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2006/08/18

自分でちゃんと空白をつくる

朝4時に起きて、
ずっと仕事をしていて、
 それでも終わらなかった。

 結局、「短距離全力疾走」をずっと
くりかえしているようなもの。
 
 あつくて身体はそんなに動かしては
いないが、
 あたまのなかは大いに運動している。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のスタジオに入っていったら、
 住吉美紀(すみきち)さんが、
「茂木さん、空白ですよ、空白」
と私のブログを引き合いに出していった。

 まったくだ。必要なのは、空白だ。
 それがない。

 働けども働けども、わがくらし
空白がなし。
 じっと手を見る。

 なんだか上の句は矛盾を含んでいる
ようにも感じる。
 
 ゲストのベンチャー企業経営者、
飯塚哲哉さんは、
 スケジュール管理は自分で
やっているという。

 普通、社長になると秘書が
管理するんだけれども、
 それだとどんどん会議を入れられて
空白がなくなるんで、
 スケジュールは絶対に渡さないというのだ。

 実際、ドッグイヤーどころか
マウスイヤーで動いている
半導体業界トップのベンチャー企業の
社長さんなのに、
 飯塚さんのスケジュール帳には
ちゃんと空白の時間がある。

 私は、スタジオで、
いかに脳の働きからして
創造性を発揮するには
 「空白」が必要であるかを
熱弁し、
 空白原理主義はここに誕生したのであった。

 「そうであったか、私はなまけものではなくて、
創造性を発揮するために空白をつくっていたので
あった」と飯塚さんの顔もぱっと明るくなった。

 しかし、その次に私は墓穴を掘った。

 飯塚さんの話を受けて、
 「ぼくもそうです。スケジュールは
自分で決めています」
と言うと、飯塚さんは
 「じゃあ、空白がないのは、茂木さん自身の
責任ではないですか」
と言う。

 がーん。
 そうだったのか。
 確かに、一個一個の仕事はできる、
と判断して入れていくと、
 その結果電線の上にびっしり止まった
メジロのようになって、
 二進も三進も身動きができなくなるのである。

 飯塚さんに、どうやって空白を
作っているのですか、と聞くと、
簡単です。仕事を受けるのは
自分で返事するけれども、
断る時には別のひとがやる、
とのお答え。

 自分で返事をするのは、
「そういうのを待っていたんです」
というような仕事で、
 それに対して「あいにく、スケジュールが
立て込んでおりまして」
という返事は、秘書の人が
やるというのである。

 それは、いい、まねをしよう、
とは思ったけれども、
 この日記にこうやって書いてしまうと、
やりにくくなるような気がする。
 きっと、自分でちゃんと空白を
つくる訓練をしなければならないのでしょう。

 飯塚さんとのお話は大変面白く、
プロフェッショナル ビジネス・スペシャル!
ができるんじゃないかと思うほどだった。

 ディレクターの久保健一さんは、
飯塚さんがなかなか本音を吐かない
ということで苦労したようで、
 「この男は、本音を言わない」
というナレーションのコメントを
台本に書こうと取材一日目に
して思ったということだ。

 しかし、飯塚さんは、
 スタジオでは、
住吉さんと私に人生観、ビジネス観を
率直に語ってくださった。
 これも、あたかもスペース
・シップの中にいるような
スタジオの魔力でありましょうか。
 はたまた、すみきちスマイルの
効果でありましょうか。

 オンエアは8月24日の予定。

 その時、私は、嗚呼ロシアにいるのであり
ました。

 飯塚さんは、すみきちがフランスから
中継した番組を見ていたようで、
 「楽しそうでしたねえ」
と言うと、
 すみきちは、「本当に大変だったんです。
楽しむ暇なんてありませんでした。
5時間眠っている間だけが休息で、
それ以外の時は、目が覚めてから
眠るまでびっしり働いていないと、
移動しながらの生中継はできなかったんです!」
と説明する。

 「涼しそうでしたね」と飯塚さんが言うと、
すみきちは、
 「とっても熱くて、38度もあって、
汗だらだらでしたあ!」
と言う。

 つまり、プロというものは、
どんなに苦しくても、本当にあの人は
楽しそうだなあ、バカンスを楽しんでいる
ようだなあ、と思わせなければ
いけないということなのである。

 編集で徹夜明けでも
サッカーの試合には行く、
有吉伸人チーフプロデューサー(ありきち)
さん同様、
 ハードワークが人生の楽しみを
壊さないようにしよう、ということですな。

 この日記も、私の生活において
本当はそのような意味を持っていて、 
 どんなに朝から晩まで全力疾走で
苦しくても、
 この日記を書く時だけは
一日の出来事の中で楽しいことだけを
ピックアップして、
 いかにも「おもしろ人生」のように
書く、
ということがモットーであるはずなのだった。
 
 ただ、そうすると、本当に
ノーテンキにうろうろしていると
思う人がでるやもしれないので
 (先日の天命反転住宅でのハワイの「ロコ」
メークが、
 本当に日焼けしていると思ってしまった
人たちがいるように)
 一応、このような「メタ」なお断りの
コメントも書いてみるのである。

 帰りながら拾ったニュースに、
驚き、とても心配になる。
 河合隼雄先生が入院されたとのこと。

 河合先生とお目にかかり、
交わした会話をいろいろと反芻して、
 次にお会いする時はこんなことを伺おう、
こんな話をしようと熱望していた
矢先であった。

 一日も早い先生のご快復を心より
お祈りいたします。

8月 18, 2006 at 06:52 午前 |

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» 空白と刺激 トラックバック I pray, you stay
 今日一日完全オフの日。 夏休みの中でもバイトが週4であるため、 完全オフの日は何をしようか困ってしまう。 大体において、ギターを弾くか、勉強をするか の二択であるので、 こうした日にはやはりどこかへいって何かの刺激を 受けたい。 しかし、今週末は野外フェスへ参戦するため あまり無駄な出費は避けなければならないので 遠出はしなかった。  「とりあえず…」という中途半端で いい加減な気持ではあったものの(爆) 前向きに外へ出る! 隣町まで自転車で行く。... [続きを読む]

受信: 2006/08/24 12:24:53

コメント

 河合隼雄先生のご回復を私も心よりお祈りしています!!
 大学時代の私の専門は違ったのですが、心理学にはまった時期に、先生のご本でとても愛読していた本がありました。知った後、1~2時間河合先生のわりと最近のご著作を再読しながら、衝撃で思わず、ぼーっとしていました。今自分にできるのは、まずはこのご経験に基づいた知恵に満ちた言葉に耳を傾けることかな、などと思いながら。。

投稿: 朝 | 2006/08/19 16:36:11

おはようございます。

いよいよ明日からロシアですね。
本当に、本当に、茂木先生は大変で、何も手伝って上げることが出来ませんが、せめてロシアで、よい旅と、余白を拾って英気を養って来てくださいね。

投稿: tachimoto | 2006/08/19 10:08:45

    せっかくの ・・・  空白に  ・・・

たくさん詰め込んで   空白 に 余白も 無し

                           働き者  ・  日本のひと

投稿: 一光 | 2006/08/19 7:00:06

すみきちさんが番組のロケに来た時、パリの気温は38℃!
な、な、なんともはや、熱波だったんですねぇ。
そういえば、フランスを含めた欧米では、本当に凄まじい猛暑が続き、お年寄りを中心に熱射病・熱中症で亡くなる方が多かったと聞く。そんな大変な中でプロ根性を発揮したすみきちさんって凄い!

ロシアも、ひょっとしたら、猛暑かもしれない。如何なんだろう。
コレも最近よく言われるけれど、地球温暖化の影響なのかしらん?

ロシア、といえばサンクトペテルブルクにあるという歴史的建造物の数々が思い起こされる。帝政時代の豪華絢爛な風情をとどめる、文化遺産の数々を見つめているうちに、茂木先生の多忙な魂も癒されるかも…!

投稿: 銀鏡反応 | 2006/08/18 21:08:52

やっぱり、“空白”というのは、自分で何らかの工夫をして能動的に設けなければならないのだな…ということを、今回のエントリーから感じた次第です。

茂木先生の空白の作り方に、飯塚さんのアドヴァイスはよいヒントを如何やら与えてくれそうですね。

如何に自ら空白を設け、ハードワークに人生の快楽を潰されないように工夫するか。そこが、過労でパタンと死ぬか、それとも過労を乗り越え生きることが出来るかの分岐点なのだ、と思った。

何でも仕事仕事といって、きつきつにすると、生活に余白・空白・余裕がなくなって、バランスを崩し、過労で倒れるハメになる。

さて、河合先生が入院されたとのこと、私も驚きを隠せません。桜咲く4月7日に拝見した、あの暖かく穏やかなお姿が眼中に思い浮かびます。

河合先生が一日も早く、ご健康を回復されんことを、不肖、私もこの場を借りて祈念致します。

おりしも欧米を中心に、世界中で灼熱の猛暑が続き、日本でも関西地方を中心に酷暑が続き、灼熱の気候故に健康を害され倒れる人々が続出している。

残暑がまだまだ厳しい時節でもある。茂木先生も酷暑故にダウンされないよう、くれぐれもお気をつけてください。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/08/18 19:10:35

 はじめまして。私が茂木さんを知ったのは、2004.4月号の文学界でした。その時以来、お書きになっているものを興味深く読んでいます。なんというか、宝物を発見したような愕きにも勝るような興奮を感じながら・・・・・・。
 さて、この投稿を読んでいて、『空白をつくる』、うーむ僕なんかは『空白を埋める』人生だーーー、と思ったのですが、それにしても電線の上を埋め尽くしているのは茂木さんの場合スズメではなくって、メジロだということに興味を覚えた僕でした。

投稿: 不老鱗 | 2006/08/18 18:23:04

河合先生のニュースを聞いて、私もとても驚きました。回復されることを心から願っています。

投稿: たまご | 2006/08/18 17:49:32

自分で空白を作る、大切なことですね。
緩急がないと人間いつか爆発してしまう。
私の場合は緩ばかり、自分を甘やかしてばかりで、これまた戒める必要がありますがー。
御身体くれぐれもお大切に。

河合先生は心理学を学んだ私にとっても特別な思い入れがあります。入院なさったのですか、ご回復をお祈りします。

投稿: m-tamago | 2006/08/18 12:29:16

yes の時は自分で、no の時は別の人が返事をする
お断りの返事をしてくれる人がいるなんて、
社長 だからこそでしょうか。

河合隼雄先生、大丈夫でしょうか?
この暑さの中、仕事が続いたのでしょうか?
茂木先生、空白を作って河合先生に会ってきてください!

投稿: yuri | 2006/08/18 10:53:57

空白教の極意は、そこに何もないことと見つけたり。つまりそこは非在であり、なにものもまだ姿を見せていないというそれ自体を楽しむなり。そこにあらわれる充填をあれこれ予感して楽しむなり(ただし、安易に、出来合いを充填すべからず)。そのとき、その空白は、美で充たされるであろう。(^_^)

投稿: 五十嵐茂 | 2006/08/18 9:31:33

受けるのは自分で、断るのは他の人・・そういうやりかたもあるんですね
じっと手を見る、、、たしかにすこし矛盾ですね(笑)

河合隼雄先生が一日も早く良くなられますように
茂木先生もお体にはお気をつけください。

投稿: M | 2006/08/18 9:30:46

茂木さんへ

ちょくちょくブログを、非常に興味深く覗かせて頂いています。
"空白原理主義"…
この夏休み、何か大切なモノを見つけた気がします。
やっぱ、プロは"楽しそう"なんですよね?!(^-^)
ハードワークもいいけれど、"人生の楽しみ"をpriority #1に!

ありがとうございます♪

投稿: まさ | 2006/08/18 9:10:39

おはようございます。

茂木さんは、「活動」することが結局お好きなのだな。と思います。活動することを選択なさったところ、実はそれ仕事だったという苦しさなのでしょうか。

仕事って、「断続的許されない時間」だと思うのですが、その中での活動って、絶え間ない緊張、縛られる時間であって、酸欠金魚さんになってしまうのでは、と想像致しました。

空白・・・許される時間の活動はきっとカツオのように
     エネルギッシュに脳フル回転で、生き生きされるんだろうなあと、想像いたします。

横綱級のお忙しさ、柔軟な足腰・・・脳で、土俵際みごと
上手投げでも、うっちゃりでも、忙しいの投げ飛ばしてください。

投稿: 平太 | 2006/08/18 9:03:30

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