ここのところ、眠い。
暑さのせいか、夏ばてというやつか、
今だったら、何時間でも眠ることができる
気がする。
しかし、そういうわけにも
行かないので、
東北新幹線ぎりぎりセーフ。
前のめりになっているような
変なシートは、座ると
ちゃんと沈んだ。
隣りに、ソニー教育財団の人が
来ると思って待っていたが、
大宮を過ぎても誰も乗ってこない。
普通車、グリーン車ともに
満席です。
というアナウンスを聞きながら、
シュウマイ弁当を食べる。
二週間前くらいから、
キヨウケンが食べたくて仕方がなかったのだ。
子供の頃、父親が時々キヨウケンの
シュウマイを買ってきてくれて、
その中にはひょうたんのような醤油入れが
あった。
その頃、カラシを付けて食べていたか
どうか覚えていない。
「おいしいシュウマイ、キヨーオーケーン」
というコマーシャルがよく流れて
いたものだ。
シュウマイを食べて、一眠りして、
仙台についた頃になって、
やっと隣りに若者が乗ってきた。
トイレに行くと、子供と母親が
座っていて、
その他にも立っている人たちがいて、
びっくりした。
全席指定の列車に、どうやって
立ち席で乗るんだろう。
青森でねぶたをやっているので
込んでいる、
ということらしい。
私の目的地は八戸である。
ところが、講演会場は知っているんだけど、
そこにどうやって行くのかよくわからない。
降りてうろうろ気味にエスカレーターに
向かっているとき、
露木和男先生が声をかけてくださって
助かった。
ソニー教育財団の渡辺さんもいる。
地元の河原木先生が迎えに来て
くださっていた。
「昨日まで寒かったのですが、皆さんが
来るのを待っていたように真夏日になりました」
と河原木さん。
河原木さんの髪は、手入れの行き届いた
芝生のようで、おもわず撫でたくなる。
芝生頭の河原木先生に先導されて、
八戸の街中を行く。
三八教育会館で行われる
ソニー科学教育研究会(STTA)平成18年度
東日本ブロック研修会。
そこに講師としてうかがったわけである。
まだ、開始までに時間がある。
ソファに座ってお話していて、
そうだ、と隣りの公園を散歩する。
いつも背負っている重いリュックがない!
身軽で歩く、という時間が
圧倒的に足りなかった。
眠るのが本当は一番いいんだろうけど、
歩くのも心身のリラックスになる。
ただふらふら歩くだけで
シアワセになるなんて、人間は
何て単純なのだろう。
科学的思考力についての
講演。
最近私はパワーポイントで
喋るのがなんとなく嫌になって、
自由に話すのが好きになってきた。
夜の懇親会までにはまだ間がある。
河原木先生と奥山先生が
八戸を案内してくださることになった。
本当は、ホテルで眠っていたら
体力は赤丸急上昇だろうな、
などとも思ったが、
芝生頭の河原木先生だったら、
きっと面白いところに連れていって
くださるだろう、と思ってホイホイ
ついていった。
是川の縄文館で、美しい土器を見る。
朱の漆を塗っているものもあり。
十日町で火焔式土器を見た時に
得たインスピレーション、
縄文の人たちには抽象ということの意味が
違っていたに違いないという思いが
またかすめる。
いくら見てもあきない気がする。
心は縄文に飛んでいる。
縄文館を出て、
大きな木の下をくぐっている時、
黒い影が横切って、反応したら、
河原木先生が「さすがですねえ」
と言った。
チョウトンボのようなものを見たような
気がしたのだが、
もう一度探すとキマダラヒカゲだった。
珍種が普通種にメタモルフォーゼして
しまった。
河原木先生が、車を運転しながら、
心に残るのは逃した蝶でしょう、という。
まるで人の心を読むかのような
ヒトである。
八戸キャニオンとは何のことか
と思ったら、
石灰石の露天掘り。
なるほど、百数メートルの
深さまで掘り下げられていて、
螺旋状に道路があり、
遙か下をダンプが走っている。
キャニオンに相違ない。
海まで天然の芝生が続く、
というから、どういうところかと思ったら、
イギリスの風景に似ていた。
近くに古びた旅館がある。
もう少しきれいにしたら、
と思ったけど、
支部長の工藤先生によると、
ものすごくうまい刺身を出すから、
それでいいんだそうである。
ウミネコの繁殖地として有名な島で
ミャーミャーというサウンドスケープ
につつまれる。
蕪嶋神社はウミネコ神社である。
ホテルへ。
どうぞお休みください、
と河原木先生は言いながら、
色紙を8枚も渡した。
そもそも約束の時間まで20分しかない。
こうなったら、と新しい
サインのスタイルを編みだした。
絵詞である。
絵だけじゃなく、いろいろ言葉をつける。
これからしばらくはこれで行きたいと
思う。
懇親会はあまり食べないでくださいと
工藤先生に言われていた。
だから、ビールを飲んで、
お酒を飲んで、
あとはへらへらしていた。
途中、また隣りの公園をふらふらして
戻ったら、
東日本各支部の先生方の自己紹介が
もう終わりの方だった。
しまった。面白いものを聞き逃した。
二次会へ。
芝生頭の河原木先生の親族が
やっていらっしゃるらしい。
ウニや岩ガキがうまい。
ヘタすると眠っちゃうな、と思ったから、
水を沢山飲んだ。
水飲み猿なり。
途中、またふらふらとコンビニに行って、
靴下を買った。
洗うのが面倒だったのだ。
そうしたら、工藤先生が目敏く
「茂木先生まだどこかに行かれていましたね。
御著書を読んだ時から、このヒトはふらふらとどこかに
行くだろうと思っていたけど、やっぱりそうでした」
と言われた。
実は、工藤先生が会の初めに
挨拶された時、
私はそのリズムとか文学的雰囲気にカンドーして、
「そうか、青森は日本のアイルランドだったんだ!」
と太宰や寺山を思い起こした。
昔、ダブリンの学会でTony Vealeの話を
聞いて、その音楽的リズムに心動かされた
記憶がよみがえった。
しかし、それは工藤先生の個人的資質かも
しれず。
いずれにせよ青森と文学の関係が見逃せない。
会は10時でお開きになり、
比較的早く眠れた。
6時間意識を失い、普通ならば十分な
はずだが、
どうも寝足りない。疲れている。
しかも、やることが沢山あるのだが、
今日は三内丸山に行かねばならない。
しかも東京に帰ってからは、
松阪慶子さんとの対談と、朝日新聞の取材と、
それからフジテレビがある。
なんてこった!
締め切りが過ぎているもの、
ASAP(as soon as possible)
でやらなくてはならないもの、
ものすごく沢山あるのです。
自分でもあんまりだと思うが、
仕方がない。
気を確かにもって、カシャカシャカシャと
仕事をして、
あとは寸暇を惜しんで眠ってしまおう。
お休みなさい。ぐーっ。
お早う、目ぱっちり、カシャカシャカシャ。
ふたたびお休みなさい、ぐーっ。
瞬時にリフレッシュ、人生の出発だ!

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