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2006/06/02

うっすらと後を引く繊細な気配

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
収録は、「仕事術スペシャル」。

 今までに番組に登場した18名のプロから
学ぶ仕事術を、住吉美紀さん(すみきち)と探る。

 スタジオもいつもと違っていて、
住吉さんもぼくもスツールに座る。

 ところが、なかなかやっかい。私は、、
ワイヤレスマイクの発信器がスツールの
輪に当たる。
 住吉さんは、ハイヒールがうまく
載せられない。

 私の方は送信機を前にすることで
解決。
 すみきちの方は、黒い箱を置こうとしたが、
モニターを一目見た有吉伸人チーフプロデューサー
(ありきち)が、
 「こりゃだめだ、映っているよ。ゆみよし、
せいぜい一分半なんだから、がまんしろよ!」
と言った。

 スタジオはもちろんずっと続くのだが、
テーブルの下の足が映るのは冒頭の1分半という
意味である。

 すみきちが今回はPD(プログラム・
ディレクター)も兼ねているので、
 台本を書いている。
 「私の台本は、感嘆詞(!)が多いんですよ」
とすみきち。

 番組で使うVTRを流しながら
収録を進めていくが、
 そのナレーションを本番の
橋本さとし
さんではなく、PDの河瀬大作さん
(極悪トリオ次男)がやっていた。

 なぜ極悪トリオかというと、初期の頃の
飲み会で、私と河瀬さん、それに小池耕自さんが
極悪だということになって、トリオを組んだのである。
 私が長男らしい。

 河瀬さんのナレーションは、
ほのぼの笑わせるもので、
 ありきちさんに「お前学校の放送部みたいだなあ」
と言われていた。

 その放送部河瀬のナレーションに
負けないよう、
 すみきちとがんばった。

 収録中、すみきちに、真顔で
「茂木さん、この前、仕事を始めると
瞬間的に集中できると言っていましたけど、
あれはどうやっているんですか」
と聞かれた。

 そうなのである。私は、ここのところ、
「机に着いたら1秒で仕事を始め、
ぐっと集中する」
「はははと笑っていて、遊びが終わると、
ぱっと瞬間的に仕事を始めて、だーっと
やっていく」
という「瞬間仕事始め」「瞬間集中」
を続けている。

 そうでないと、仕事がこなせない
から、というプラクティカルな理由が
大きいのだが、すみきちの疑問もわかる。

 私も、昔、だらだらしていて、
「さあ、やらなくちゃ」と思っても、
やっぱり始められずに、時間が経っていく、
ということがあった。

 そして、時間が経てば経つほど、
「こりゃダメだあ」
という後悔や自己嫌悪が募っていくのである。

 質問されて改めて思ったのだが、今の私に
とっても仕事のし始めは難しいのである。

 内田百けんが、「阿房列車」の中で、
「止まっている機関車と走っている機関車は
全く別もので、それをひとつで間に合わせ
ようとするから難しい」
と言っているが、
 仕事をしている私としてない私は
まるで別もので、それを一人で間に合わせ
ようとするから難しい。

 助走は抵抗感があり、うまく行かないんだけど、
そのやっかいな状態を恐れたり、不安に思ったり
することがますます仕事始めから遠ざけさせる。

 だから、不安や恐怖を持たず、
仕事と自分の間に壁をつくらずに、
瞬間的にエイヤッと飛び込んでしまうしか
ないんだけど、
 それは繰り返しやっていくうちに自然に
身に付いていくとしか言いようがない。

 論文を書くのが課題になっている
関根崇泰くん、わかりましたか!

 ゲストがいないので、何だか
こじんまりとリラックス。

 突然思い出したこと。
 私は小学校5年生の時に放送部で
カメラマンをやっていたのだった。

 白黒だったが、いっちょ前にズームしたり、
移動撮影したりするのが好きだった。

 年に一回、クラスの番組を作った。
それは晴れ舞台で、ぼくはカメラを
回していたのだが、島田圭くん
(しまけい)が、カメラにどどどどと
走ってきて、「えっ、おれ、今、テレビに
出ているの?」
というギャグをかました。

 給食を食べながら録画放送を見て
みんなで大笑いした。

 牛乳を吹き出した人もいたかもしれない。

 遠い遠い昔のことである。

 プロフェッショナル収録後、
『赤毛のアン』シリーズについて
簡単なインタビューを受ける。
 遠きプリンス・エドワード島の
ことを思い出した。
 あそこはいい場所だったなあ。

 ありきちCPの提案で
みんなで両国の「ほそ川」に行く。

 あの山本益博さんが一ヶ月
通った店なのだそうであります。


 電車を乗り継いでいく。
 プロフェッショナル・チーム、
初遠足。

 水なすを初めて生で食べ、
そばがきをぺろりんと食べた。

 河瀬次男もやや遅れで到着。
ビールで乾杯、お疲れさまでした!

 ほそ川、すばらしい店でした。
 良質の水彩画を見た後のように、
うっすらと後を引く
繊細な気配のようなものがありました。

 相変わらず「瞬間仕事始め」
「瞬間集中」を続けないと仕事が
終わらない、こなせない、仕掛けられない
きびしき日常であるが、
ほんの少しさわやかな風が
 吹いた気がしたのは、
本当にうれしいことではありました。

 ほそ川に連れていってくださった
ありきちさん、そして身を粉にして
おいしさを味わせてくださった
蕎麦の実のみなさん、ありがとう。

 
 あんまり気持ちが良かったので、
番組収録後、スタジオ外に
NHK出版の大場旦さんが
小林玉樹さんとともに原稿の催促に
来ていたこともすっかり忘れて
いたくらいだった。

 小林さんの方は、なんとかだーっと
行けそうだが、
 怪奇オオバタンの方は、なかなかやっかい。
 こわいよう。えーん。

 でも、がんばろう。

6月 2, 2006 at 07:35 午前 |

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受信: 2007/02/19 2:32:15

コメント

こんにちは。いつも日記を楽しく読ませていただいています。

このところ、まさにだらだらとやらなければいけないことを引き伸ばしてやや自己嫌悪に陥っていたので瞬間的集中力のお話は「はっ!」としました。これはきっとある日いきなり身につくものではなく心がけることによってある程度身についていくものなのでしょうね。とは言っても個人差があるような気はしますが。

毎日とてもお忙しそうですが、お体に気をつけてください。

投稿: たまご | 2006/06/05 19:45:50

 ははあ、バランス感覚の良さも、必要なのですねー。
それも、どしんどしんとした、安定した感じではなくて、
やじろべえみたいに一定でもなくって、もうちょっと複雑な
モビールみたいに、影響しあって、ゆらりゆらりする感じが
理想かな。アンバランスそうで、バランスがいいというか…。
 (糸が切れたら?とか、そういうことは思わんでよ!)

「瞬間集中仕事始め」と「蕎麦の実の皆さんに感謝」する
茂木さん。「できる大人の男」で「子供みたいなユーモア
いっぱい」の茂木さん。「今」の、茂木さんと
「遠い遠い昔」の、茂木さん…。 
 きびしい日常の中で、いろんな茂木さんが、ほんの少し吹いた
さわやかな風に、ゆらりゆらりとする日記だと感じたから、
バランスっていうことを思ったんだかなあ…。

 「こわいよう。えーん」は、可愛すぎるよぉ!ズルイズルイ!

 それにしても「怪奇オオバタン」って…なにかに化けそう…
それとも、化けたあとの姿だろうか…?(許してー!)
 原稿の催促っておそろしげ~。子供にはわからん世界ですな。

投稿: 龍神 | 2006/06/05 17:44:14

相変わらず「瞬間仕事始め」「瞬間集中」
を続けないと仕事が終わらない、こなせない、
仕掛けられない

これが,Mogiさんの本音!
きっと脳の奥が悲鳴を上げている.
扁桃体が凄く活性化してるのではないでしょうか?
きっと小脳もやたらと働いて無意識を維持してるんでしょうね.

やりたいと思うときには「まあ,いいか」と思えても,
「~ねばならない」となると事は別物に変わります.
無意識のうちにMogiさんの仕事への意識が
fearなものへと変化しているような気がします.

でも,僕的直覚ではこれらは「開くfear」です.
positive fearとでも言えば良いのでしょうか.
背中を押してくれる有難いfearを経験しているのでは
と思いながら,このweblogを拝見しました.

そんなときこそ,次の一言が絶対に出てきますよね.

きびしき日常であるが、ほんの少しさわやかな風が
吹いた気がしたのは、本当にうれしいことではありました。

目覚めたときのハッと閃くような感覚にも
似たようなものがありますね.

僕は今「fear」に夢中です!
何か「fear」に関して,suggestionがあればお聞きしたいです.

投稿: Koji | 2006/06/03 16:03:26

へぇ、茂木先生は小学校時代、放送部でカメラマンをやっておられたのか! 
さぞかしうまいカメラワークだったに相違ない…。

ところで、仕事をするときに瞬間的に集中する、というのは非常に大事なことで、自分もかつて経験したけれども、ダラダラやっていると、すすむ仕事もなかなかすすまず、時間内に終わらず、仰る如く、後悔と自己嫌悪がつのるものなんですよね。

だから瞬間的にえいやっ、と飛びこんで、ばーっと集中して仕事を進めるのがベストなのかも。

「仕事術スペシャル」の放映が楽しみでアリマス。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/06/02 23:40:08

極悪三兄弟、ってすごい響き
ほかの二人は誰だろう?と思っていたら・・
茂木先生が長男!

超多忙な先生にひとときの涼風が吹いて良かったです。
ほそ川、とってもすてきそうなお店ですね。
うっすら後をひく繊細な気配・・・
いってお蕎麦の実に感謝したい。

瞬間集中で超人的な毎日をこなされる茂木先生、
ほんとうにお疲れ様です。

「きびしき日常」のなかでも、
楽しい日記をコンスタントに楽しませてくださり、ありがとうございます。
先生の存在に感謝します

投稿: M | 2006/06/02 17:16:36

番組「プロフェッショナル」もここにきてすごくいい雰囲気がスタッフのあいだに流れてきているんだろうなあ、ということを見ていて感じます。住吉美紀さんってこんな魅力を持っている女性なんだ、ということがわかってきました。茂木さんとのあいだにもとても自然な共振がおこっていることを感じます。うらやましい。

投稿: イガラシシゲル | 2006/06/02 15:08:23

今日は 茂木先生からブログから、体内で生成できない ビタミンを注入されました。

>助走は抵抗感があり、うまく行かないんだけど、
そのやっかいな状態を恐れたり、不安に思ったり
することがますます仕事始めから遠ざけさせる。

 だから、不安や恐怖を持たず、
仕事と自分の間に壁をつくらずに、
瞬間的にエイヤッと飛び込んでしまうしか
ないんだけど、
 それは繰り返しやっていくうちに自然に
身に付いていくとしか言いようがない。

やななくてならない事は 違いますが
ここ数日の私は やらなくてはならない事に
情報収集したのはいいのですが
そこから進めることができなくて
なんだか 頭の片隅には考えているのですが
現実、ストレスになってきて
衝動的コーピングで対処していました。

今日の茂木先生の文章で 心動かされました。
「エイヤッ」とやらなきゃ

茂木先生からビタミン注入されたんで
さぁ~、頑張ります!!


投稿: いちご | 2006/06/02 13:52:21

茂木先生、こんにちは。はじめてお便りします。
いつも、「プロフェッショナル」楽しみに拝見しております。
私は初めて、プロフェッショナルを観た日から先生の大ファンになってしまいました!で、今回のブログに“赤毛のアン・・・”が出てきたので、ついついお便りしてしまいました。私が子供の頃(遠い遠い昔です。)に初めて、赤毛のアンを読んだ時、単行本の最後のページに“必ずプリンスエドワード島へ行く!”と書き記したことを思い出しました。未だ訪問は実現していないのですが、先生はいらっしゃったのですね。
次の夢は“ナマ茂木(ごめんなさい)に会いたい!”です。丸の内もアップルもニアミスでした。。。どこに行けば先生にお会いできるのでしょうか??

投稿: Kussy | 2006/06/02 13:21:24

ブログを拝見していたら、いきなり、”赤毛のアン”の事が出てきてビックリ!プリンス・エドワード島へいったことがあるのですか?どんな島でしたか?印象は?

子供の頃何度も読んだ本で、頭の中に、プリンス・エドワード島の地図が出来ていました。いつか、行ってみたい場所ですね。

投稿: フ~シャン | 2006/06/02 12:21:22

「瞬間仕事始め」「瞬間集中」ためになるなあ。
年とってくると。

投稿: みかんのパパ | 2006/06/02 12:00:24

私も、先生の「瞬間仕事始め」「瞬間集中」を
マネしてみます!!

自分のブログを書く時や
講演を聴いたときの質問を考える時も

このワザは、威力を発揮しそうですね!


日々の大変さの中を、吹き抜ける一陣の風にのって

異国の地まで、思いっきり飛んで行きたいものです・・・

ということで

今日は、横浜の開港記念日です。

内容は、ずれているかもしれませんが
またTBさせてください!

それから、ウチの子から二宮金次郎さんの本に
「先生のサインをもらってきて!」と
頼まれていますが、お願いしてもいいですか?

では、後ほど・・・

投稿: TOMOはは | 2006/06/02 8:37:15

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