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2006/12/18

白魔術を使うキリンさん

 イギリスBBCのコメディ、
Little Britain
は以前から
好きだったが、
 しばらく前にイギリスのアマゾンから
届いたLittle Britain liveを見ていて、
最後のシーンのところで
はっとした。

 車いすに乗った青年と、それを押す親切な
ボランティア、「肥満との闘い」のインストラクター、
 女装趣味の男ふたり、「村でただ一人のゲイ」、
ゲイの首相側近、店に来てへんな買い物をする
コートの男・・・・

 この番組には、数々のキャラクターが出てきて、
同じ人が何役もやっているんだろうと
 なんとなく思っていたが、 
 劇場でのライブ公演の記録を見ていて、
 カーテンコールで二人の主役、
Matt Lucas(太っちょの方)と
David Williams(細い方)が「素」
で出てきたときに、
 「なんだ、全部こいつらがやっているんじゃ
ないか!」
と気付いて、
 驚愕するとともに、限りないリスペクトを
感じた。

 役柄から受ける印象がぜんぜん違うので、
同じ人がやっているとはとても信じられず。
 しかし、実際には間違いなくそうなんだから、
とにかくすごい。

 人間には、自分の中に無限のキャラクターの
可能性が潜んでいるのだと思う。
 いわゆる「多重人格障害」(解離性同一性障害)
のことを言っているのではない。

 自分の過去を振り返っても、そう思う。

 中学校のとき、ぼくは普通の公立に行っていたから、
「ピア・プレッシャー」に悩まされた。
 勉強は苦労しなくてもできたけど、
それがかえって「ガリ勉」とかそういう
イメージに結びつきそうで、
 むしろ不良達としゃべったり、バカ話を
して溶け込むのにそれなりに必死だった。

 あの頃の自分のキャラクターは、吉本の
芸人に近かったと思う。
 冗談ばかり言っていたし、道化のようでも
あった。

 高校のときは、逆に、とてもマジメで
文化的な志向の高い青年となっていた。
 中学と高校では別の人間のようだった。

 これからだって、どんなパーソナリティーの
種が自分の中に宿っているかどうかわからない。
 そのことを、大いに勇気を与える
考えとして、私は受け止める。

 Little BritainというのはもちろんGreat Britainの
パロディーである。

 かつては七つの海に冠たる存在
だったかも知れないが、
 今はただの「小さな」国。

 David Williamsが演ずる、
優雅に着飾った夫人が、
 クッキーを食べて、
Who made this?
 誰が作ったの?
 と聞く。

 それで、答えがインド風の名前だったり、
ゲイの人が作ったり、黒人と結婚した
女の人が焼いたとわかると、
 夫人が、急に吐き気をもよおして、
 「ウェー」
といいながらすごい勢いで吐いて、
 他のひとたちがゲロまみれになる。

 自分たちの中の差別意識、尊大な部分を茶化して
カリカチュアとして描く、その切り刻むような
自己批評性はさすがだ。

 夜郎自大と暗い自負心ばかりが増大する
どこかの国には、ツメノアカが必要だろう。

 自分で自分のことを美しいとか、
偉大だと言うのは、
 インテリジェンスの欠如に過ぎない。
 
 Little Japanと言えるようになった方が、
きっと日本は大きくなれる。
 

日本のアマゾンでも買えるLittle Britain

 日曜日の午後、
 小石川植物園から、東大博物館の分館に向かった。

 ブルータスの鈴木芳雄さん、橋本麻里さん、
和楽の渡辺倫明さん、写真の森本美絵さんと
豪華メンバーがそろい踏み。

 東大博物館助手の藤尾直史さんが
たいへん興味深いお話をいろいろして
くださった。

 東京駅に移動。
 徳間書店「やわらか脳」刊行を記念して
 丸の内丸善でのトークショウとサイン会。

 思ったより大変で、サインだけで二時間かかった。

 新しいキャラクターが誕生した。
 帽子をかぶって、白魔術を使うキリンさん。

 気に入って、何匹も何匹も描いた。

 うれしいことがあった。
 打ち上げに、静岡の河村隆夫さん
(冑仏研究家)がいらした。

 河村さんはしばらく前に胃の手術をされて、
無事完治された。
 しかし、もうお酒を3ヶ月も口にされていないと
言う。

 少しだけ、と禁を解いた。

 一口含んで「いやあ、うまいですねえ」

 その様子を見て私もうれしかった。
 ほっとして温まる

 ビールを手にちょっと苦み走った河村さんの
笑顔が、
 心の一頁にしっかりと刻み込まれた。


元気になってビールと再会の河村隆夫さん

12月 18, 2006 at 07:51 午前 |

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コメント

あれ~! キリンだったんですか~。私のはきりんに見えなかったな~
でも、お宝になりました。(^-^)

イギリスのコメディは、ミスター。ビーンしか知りませんが、先生お勧めのLittle Buritain のキャラクターって、面白そう!ってゆうか面白い顔!

それから、茂木先生の中高生はそんなだったのですか・・・納得! しました。

私は半月のようだったですね。半分明るく、半分暗く。
小学校の5、6年の時、友人達に描いて上げたスターの似顔絵を全部
女の先生に没収されました。
中学の時は、得意な美術の成績10が、3年の時だったかな? いきなり2になりました。10から2ですよ。その時の挫折感。親にも言いませんでした。
その男の先生は、20才を過ぎてから、同窓会の度に、私に握手を求めてきたり、やたら話しかけてきます。すっかり昔のことを忘れているようでした。

いまで言ったら、先生によるいじめというでしょうが、その時は理不尽な仕打ちとしか思いませんでした。
中学時代、打ちのめされている時出会った本が、ドクター中松の本でした。
本の題名は忘れましたが、最も苦手なことに挑戦しなさい、と書いてありました。私はそれで、発想の転換をはかり、苦手な商業高校へいきました。そろばんも、お金の計算も大の苦手で、やっぱり美術が得意で、
2年生の時作った作品の絵皿は、教頭先生が何度も絶賛してくれました。
それで、私の未来はバラ色か、と思いました。
翌日、その展示された絵皿は真っ二つに割られていました。(笑)
その直後に美術の先生は突然亡くなりました。

私はそのネガティブな過去のトラウマを余り人に話したことは無かったです。
その後美術系の短大に進みましたが、あの時の何故あんなことになったのか、ず~とその訳を頭の隅で考えていました。随分年月を経て、その理由が、ある時分かったのです。

だから、正直、先生という人にはトラウマがあって、警戒をしていました。けれど、先生も人間で、先生にも欠点はある、と気楽に考えるようになりました。ていうか人間って欠点だらけ。そう思うとがっかりしないし。自分もそうですしね。

でも、茂木先生は特別。私は茂木先生を天才だと思っています。だから
コメント載せて頂いて、本当に感謝しています。

私がこんな告白をしたのは、もし自分もそんなことがあった、と言う人があれば、それは、あなたに与えられた試練だと思って欲しいな、と思って。


投稿: | 2006/12/19 2:05:03

こんにちは。
Little BritainにLiveがあったんですね。
早速Amazon U.K.に注文してみます。(日本のアマゾンはリジョン1のアメリカ版しか今は扱ってないようで、少し不安なので)

私もイギリスの自分を笑うユーモアが好きです。それって、自分に愛というか、自信があってこそできることですよね。

投稿: Kaori | 2006/12/19 0:06:37

河村さん、お元気になられて本当によかったですね!

ビールを飲まれるお顔も苦みばしっているけど、
トテモ満足そうな笑顔ですね。
何卒、何時までもご健康、ご長寿であられんことを…。

きょう、上野の美術解剖学講義へと向かうために新橋駅のフォームに経っていたら、SL公園のSLの横で右翼団体がデカイ音響で演説をぶっていた。

ああいう夜郎自大がいまだにこの島国に住みついているのだなぁ…。

1度、こんな右翼のみなさんに、
茂木さんの好きな批評性たっぷりの、
イギリスのこのコメディを見せてあげたら、
いったいどんな顔をスルのか知らん?

かつては「大日本帝国」などとえらぶり、
アジアを蹂躪し、傀儡国家まで作った夜郎自大の島国。

戦後は「高度経済成長」のウェーヴに乗りに乗りまくり、
破竹の経済成長を続け、

'80年代には「一億総中流主義」の
バブリー幻想にとりつかれ、
浮かれにうかれマクッタこの島国…。

そして、いまやこれらかつての栄耀栄華もうしない、
少子高齢化で縮んでいく一方の、この島国。

もはや人口的にも大きな成長がみられないなら、
いっそ、Little Britainに倣い、
自分の国の中にある差別的感情や、
尊大無比で
夜郎自大なその体たらくを徹底的に茶化して、
お茶の間の笑いを取ってみては如何?

吉本興業あたりでやってみては如何?
(その前に少し研究は必要かもしれない…)

ええかっこして「美しい国」を気取るより、
かえって精神衛生によいのではないでしょうか。

如何です、島国の皆さん!

この際、ええかっこして
「美しい国」とか
「偉大な国」と言うのをやめて、
日本という国の中に潜むいやらしさ、
えげつなさを、
思いっきり茶化して、
ゲラゲラ笑い飛ばしてみては??…と、
言ってあげたい師走の冷風吹く日々。
茂木さん、こんな文章ですいません。


投稿: 銀鏡反応 | 2006/12/18 21:04:09

きりんさんは
今、ちゃんと、ここにいるのに
いつも、みんなより少し先が見渡せるから。

投稿: | 2006/12/18 9:28:16

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