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2006/07/18

調子外れ

 新幹線の中は、Sue Townsendの
Number Tenを読むことで、
 なんとか眠らずに名古屋に着いた。

 名古屋からタクシーで南山中学、高校へ。 

 タクシーの運転手さんが、「よく
わからないから、聞きますわ」と
尋ねた相手が関係者だった。

 会場のホールに着いたのが、30分前。
お昼でも、といわれたが、いいです!
とお断りして、最終的なスライドの
チェックなどをしていた。

 100分間、脳と創造性の話をする。
 人間が不確実性を好むように
なるためには、安全基地が必要なのであって、 
 いかにそれを育むか。

 終了後、自然発生的にサインをさせていただく。

 インタビューを受ける。
高校生向けの、キャリアマガジン用の
記事で、大学生や編集者の
「お目付」がついているが、
基本的に高校生が質問する。
 
 4名の高校生が、それぞれ、好きな
ことを聞いてきた。
 人生いかに生きるべきか、という
テーマだったはずだが、
 「人間は、死ぬ直前にどのような
ことを経験するものなのでしょうか」
とか、
 「友人が、幽体離脱の方法というのを
教えてくれたんですが、本当にそういう
ことはできるのでしょうか」
といった、あまり人生論とは
関係のない方向に話が流れていく。

 しかしまあ、それでいいのではないか、
とも思う。
 「本当に聞きたいこと」を尋ねて
来たのだ。

 小学校の頃、「こっくりさん」というのが
流行って、友人たちと数名で
紙にひらがなを書いて、
 コインを指で押さえて
「こっくりさん、こっくりさん、お入りください」
などと言って、
 指がどのような文字をなぞるか、ドキドキ
しながら見ていた。

 もちろん、今では無意識のプロセスとして
の科学的説明が可能だけれども、
 子供にとって、自分が生きている
生活空間のすぐ横に全く異なる世界が
ぽっかりとあるという感覚は、何とも
形容しがたいスリルに満ちあふれた
ものであった。

 そのような感覚がプラクティカルな意味での
「人生論」とはずれる、ということを、
大人は判断できるけれども、
 高校生にとって、「死ぬ時はどんな
体験をするのか」「友達の言っている
幽体離脱の方法は、本当か」といった
質問は、どこか微妙なところで人生論の
ど真ん中にあるのだろう。

 京都大学の霊長類研究所に
いる内山リナさん(元東工大)と、
 サワダさんが来て、
意思決定のメカニズムの議論を少しする。
 内山さんが元気そうで、良かった。

 大雨の中、名古屋駅へ。
三連休の最後だからか、新幹線が珍しく
一杯で、
 しばらく先までとれなかったから、
切符を買って、
 それから、「なご屋」という
ラーメン屋で味噌ラーメンを注文し、
食べ終わる頃何となくそんな気になって
餃子と生ビールのセットを頼んだ。

 美しい順番は逆だと思うが、
そういう風になってしまったんだから仕方がない。

 そもそも、
ラーメンを食べてしまおうと思ったのは、
新幹線が満席で、 
 ぎゅうぎゅう詰めの中で
弁当を食べるのは何となく気詰まりだ
なあというイメージがあったからで、
 最初から流れの調子が外れている。

 新幹線の中で、Sue Townsendを読了。
Adrian Moleで有名になった人で、
今回はダウニング街10番と、私の好きな
イギリス首相ものだったから、
大いに期待したが、 
 Amazonのreviewにもあるように、
傑作とは言い難かった。

 しかし、それでもいい。
 もともと忙しいのに読む気になったのは、
英文の著述を本格化させようという
野望があるからで、
 文体とか、ウィットの密度とか、大変
参考になった。

 インタビューをした高校生の
一人が、「オレは俳優になりたいんです」
と言っていた。
 なれるかどうか、わからないが、
プラクティカルな人生論のちょっと横に
あるそのような領域に引き寄せられていくのは、
大いに結構じゃないか。

 幽体離脱とか、こっくりさんとか、
そんな仕方がないことに関心を持つのは、
精神の若さの証拠じゃないか。

 人生の本質は、案外調子外れの
中にあるんじゃないかと思う。

もっともバランスは崩してはいけない。

7月 18, 2006 at 05:02 午前 |

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受信: 2006/07/19 23:41:44

コメント

名古屋の朝カルに通っています。
今日、「なご屋」でラーメン食べました。
一週間遅れの、茂木さん追体験。
改札のすぐ横の、威勢のいい若い男性の立ち働くお店。
こういう所食事される茂木さんが、私達は大好きだ~。
食事終わって、隣のカフェをふと見ると、東儀秀樹さんが
お一人でコーヒー飲んでらっしゃいました。

投稿: | 2006/07/23 21:45:02

「不確実性を好むようになるために必要な安全基地」
未熟な親としては、
『安全基地のための甘え』なのか、
『ただ子どもの要求を鵜呑みにする甘やかし(?)』なのか、

『子どもにとってスリリングな不確実性』なのか、
『親にとって避けたいスリリングな不確実性』なのか、

子どもにとって必要な安全基地は、
『どの子どもにも共通するもの』があるのか、
『子どもそれぞれ違うもの』なのか、

子どもの友達を見ていると、疑問が出てくるのですが、
その疑問について話せると、
親同士が仲良くなれるような気がしますが、
話せることが少ない(?)し、
話せるようになり、小さなグループができて、
そのグループから出ない(?)様子もあるような・・。

調子はずれから本質が見えるのは、
一個人の立てた予定通りのサイクルの中では
無いような気がします。

だから、なるようにしかならないのかなぁ・・

投稿: | 2006/07/19 13:21:58

私も中学~高校時代、「幽体離脱」とか「死ぬときの体験はどうなのか」とかに多少は興味があった。こっくりさんも結構はやっていたかと思う。が、イマドキの高校生も、そういうものに興味をもっていたなんて。

まぁ、彼等にとっては、人生いかに生きるべきかというよりも、そんな「オカルト」のほうが自分達の人生に切実な事柄だったりして。

そんな「調子はずれ」の問いのなかに意外や「人生の本質」が秘められていたりするのかもしれない。

大上段をふって「人生について」の難しい事柄をなにやかにやと演説するよりよかったんじゃないのかな。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/18 18:30:37

昨日の講演をお聞きしました。
示唆に富んだお話で私にとって非常に有意義でした。
伝えたいところのエッセンスをかいつまんでお話いただき、短い時間でしたが内容があり
面白かったです。
水玉模様の傘カバーとメガネケースにサインをお願いしました。
こんな突拍子もないものに気さくにサインに応じていただき、ますますファンになりました。
やっぱりじかにお会いするってことは大切ですね。
Webでは得られない茂木さんに対する新しい情報がいっぱいありました。素敵でした!
今日は私の誕生日です。新しい自分を創造してゆきたいです。

投稿: | 2006/07/18 7:32:40

@プロセス・アイに 捕らわれて@    調子はずれ承知の上

ノーマルな意識の状態と 意識の変性状態の同時並行が可能な

脳科学者がいるとしたら うまれるものは 天からの恵み

天才脳科学者 川端武志の過ちは、 人工頭葉 だと

 

もしこの曼荼羅を見るべき者がこの世にいるとすれば、
 砂の粒子がひとときにせよ意味を担って結集した今、
  目的はきっと達せられたのだと感じた。
        ・プロセス・アイ エピローグ 曼荼羅ヨリ

投稿: | 2006/07/18 6:49:36

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