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2006/12/12

ほら、なんと言ったっけ

おじさんというのは人に言われる
前にという諧謔の精神であって、
 本当にそうだと思っている
わけではない。

 筑摩書房の増田健史、NHK出版の大場旦
と行き始めて、おそらく3年目になる。

 今年は塩谷賢が加わった。

 日曜の午後だったら空いているだろうと、
ロマンスカーに乗って、箱根湯本に向かう。
 
 ビールを開け、さっそく議論を始める。
 何しろ話すのが三度の飯よりも
好きな面々だから、話題は尽きない。

 John RawlsのTheory of Justiceを、
増田健史は大学院の時に原著と
日本語訳を対照して読み込んだのだという。

 誰にでも青春の書はあるものだ。
 ぼくは、1989年に出た
PenroseのThe Emperor's New Mindを
読んだことが脳科学を志す一つの
大きなきっかけとなった。

 状況論と本質論。
 その狭間で、一体どのように生きて
いくか。

 そんなこんなを語り合っているうちに、
電車は湯本へ着く。

 赤い顔をしている私たちを見たのか、
おばさまたちが、
 「忘年会に来る人たちが多いんじゃないの」
 「ああ、それで」
と噂しあう。

 くわばらくわばら。
 紳士たるものが、これではたまらない。
 足早に改札を通り抜ける。

 部屋でも当然のように飲み続ける。
 うとうとしていると、「茂木さん
笑点の時間ですよ」と増田健史が起こす。
 そこに仲居さんが来て、「お風呂に入られたら」
と言う。

 「笑点はいいんですか」「いや、いいんだ」
と殿方浴場に向かった。

 さてさて、風呂から上がると、
楽しみな食事。

 その前に、ドンペリを開け、
キャビア(最高級のベルーガ!)を
皆で食べた。
 
 何も私の手柄ではない。静岡の
河村隆夫さんがご親切にもお送り下さった
ものである。

 「これからいただきます」と河村さん
にお礼の電話をする。

 おしらさまもことのほか
ご満悦のようだった。
 「オソロシイことだけど、金さえあれば、
毎日でもやってしまいそうだなあ。」

 世が世なら、おしらさまは
シャンパンとキャビアを毎日楽しまれるので
ありましょう。

 ご満悦の塩谷賢(おしらさま)(左。念のため)と増田健史

 御馳走でおなかがふくれると、普段の激務の疲れも
出て、自然にまぶたが重くなる。
 大場旦がまっさきに枕のともだちになった。

涅槃を夢見る大場旦

 将棋をさしたり、談笑したりしているうちに、
増田健史がカラオケに行こう、と言い出した。
 「いやあ、最近、茂木さんのやっている番組の
主題歌が耳に鳴って仕方がないんですよ。
 みんなでカラオケに行ってProgressを歌いましょうよ。」

 ボックスは空いていなかったので、ラウンジの
方になった。
 他のお客さんもたくさんいる。

 私は何となく恥ずかしかったので、
ワンコーラスだけ背中を見せて歌って、
それから席に戻って帰ってくると
 隣りの席に座っていたひとが
「テレビに出る人でしょ、ほら、なんと言ったっけ」
などと話しかけてくる。

 「ほら、なんと言ったっけ」は、
「いやいや、まあ、その」と
手を振ると、
 二人のカリスマ編集者がProgressを歌い上げて
いるのを眺めて、ビールをぐびりと飲んだ。

 増田健史と大場旦が、みごとにProgressを歌い上げた。

 いつの間にか眠り込んでいた。
 はっと気付くと、塩谷と増田健史が車座になって
はなしこんでいる。
 それがまぼろしのような残像となって、
目が覚めたら一番乗りの風呂だった。

 連中は朝5時までやっていたらしい。
 一体何を話していたことやら。
 おしら様と話し込むと、長くなることは
学生時代から良く知っている。

 ロマンスカーで帰りながら、
大切な未来の話をした。
 結局、どこでも本質論のことを話している。
 そういうヘンなおじさんたちの温泉でした。

 NHKで打ち合わせ。
 局内のばらえ亭で
わんたん麺を食べる。
 しみじみとおいしい。わんたんは
いいやつだなあ。
 
 電通の佐々木厚さんと名古屋へ日帰り。

 帰路、ビールを飲みながらみそカツを
食べて、ああ、本当に歳末になっている
んだなあと感じた。

 そんなことをしている間も
ずっと手は動いている。
 働いてもはたらいても、
残りの仕事の量は一定、もしくは増加する。
 これが人生の法則なり。

 思いでのひととき。
 おじさん温泉で盛り上がっているとき、
大場旦が突然、「ひらめき脳でアハ体験!」
と叫び始めた。

 いつもはクールダンディーなオオバタンが
そんな宣伝をしてくれて、
 ぼくはとてもうれしかった。

「ひらめき脳でアハ体験!」と叫ぶ大場旦(動画) 

12月 12, 2006 at 08:37 午前 |

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いつもの調子で、なかなか新しいお話をできずにおりますのに アクセスカウンターによれば、こちらにおいでくださっている方が 少なからず、いらっしゃるようです。 足音を感じるだけで、こちらからは声もおかけできませんでしたけれど そのことが、私にとっては、ホントウに心強く思えて… 無性に、お礼を申し上げたい気持ちになりました。 ... [続きを読む]

受信: 2006/12/13 6:31:45

コメント

ロマンスカーに乗ったそばからビールを飲み飲み議論する4人のおじさん。
無論、ここでいう「おじさん」とはいわゆる諧謔的な意味で、なんだよね。彼等4人は寧ろ永遠の少年だ。

おしら様のお姿、久々に拝見できました。やっぱり「ヒゲメガネオヤジ」って感じだなぁ(失礼!)。右におられるのは増田さんですね。なんだかもう赤い顔して「出来上がっている」なァ。大場さんはもう寝ちゃっておられますし。

宿に着いても、4人は飲んで、議論して、茂木さんが河村さんから頂いたドン・ペリを開けてキャビアを食べ食べ…。そのうちカラオケに興じるは、朝の5時まで話しこむは…。トテモ楽しいひとときだったに違いない。

茂木さんはといえば、すっかり“まどろみの中にいます”状態の人になっていた。フラワーピッグがまどろんだ中で見た光景は、きっと夢だったんだよ。


箱根湯本の空気と自然は、彼等4人を大きく包んで、ワイガヤするのを許している。4人とも大いに英気を養ったに違いない。

茂木さん、おじさん温泉の詳報、有難う御座いました。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/12/12 18:55:20

かみ合う議論ほど楽しいものはないと考えます。某番組の議論なんかを見ていると・・・話の次元が違ったり、まったく論点がずれた議論だったり、そこには「コミュニケーションギャップ」が発生しているのではないかと・・・。「いい湯だな♪」が目に浮かびますね。

投稿: 飯嶋 倫 | 2006/12/12 15:22:32

「ヒラメキノウウデ、アハタイケーン」
朝から、爆笑でした。
今日は一日幸せです。
ありがとうございます。

投稿: | 2006/12/12 9:07:17

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