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2006/06/29

ミクニにて

 朝、佐藤可士和さんと対談。
 集英社ウオモ編集部の佐藤絵璃さん、
ライターの岡本純子さん。 
 カメラマンの佐古裕久さん。

 可士和さんとは、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』でご一緒
して以来。

 1時間と限られていたので、
サクサクサクサクとお話を進めたが、
本当は何となくまったりと喋りたい
という気分もあった。
 
 可士和さんとは、波長が合うというのか、
暗黙知のところで共鳴している
ところがあって、
 言葉だけで切り取っていくのがもったいない
ような気もしたのである。

 テレビ朝日のディレクター、柿崎拓哉さんと
日野原幼紀さん。
 番組の企画について。
 いろいろ承りました。

 四谷のホテル・ドゥ・ミクニへ。

 
『ニューロンの回廊』のロケ。

 急いで着替えて、「キッチン横の
シェフズ・テーブル」に座る。

 ただ食べるだけなら気楽でうれしいが、
カメラが回っている中で、
 「ドクター茂木」として何か
言わなくてはならないのは大変だわい、
と思っていた。

 ところが、案に反してとても
楽しかった。
 三國清三さんの料理の力が
大きかったと思う。

 デザートを食べながら、三國さんと
屋上で話す。

 屋上はハーブガーデンになっていて、
計画ではどんどん田舎の雰囲気にする
のだという。

 三國さんは北海道の増毛出身で、
父親は漁業、母親は農業をやっていた。

 「フランスの三つ星のシェフは、皆
田舎出身なんですよ」と三國さん。

 「ガニェールも、ロブションも、カッコつけてるけど
みんな田舎の農家とかの出身。僕と同じ」

 頂いた料理が、アミューズからデザートまで、
一つの統一された「クオリア」であった
ことを言うと、
 「大抵、どこかで力が落ちてしまって、
そこに穴が開いてしまうんですよ。サッカーと
同じ。前半リードしていたのに、最後に
パラパラと点を入れられてしまうとかね」と
三國さん。

 三國さんはサッカーが大好きで、
「キッチンの中にいるのは、なぜかいつも
11人なんですよ」と涼しい顔で言う。

 「僕はゴールキーパーですけどね。フォワード
じゃないんです」

 キーパーこそが全体を見渡せる、という
意味だろう。

 料理は最高の芸術の一つである
ということを再確認した昼下がり。

 アシスタント役の岡村麻純も、大いに
満足した様子であった。

 味のシュートを沢山決められた思いで、
ミクニを後にする。

 昭和女子大学へ。
 
 「人間と脳」というテーマで講演。

 日本文学科教授の太田鈴子さん、
 英文学科教授の平井杏子さんとお話する。

 太田さんは最近は村上春樹をやられていて、
平井さんとはカズオ・イシグロや
小島信夫など多くの共通点があることが判明。

 人見記念講堂の中には沢山の学生たちが
いて、皆、礼儀正しい。

 話している間、彼女たちがどんなことを
感じ、考えているのか、判らなかったので
終了10分前になって、「質問ないですか」
と会場に振った。

 授業の一環として行われているという
この講演シリーズで、会場の学生に
質問を振った人はいなかったらしく、
 急いでマイクを用意してくださったが、
学生たちからは案外質問が沢山出た。

 夜寝る前に
 イギリスで買ってきた
Absolute Powerというコメディを2話見たが、
面白かった。
 
 ロンドンで、政治家や宗教家、作家などの
Public Relationsを扱うPR会社の話。
 良心などというやっかいなものに
邪魔されず、白を黒とし、虚構を現実に
するPRマンを
 Stephen Fryが好演している。

 Stephen Fryは、かつて、インタビューの
中で「ケント州くらいの大きさの脳を持つ」
と称されたほど頭の良い人だが、
 Absolute Powerの中でも得難い
演技をしている。
 
 Fry流の
 知的なコメディは最高にentertainingであり、
まさにイギリスのnational institutionと言うことが
できよう。

6月 29, 2006 at 09:20 午前 |

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コメント

偶然ですが、同じ日にミクニで夕食を食べました。

料理について賛否両論あると聞いていたので、ドキドキしていたのですが、私もたくさんシュートを決められました。魚料理の中のリゾットがとても印象的でした。

三國シェフと対談、羨ましい。その人となりに触れてから食べると、なお一層美味しいのでしょうね。

投稿: (ゴ) | 2006/07/01 1:21:35

おっ♪これまた面白そうなDVDのご紹介を有難うございます! 早速チェックしてみようっと♪

そういえば、今日、LocationFreeを使うと、海外でも、どこか外出先でも、どこでもネットのADSL以上のネットのアクセスさえあれば、日本の放送を自由に見れる、という話を聞きました。という事は、逆もしかりなのかもしれないですね?! (自由にリアルタイムでBritish Comedyを好きなだけご覧になれる日も結構近いのかも★)

投稿: | 2006/06/30 0:19:39

はあぁ、メニューが載っている。
おいしそうー
ミクニさんのお料理食べてみたいですが
汐留のお店を覗いたときは、パンを買って帰っただけでした(笑)
しかも味を忘れてる…

暗黙知はすてきです。
しかも可士和さん。
今日のプロフェッショナルでも拝見しました。
茂木先生の世代には、活躍されている方が多いのですね。
なんとなく未来に希望がもてそうです。

Stefen Fry氏のコメディー見てみたいです

投稿: | 2006/06/30 0:13:45

三國さんとの収録は、まさに“食のクオリア”関連ですね!
一つ一つの食材の個性が複雑に組み合わさって、それが統一された一つの食の世界を作り上げていくものなのだろう。

それはまさしく“食の芸術”なのに相違ない。

私は未だフルコースなるものを体験してないが、一度体験すれば、一つのフルコースが、アミューズからデザートまで、きっと「統一されたひとつの世界のクオリア」だということが認識できるだろう。

ところで、日本でも外国でも、コメディーやギャグを生業としている人達は、ある意味、頭がよくないと務まらない、という通説がある。しかし、英国のコメディーをやっている人と、日本のお笑い産業に従事している人のパフォーマンスを比べていると、明らかに前者のほうに冷徹なエスプリ、もしくは知性を感じる。やはりクールな自己批評性のある無しに関係があるのだろう。

日本のお笑いは、何処を如何観ても、なんというか…ある意味、知性を感じない、というか、子供っぽい感じがしてならない。観るとつい笑ってしまうが。しかし観た後でよく考えると、何か、いじめっ子がいじめられっ子を笑い者にするのとあまり変わらない気がする、と思うのは自分だけなのだろうか。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/06/29 20:00:17

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