「共通」に引っかかったので
目新しくないとは思いますが、とりあえず。

http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2001dir/n2448dir/n2448_01.htm

「ごまかし」は仕方無いとはいえ、
しかしそれに慣れすぎてベクトルが
間違った方向に向きっぱなしという可能性。

しかもそれが実は「虚数的」「二重性的」要素である可能性もあるわけで
ともすれば「点」をコンセプトワークとして捕らえられると
解釈しても良いのかしらん?

まあ、私がわかっているかどうかは
すさまじくともかくとして
明日講義楽しみです。
無理やり会社を抜け出します。

今日もMP3聞いた為に仕事になりませんでした。
たしかに手が動かないなー

ホントは午前中にブランドの招待セールもあるのですが
そちらには抜け出せそうにありません。
おそらく私は日本全国唯一ブランドセールと自由研究とを
秤にかけた人間ですよ(笑

投稿: maya | 2007/03/16 0:27:51

茂木さんの「脳科学」についての記述には、いつも私の頭がついて行けず、「哲学的・芸術的・文学的」記述にばかり、反応してしまうのですが・・。

今日、友人夫婦と話していて、だんなさんが奥さんに「悩むのをやめろ」と言ったのが、印象的でした。子育て問題だったのですが、
奥さんは「でも、子供が悲しい思いをしてると思ったら、悩むじゃない」と言ったのに対し、だんなさんは「悲しい思いはしないより、したほうがいい」と。父親は宇宙のような存在ですね。

茂木さんは、悩みますか?私はこう言うと、傲慢だと思われるので、秘密にしていますが、
悩みません。というか、悩むことを、いつの日からかやめました。

投稿: 菫 | 2007/03/16 0:25:48

量子力学の問題では、
すでに確立されたモデルが
あるそうだが、

意識問題ではまだそういう
モデルを見出せていないそうだ。

なんでも「哲学的ゾンビ問題」についてすら、
明確に答えられるモデルがないという状態だという。

そこで、我等が茂木健一郎博士始め、
世界中の心脳問題の本質を究めんと
される脳科学者の方々が、
コンセプトワークを駆使してまでも
意識問題のモデルの確立を模索されて
いるのであろう。

意識、クオリア、哲学的ゾンビ、
ひいては生命の本質の問題には
科学は今だ明確な答えを出せていない。

それでもそのための諸侯を捕まえるべく、
真摯な科学者たちは常に
どんなところでも、真剣な模索と
議論とを試みているのだろう。

心脳問題はナタで大まかなカタチを作る
段階にあり、それを分かっている人が
何時かは心脳問題の本質を
掴むことが出来るのだろう。

心脳…意識…生命の問題…については、従来
宗教がこれに長い間取り組んできたが、
しかし、既成の宗教の多くは、
この問題に対して
キチンと答えを出してはいない。

既成の宗教を超えたところにある生命哲学と、
心と脳の絡む諸問題に、真摯に丁寧に取り組んだ
科学だけが、
意識、生命に関する諸難問の本質をつかみ、
そこに確たる真理を見出すことが出来るに違いないと
少なくとも私は期待している。

意識・心脳・生命の問題に取り組む科学者は
真にhonest(正直)な人でなくてはならないと思う。
茂木先生は、何時でもhonestな人だから
大いに頑張って取り組んでいただきたいと思いマス。
乱文長文になりましたことを
お許し下さいませ。


投稿: 銀鏡反応 | 2007/03/15 19:23:16

          螻蛄(おけら)の笑う声

人の世の嘆きなど 天から望めば おけらの笑い

      泣け泣け” 啼け啼け”   元気が良いのう!

     
    まさに 赤子が泣く ようじゃ 。。。☆

投稿: 一光 | 2007/03/15 11:33:22

私の好きな本に「パワーズオブテン」というのがあって、この本を開いては、地球の外へ行った感じ~、としみじみ味わって、一人悦に入って満足しているのですが、それと実際に月から見るのとでは、全然違うんだ!ということに今日気づいてしまいました。かといって人見知り、場所(?)見知りな私は、きっと月に行くチャンスがあっても行けずに終わるので、やっぱりこれからもこの本を大事にします。茂木さんのブログはいつも一喜一憂させてくれます。

投稿: とんさと | 2007/03/15 9:10:46

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