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2006/08/06

人生の出発

ここのところ、眠い。
暑さのせいか、夏ばてというやつか、
 今だったら、何時間でも眠ることができる
気がする。

 しかし、そういうわけにも
行かないので、
 東北新幹線ぎりぎりセーフ。

 前のめりになっているような
変なシートは、座ると
ちゃんと沈んだ。

 隣りに、ソニー教育財団の人が
来ると思って待っていたが、
 大宮を過ぎても誰も乗ってこない。

 普通車、グリーン車ともに
満席です。
 というアナウンスを聞きながら、
 シュウマイ弁当を食べる。

 二週間前くらいから、
キヨウケンが食べたくて仕方がなかったのだ。

 子供の頃、父親が時々キヨウケンの
シュウマイを買ってきてくれて、
 その中にはひょうたんのような醤油入れが
あった。

 その頃、カラシを付けて食べていたか
どうか覚えていない。
 「おいしいシュウマイ、キヨーオーケーン」
というコマーシャルがよく流れて
いたものだ。

 シュウマイを食べて、一眠りして、
仙台についた頃になって、
 やっと隣りに若者が乗ってきた。

 トイレに行くと、子供と母親が
座っていて、
 その他にも立っている人たちがいて、
びっくりした。
 全席指定の列車に、どうやって
立ち席で乗るんだろう。

 青森でねぶたをやっているので
込んでいる、
 ということらしい。

 私の目的地は八戸である。

 ところが、講演会場は知っているんだけど、
そこにどうやって行くのかよくわからない。

 降りてうろうろ気味にエスカレーターに
向かっているとき、
 露木和男先生が声をかけてくださって
助かった。
 
 ソニー教育財団の渡辺さんもいる。

 地元の河原木先生が迎えに来て
くださっていた。

 「昨日まで寒かったのですが、皆さんが
来るのを待っていたように真夏日になりました」
と河原木さん。

 河原木さんの髪は、手入れの行き届いた
芝生のようで、おもわず撫でたくなる。 

 芝生頭の河原木先生に先導されて、
八戸の街中を行く。

 三八教育会館で行われる
ソニー科学教育研究会(STTA)平成18年度
東日本ブロック研修会。
 
 そこに講師としてうかがったわけである。

 まだ、開始までに時間がある。
 ソファに座ってお話していて、
そうだ、と隣りの公園を散歩する。
 
 いつも背負っている重いリュックがない!
 身軽で歩く、という時間が
圧倒的に足りなかった。

 眠るのが本当は一番いいんだろうけど、
歩くのも心身のリラックスになる。

 ただふらふら歩くだけで
シアワセになるなんて、人間は
何て単純なのだろう。

 科学的思考力についての
講演。
 最近私はパワーポイントで
喋るのがなんとなく嫌になって、
自由に話すのが好きになってきた。

 夜の懇親会までにはまだ間がある。

 河原木先生と奥山先生が
八戸を案内してくださることになった。

 本当は、ホテルで眠っていたら
体力は赤丸急上昇だろうな、
などとも思ったが、
 芝生頭の河原木先生だったら、
きっと面白いところに連れていって
くださるだろう、と思ってホイホイ
ついていった。

 是川の縄文館で、美しい土器を見る。
 朱の漆を塗っているものもあり。
 
 十日町で火焔式土器を見た時に
得たインスピレーション、
 縄文の人たちには抽象ということの意味が
違っていたに違いないという思いが
またかすめる。

 いくら見てもあきない気がする。
心は縄文に飛んでいる。

 縄文館を出て、
大きな木の下をくぐっている時、
 黒い影が横切って、反応したら、
河原木先生が「さすがですねえ」
と言った。

 チョウトンボのようなものを見たような
気がしたのだが、
 もう一度探すとキマダラヒカゲだった。

 珍種が普通種にメタモルフォーゼして
しまった。

 河原木先生が、車を運転しながら、
心に残るのは逃した蝶でしょう、という。
 まるで人の心を読むかのような
ヒトである。

 八戸キャニオンとは何のことか
と思ったら、
 石灰石の露天掘り。
 なるほど、百数メートルの
深さまで掘り下げられていて、
 螺旋状に道路があり、
 遙か下をダンプが走っている。
 キャニオンに相違ない。

 海まで天然の芝生が続く、
というから、どういうところかと思ったら、
イギリスの風景に似ていた。

 近くに古びた旅館がある。
もう少しきれいにしたら、
と思ったけど、
 支部長の工藤先生によると、
ものすごくうまい刺身を出すから、
それでいいんだそうである。

 ウミネコの繁殖地として有名な島で
ミャーミャーというサウンドスケープ
につつまれる。
 蕪嶋神社はウミネコ神社である。

 ホテルへ。

 どうぞお休みください、
と河原木先生は言いながら、
 色紙を8枚も渡した。

 そもそも約束の時間まで20分しかない。
 こうなったら、と新しい
サインのスタイルを編みだした。

 絵詞である。
 絵だけじゃなく、いろいろ言葉をつける。
 これからしばらくはこれで行きたいと
思う。
 
 懇親会はあまり食べないでくださいと
工藤先生に言われていた。
 だから、ビールを飲んで、
お酒を飲んで、
 あとはへらへらしていた。

 途中、また隣りの公園をふらふらして
戻ったら、
 東日本各支部の先生方の自己紹介が
もう終わりの方だった。
 しまった。面白いものを聞き逃した。

 二次会へ。
 芝生頭の河原木先生の親族が
やっていらっしゃるらしい。

 ウニや岩ガキがうまい。
 ヘタすると眠っちゃうな、と思ったから、
水を沢山飲んだ。
 
 水飲み猿なり。

 途中、またふらふらとコンビニに行って、
靴下を買った。
 洗うのが面倒だったのだ。

 そうしたら、工藤先生が目敏く
「茂木先生まだどこかに行かれていましたね。
御著書を読んだ時から、このヒトはふらふらとどこかに
行くだろうと思っていたけど、やっぱりそうでした」
と言われた。

 実は、工藤先生が会の初めに
挨拶された時、
 私はそのリズムとか文学的雰囲気にカンドーして、
「そうか、青森は日本のアイルランドだったんだ!」
と太宰や寺山を思い起こした。

 昔、ダブリンの学会でTony Vealeの話を
聞いて、その音楽的リズムに心動かされた
記憶がよみがえった。

 しかし、それは工藤先生の個人的資質かも
しれず。
 いずれにせよ青森と文学の関係が見逃せない。

 会は10時でお開きになり、
比較的早く眠れた。
 6時間意識を失い、普通ならば十分な
はずだが、
 どうも寝足りない。疲れている。
 しかも、やることが沢山あるのだが、
今日は三内丸山に行かねばならない。

 しかも東京に帰ってからは、
松阪慶子さんとの対談と、朝日新聞の取材と、
それからフジテレビがある。

 なんてこった!

 締め切りが過ぎているもの、
ASAP(as soon as possible)
でやらなくてはならないもの、
 ものすごく沢山あるのです。

 自分でもあんまりだと思うが、
仕方がない。

 気を確かにもって、カシャカシャカシャと
仕事をして、
 あとは寸暇を惜しんで眠ってしまおう。

 お休みなさい。ぐーっ。
お早う、目ぱっちり、カシャカシャカシャ。
 ふたたびお休みなさい、ぐーっ。

 瞬時にリフレッシュ、人生の出発だ!


8月 6, 2006 at 07:41 午前 |

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コメント

人生の旅立ち

☆ ワームホール ☆ より   盛夏お見舞い

投稿: | 2006/08/07 6:42:30

蕪島からみる海は複雑な色していてきれいですよね。そこから10分くらいいった海岸沿いにラーメンやさんがあって、うにから海藻からあらゆる海の幸が入ってすごくおいしいのに900円の磯ラーメン思い出しました。青森の人は人情厚いですね。
縄文人の抽象感についてまたいつか展開してください。

投稿: | 2006/08/06 23:05:06

今日は東北?!
本当に超多忙に、私はただびっくりです。
茂木さん、お願いです。
もっと睡眠時間とってください。

色紙、いいですねー。
茂木さん、絵もお上手ですね!

投稿: | 2006/08/06 21:54:04

茂木 健一郎 様

ブログを読んでいると、いつも何かしら言いたい事があるような気がして、今日もまたコメントを書いています。でも、公開しないで下さいね。ただ、なんとなく、なのです。じゃ、メールにすれば!とも思いますが、何の関係もない私が、いきなりメールというのも気が引けるので、ここに、ツラツラと書かせていただきます。

とてもお忙しそうな日常、まさに人生の花開く~という感じ。ノリにノッテイル!いつも、ブログを読んでは、私の励みにさせてもらっています。きっとそういう方は他にも沢山いるのだろうと思います。

一度も会ったことのない、全然違うフィールドでなにやら難しいことも言っている茂木さんですけど、なぜか親近感が持てるかも。それに、色紙の字と絵が...少年ぽくて、ホッとしますね。大人っていうけど、ある時期から、人は、子供の自分から成長しないような気がします。社会に出て、仕事に追われ、人の世にもまれて、お体裁という仮面を何枚か手持ちしているだけなんじゃないかと。だから、心の奥底のコアの部分(子供の時と変わらないその人の良さ)に気付くと、嬉しくなります。茂木さんのブログを読んでいると、素直にそのデリケートな部分が見えるようで、微笑ましく思います。

以前、今とは違うお仕事をしている時に、

”なんだかんだ言っても今そこに居るということは、結局、そこがその人にとって居心地が良いからだ。もし、本当に嫌だったら、何かが違うと思うなら、自分で居場所を変えるだろう。また、そういう時期が来れば、えい!やぁ~!と気合をかけて飛び降りなくても、何かに背中を押されるように踏み出せるはず。”

というようなことを読んだか聞いた覚えがあります。今の茂木さんを見ていると、いずれお仕事も取捨選択をしつつ、御自分が本来やりたい事に道を開いて行くんだろうなァ、と思っています。犠牲者だぁ、なんて言葉、茂木さんらしくないです(すみません、茂木さんのことは、何も知らない私です)。

病気は静かに、音もなく近寄ってきますよん。あまりご無理をなさいませんように。

そうそう、今日のスタメン、見るつもりです。

アフロじぁないショートカットの茂木さんを見てみたいフ~シャンより

投稿: フ~シャン | 2006/08/06 14:51:39

あー、ロケットに乗っている。
かわいいですね、、

芝生頭の先生と公園をお散歩。
海まで芝生頭の景色に、
チョウトンボ。。。
いいですね青森、癒されそうです。
リュックがないのはなによりでした。

火焔土器も三内丸山遺跡もすごそうです。

先生はもうとんぼがえりでしょうか。
松坂慶子さん、きれいそうですね。
がんばってください


投稿: | 2006/08/06 13:36:08

「崎陽軒」の「シウマイ弁当」、美味しかったですか?
あのCMソングは、小学校~中学校時代までよくTVで流れていたのですが、最近はあんまり流れてないですね。ひょうたん型のしょうゆ入れもなつかしいですね。骨董業界では、このしょうゆ入れをコレクションしている人がかなりいるそうです。

青森といえば、かの太宰治の出生地。彼の郷里には生家「斜陽館」がある筈です。

作家の中に流れる“血”のようなものが、オイラが思うに太宰と寺山修司は通底しているような気がするのだが…。

それはそうと、6時間寝ても疲れが取れないのは、やはり茂木先生は激務の上に夏バテしておられるのかもしれない。

関東でも梅雨が明けて2~3日涼しい日々が続いていきなり熱波地獄の日々になりましたから、その影響に相違ないと思います。

それにここのところの激務。断じてご自愛されますよう。

さて!青森と言う所はウミネコあり、縄文あり、八戸キャニオンありで、結構飽きないでしょう。青森の人形ねぶた祭りはきょうがクライマックスだそうです。

土器を通じて、縄文の魂に触れたとき、太古の昔へタイムスリップしていく気分はたまらないものがあるなぁ。

日本での縄文時代は、エジプト古代文明時代からローマ帝政時代までの時代区分にあたるらしい。

そんなに長くて古い時代に、我々の先祖は狩や稲作をはじめたり、見事な土器を焼いて使っていたんだものなぁ。

そのなかに茂木先生のご先祖もいらしたりなんかして…(^0^)

失礼しました。それでは、お体にお気をつけてください。
松阪慶子さんとご対談されるのですか。これは凄そうだ。
「スタメン」ご出演、楽しみにしています。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/08/06 10:53:53

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