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2006/11/30

金曜の朝になってしまうと

たとえ眠くても早く起きて、がーっと英文を
書く。
 終わって、アップロードし、
submitのボタンを押す。

 それから
電車にぱっと飛び乗り、
 混んでいる時間帯なので、
Yes, MinisterのThe Whiskey Priestの
エピソードを聴きながら
 田園都市線を
 がたんごとんと
 すずかけ台に向かった。

 東京工業大学知能システム科学専攻の
専攻会議。

 重要事項の報告。

 さて、これから
 どうやってそこにいくんだろう、と
検索してやっと「あざみ野」という
駅を見つけた。

 おなかが空いていたが、
駅の回りをぐるりとしても、
 お目当てのそば屋も吉野屋も
なかった。

 えいやっと横浜市営地下鉄に
乗り込む。
 
 降りた三ツ沢上町で、
コンビニに飛び込み、オニギリを買う。

 「あのう、ヨコハマコクダイはどちらの
方向でしょうか?」

 「あちらです。歩くと15分くらいです。
向こうに渡ってから行くといいですよ」

 ちょうど食べ終わったところに
タクシーが来た。

 三宅晶子教授のご紹介で、
 「女子体育」のバックナンバーを
前に、
 高橋和子教授とお話する。

 教室に移り、
 「脳と仕事力」というタイトルで講演。

 学生たちは元気で、笑いが絶えなかった。

 タクシーに飛び乗り、横浜駅へ。

 移動中もパワーポイントを作ったり、
文字を並べたり。

 ソニーコンピュータサイエンス研究所の
ミーティング。
 「南の知性」
 や「コミュニケーション」の話題。

 目黒駅に移動し、
コンコースを歩き、
駅前のロータリーの小さな椅子に
腰掛けて
 またもや仕事をしていると、
二度ほど
 「茂木健一郎さんですか」
と声をかけられる。

 こういう時に握手をするのは恥ずかしい。

 目指すアルコ・タワーがわからなかったので、
目黒川沿いの派出所で聴いた。

 西垣通さん、斎藤成也さんと
現代の文化状況なるものについて
アツイ議論を交わす。

 「そうなんですけどね。サブカルというのは、
そう簡単に手を出さない方がいいと思うんですよ。
ジャーナリスティックなスタンスでは、みんな
すでにやっているんでねえ。それを乗り越えて、
茂木さんの言われるようなことをやると
なると、これはかなり大変ですね。」
と西垣さん。

 斎藤さんから、「中立説とネオ・ダーウィニズムは
違う」という興味深い考え方をうかがった。
 これは、少し検討してみなければなるまい。

 西垣さんから、Ernst von Glasersfeld
のなつかしい名前を聞く。
 RepresentationとVorstellung。
 議論をしたあのウィーンの空間がよみがえる。

 そういえば、あの時は、田森佳秀もいたんだっけ。

 宮台真司さんが遅れていらして、
 インターネット上のアグリゲートの話になる。
 SNSはそうであったか。

 ぼくは、先日羽生善治さんにお目にかかったとき、
「奨励会」というかたちで同好の士が集まるという
アレンジメントに現れている叡智について
 考えたのだった。
 そのことについてはまたどこかで書きたいと
思います。

 「「傷だらけのマキロン」こと
「牧野彰久さんの机はどこですか?」
と聞いた。

 不在だったので、ポストイットに
ぽきっと折れた鉛筆の絵を描き、

 「筆を折ってしまいました。でも、
パソコンで書けるからだいじょうぶです
もぎけんいちろう」
とメモを残そうと思ったら本人がきた。

 いたずらというのはだいたい
事前に発覚してしまうものである。
 だから、ぼくは小学生のときから
くやしい思いをしてきたんだなあ。

 夜もふけ、
 眠い、もうだめだ、と思い、
増田健史に電話して、
 「あのう、あの原稿、金曜の朝になってしまうと、
この世界はオソロシイことになって
しまうのでしょうか?」
 とおずおずと聞くと、
 「しょうがいないなあ」
との返事。

 おかげで少しは眠れた。
 おめめパッチリ。
 気分すっきり。
 やがてはかなくなりにけりじゃなくて良かった。

 カール・ベーム指揮の
ブラームスの一番を聴きながらこれを
書いている。

11月 30, 2006 at 08:27 午前 |

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» 茂木健一郎先生序文『蒼天のクオリア』 トラックバック 御林守河村家を守る会
拙著『蒼天のクオリア』への書評として、 「入手極めて困難な名著です!」と、Amazonのユーズド商品のサイトに書かれています。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/offer-listing/-/478389597X/used/ref=sdp_used_b/249-2157088-9769113 これは著名な脳科... [続きを読む]

受信: 2006/11/30 10:28:03

コメント

 茂木さんの残像がいたるところに見えそうなほどの、
移動と忙しさですね!読ませていただいた後、
なぜか私も疲れを感じました…。


 しかーし!この日記の中の、健一郎さまは、
いつにも増して、むちゃくちゃキュート!


 外は雪。暖かい家の中、ストーブで、割箸にさして
焼いた、中がとろりのマシュマロみたいに、
私もとけてしまいそうなくらい、おめめパッチリ、
気分すっきりの健ちゃんは、キュートでアツイ!


 「ケンイチロウとゆかいな仲間たち(サヴァン、
マキロン、たけちゃんまんセブン)」という言葉が
私の頭をよぎり…健一郎さま、田森佳秀様、
牧野彰久様、増田健史様、ごめんなさい!


 「もぎけんいちろう」って、ひらがなで名前を
書いていた小さい可愛い健ちゃんのことも思いつつ、
想像は時空をこえて、あちこちへ…。


 茂木さんがゆっくり眠られるスバラシイ世界が、
早く訪れますように!

投稿: 龍神 | 2006/12/01 4:52:03

今晩、零時40分、夜空に上弦の月が昇っています。
とってもキレイなので・・・。

投稿: tachimoto | 2006/12/01 0:43:10

この日もお忙しい状態の茂木先生。沢山の仕事に追われて、フラワーピッグは横浜、東京を行ったり来たり。

マキロン氏に、「筆を折っちまった」なんていうメモを残そうとしたら、ご本人が来てそれが見つかった時の、茂木さんのバツの悪そうな顔が浮かんできて思わず、“ぷーっ!”と笑ってしまった。

私も多少経験があるが、イタズラなんてやっぱり、だいたい事前に発覚してしまうものなのです。

現代の文化状況について、私なりに思っていることを、この場を少々お借りして、一つ述べてみたい。

「美少女」「萌え」文化に象徴される幼稚な「アキバ」的な文化(アニメなどを含む)を国が輸出産業としようとして久しいが、どうもあのサブカル的な文化の根底には「ポルノグラフィー」と通底するものがあるように思えてならない。

無論、そんなシロモノばかりではなく、中には良質な文化もあるのだろうが、しかし、大部分は如何も「ポルノグラフィー」の“匂い”のするものばかりだ。

そんなものを国が輸出産業にするなんて、少しは恥ずかしいと思っているのだろうかと思う。

国が本格的に輸出産業にする前から、アキバ的文化は、海外へ伝わり、若者たちを中心に、大歓迎されているそうであるが、しかし、下手するとアキバ的文化が「日本文化」の真髄と思われてしまう危険性があるかもしれない。

そうならないために、もっとアキバ的以外のスカでない、サブカルでもない、日本の新しい文化の潮流を海外に見せるべきではないのだろうか。

…いや、いささか、熱くなり過ぎてしまいました。あまりにもスカやサブカルばかりが流行る世の中に、アタマに来ているのです。

それにしても今週は本当にお忙しい日々が続いているようなので、何卒ご無理を為さらずに御自愛下さいませ。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/11/30 18:41:26

目黒駅で握手をして頂いたものです。

プロフェッショナルの番組が大好きで毎週欠かさず見てます。

私は以前にも、大変興味のあった武術家や俳優に偶然お会いしたことが
あります。


強い思いは、奇跡を呼ぶのでしょうか?


更に、すずかけ台駅は、私が生まれ育った駅だったので、大変びっくり
しました。

投稿: 宮腰 鉄也 | 2006/11/30 17:22:22

目黒駅で、突然握手をして頂いたものです。

プロフェツショナルの番組が大好きで毎週欠かさず見ています。

私は、以前にも大変興味があった武術家や俳優と偶然お会いしたことが
あります。

強い思い込みは奇跡を呼ぶのでしょうか?

投稿: 宮腰 鉄也 | 2006/11/30 17:12:55

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