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2006/09/18

普遍性が担保される二つの道筋

MacBookのキーボードにつき、
対処法のご教示をいただきました。
 ありがとうございました。

 「そうだったのか」と思う店など
多々あり、とても参考になりました。
 
 まだ問題の完全解決には至って
いないのですが、
 同じ症状に悩んでいる人は
多いらしく、
 「一人でなかった」と思うだけで、
随分気が楽になりました。

 たかがキーボードの不具合という
だけで、
 大げさな気もしますが、
なにしろなぜ「シフト+2」を押さないと
「@」が出なくなってしまうのか、
 奇妙きてれつな事態の中に自分だけが
投げ込まれているようで、その不条理の海の
中で宇宙の孤独を感じてもいました。

 だから、それが、「みんなもそうなっている」
「実は、それは、JISキーボードとUSキーボードの
相違と関係している」という形で
「普遍化」されるものだと気付いた時に、
 心が慰安されるような思いがあったのです。

 この、「同じ現象が世界のいろいろな
ところで起こっている」という再現性の回路、
 及び、「JISキーボード」や「USキーボード」
という概念化の回路は、普遍性が担保される
二つの道筋ということができるでしょう。

 「世界でここだけ」
 「宇宙で自分だけ」
かもしれないというむき出しの現実は、
 人を大いに不安にさせるものです。

 人類は言語などを通して普遍化の道を
ひた走ってきたわけですが、
 その心理的必要は案外「不安」からの逃走に
あったかもしれず。

 「菱岩」を訪れるという仕事のため、
夜京都入り。

 「この連休の時期に、よくホテルがとれましたね」
 「はあ」
 
 タクシーの運転手さんにはごまかしたが、
本当は自分でとったのではないのだ。

 テレビマンユニオンの伏谷毅彦さんに
電話する。

 「茂木さん、御夕食はお済みでしょうか?」
 「ええ、新幹線の中で弁当を食べました」
 「われわれはまだなんで、ホテルのまわりを
うろうろしているんです」
 「もう入られたのですか?」
 「それがまだなので。どうせ、われわれも
まだなんですよ」

 どうもヘンだなと思ったら、
一緒に飲もう、ということだったらしい。

 「実はわれわれも新幹線の中で弁当をたべました」
 「そうですか、とりあえず行きましょう」

 祇園へ向かう。

 「一力茶屋ですけどね」
 「ええ」
 「ここに行ってくれ、という目印として
使ったことは何回もあるけれども、実際に
中に入ったことはありませんなあ」

 伏谷さんが10年前、ADの時に
来たというフィンランドのバーに入る。
 今ADという加山隆太さんは
入って2年目。

 テレビマンユニオンは入社試験で
新卒プレミアムがないのだという。
 何歳でも受けられる。加山さんは
現在31歳である。

 伏谷さんは文学青年だったと初めて
知った。
 中学で開高健に出会い、
それから濫読したそうである。

 『ニューロンの回廊』で何回か
ご一緒したが、そんな機微はしらなかった。
 だから、深夜のバーは面白い。

 帰りのタクシーの中で
カズオ・イシグロのNever let me go談義を
した。

 私のキーボードはヘンテコなままだけれども、
だましだまし使っている。

 知らなかった人、わからなかったものが
徐々にわかってくる
のは、
 普遍化であり、不安の解消である。

 ヘンテコはヘンテコとして使いこなす
ということは実は貴重な体験なのかもしれない。

9月 18, 2006 at 08:09 午前 |

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コメント

こんにちは ふたごのせんぷーきともうします

いつもTV拝見させて もらっています。

お話のすじが よくみえないので 少ししらべてみました。(キーボードの話題)

USキーボードと日本のキーボードの違い
http://www.nagasaki-gaigo.ac.jp/toguchi/multilingual/keyboard_us_jis.htm

USキーボードの配列について
http://www.pbweb.jp/conf/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=6985;id=

マックで困ったときに
http://discussions.info.apple.co.jp/MacBook/

投稿: ふたごのせんぷーき | 2006/09/24 12:34:49

こんばんは、
些細なことですが

>「そうだったのか」と思う店など

「思う店」ではなく、「思う点」ですよね。
これもキーボードの不具合???

投稿: おーくぼ | 2006/09/20 21:07:22

こんばんは、
些細なことですが

>「そうだったのか」と思う店など

「思う店」ではなく、「思う点」ですよね。
これもキーボードの不具合???

投稿: おーくぼ | 2006/09/20 21:06:10

最近、美しい欲望について考えていて、私の基礎となるものだと、でもあまりにも印象しか残らず、どこからはじめればと思っていたんです。で昨日の糸井さんの小さな欲望です。いろんなところに行っていろんな気持ちになってみたい。

投稿: エミコ | 2006/09/18 22:47:34

     普遍性が担保される二つの道筋

能動者が働きかける行為の性格は、それがどのようなものであれ、
そのまま受動者が受け取る行為の性格と同じものである。 と

投稿: 一光 | 2006/09/18 15:23:10

茂木さん、対処法が見つかって好かったですね。「シフト+2」を押さないと「@」が出ないなんて、Macユーザーでなくてもこれは辛いですよね。

「世界で自分だけ」「宇宙で自分だけ」という窮極の孤独は、どんな人間をも不安に陥れる。普遍へ、普遍へと人間が目指してきたのは正にその不安からの逃走に過ぎなかったりする。

一人不安を抱え、孤独の中でさんざんさまよった挙句、自分と同じ孤独の淵に落ちている人を見つけた時、人ははじめて孤独と不安から解放される。

かつて鬱病で苦しんだ中学生時代、この世でこんなに苦しい思いをしているのは世界広しといえども自分だけだろう、という思いを抱き、一層孤独の淵に沈み、恐怖におののいたことがある。

そのとき、私に出来たただ一つのことは、仏前に座り読経をすることだった。…それを続けていくうちに、何時しか不安も孤独感も乗り越えられ鬱状態から解放されることが出来た。

そして、自分と同じ苦悩を抱えている他人がいると言う事を知る事が出来た。

これはまさに「普遍性の担保」のために「不安からの逃走」を必死で行った一つの例である。

茂木さんのPCもまだまだ調子がよくないのかもしれない。また“発狂”するかもしれない。でも対処法が見つかれば、ナンとかなるのではないかと思いマス。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/09/18 13:45:11

えーっ、今京都なんですか。今仕事中で、ちょっとのぞきにきたのですが・・・。このままおさぼりして、
茂木さんと京都でしっとり・・・・・。
祇園をご一緒できれば・・・・緊張して石畳で転びそうです。

京都は人がいっぱいでしょうがおつかれでませんように・・・

投稿: 平太 | 2006/09/18 10:36:23

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