« プロフェッショナル 仕事の流儀 奥山清行 | トップページ | TALK dictionary 小野塚秋良 × 茂木健一郎 »

2006/07/07

魂の叫びがスタジオにこだました

朝一番で、研究所でフジテレビの
取材を受ける。
 
 セガの「アハ体験」のゲーム、
お台場のソニーエクスプロラサイエンスの
イベント、 
 その背後の脳の話。

 7月9日(日)17:30〜18:00の
スーパーニュース ウィークエンド
内で「日曜日の特報コーナー」として
放送される予定とのこと。

 大手町の日経サイエンスへ。
 京都大学霊長類研究所の
遠藤秀紀
さんとお話する。

 遠藤さんといえば、「解剖男」
などの一連の魅力的な文体の本で知られるが、 
 何といってもパンダの「第七の指」
の存在とその機能的意義を明らかにした
お仕事で有名。

 動物の解剖学に関する学問的情熱は
もちろん、欧米並みの骨格標本等の
データベースを日本でも構築すべきだと
主張するその熱意においても、
 とても素敵なヒトである。

 上野の国立科学博物館の、巨大動物の
並ぶ部屋は、遠藤さんがデザインされたもの。
 「ああいうものを、合議制でつくろうとしては
ダメなんですよ。だから、ぼくは徹底的に
根回しなどを排除しました」
という言葉が印象的だった。

 遠藤さんは、もともと動物の解剖が
したかった。
 しかし、世の趨勢としては、
解剖は教育課程の中に位置づけられるもの、
という風潮が強く、
 そんな中、「どこに行けば解剖を
やらせてもらえるか」といろいろ工夫して
きたという。

 情熱さえあれば、道は開ける。

 「闘う解剖学者」、遠藤秀紀さんと
またゆっくりとお目にかかって
お話したい。

 NHKへ。
 一仕事できるかと思ってやっていたら、
高速を通って、あっという間に着いてしまったので
かえってあてが外れる。
 大手町から15分もかからなかった
のではないか。
 
 「東京というのは、時間帯と方向によっては
早いんですよ」
と運転手さん。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。
 京都、嵐山にある吉兆の徳岡邦夫
さんがゲスト。

 細田美和子さんが「最後の(?)」ディレクター
をつとめるコードネーム「夏スペシャル」
(細田スペシャル)のため、
 スタジオに入る前からカメラが回っている。
 空き時間に「お客様コーナー」で仕事を
する様子や、
 メイクをされている様子も撮影される。

 写り込んでもらおう、と、
お昼を食べている住吉美紀さんや
衣裳のうえだけいこさんに近づいて
いったら、みんなあせってわーっと言った。

 徳岡さんは、吉兆を創業した湯木貞一さんの孫で、
伝統を守りながら大胆な試みを次々と
打ち出していることで知られる
 「味の芸術家」である。

 スタジオに入っていった時、
有吉伸人チーフプロデューサー(ありきち)
が頭を抱えていた。
 
 といっても、番組のことではない。
ワールドカップのことである。

 「朝4時に家に帰って、録画してあった
イタリア対ドイツの試合を見ていたんですよ」
 「ええ」
 「そしたら、朝6時にテポドンのニュース
で放送が教育テレビに切り替わったじゃない
ですか。それで、肝心の「延長最終2分で2点」
の場面が見られなかったんですよ。あちゃー!」

 ありきちさんがなぜそのようにお嘆きだったか
と言えば、「録画で試合を見る」までに、
早朝までに及ぶ仕事はもちろん、
 人との会話、インターネット、
新聞など、試合の結果がわかってしまうような
あらゆる局面を懸命に避ける、という涙ぐましい
努力を積み重ねた末の「本当に楽しみな」
ビデオ観戦だったからである。
 
 「こんなことだったら、BSにしておけば
良かった〜」

 ありきちさんの魂の叫びがスタジオに
こだました。

 一方、すみきちさん(住吉美紀アナウンサー)
はご機嫌だった。

 収録中、徳岡さん入魂の「はものお吸い物」
をいただいたのであるが、
 もう一度、今度は手元をクローズアップで
食べる撮影のために、
 すみきちさんはお代わりどうぞ、という
ことになったからである。

 「人がおいしいものを食べているのを
見るのは本当に腹が立つもんですね、
あはははは」
と収録後、副調整室で見ていた
ありきちさんは語った。

 徳岡さんによると、この吸い物は
昆布は利尻島のある場所でとれる一級品しか使わず、
かつおぶしも厳選してあり、
 なんと一杯あたり出汁の原価だけで
1000円になるという代物。
 
 あな恐ろしや。しかし、本当に美味しかった。

 徳岡さんが、若くして京都吉兆の料理の
責任者となり、苦労されながら
いかに今日のスタイルを確立したか、
そのお話をうかがう。
 
 おじいさんである湯木貞一さんは
あまりにも偉大で、
 ずっと同じようになりたい、
と願っていたが、
 お客さんをおもてなしする、
という茶道から由来する精神をこそ大切にして守り、
 具体的な料理の形は現代に合わせて
変えていくというのが
 真の継承の道だと悟ったという。

 話が弾み、また、料理の準備などで
収録はいつもより長時間にわたったが、
いろいろインスパイアされる
時間だった。

 徳岡さんは笑顔が素敵な、
破顔一笑するとこちらまで思わず笑ってしまう
人で、
 林家正蔵さん(林家こぶ平さん)に似ている。

 実際、友達で、座談の席で正蔵さんの羽織を
借りて小話をしたことがあると言う。

 徳岡さんが料理で使っているという
竹をけずりだした箸が気に入ってしまった!

 明ければ、今日は七夕である。

 「たなばた」という音と、それにまつわる
文化、伝承を思い浮かべるだけで、
 少し違った時間の中に入っていけるような
気がしてくる。

 1分間でもいいから、七夕の世界観の
中に身をひたしてみよう。
 
 目をつむれば、もうそこは銀河。
 

7月 7, 2006 at 06:55 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 魂の叫びがスタジオにこだました:

» 滝川一廣先生のお話 トラックバック Little Tree
ぜひ、一度お話を伺いたと想っている精神科医の滝川一廣先生が7月22日(土)に「人間学アカデミー」のシンポジウムで講師をなさいます。 以下に、引用してご紹介いたします。 テーマ 「寂しい日本の私−つながりを求めて」  第5期人間学アカデミーは、統一テーマとして「生きるための知」を掲げて現在進行中です。 豊かさを手にしながらどこか方向性を見失った日本人のこれからの生き方にとって、 何らかのヒントを提供できればと�... [続きを読む]

受信: 2006/07/07 16:32:54

» 食生活が性格に影響を与える トラックバック 54のパラレルワールド
性格を決定付ける要因についてはこれまでにもいくつか書いてきた。 「おしゃべりなアフリカ人、おとなしい日本人」では、言語が性格に影響を与える 「身体の音色〜体格と性格〜」では、体格が性格に影響を与える 「色の人類学」では色が性格に影響を与える、と書いてきた。 今回は 食生活が性格に影響を与える よくいわれるのが、カルシウム不足がイライラを引き起こす。 普段の食生活の中でカルシウムを十分に摂れていない人は怒りっぽい性格なの�... [続きを読む]

受信: 2006/07/08 10:19:08

» 「入手極めて困難な名著」 トラックバック 御林守河村家を守る会
私が一昨年書いた『蒼天のクオリア』への、アマゾンHP上の評価です。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/offer-listing/-/478389597X/used/ref=sdp_used_b/249-2157088-9769113 どうしてそうなったのかは分からないけれど、アマゾンにそう書いてあるこ�... [続きを読む]

受信: 2006/07/09 6:54:55

コメント

文章中に 博多へ とありましたので どうぞ博多へお越しの際は
お立ち寄りください。昨年から小さなアイリッシュパブをオープンしています。お店の名前は「The Celts」(ザ ケルツ)です(福岡市中央区警固1-1-23)。ケルト文化の 特にケルティックスパイラルに惹かれてアイルランドやケルトに関わっています。美味しいギネスがお待ちしています。暑さ厳しき折 ご自愛くださいませ。

投稿: | 2006/07/16 10:35:17

茂木さん 遠藤です。先日は時間がない中、ありがとうございました。しゃべり過ぎてすみません(笑)。この先もお元気でお仕事続けてください。こんどは美味しいものでも食べながら、解剖の話でも致しましょう。遠藤

投稿: 遠藤秀紀 | 2006/07/09 0:37:16

このエントリーが書かれたきのうは七夕。しかし、生憎、PCが書きこみ禁止状態になり、コメントできなかったので改めてきょう書く。

目を瞑れば、もうそこは銀河。茂木先生は夢のなかで、そんな星々と一つになるのかな。

銀河と一つになり、やがて彗星となって白熱の光を放ち、夜が明ければ、彗星は地球に戻り、目を覚ました時には、もとの茂木健一郎というひとりの壮年に戻る…そんな夢をみたりするのかな。

牽牛織女の伝説も、宇宙の内実が明かされつつある現代となっては色あせるばかりなのだろうか…。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/08 22:17:40

 風邪、治ってきたようですね!良かったね~!
 私が風邪をひかない理由のもう一つは、毎日ビタミン錠を飲んで
いることもあるかもしれません。かれこれ20年は続けています。
 「へ~、こんなにコツコツ続けていたこともあったのか!」と、
自分でもびっくりですな。ビタミン錠を飲み続ける情熱か!

 日本語の「天の川」も、英語の“Milky Way”も、どちらの
音の響きも大好きだなあ。
 「天の川」を、もっといろんな言語で知りたくなった!

 りんごちゃんTシャツを着て、
子供のように可愛い、ロマンティストな脳科学者が、
目をつむってすぐそこに感じる銀河を、
目をつむった私にも感じられたらいいのにと思う。

投稿: | 2006/07/08 4:11:28

  
    七夕のよる 
         涙を流した人は
                必ずいつか幸せになれる

                    笹に結ぶ

投稿: | 2006/07/08 1:44:16

そうでしたー!
途中でチャンネル変ったんでした
あわてて変えたから全然忘れていたけれど、6時だったんだ・・・

ありきちさん、かわいそうー!

明け方まで仕事をのりきり、せっかく無事にお家に帰れたのに
おまけに、はもも食べられないなんて・・・
がんばって、ありきちさん

吉兆の徳岡さんは、きょうの料理でたまに見る方でしょうか。
眉毛がすこし困っている感じの・・・正蔵さん

削り節って高価ですよね。
この前母親に聞いて、そんなにするのかあ、と驚きました。
お札いちまいのおだし。
先生は飲んだのですねー。番組楽しみです

仕事術のときと比べて
昨日のプロフェッショナルの茂木先生は、ぴちぴちしていました。
おいしそうなくらい。?
お風邪をひく前で、これが英国シャワーの効能なのかなあと思いました。

きょうはお星さまになにをお願いしよう

投稿: | 2006/07/07 11:35:40

闘う解剖学者か・・・解剖学者は皆熱いのか。

茂木先生は熱き血潮学者いやいや脳科学者ですね。
茂木先生が熱くなった時の言葉は、ご本人のおそらくは
普通の人より多そうな血潮がどくどくと脈とともに感じられます。

熱ーい血潮と汗と脈と生命力を感じずにはおれないのです。

投稿: | 2006/07/07 10:03:45

コメントを書く