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2006/12/05

私たちはついつい油断して

渋谷で、
 サントリー音楽財団の佐々木さん、
江村哲二さんにお目にかかっていた。

 「
 ぼくは、ネガティヴな感情はそのまま
出してしまうのでは本人のためにも世界の
ためにもならないと思う。

 脳の中には、黒魔術を白魔術に変える
魂の錬金術がある。

 モーツァルトの中にも、暗い感情、
黒い思いがあったに違いないが、
それを正に転化するおどろくべき術を
持っていた。

母親がパリで
死んだときに作曲した交響曲31番『パリ』
は、突き抜けるように明るい。
 」

 そんなことを言ったら、江村さんが
ちょっと言いよどんで、そして座り直した

 「これは、言うつもりはなかったのですが、
実は、昨晩母親が亡くなりました。」

 「えっ。」

 「前から療養はしていたのですが、
急なことで。」

 「江村さん、こんなところにいていいんですか?
今日の芸大の授業も、本当に予定通りで
いいんですか」

 「ええ、お通夜は、今日のはずが明日に延ばしました。
大切な予定なので、母親も、そうしなさいと言って
くれるような気がします。」

 「・・・・ありがとうございます。・・・・」

 NHKへ歩きながら、
去年、母親が胆石で入院した時のことを
思いだしていた。

 あの時のさまざまは、
今も渦としてうごめいている。

 いつかは終わると思うからこそ、
このふしぎな地上のありさまは
ありがたくも感じられ。

 「サラリーマンNEO」のスタジオを
初めてみる。
 12月24日放送予定の
「クリスマス・スペシャル」の収録。

 東大の水越伸さんが
さすが! のトークを繰り広げていた。

 私は、「脳科学」から見たNEOの魅力に
ついて語った。

 専門用語を駆使して、NEOのすばらしさを
語るのだが、
 中田有紀さんが、「あのう、もう少しやさしく
ご説明いただけませんか?」
と困った顔をする。
 
 「きみぃ、こまるねえ。これ以上やさしくは
せつめいできないよ。つまりだねえ、エッジ・オブ・
カオスの上においてだねえ・・・」
とさらにジャーゴンを駆使して暴走するという次第。
 
 ついにはとなりの中田さんが、「はあ?」
あきれる絶妙な掛け合い。

 演出の吉田照幸さんが、
「いやあ、中田さんが、ここでいって欲しい、
という絶妙なタイミングでいってくれて
良かったです!」
とにこにこしながらやってきた。

 『プロフェッショナル』からは、有吉伸人さんと
河瀬大作さんが「見学」に来ていた。

 東京芸大の美術解剖学の授業。

 江村さんが、すばらしいお話を
してくださった。

 自分のうちなる音に耳を傾けること。

 ジョン・ケージの「偶然性の音楽」の意味。

 表現者として成長するために必要な、孤独な魂の
修業。

 根津の車屋に赴き、江村さんはしばらく
ご歓談くださり、そして新幹線の上のひととなった。
 
 今は亡きお母様のご冥福をお祈りいたします。

 もう公園で飲むには寒い。
 今年はあれが最後だったのだな、と
思い返しているうちに、
 はっと、植田工がいっしょに公園で飲むのは
あれが最後だったのだと気がついた。

 就職してしまえば、なかなか来れないだろうし、
来たとしても意味が変わってしまう。

 私たちはついつい油断して、あとづけでなければ
人生の一回性を認識できないが、
 その一方で、油断しているからこその
あのゆったりと味わうべき時間の流れでも
あったのだろう。

 子ども時代のこがねのかがやきは、
いつかはそれが去ってしまうということを知らぬ
没入があるからこそ、深みを増す。

12月 5, 2006 at 08:37 午前 |

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