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2006/07/22

金魚はぱくぱく

 内田百けん(門の中に月)の名作、
『阿房列車』は、冒頭、百けん先生が
 大阪に行く金策をするのだけれども、
 ただ大阪に行って、そのまま
帰ってくると貸し主に言う。
 泊まらないのですか、
と相手が聞くと、
 お金があったらそのまま帰ってきます、
お金がなかったら泊まるかもしれません、
などと言って、相手が「わかりませんな」
という。

 私も完全な阿房列車と化した。

 電通の佐々木厚さんにお誘いを受けた
研究会に出席するために、
 再び名古屋に日帰りする。

 ここのところ、何回東海道新幹線に
乗ったことだろう。
 通勤で東京から新大阪を毎日往復している
人は、この日本に一人くらいはいそうだ。

 佐々木さんが新幹線の前で
ビールと弁当を持って待っています、
というメールを励みに、
東京駅近くで二件のミーティング。 
 JR東日本の方と、
それからドキュメンタリージャパンの
方々。

 煙草谷さんとお会いするのは
土曜塾以来だ。

 「この前、高橋理さんと、煙草谷さんが
JTの就職面接に来たら、絶対に落ちないだろう、
という話をしていたんですけどね」
 「私も、実は、就職いよいよどこも
なかったらJTを受けようと思っていたんです。」
 「高橋さん、土曜塾から「ためしてガテン」
に異動されるようですね」
 
 などと煙草谷さんと話していた場所が、
丸の内ホテルのシガーバーであったというのは
ちょっといい感じである。

 研究会の前後は新幹線の中で
佐々木さんとビールを飲み、弁当を食べ、
眠る。

 睡眠新幹線。お陰で、このところの
睡眠不足が少しは解消したように思う。
 
 どれくらい眠っているのですか、
と良く聞かれる。
 5時間くらいかな、と答えると、
この前、人間、睡眠時間が短いと
寿命が縮むそうです、と言う方がいた。

 だからというわけじゃないけど、
新幹線の中で眠りました。

 人から何かを言われる、
というのは時に我々に
影響を与える。

 以前、通りすがりの
おじさんに、「あんた、椎名誠に似ているなあ」
といきなり言われたことがあった。

 その後、おじさんは、「もっとも、
あんたはちょっと肥えとるけど」
と付け加えた。

 そのオチが面白いので、ここのところ、
講演で自己批評の話をするときに
 「ちょっと肥えとるけど」の
おじさんのネタを使っている。

 京都の居酒屋で、「兄ちゃん、刹那って
知っているか」と議論を持ちかけられた
こともあった。

 なんだか、いろいろな人に様々な
ことを言われた思い出が交錯する
朝なり。

 「肥えとるけど」おじさんを思い出して、
腕立て、腹筋をした。

 話は変わるが、他人に何かを
強制しようとする人が苦手だ。

 英語でin your own timeとか、
at your leisureといった表現があるが、
 他人に何かを要求するにしても、
薦めるにしても、その人がそれを望んでいるのか、今
欲しいのか、
 スペースを与えない感じというのが
どうにも苦手である。
 
 でも、そのスペースを与えない
人というのは案外世の中にいるもんである。

 スペースがないと、金魚はぱくぱく
苦しくなってしまうのです。

 もちろん、編集の方々からの
締め切りのご連絡は最大限に尊重いたします。

 今日も水戸に阿房列車。

 眠って乗り過ごさないように、
ビールは飲まないこととする。

7月 22, 2006 at 08:01 午前 |

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コメント

はじめてコメントさせていただきます。
茂木先生の「脳の中の人生」「ひらめき脳」を読み、読みやすくて面白く、フアンになりました。
他のご本もどれから読ませていただこうかと、ワクワクしております。

さて、ブログのタイトル「金魚はぱくぱく」・・・

実は数日前、さる高名な先生に感動し、まさにパクパクさせるようなメールをお出ししてしまい、おっしゃるところの

> でも、そのスペースを与えない
>人というのは案外世の中にいるもんである。

に見事に入ってしまったと、苦笑しております。
なんだか、この日のブログを読ませていただいておりますと、
そちらからお返事をいただいたように、こそばゆい感じです。

自己反省の機会をいただき、ありがとうございました。

天候不順の折り、ご健勝で過ごされますことをお祈り申し上げております。

投稿: Yoshida | 2006/07/22 18:34:07

「ちょっと肥えてる椎名誠」か...。そのおっちゃん、うまいことを言うなあ。それにしても茂木さんって、本当に椎名誠さんに似ているもんね。
ここのところ、東海道新幹線を往復する日々を送られている茂木さん。八月にはロシアで学術発表が控えておられるし、ゆっくり夏休みもとれない状態なんだよね・・。

ところで茂木さんの受け売りではないですが、自分も他人に何かを強制しようとする(押し売りする)やつは苦手です。
他人に何かを薦めるにも、要求するにしても、相手がそれを求めているのか如何なのか、今欲しいのか、を考えるスペースをこっち側に与えないやつ、つまり、誰に対しても(些細なことでも)「即断即決」を求めるやつは、けっこういる。

そんなやつに自分でもならないように用心するにはこしたことがない。

閑話休題。

茂木先生はいろいろな人から言い寄られることが多そうですね。おっちゃんとかお兄ちゃんとか。なぜか訊きやすい人に見られるからなのかな?
私の場合、ときどき、知らない人から道を聞かれたりするけれど、「誰かに似ているね」なんて訊かれたことはないなあ。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/22 12:26:51

後半耳が痛い日記でした。強制、人にスペースを与えない人になってるような気がする。反省。

刹那の議論ふっかけたおじさん、茂木さまがどんな顔して振り返ったのか・・・超笑える。

投稿: 平太 | 2006/07/22 8:41:07

おしつけがましさは反省したいと思います。
ある面自分に言い聞かせていたりもするもので。
しかしスペースというか余白って大切ですよね。

投稿: 海馬 | 2006/07/22 8:31:47

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