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2006/06/24

ワールドカップを振り返って

茂木健一郎

 決勝トーナメント進出の夢が絶たれた試合を、私は出張先のイギリスのパブで見た。熱狂はどこの国も同じ。見知らぬ異国の人に慰められるという珍しい経験をした。
 サッカーは個人の自主性や創意に依存する側面が多い。その時々の状況で取るべき選択肢が変わり、選手が仕掛けを工夫しなければならない。昨今のサッカーブームの背後には、自発的な発想に基づいて個人が活動しなければ発展が見られないという、時代の要請があるように思う。
 負けて悔しいのは、サッカーには、体力、精神力を含めた日本の「総合力」が反映されてしまうからではないか。自由奔放なプレイをするブラジルを前に、根回しをしたり、様子見をしたり。代表チームの戦いぶりに、容易には変わらぬ日本の自画像を見ているような気分になったのは私だけだろうか。

朝日新聞2006年6月24日朝刊

6月 24, 2006 at 02:56 午後 |

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コメント

「脳の中の人生」を繰り返し読んでいます。時々、ブログにもアップしています。

国や民族間の競合にとらわれがちになりますが、互いに違いを肌で感じることから始めてやがては長所を学びいい地球づくりをするようになって欲しいものです。

養老先生の著書からも勉強させていただいています。

投稿: フセン王子 | 2006/06/25 14:53:34

サッカーの日本チームの結果について
「これが世界だ!」とおっしゃった方がいると
朝のTV番組に出演している竹中大臣が話していました。

TVで放送していることに真実がどれだけ反映しているのか
図りようもありませんが

その、お話の進め方は論理的かつわかりやすく感じました。

ただし、それぞれの人の主義主張を踏まえて
さて、「この国のゆくえ」を見晴らすことは
それにしても、どうにもムズカシイことのように思いつつ

自分のことすらままならない、わが身の情けなさと
何でこんなことばかりに意識が向くのか

そのバランスのとり方を、ぜひ教えていただきたいと

珍しくひとりでゆっくりできる日曜の午後に
ふと想いました…

(思考回路が迷走(いえいえ瞑想?)しているでしょうか…?)

投稿: TOMOはは | 2006/06/25 13:33:56

ひらめき行動を許されない風土に、疲労感を感じています。

何か一貫性のない行動や理解しがたい行動をとると、人にすごくナジラレるので、いつもある程度ストーリーを作って、それに沿ったようにすると、皆さんとの軋轢もなくすごせるようです。(私が自分勝手なのだと言われれば、それまでですが)

でも反面、ひらめき行動になれていない人から見れば、予測不可能な状況は疲れるし、イライラすることになるのですよね。

予測不可能ということは、可能性が無限にあるっていう素敵な状況だと思うのですが…。

サッカーは、ある人の「ひらめき」と別の人の「ひらめき」が瞬間につながるので、すごくスリリングなスポーツ。

無限の可能性の中の一点がつながるって、見ている側もその瞬間を目撃した喜びがあるし、やっている方はもっともっと!

普段の生活で自由な発想が制限されている私たちが、その心のガードをはずすには何が必要のでしょう。

私もそのことを考えてみたいと思いました。

投稿: マサゴアキコ | 2006/06/25 5:15:21

自発的な発想は、日本人の1番苦手なところ。自発性よりも「総合性」をとにかく重視しがちな日本。今回のワールドカップの日本代表の惨敗の原因は、この自発性の足りない「総合力」への依存だと思う。

さらに総合力への依存の原因は、彼等が日頃から受けてきた「教育」にひょっとしたら、あるのではないか。

個々の自発性に基づく活動をする為の「教育」に今から取り組まないと、日本はサッカーだけでなく、全ての分野で世界から取り残されるだろう。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/06/24 18:26:17

茂木さんはパブで観戦できたのですね。

とても残念でした。
総合力が反映されてしまうから負けて悔しい・・のはおっしゃる通りですね。
ただ今回は、ベンチを見ていても、4年前と比べても、チームの精神的な団結力が圧倒的に欠如しているように映りました。
追いつかれてからは、とくにがむしゃらにボールを取る様子が引けてきて、2点差がついているのに様子見の傾向のままだったのが悔しかったです。

中田が気の毒でした。

選手は一試合に約12キロ走るとアクエリアスのCMでありました。
1戦、2戦とも30度を超える過酷な状況でそれだけ走るのは、わたしの想像を絶することです。
選手のみなさんにお疲れさまでしたといいたいです

投稿: M | 2006/06/24 17:13:55

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