柳川くんの1172 wordsの問題
私は東京工業大学の大学院で
たくさんの大学院生をあずかっているので、
実質的にはフルタイムで
大学の先生をしているのと
変わらない。
午前中から柳川くんの論文をやり始めて、
終わったのは約16時間後だった。
うーむ。
この間、柳川くんと頻繁にメールの
やりとりをして、
数えてみたら78通になっていた。
苦しいなあ。
以前は、他人の書いたヘタくそな(失礼!)
英文を読んで直したり、
論理の脈絡がないのを、何を言いたいのか
理解したり、
あそこが足りない、ここが足りない
などと指摘したりするのは
苦痛なことだったが、
最近は随分慣れてきて、
ある種独特の喜びを感じるまでに
至った。
教師稼業も板についてきたという
ことであろう。
比べるのもおごがましいが、
かのアインシュタインは、特許局にて勤務
している間、街の発明家が持ち込んで
くる案件をクビをひねって論理の
整った申請書類にする、
その作業が役に立ったと
回想している。
と思ったら、編集部からメールが
来ていて、1172words too longだという。
こまったなあ。
とは言っても、シミュレーションに関する
細かい記述をさらにsupplementary materialに
移してしまうことで解決するしかなさそうで
ある。
おほん。
もう正月休みも終わりだ。もともと
なかったようなものけれど。
オレタチの仕事をやっていないじゃないか、
と怒るあの編集者の顔、あのひとのこと。
ごめんなさい、ベストを尽くしています。
しかし私の手も脳髄も光のスピードより
速くは動けないのです。
そうですね、光のスピードというのは
大げさで、それよりはまだまだ
余裕がありますね。
とにかく柳川くんの1172 wordsの
問題を解決しなければならないのである。
それでは皆さん、ごきげんよう。
1月 5, 2007 at 06:02 午前 | Permalink
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» 「大人になる」ということは トラックバック 銀鏡反応 パンドラの函
@子供は転んだ時、イタイ、イタイと泣く。なぜなら、転んだら痛いに決まっているからだ。
@子供はストレートだ。思ったことをすぐに口にする。
@背丈が伸び、脳内のネットワークがつなぎ変わっていくにつれ、イタイ、イタイと泣かなくなり、思ったことをすぐに口にしなくなる。
@心の中に、意識の奥に、押しこめようとする。思ったことや感情のセルフコントロールを習得していくからだ。
@そうして我々は徐々に貝のようになっていく。開かぬハマグリのように、浅蜊のようになっていく。
@「大人になる」ということは、つまりは感情... [続きを読む]
受信: 2007/01/05 18:18:18
» 「大人になる」ということは トラックバック 銀鏡反応 パンドラの函
@子供は転んだ時、イタイ、イタイと泣く。なぜなら、転んだら痛いに決まっているからだ。
@子供はストレートだ。思ったことをすぐに口にする。
@背丈が伸び、脳内のネットワークがつなぎ変わっていくにつれ、イタイ、イタイと泣かなくなり、思ったことをすぐに口にしなくなる。
@心の中に、意識の奥に、押しこめようとする。思ったことや感情のセルフコントロールを習得していくからだ。
@そうして我々は徐々に貝のようになっていく。開かぬハマグリのように、浅蜊のようになっていく。
@「大人になる」ということは、つまりは感情... [続きを読む]
受信: 2007/01/05 18:19:45
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コメント
茂木さん、こんにちは。
アインシュタインの例、対人関係にも応用できそうですね。
行間を読むならぬ「話間」を読むと言うのでしょうか。
ただし、相手の意図がどれだけ発話上の言葉に乗っかってるかは、これはこれで考える余地有りですが、ヴィトゲンシュタイン流の「解釈」と割り切れば、対人コミュニケーションも多少は今より円滑に行くかなと。
あくまでも相手の意図への推測を深めるという意味ですが。
投稿: 比留間尚希 | 2007/01/06 4:49:37
先ほど書いたコメントの補足です。
学生諸君の為にメールのやりとりをされる茂木先生のお姿に、一介の教育者としてあるべき義務を果そうとする姿勢が、垣間見えるような気がする。
街の発明家の案件を立派な論文にする作業が、かの天才が偉業を生み出す上で役に立ったとは…。
教師稼業も意思の持ちようで、その人の人生を偉大な方向に開いたり、そうでなかったりするものなのだな。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/01/05 23:34:59
茂木先生も、昨日が初仕事だったんですね。
学生たちの為にいろいろ工夫され、頑張っていらっしゃるんですね。
本当に頭が下がります。
でも、あまりご無理を為さらぬように…。
さて私事で申し訳ないが、自分もいまの仕事に慣れるまでは、
非常に苦労した。
慣れないトイレ清掃にいらだったこともままある。
2年経った今では、だいたいの要領を覚え、
冬のトイレ掃除も苦にならなくなった。
それでも、知的な労働が恋しくなるときが度々ある。
しかし、いまの職場で、いまの仕事をやるにおいて、
私もベストを尽くしていくつもりでいる。
投稿: 銀鏡反応 | 2007/01/05 18:00:26