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2006/12/03

なにごとであれ、もっとも肝心なことは

果たして、時間通りに到着できるか、
とても心配だった。

 ぎりぎり5分前に会場に着いた。

 横浜市立大学の門の前にタクシーが近づくと、
心配そうに立ってこちらを眺めている
人がいた。

 ゲートを開け、タクシーが構内に滑り込むと、
次からつぎへと人が現れて、
誘導してくださった。

 まるで、タクシーの進路をガイドするために
一列に並んでいるような気配。

 これは心配をかけてしまったなと、
申し訳ない気持ちがした。

 講堂の中をみると、どうも言われていたような
一般市民というのとは様子が違う。
 あわてて、パワーポイントを調整して、
やや専門的な内容が反映されるようにした。

 講演を始めてしまえば、時間はあっというまに
経つ。
 時間が流れて、やがて終わって
拍手がなる。

 そんなことを、今年は一体何回繰り返したことだろう。

 タクシーで横浜へ。
 
 乗り継ぎ、上野へ。
 弁当を買い、スーパーひたちに乗る。

 仙台行きで、果たして寝過ごさないか心配になる
ところだったが、
 電通の佐々木厚さんと、ブルータスからの
若林さん、本田さんのふたりがいたので
 安心だった。

 水戸芸術館の浅井さんにご挨拶。
 
 佐藤卓さんとお目にかかるのは久しぶり。
 ついつい、実質的な話が始まってしまいそうになって
いけない、と席を立って歩き始める。

 展覧会場に移り、
展示を見ながら、
 佐藤さんの作品の本質は何だろうと考える。

 なにか重大なことが隠蔽されているように
感じる。
 それは何だろう。

 サトウタクというと、キシリトールガムや
おいしい牛乳のすっきりしたかたちが
思い浮かぶが、
 その背後になにかが隠蔽されているようにも
思われて。

 1時間30分の対談中、いろいろな気付きがあった。

 「ぶたいっぴき」という焼き肉屋で
打ち上げ。

 佐藤さんと肉をぱくぱくとほおばりながら、
さらに話す。

 なにごとであれ、もっとも肝心なことは
大抵隠蔽されている。

 そのような、隠された起源をいかに
白日のもとに引き出すか。
 そのような作業が、多くの思想、科学の
命題となる。

 良いデザインは、ものごとの本質を
とらえ、
 しかしそれをむき出しにするのではなく、
美しいフォルムへと昇華させる。

 サトウタクさんの仕事の背後に隠れているように
感じられたのは、結局はそのようなことだと
気付いたのが、水戸での収穫だった。

 少し北に移動しただけで、
寒い。
 ぶるぶるとふるえながら、
 思いのほか大きく広がった
空を見つめ、月を探した。

 すぐれたデザインの背後には、
必ずなにかが隠されている。

 夜空をデザインしたのは誰なのだろう。

 その向こうには、何が隠蔽されているのだろうか。

12月 3, 2006 at 07:41 午前 |

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受信: 2006/12/03 19:38:31

コメント

毎日楽しく読ませていただいてます☆

投稿: sayaka | 2006/12/03 18:30:15

優れたもの・ことの裏には本質的な「肝心な何か」が隠蔽されている。御菓子屋やコンビニなどでみかけるあの「ガム」や、スーパーに置いてあるあの「牛乳」のパッケージデザインには、一体何が隠されているのか。

“そのような、隠された起源を如何に白日のもとに引き出すか。そのような作業が、多くの思想、科学の命題となる”

佐藤卓氏のデザインに限らず、優れたもののデザインには、その中に隠された本質が“剥き出し丸だし”にならないで、美しくシンプルな「かたち」に昇華されている。

そういう意味では、100以上前から売られている資生堂の「オイデルミン」(Eudermine)の1997年からの新処方ヴァージョンのボトルは佐藤卓デザインのように「美的」な本質を、コンテンポラリーで美しい「かたち」に昇華させているような気がする。

翻って自分の作品「イラスト」をみれば、佐藤さんなどの作品とはお比べものにはならないほど、いいたいことが剥き出しになってしまっている。もっと美しく昇華できないものか。

フラワーピッグこと茂木先生は、ものごとの本質に本気で迫られている。だから佐藤さんのデザインから素晴らしい収穫を得られたのだと思う。

同じ佐藤さんで、佐藤可士和さんの作品も、ポップだけれど、ひょっとしたら、「肝心なこと」をポップなスタイルに昇華させているのでは、とも思ったりして。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/12/03 10:48:59

夜空の向こう側はしらないけど、すぐ隣の森の中で、息を潜め、休む小鳥や、闇にまぎれて動き出す動物たちの存在を感じる瞬間は、どきどきします。

美しい、夜空を眺めることは、朝焼けをみることより、時には生きてる感動を味わえるように思います。

投稿: 平太 | 2006/12/03 9:43:47

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