« (今週土曜日) プロフェッショナル 番外編 | トップページ | プロフェッショナル 仕事の流儀 高野進 »

2006/11/16

「10ドルになります」

梅田望夫さんにお目にかかる。

 山の上ホテルに向かって歩いていると、
「あっ、茂木さんが見えますよ。トラックの横」
と筑摩書房の増田健史が耳元でささやく。

 ふりかえると、手を挙げる
男がいた。

 たけちゃんマンの登場である。

 梅田さんがちょうど部屋から出てきた。
 「どうも、お久しぶりです。」

 福田恭子さんはタケシのことを
「増田クン」と言う。
 それがちょっと新鮮である。

 しゃべり初めて2時間経った時、
福田さんが「そろそろいったん休みますか?」
と言った。
 ボクと梅田さんは、ほとんど同時に
「いや、いいです。まだダイジョウブです」
と言って、
 そのまましゃべり続けた。

 終了後、たけちゃんマンが
「いやあ、茂木さん、今日は燃えてましたね」
と言った。
 それで気付いた。ボクは、きっと、
ウェブの問題については
 かなり熱い思いを持っている。

 インターネットが切り開いた、
誰でも知を得られるという状況の向こうに
見えているもの。
 それは、今までだったらunderdog(負け犬)
だったものたちにとっての逆襲のチャンスである。

 梅田さんは「反エスタブリッシュメント」
とか、「未来への明るい希望」と表現した。
 梅田さんのおかげで、思考がより立体的に
なった。

 「茂木さん、リアルな世界における満足度と、
インターネットに対する関心は、反比例している
んですよ」
 「えっ」
 「茂木さんの言われる談合的世界で
自分の権益が確立している人たちは、ネットに
関心を持たなくても済みますからね」
 「あっ、そうか、そういえば、ネットを見ないし、
メールは他の人に読んでもらう、とか
いう人が時々いますね」
 「リアルな世界で満足していない人が、
ネットに関心を持つのですよ」

 そうだったのか!

 新世界飯店への道は、私が
先導した。

 「このあたりには、私の青春が埋まっている
んですよ」
と言うと、たけちゃんマンが、
 「茂木さんの青春はいろいろなところに
埋まっているんですねえ」と言った。

 「いもや」には、何回通ったことだろう。
カウンターに座り、てんぷらが揚がっていくのを
待つ。
 そうだ、確か、最後に海苔を揚げて
ごはんに載せてくれたのではなかったかしら。

 あの頃は、一緒にビールを飲む、などという
こともせず、
 ただ目の前の天丼を、親の敵にでもあった
かのように
 一気に食べた。

 それから古書店をぶらつく。あの頃の
時間の流れを思い出すと、夢のようだ。

 たけちゃんと一緒に帰った。

 「茂木さん、梅田さん、いい人ですねえ」
 「そうだねえ」
 「おもしろい対談だったね」
 「そうだったねえ」
 「そういえば、茂木さんが中華料理屋で
言ったジョーク、面白かったですねえ」

 梅田さんと知識が「無料」であることの意味を
語り合おうと思って用意していて忘れ、
 中華料理屋でビールを飲んでいて
思い出したのである。

クリントン元大統領は、講演で高額の報酬を
もらうことにすっかり慣れているので、
 ついついその癖が出てしまう。
 この前空港であったので、
 「ハロー、ビル」
と言ったら、向こうも
 「ハロー」と言って、
それから、
 「10ドルになります」
(That will be ten dollars)
と言ったよ。

 会話は無料だからこそ、人びとは
自由に楽しむことができる。
 いちいち課金していたのでは、
自由な流通が妨げられる。

 インターネット上に、ようやく、知識が
無料である環境が整いつつある。
 いよいよ、アツイ。

11月 16, 2006 at 07:22 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「10ドルになります」:

» [web2.0]知は無料時代? トラックバック 歩行と記憶(千人印の歩行器)
 梅田望夫×茂木健一郎との対談があったんですね、  そうです、茂木さんが梅田さんの言葉として書いているように「インターネット上に、ようやく、知識が無料である環境が整いつつある。」のです。 リアルな談合的世界から疎外される団塊の世代が大量に来年度から産み出... [続きを読む]

受信: 2006/11/16 20:53:04

» 無料知識のすばらしさ トラックバック しあわせのくつ
今日は久しぶりに大好きな梅田望夫さん(id:umedamochio)の記事から。 脳科学者として有名な茂木健一郎さんとの対談があったそうです。 その中の一節がとても素敵だと思いました。 茂木健一郎 クオリア日記: 「10ドルになります」 ”会話は無料だからこそ、人びとは 自由... [続きを読む]

受信: 2006/11/17 0:37:12

» まもなく~Web2.0でございます。 トラックバック トミカ トミカ、プラレール♪
トミカ 日本全国バスめぐり3 仙台市交通局のエアポート・リムジンバスと以前読んだ [続きを読む]

受信: 2006/11/18 1:33:52

» まもなく~Web2.0でございます。 トラックバック トミカ トミカ、プラレール♪
トミカ 日本全国バスめぐり3 仙台市交通局のエアポート・リムジンバスと以前読んだ [続きを読む]

受信: 2006/11/18 1:36:25

» [コラム]インターネットに対する関心ってのは トラックバック TTK-TsukaKの日記
梅田さんと茂木さんが対談されたようで、その内容でおもわず声をあげたのがこれ! 「茂木さん、リアルな世界における満足度と、 インターネットに対する関心は、反比例している んですよ」      ・・・ 「リアルな世界で満足していない人が、 ネットに関心を持つのです... [続きを読む]

受信: 2006/12/08 23:13:32

» クリエイティブクラス トラックバック Ryusuke Toyoda World
冬は生物学的に睡眠時間が長くなるそうですよ。 だから、寝すぎてもそれは僕が悪いんじゃなくて、そういう体になってるのが悪いんです。 とまぁ、昼起きの言い訳をしながら、今日のブログを書きます(笑) 今週やっているのが、来週に迫ったマクロ経済学のテ....... [続きを読む]

受信: 2007/02/15 0:01:02

コメント

誤字等訂正:m(。−_−。)mス・スイマセーン

無料というのは、例えば電話や電気まで止められてしまうような状況でも、アクセスが当然の権利となっているような事だと思うので、現在のインターネットは無料では絶対にないですね。

アクセスするまでの投資について、多くの人には少額に思えても超えられない人たちはいるのだと思います。

そして実際のクリントンが10ドルを要求しないのは、目先の利益を追求していないからであって、茂木さんや梅田さんがブログをご自身のプロモーション(出版物のPRや講演の依頼等)のために"無料"で公開することと同じと考えます。

そう言う意味でインターネット革命の意義は、無料で知に触れる事ができるようになったと言うのでなく、"低コストで誰でも"プロモーションをする事が"許されている"事だと思いますがいかがでしょうか?

正義の味方もテロリストもプロモーションできるのです。
そして、本当の知はボランティア(志願兵)が登場するまでネットに登場せず、見極める知恵を持った者だけが情報に価値を与えます。

投稿: | 2006/11/17 16:22:05

御茶ノ水~神田神保町界隈には、中学生のころから30代後半にいたるまで、かなり長い期間、ぶらりと寄ったりしてました。自転車で自宅から御茶ノ水まで行った時代もありました。

高校時代は御茶ノ水の楽器店にて楽器を吟味し、20代からは神保町の古書店街でこれは!という古本を物色し、その裏手にある「さぼうる」という妖しげなムード満点の喫茶店で「コアップガラナ」という飲み物を注文して飲んだこともありました。

この界隈のあちこちに、茂木先生の青春が埋まっている、ということですが、私も偶然ながら、あそこに青春を埋めてきてしまいました(苦笑)。


ネットの登場、そして発展が、負け犬(underdog)たちにとって逆襲のチャンスとなるというが、それは今日、まさに「負け犬」のレッテルを貼られてきた女性(主に)がネットを“武器”にいろいろなかたちで起業している事実からもうかがえる。

団塊以前の、年配の世代は、うまれてから現在までリアルの世界で生きてきたので、それに満足しきっているようだ。でも団塊以後の我等戦後世代は、リアルの世界だけでは満足できなくなっている。

斯くいう私自身、リアルの世界だけで満足せず、ネット上の環境にふたつのブログ、一つの掲示板を開設している。

会話も知識も、ブログへのアクセスも、タダだからこそ、楽しめるし、また得ることも出来る。

ネットでの知識の獲得は、ただのほうがやっぱり有り難い!

嗚呼、…また長たらしい乱文になりそうです!それでは、また。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/11/16 19:26:26

意義あり!   負け犬発言   負け犬の定義は?

    人生に   勝ち 負け は、ない。


     謙虚 本当の驕りを極めた人?


      

投稿: | 2006/11/16 10:40:18

コメントを書く