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2007/01/20

今は明治。

「はてな」で梅田望夫さんと
お目にかかる。

 表札に「?」と描いてあり、
それだけ。

 そのあたりから予感がしていたが、
中に入るとおもちゃ箱がひっくりかえった
大学院生部屋のようだった。

 「これは何ですか?」
 「お菓子の棚です。」
 「これは何ですか?」
 「サーバーですよ。」
 「えええ! これがですか。」

 素っ頓狂な声を上げてしまった。
 ごろんと床の上に置かれている。

 「こう見えててもなかなか
スルドイ技術的な工夫がしてあって
ですねえ。この冷却のためのファンが
回転すると、空気が下から上にちゃんと
流れるようになっているのです。」

 普通の「オフィス」の感覚から
すると、色が溢れていて、関係の
ないものがあふれている。

 「ふふふ、最近、畳のスペースを
導入したので、仮眠しやすくなったのですよ」

 あれれ。

 空間が、遊び心のつぶつぶに満たされている。
 最初はとっても
 驚いたが、「はてなはやっぱりそうだったか」
と腑に落ちたような気がする。

 「ココログでごめんね」
と言ったらどっと笑った。

 対論開始。
 ノンストップでだーっと喋った。

 「昨日、新潮社の社長と会って
いたのですがね。」
 「ええ。」
 「茂木さんとの対談は、どんな感じで
進んでいるか、と聞かれたので、
 『ウェブ人間論』での私と
平野啓一郎さんの役割が
入れ替わって、私が平野さんになり、
 茂木さんが私の役をやっている、
というくらい茂木さんが暴走している、
と申し上げたのですよ。」
 「ひええ、そうですか」

 かくなる私は実はかなり過激な
ウェブ革命論者なのである。

 梅田さんにとても面白いことを
沢山伺った。
 たとえば、アメリカの若者は、
大学の教授や
 著名な知識人よりも、
 「アルファ・ブロガー」の方が
偉いと思っているというのである。

 「ブログのエントリーなどを見ていると、
ごく自然に、そんな価値観を持っている
書き込みに遭遇するのです。」

 ぼくはそのうち英語圏のアルファ・ブロガーに
なりたいと思う。

 「怒り」についての議論もとても
面白かった。
 
 梅田さんのメンターであるナントカ
という人は、ライフ・ロング・ナントカ
と言って生まれてから死ぬまでの全ての
体験を記録するというプロジェクトを
90年代初頭に始めたのであるが、
 ある時、ソフトを買ったらフロッピーが
何重にも梱包されて箱に入れられて
郵送されてきたのを見て激怒して
 「エッセンシャルなのはこの中のビッツ
だけなんだ、後の全ては全部無駄なんだ、
こんなことをしていてはいけないんだ。」
とばかり、物凄い怒りようで
 梱包材を引きちぎり、箱をぶっこわし、
暴れたとのこと。

 いい話だなと思った。
 
 ぼくもそうやって怒ることが時々ある。
 現状に対する義憤、憤怒の思いである。

 「結局、アメリカのITの歴史は、
既存の権益を守ろうとする人たちの思惑と、
そのような現状に怒りを覚えるヴィジョナリー
たちの志向性がぶつかった時に、
 長い目で見れば必ず後者が勝つ、
ということを学んできた、
 その繰り返しなのです。」

 日本はどうだろう。

 お話しているうちに、
 今は「明治維新」にとても似ている
という気がしてきた。

 ITというのは、実はアメリカの文明の
反映である。
 「ウェブ2.0」についても、
アメリカ社会が実はもともと
 2.0的に出来ている。
 
 それは、昨日の
「茂木健一郎 プロフェッショナル日記」
に書いたMITの石井裕さんの
お話を参照しても、とてもわかる。

 最近森山和道さんが日記の中で
書いていたが未だに
 フリーの人が不動産を借りるのに
苦労する、などというわけのわからない
日本の社会は
 全く2.0的ではない。

 梅田さんにその話をしたら、
 「ええっ。そんなことがあるのですか。
私なんか、シリコンバレーに行ってから
2年で会社を辞めて独立したけれど、
 家を借りる時も、オフィスを借りる時も、
苦労したことなんてありませんよ!」
と言われる。

 全くだよな。フリーか「正社員か」
なんてくだらないことで区別しないで、
単にディポジットをとればいいじゃないか。
 リスクがあるんだったら、家賃の
何%か保険代に回して、ヘッジすれば
いいじゃないか。

 日本には、「公序良俗に照らして
無効」と言いたくなるような
 わけのわからない契約慣行が
まかり通っている。

 「保証人」というのも同じだよ。
 じめじめしてイヤだ。
 それで自殺する人までいるんだから、
法律家の人たちは廃止に向けて
なんとかしてほしい。

 一貫しているのは、一種の「談合体質」
であり、
 社会の流動性や組み替えを阻害する、
邪悪な摩擦力である。

 私が学生の頃、「下宿の女子学生は
採用しない」などという
わけのわからない企業があると
まことしやかに言われていた。
 (そういうことがあたかも
社会常識であるかのようにしたり顔に
言う輩がいた。)

 私はそれを聞いて
 「なんだ、そのクソみたいな話は、
そんなわけのわからない方針に、どういう
合理的な説明がつくと言うんだ」
と怒りまくっていたが、
 まだまだこの不思議の国日本の
中にはわかのわからない社会的制約がある。

 梅田さんとの前回の対談で出た大事な
メタファーは「グーグルは黒船だ!」
というものであったが、
 日本社会に対してまだまだ様々な
「啓蒙活動」が必要なのは、
(そうでないと、日本の社会の
オペレーティング・システムが古くさいものに
なり、二流国に堕してしまうという点において)
明治時代にとても良く似ている。

 一方、うまくオペレーティング・
システムを書き換えることができれば、
 また日本は輝く国になるんじゃないか。

 選択はみなさん次第です。

 そういうことをいろいろ考えると、
 きっと、梅田望夫さんは、
「平成の福澤諭吉」なのであろう。

 ぼくは「梅田さんは福澤諭吉である」と
ここに宣言します。

 日本に限って言えば、今は「明治」だと思うと、
なぜだか本当に勇気とやる気と
エネルギーがわいてくる。

 今までの常識にとらわれず、
新しい世界を作ろうではないですか。

 「はてな」の若者諸君も、
一緒にがんばりましょう。


「はてな」の入り口


「はてな」のお菓子棚と、梅田望夫さん



「はてな」が誇るサーバー群。


「はてな」の人々

1月 20, 2007 at 07:56 午前 |

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コメント

脳を活かす仕事術を読んでいます。とにかく出力だと思い、コメントを書いています。 初めてコメント送ります。

何かに立ち向かうとき、今を壊すって気持ちは、本当に大きな力になると思います。

自分の仕事でも おかしな事が多いです。でもそういった事に 向かっていくのは楽しいです。そして それが無かったら 多分仕事は面白くないのかなぁと思います。

今は明治 明治維新と聞いて なんだか 勇気が出て 胸が高鳴りました。
ありがとうございます。

投稿: | 2008/09/26 13:49:21

            はてな  ?

インターネット 入り口は   はてな ? からでした。

はてなの人に  ひどくおこられた   懐かしい

    ネチケットもない IT 資格無し  って

誤検索  (津野祐子)  津島佑子 が ?の 入り口

       そして いま   ここ   ?

          

投稿: | 2007/01/23 8:29:30

はじめまして、私も、歴史の本を読むと、「この本の中の世界と関係した世界にいるのだな。」、と、言う、再認識のような不思議な感覚が起こる事があります。

投稿: | 2007/01/22 5:32:54

自分の今は明治時代だという考えは賛成です。
梅田さんは福澤諭吉なら
自分は坂本竜馬だ!!!!
とここに意気込まさせてもらいます。

投稿: MACKEY32 | 2007/01/21 5:47:02

本当に、訳の分からない規制とかお約束ごとがまかり通っている今日の日本。誰がしたんだこんな國!と憤りたくなる気分になるが、実は今みたいにわる〜い意味で「不思議な国」にしたのは、ほかでもない政治家・法務家を含めた我々なんですよね・・・。

茂木さんのおっしゃるような、輝く国になる為にはオペレーティングシステムの書き換え以外にも、人心の根本的な革命=人間革命が必要なのです!・・・つまり、みんながそれぞれ、自分たちが偶有性の本体だと悟り、住んでいる世界の多様性を快く受け入れられる心性の持ち主になっていかなければ、日本は間違いなく、世界の潮流から取り残され、地球の孤島になるでしょう。

今は明治、全くその通りかもしれません。

黒船たるグーグルが入ってきて、とろかった日本のインターネットシーンもだいぶ様変わりしてきた。誰でもいつでもどこでもPCと携帯さえあれば、知りたい情報を検索できる時代になった。ヤフーだけしかなかった頃と比べたら、まさに天地雲泥の差だ。

もっと革命が進んでいけば、今の日本を覆い尽くしている詰まらない社会規約なども、ガラガラポン!というふうに崩壊し、人々は真の自由のありがたさと、責任というものの大切さを心底知ることだろう。

そしてそのとき、初めて、日本は世界に冠たる輝ける国土世間となるのだろう。

・・・それにしても、梅田さんのオフィスって、いや〜なんだかおもちゃ箱みたいで、いるだけで楽しい気分になりそう。

写真がスムースにアップロードできればいいのにね。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/01/20 13:27:07

おはようございます
いつも楽しみに読んでいます。

「下宿の女子学生は採用しない」などというわけのわからない企業があるとまことしやかに言われていた。

こういうの今でもあると思いますし、また、あると信じて女の子を育てている親もすごく多いです。さらに、いざ結婚するとなるとこういう価値感で女性を品定めする男性も少なくはないです。
親元にいれば貞淑で、一人暮らしをしているとどこか乱れているんですって(笑)
バカバカしいですが、なかなかなくならないのはどうしてですかね?
自分の目で見て判断できない、自己の判断を信じることが出来ない、だから昔から言われているような判断基準に寄りかかって安心するしかないってところなんでしょうね。

投稿: | 2007/01/20 10:30:43

おはようございます。

そうかあ、いまは維新なんですね。 だからいろいろなことが起こるんだ。。

前の対談ではあまりぴんとこなかったんですが、2.0の意味がわかった気がしました。
ど素人でも、このままでは…というのはひしひしと感じまする。。

自他境界あいまいの寄りかかり談合体質も、ついでにぐらぐらっ、地殻変動おこりますように。

投稿: | 2007/01/20 9:03:25

    ・・・ 明治気質 。。。

          嫌いじゃないです

                 寧ろ  憧れ 。☆

投稿: | 2007/01/20 8:25:28

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