« (本日)スタジオパーク アンコール特集 | トップページ | (本日)オルガテクノ2006「有機テクノロジー展/国際会議」 »

2006/07/26

魂の交わりと孤独をどちらも

 ふと思った。
 朝から晩まで、「どの仕事のために
今これをやっているのか」と文脈付けられた
ことばかりじゃないか。

 文脈から自由な、勝手に魂が動き出すような
時間を確保しないと、やって
られないと思って、即日実行したい!
と思いながら歩いていった。

 誰にも会わずに、一人で閉じこもるのは
得意なはずで、
 どんな地下室の手記でも書いて見せるから、
さっそく・・・と思って予定表を見ると
何やらびっしり文字が書かれており、
 真白き大地はどこにもない。

 しかし、こういう時に現実とは異なる
仮想を想像することは昔から得意だったのであって、
空想の中ではコンサートをやめてカナダの
湖の畔に一人住むグレン・グールドである、
と思うことにした。

 午前。
 量子重力や情報幾何、ツイスターの
専門家であるDorje Brodyと、Julian Brody
と会って議論した。

 二人とも香港生まれでJulianなどは
数えるとき中国語でやるというよく
わからないペアで、
 私は英語で喋った方がナチュラルかな、
と思ったがDorjeが日本語で喋るんで
 合わせてしかし英語っぽい日本語で
議論していた。

 DorjeはRoger Penroseと共同研究していて、
先日の75歳の誕生パーティーにも
出ていたとのこと。
 DorjeもRogerも、超ひも理論、超膜理論が
キライである。

 しかし、オックスフォード大学のMathematical
InstituteのRogerの後任には、
 天敵の超ひも理論の専門家が来てしまったのである。

 「ロンドンも、すっかり超ひも理論の専門家ばかりに
なってしまいました。」
 「それは、宇宙の中には粒子と反粒子の両方
が同じ数あるはずなのに、なぜか粒子ばかりに
なっているのと同じだね」
 「まさにそのジョークを私は使ったことが
あります。超ひも理論によると、ひもと反ひもは
同じ数存在するはずだから、私は超ひも理論を
支持するために、反ひもになっているんだと!」

 しかし、Dorjeのジョークの効き目なく、
反ひもよりもひもの方がますます多い宇宙に
なりつつあるようである。少なくともこの地球上では。

 さらに、社会一般の人にとってはおそらく
どうでもいいであろうが、我々にとっては
面白くて仕方がない会話が続く。

 「Dorjeは、超ひもで量子重力が解決できると
思っているの?」
 「できるはずないよ。そもそも、ひも理論の
専門家の多くは量子力学の基本的なことすら
わかっていないんだから。
 数学的なハードルが高いし、「セクシー」
だから、もっとも優秀な学生が惹き付けられる。
それで、教授に、ちょっとエキゾティックな
数学上の問題を解いてみなさい、と言われ、
実際に解く。
 しかし、これらの秀才くんは、他のことを
知らないままスクスクと育っていくから、
 当然、量子重力を解決するような総合的な
視野は得られないのさ!」

 その後、JulianやDorjeとイギリスのコメディ
などに関して延々と喋りつつ、
 本筋である神経経済学とインターネット
などの議論もしたが、本当に面白い
時間でありました。

 研究所に移動。
 
 東京都図画工作研究会の
高橋香苗先生とお仲間、それに
日本文教出版株式会社の
新佐紘之さんがいらっして、
 子供の発達におけるアート・エデュケーション
の意義についてインタビュー。

 アートの良いところは、「正解がない」
学習を促すところだろう。

 美意識の発達には正解がないが、
だからこそ魂にとって大切である。

 『ウェブ進化論』の梅田望夫
さんがいらっしゃる。
 「アエラ」のための対談。

 アエラ編集部の佐藤秀男さん、内山洋紀さん、
朝日新書編集部の石川雅彦さん、井原圭子さん、
それに筑摩書房新書編集部の福田恭子さん。

 梅田さんとは初対面だったが、
話が面白くて次からつぎへと飛び出し、 
 ノンストップの二時間であった。

 詳細はアエラの記事を見ていただくことと
して、いくつかご披露。

 「ウェブ進化論」というタイトル
は、グーグルで検索して一件も引っかからなかった
言葉を選んだ、とのこと。

 なるほど、そうすれば何よりも
言葉として新鮮であるし、本が出た後に
検索して引っかかるものは全て
 自著に関わるものであると
確信できる。

 「子供の名前をつけるときも、グーグルとの関係で
考えるということができるんですよ」
と梅田さん。

 「一つの考え方は、一件もひっかからない
名前をつけるということ」

 「もう一つは、同じ姓の著名人の名前を
付けてしまうということ。
そうすると、将来、子供が自分の名前で検索しても、
著名人の情報ばかりが出てくるから、自分の
個人情報が一切出ず、世間から隠れて
生きることができます!」

 なるほど、John Lennonや、
田中角栄という名前にしておけば
 グーグルかくれんぼが可能であろう。
 
 普段はアメリカにいて時々日本に来る
という梅田さん。
 本当に面白い方で、ぜひまたお目にかかって
いろいろ議論させていただければと思った。

 出井伸之さんのスタッフの方々との
ミーティング一件。

 讀賣新聞社へ。

 エレベーターで町田康さんと乗り合わせたので、
「明日よろしくお願いします」と言った。

 「町田さんは、朝原稿を書くんですか?」
 「そうなんですよ。朝10時までに一日の
仕事を終えてしまって、あとは自由に好きなことを
やります」

 本に目を通し、セレクト。

 文化部の待田晋哉さんや鵜飼哲夫さんに
「すみません、すみません」
と言いながら、途中で退席。

 ちょうど川上弘美さんがいらした時だった。

 渋谷のNHKへ。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
打ち合わせ。

 フランスでの一週間の「生中継」
を終えた住吉美紀さんが空港から
かけつける。

 すみきち、お疲れさまでした!

 有吉伸人さん(ありきち)が、今度
 細田美和子さんが今度正式にプロフェッショナル
班に移籍されるので、
 歓迎会をやります、と案内状をくださる。

 「あれ、今までは違っていたんですか」
とすみきち。

 確かに、細田さんはプロフェッショナルの
立ち上げの時からの中心メンバーなのであるが、今まで
正式には「番組開発部」所属だったらしい。

 その細田さんが「最後のディレクターかも」
をつとめる「夏スペシャル」の打ち合わせ
が笑いを交えつつも真剣に進行して行く。

 フランス中継が始まる前の日、ヤフーの
キーワード検索ですみきちが第一位に
なったとありきちさん。

 「これはすみきち
何かやらかしたか、と思ったよ」

 実際にはすみきちは何も「やらかして」
はいなかった。
 住吉美紀さんの人気が赤丸急上昇
したということらしい。

 昼間の梅田さんのお話と合わせ、
「検索史観」のようなものができあがる。

 打ち合わせが終わり、長い一日が過ぎ、
家に帰り呆然とビールを飲む。

 たまには良いだろう、
と全くながら仕事をせず、
 「サラリーマンNEO」
を見た。

 私は湖のほとりに一人住む
グレン・グールドであるはずなのですが、
今日もまたそうはいかなかった。

 しかし、また、特筆すべき
面白い一日だったこともまた事実。
 やっぱり、人と会ってお話することも
必要。
 
 いっそのこと、思い切りあって、
思い切り立て籠もって、
 魂の交わりと孤独をどちらも味わってしまえ。
 
 ぼやき節じゃなくて瞬間の空想
飛躍においてこの忙しき日常を
乗り切っていくことにしたい。

 東京の雑踏の中をふらつきつつも、
 我は湖のほとりに住む
孤独な魂である・・・・ということにしておこう。

7月 26, 2006 at 07:10 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 魂の交わりと孤独をどちらも:

» ははの休日 トラックバック Little Tree
なんとなく夏休みモードにはいって、ブログに集中して向かう時間がとれずにいましたが 相変わらず、あちらこちらに出かけては、いろいろなことを見聞きしておりますので そのうち、まとまったお話ができるといいなぁと想っております。 さて昨日は、通級指導教室での宿泊学習の集合が、Y駅に8時45分ということで 「時間の感覚のあまりない」kirikouと、どこかノンビリの私にとっては 『遅刻しないように、時間どうり行く』のは�... [続きを読む]

受信: 2006/07/27 2:27:18

» 続・文化財保護コメントバトル トラックバック 御林守河村家を守る会
7/22「崩壊する文化財周辺」に寄せられたコメントを端緒にして、 島田市指定文化財「御林守河村家住宅」の周辺建造物の崩壊について、 さまざまなご意見が寄せられています。 以下、コメント欄をコピーいたしました。 さらに多様な視点からのご指摘をお待ちしており... [続きを読む]

受信: 2006/07/27 6:15:08

コメント

昨朝 「生きて死ぬ私」を拾い読みして あとがきに行ったとき
内藤 礼さんの文章にぞくぞくしました。この人は詩人だと思いました。現代美術に特に惹かれることは無かったけれど 興味が湧きました。昨日はそのような発見があって嬉しい一日でした。
今朝は茂木さんの”ものいわぬもの”というセンテンスがより私の中にストレートに入ってきたように感じました。

そして今 想っています。なぜ「脳とクオリア」の最初にストーンヘンジの前に立つ茂木さんが居るのだろうか--、と。いつか博多に来られたときにそのことを伺える機会を作っていただくことがあったら良いなあー、とも。

投稿: | 2006/08/04 10:12:39

        引きこもり flexible   

思いがけない夏休みには ☆ 生きて死ぬ私 ☆ select

               
              魂の交わり と 孤独の逸品


 

投稿: | 2006/07/27 5:53:26

暇がない=空白がない、という日々はやはりおつらいものですよね。
お気持ち、本当にお察しいたします…。

いっそ、自分も、「魂の交わり」と「孤独」とをどちらも十全に味わってしまいたい!

でも、逆に“真白キ大地”ばかりでも、それはそれでトテモ困ってしまう。

暇がありすぎても、なさ過ぎても、人間ってえのは何とも不自由なもんなんですねぇ。
まだ早い話ですが、「プロフェッショナル」の夏スペシャル、今から楽しみにしています!それでは。


投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/26 19:16:26

はじめまして!雨水ともうします。

大阪の雑踏に紛れ込めない。。孤独な魂。雨水です。

それにしても、たくさんの魂の交わりですね。。
すばらしい~

投稿: 雨水. | 2006/07/26 18:56:47

 >しかし、Dorjeのジョークの効き目なく、
>反ひもよりもひもの方がますます多い宇宙に
>なりつつあるようである。少なくともこの地球上では。

某大学の先生から「日本でツイスターや、その発展形のループ量子重力をやろうとすると冷や飯を食わされる。」という話を聞いたことがあります。

どうやら日本では、ほかの国よりもさらに「反ひも」が排斥される、「ひも」オンリーの傾向が強いみたいです。


ひもも、反ひもも一緒にバランスよくやって新しい地平を開いていくべきじゃないのかなぁ?


>しかし、これらの秀才くんは、他のことを
>知らないままスクスクと育っていくから、
 >当然、量子重力を解決するような総合的な
>視野は得られないのさ!


う~む、素粒子物理を志す者にとって実に深い、そして重要なお言葉。
(って、自分は秀才でもなんでもないバリバリの劣等生ですが、(汗))

自分の胸の奥に大切にしまっておきます。

P.S.
毎日毎日、とてもとてもとても!お忙しいご様子。
月並みな言葉ですが、どうかご自愛ください。

(昨日の「サラリーマンNEO」はおもしろかった!
とくに、「部長の親」がキテましたね!(笑))


投稿: | 2006/07/26 18:31:26

先ほど,大事なことを書き忘れました.

グールドになった湖畔のMogiさんも
枕元には漱石ですよね.

ふたり熱狂的(言いすぎかな)漱石ファンですものね!

投稿: | 2006/07/26 17:20:36

茂木さん版地下室の手記。
日記を拝見していると、毎日できる限りを出して貢献していてすごいなと思えるの先生でも、そういう心境になるんですね。
わたしはつねに自分の地下室を覗いているような状態ですけれど
先生はどんな風に書かれるんだろう。
読んでみたいです。

明日の神話ご覧になったんですね。
昨日の日記は最後のところにひっかかってしまって
全文読まないとです。

今日は日が強いけれど、からっとしていますね。
がんばってください。

投稿: | 2006/07/26 13:54:20

孤独は素敵だと思う。自分を研ぎ澄まし、安らぎを得、自由がある。
社会に背を向ける、四面楚歌なイメージがあるが、そんなことないと思う。
交わりと孤独。
おおいにけっこうで素晴らしいのではないでしょうか。

グレングールドとは、かなりイヒョウ衝かれました。


投稿: | 2006/07/26 8:36:21

今日はグールドがMogiさんの心のテーマでしょうか?

グールド良いですよね.
僕も大好きなピアニストです.
Mogiさんのweblogを読んだので,
今朝はグールドのバッハを聴いています.

グールドの魔法の手から弾き出されるバッハは素敵だと感覚します.
グールドのため息までもが心地良い世界です.

僕も今日は職場の部屋で,孤高の天才を演じます(笑)

投稿: | 2006/07/26 8:16:47

『「正解がない」学習を促すところだろう。』…とは

気になるキーワードです。

先日受けた講義で、その先生がカウンセラー見習い(?)のときに

スパーヴァイザーの先生から、言われたことは

「一年間、人類の精神的所産に学ぶこと

超一流の音楽・絵画・演劇・文学などにふれること」

だったそうです。

ひとつことを突き詰めるにしても
両方のバランスの取れる精神性…は
やはり大切なのかもしれませんね…

そういえば、昨日聞いたお話の中に

「バイソシエーション…」と聞こえた言葉があります。

チョッと気になっています…

投稿: TOMOはは | 2006/07/26 7:37:55

コメントを書く