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2006/07/14

人生の軌跡の様々よ、嗚呼

ココログのメンテナンスのため、
3日ぶりの更新となりました。

 毎日書こうと、三日分まとめて記そうと、
それをしている間の意識の流れは
同じである。

 いずこも同じstream of consciousnessに載せて
人間はさまざまな「ことのは」を紡ぐ。

 11日、デザイナーの小野塚秋良さんと
対談。

 流行の話になって、「どうも私から見ると、
最近はポロシャツは着にくいというか、
何か「キテナイ」感じがするんですが、
どうでしょうか」
 と伺うと、答えは明確だった。

 「ああ、それは、茂木さんが顔が大きいからですよ。
デカ顔にはポロシャツは似合わない」
 
 「ゴルフウェアなんか着ているおじさんは、
どうもいかがなものか、といつも思ってしまう
のですが・・・」

 「ああ、それは、身体を鍛えていないで
貧弱だからですよ。アスリートが着ると、
ちゃんと似合う。」

 ガーン。
 そうであったか。誠に明快なお答えであった。
 流行の問題ではなく、体型の問題であったとは。
 ファッションとは、己を知ることであると
悟った。
 ゴルフウェアはともかく、ポロシャツが
キテナイと思っていたのは自分のせいだったのか。

 打ち上げは桑原茂一さん、吉村栄一さんも
交えて「たらふくまんま」にて。
 とってもおいしい、たのしい。
ふくよかな時間。

 空けて
 12日、新幹線にて大阪へ。

 指定の席に座り、しばらくぼうっとしていると、
どうもおかしい。
 出発時間になっても、出る気配がない、
ような気がする。
 
 これは、
 ひょっとしたら、
 ことによると、
隣りのホームの列車か・・・
と気付いた時には、もうそっちは動き出していた。

 ああいう時の、一瞬青ざめるような感覚があって、
その後に「またやってしまったぜい」
という後悔が襲ってくる感じは、
何度経験してもイヤなものである。
 
 またもや、自由席に座るはめになる。

 予約していた席には、
もっと注意深いはずの私のドッペルゲンガーが
座って、大阪まで行ったことでしょう。

 これが飛行機ならば、「お客様、この飛行機は
お乗りになる高松行きではなく、帯広行きです」
と教えてくれるのだが。

 大阪大学での集中講義。
 ふたコマというのは本当にあっという間
である。
 人生のひとコマ、授業のふたコマ。
 
 終了後、浅田稔さんのERATOの
プロジェクトに行く。
 しばらく議論した後、
千里中央に出て、
浅田さん、荻野正樹くん、吉川雄一郎くん、
石黒浩さん、吉田千里さんと会食。

 石黒さんがご自身にそっくりに作った
ヒューマノイド・ロボット「イシグロイド」
の話と、荻野くんのお見合いの話で
盛り上がる。

 翌13日、東京に帰る。
 今度は列車を間違えなかった。
ドッペルゲンガーと一致していました。

 NHKへ。『プロフェッショナル 仕事の流儀』
収録。
 
 ロボット技術者の小柳栄次さん。

 小柳さんは、工業高校の先生をしながら、
思い立って三十半ばで大学研究室に通い
始め、五十を過ぎて博士号を取得した
「遅咲き」の研究者。

 異例のスタートながら、今ではレスキューロボットの
研究において世界の最先端を走っている。

 小柳さんの言われていたことで
印象的だったのは、
 「何かを始めるのは努力、継続するのは
案外やさしい。辞めることには勇気がいる」
ということ。

 人生も半ばにして、
 新しいことを始めることができない、
と嘆く人が多いが、つまりは今までやって
いることを辞める勇気がないだけのことではないか
というのが小柳さんの考え方。
 
 確かに、スペースを作らなければ
人生新しいことは始められない。
 辞めなければ、始められない。

 そういえば、私は不意のシュウゲキを受けた。
収録の合間に、いつものように
エッジの電波が届く「お客様コーナー」
にて仕事をしていると、
 後ろから声がかかった。
 振り返ると、NHK出版の大場旦さん。

 いつもはにこにこ大場旦。
 議論をすると、テーブルどすんどすんオオバタン。 
 原稿催促の時は、怪奇オオバタン。

 オオバタンの本の原稿を、私は
ここのところの多忙で一行も書いていないのだった。

 オオバタンが前に座ったので、
私は仕方なく(よろこんで)カレンダーを出し、
オオバタンが眼光するどく見つめる中、
 「いや、美の問題についてはですねえ、
私も深く考えるところがありまして、つまりは
断絶や無限の状況というものをですね・・・」
などと言いながらその場で原稿を書き始め
さえした。

 しかし、そんなことでごまかされるようでは、
ベテラン編集者はやってはいられないのである。
 オオバタンのまなじりはきりきりと鋭角的に
なっていったのだった。

 本当は心優しきオオバタン。
 美の問題について考え、ビールを飲みましょう。
と、ここには書いておくことにする。

 それにしても、
 ここのところ、ちらちらとよぎっている
ある考えがあって、
 それは、つまり、「天才」というものは、
今までにない生命軌道上の動きを試みる
人ではないかと。

 その動きは無駄になる可能性が高いが、
成功して定着すると、人類にとっての
新しい安全基地になる。

 だから、今までにない心身運動を
心がける必要があるのです。

 来週は収録が休みで、VTRの試写も
ないため、打ち上げの時の有吉伸人
チーフプロデューサー(ありきち)
はうれしそうだった。

 一方、住吉美紀アナウンサー(すみきち)
は「明日早くのフライトでパリに入って、それから
10日間、フランスから世界遺産の中継です!」
とそそくさと帰っていった。
 すみきちよ、無事中継を終えて
また『プロフェッショナル』の収録で
会いましょう。

 ありきちっあんは、あれからまたおいしい
お酒が飲めただろうか。
 
 オオバタンの鋭角は鈍角になって
おやすみになったろうか。

 ありきち、すみきち、オオバタン、そして私。

 人生の軌跡の様々よ、嗚呼。

7月 14, 2006 at 08:47 午前 |

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コメント

 私は「サ・イ・フ・が・な・い(かもしれん)!」ときの、一気に
心拍数があがる感じも、何度でもイヤです。
 
 お茶目でおっちょこちょいの茂木さんのドッペルゲンガー、
新千歳行きの飛行機に乗って、講演に来てくれませんか?

投稿: 龍神 | 2006/07/16 2:40:36

頭の中にスペースを作ることって、新しいことを始めるにはやはり必要なことなのだな。。。
で、その為には、いままでやっているいくつかのことを辞めなくてはいけないのだな。
私は「天才」には到底なれない(と覚悟をきめている)が、よりよい人生を生きる為にはいままで経験していなかった人生の軌道に踏み込んで、それに乗っかっていけばいいのでは、とふと思った次第。


投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/15 18:32:08

人生に無駄は無い

   ゼロエミッション インポッシブル  嗚呼

  喩えれば 天才のしくじりは、凡才の励みとなる

      ありがたき 正直者  !   嗚呼

投稿: 一光 | 2006/07/15 7:19:02

またも、新幹線を乗り間違えてしまった茂木先生。でもなんとか、ご無事に着けてなによりです。

ドッペルゲンガー、についてたしか、自分と同じ人間が3人、この世の中にはいる…という言われと関係あるようですが…。

私も自分とくりそつの人間がいたら、一度お目に掛かりたいものです。

先生もオオバタンさんの、厳しい原稿の催促に答えるのに四苦八苦されてますねぇ。(笑)編集者はかくも厳しいものなのか。

自分ももし、ものを書く立場の人間になったら、オオバタンさん型の編集者に催促されたら、如何しよう。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/07/14 18:28:54

ドッベルゲンガー・・(笑)
先生にもそんなことがあるんだと、
すこしほっとしてしまいました。

11日のトーク拝見したのですが、ポロシャツの話になり、
わたしもなんとなくイケテナイ、と思ってたので、
ふんふん、と興味津々で、
聞き終わって、ガーン・・・でした。
そっかあ、顔が丸いからかあ・・・
と、おのれを知ることができてよかったです。

スミキチさん、いいですねえ。
迷宮美術館など、最近よくお見かけして、
お忙しそうですが、パリにはいってみたい。
小野塚さんのお話でも、意外と間口が広いとか、多国の料理が食べられたり、楽しそうでした。

スペースがないと新しいことはできない、
に納得です。
「天才」というものは、から、
今までにない心身運動を――――
まで、モギー語録におさめます。
 

投稿: M | 2006/07/14 12:08:41

茂木先生
先日、朝日カルチャーの講義を受講させて頂き、ご著書にサインまで頂けた幸せものです。いつか先生のお話を直接聴きたい!という願いが、おりしも七夕の夜に叶いました。まさしく先生は私の彦星様です!心の短冊の願い事の1つがいきなり実現してしまいました。それから、銀座アップルストアでの小野塚さんとのトークショーも運よく拝聴させて頂くことができ大変楽しいひと時をもてました。何よりも、私の隣に先生がお座りになった時の驚きと感動は言うまでもありません。本当はサインを頂いた御礼を言いたかったのですが、あまりの緊張で固まっちゃいました。とにかく、2回も先生にお会いできた至福の1週間でした。有難うございます。次回の朝日カルチャーの講義も楽しみにしております。

投稿: Kussy | 2006/07/14 11:58:16

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