まぼろしの眞白き大地
必要があって、カレンダーソフトを開けて
「この月はこれくらい、この月はこれくらい」
・・・
とスケジュールを見ていき、
2006年11月くらいからはさすがに
空白も多くなって、
2007年になると眞白き大地が
広がっているのを確認した時、
何とも言えない開放感が
じわーっと胸の中に広がっていった。
これはいい! ずっと、このままで
いて欲しい!
スケジュールなど、入れようと思わなければ
こっちの都合でできるはずだが、そうも
いかず、世間とのしがらみやどうしても
必要なこともある。
それでも、朝からずっと綱渡りの
人生を送っていると、
やれやれ、スケジュールの眞白き大地が本当に
有り難くも輝く光景に思えてくるのである。
午前、お台場のソニーエクスプロラサイエンス
関連のイベントの打ち合わせ。
佐々木貴宏さん(時期首相有力候補に似ている)
に、「このテクストをください」とせっつか
れているのは重々承知だが、
まことにすまないことだと
思っている。
総務の大塚まりさんにも、「茂木さん、
あれどうなっていますか、これどうなって
いますか」と畳みかけられるが、
「いずれ春永に」とまではいかないが、
「できる限り早くやります」
とお答えするしかない。
新潮社の金寿煥さんと町井孝さん
登場。
朝日新聞の読書欄の取材を受ける。
「ひらめき脳」について。
お話しているうちに、どんどん
「空白」の効用とか、遊びが大事だとか、
そういう方向に盛り上がっていって、
肝心の「ひらめき脳」の宣伝に
つながるのかどうか、
ちらちらと金さんの方を見るが、
金さんは「どうぞどうぞ、気にしないで
ください」
と涼しい顔をしている。
記事は18日の誌面に掲載される
予定とのことなり。
ちょっとほっとして、
金さんと会食。
オクラメンタイコ丼の
ねばねばが
元気をくれた!
明治大学出身の矢口裕一さんが研究室
見学に来る。
矢口さんの考えた心の見取り図を
見せてもらう。
ゼミ(Journal Club)。
私にも担当が回ってくる。
朋友、Allan Snyderが最近出した
サヴァンの論文を紹介した。
実は初見だった。
つまり、その場で初めて見て、
5分くらいで読んで、
その場で紹介した。
今週は後半にかけてスケジュールが
本当にひどいことになって、
担当の論文も読めない状況
だったのだが、
それでも、キャンセルすることは沽券にかかわるので、
このようなことに相成った次第である。
よい子の皆さんは、マネをしないでください。
大久保ふみが紹介した論文が、結果として
とても面白かった。
大久保ふみは嫉妬(ジェラシー)の
研究をしているが、
嫉妬を含めて、そもそも感情とは何か、
ということを考える上で、きわめて
示唆を与える論文。
というか、論文に触発されて、
勝手に自分で考えてしまった。
このところ感情についての自分の世界観が
急速に深化している手応えを感じる。
先日、神楽坂の加賀屋で新潮社の金さん北本さん
町井さん池田さんにホッピー指南を受けたが、
そのとき「いや最近ね」
とほのめかした「大ネタ」は
感情に関わることなのです。
夕刻、林真理子さんがいらっしゃる。
週刊朝日の対談。
林さんは、エンジン01などで
時々すれ違ったことはあるのだけれども、
きちんとお話するのは初めてであった。
非常に率直な方だなと思った。
洗いざらしの木綿のように、
自分が感じたことをそのまま語られている。
それが、林真理子という作家の批評性なんだと
思った。
田舎と都会。
平凡と洗練。
取り繕う中でついつい水と油のように
分離されてしまうものどうしの
間を林さんの補助線がつないでくれる。
学生たちのスペースに林さんが
ふらふらと。
「君たち、理系の頭のいい学生さんたちは、
どういう勉強をしてきたの」
と御下問。
もぞもぞ、何も特にはやっていません。。。
とみんなごにょごにょしている。
林さんは分厚いKandelを手にとって、ぱらぱらと
見ている。
やがてときはすぎ、
それではそれではと、
林さんはサヨナラしていった。
ASSCへ向けて、実験の追い込みをしてよね!
と学生たちにハッパをかけてから、
青山の国連大学裏のテレビマンユニオンへ。
『ニューロンの回廊』の会議、及び会食。
花野Pを始め、日テレの遠藤さんを含む
スタッフの方々といろいろお話をする。
一つの番組をつくるということは
本当に難しいが、面白い。
学習曲線急峻なり。
世間ではボーナスというものが出た
というが、
金曜の
夜の渋谷は人がうろうろ歩いていて、
まるでバブル期のごとく。
目をさらのようにして探しても、
心眼を働かせても、
まぼろしの眞白き大地はどこにもなかった。
6月 10, 2006 at 10:42 午前 | Permalink
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» 知のブレイクスルーに迫る茂木健一郎氏 トラックバック 精神科医としての人生
最近、脳科学者の茂木健一郎氏から目が離せない。
氏はクオリア(意識のなかで感じる様々な質感のこと)から、
脳と意識の問題を論じ続けている。
そのなかで、最近僕の目にとまったのが、
「感情は不確実性への対応戦略」という主張である。
精神科医として人間の感情、気分などの病理を扱う立場からも、
たいへん興味深い言葉だ。
先日、不確実性と感情との関連を実感したことがあった。
といっても、誰でも経験したことのある体験だが。
あるアポイントを控えて
電車に乗ろうとしていたとき..... [続きを読む]
受信: 2006/06/12 22:23:28
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コメント
まぼろしじゃない眞白き大地なら…
冬の北海道にいらしたら、見られますよ。
そう言う私も、おそらく実際に見たことがないと、たった今
気がつきましたが。心象風景としては、確かにあるのに。
私の勝手なイメージの茂木さんの中には、“林”も渋谷も
無くて、眞白い大地にぽつりとたたずむ茂木さんのほうが
リアルに感じます。
こっちにぜんぜん来てくれそうもない茂木さんのスケジュールに
じりじりしちゃう!茂木さんがよく行くところに嫉妬してるのだ!
ゼミで初見の論文を紹介する超アッタマいい茂木博士の姿は、
私には一生まぼろしのままかなー。
茂木さんの見たまぼろしは、いつまでまぼろしのまま?
投稿: 龍神 | 2006/06/12 6:20:04
先日大阪の某書店で食のクオリアを、探した。
置いてあったのは、5Fの医学書コーナーの精神医学の棚。
高次脳機能障害の書籍の下にあった。一応新刊とミドリのシール張ってあったが、ぜんぜん目立たない。
「買おう。」と思ってきた人なら探して買うが、そうでない人は・・・
1Fの目立つシマの置いてもらわないと、新しい購買層はちょっと?
過去の書籍は1Fのわりとめだつトコロにありました。
ひらめき脳にしてもまずは書店の棚の確保かな?
ベストセラーキボンヌ。
投稿: 平太 | 2006/06/11 11:01:11
「感情の表出」「衝動性」「やむにやまれぬ想い」「自発性」などに
光を当てて、言葉としての美しいカタチを与えて
ぜひ、私たちに見せていただきたいです!!
楽しみにしております!!
投稿: TOMOはは | 2006/06/11 4:41:42
想像しかできませんが
1分の隙もないなかで、ぴかぴかの眞白い大地をみつけたら、ほんとにほっとするんでしょうね。
まぼろしになるとしても、よかったですね
大ネタ
深化した茂木さんの感情の世界観が、とっても気になります。
投稿: M | 2006/06/11 0:24:42
はじめまして。
ミクシィで茂木さんのコミュニティに入り、そこの情報からこのブログを知りました。
NHKのプロフェッショナルでの茂木さんのことを初めて知り、その穏やかな表情、語り口に好感を覚えました。
ひらめき脳を読みまして、“農学者、あ、失礼。脳学者”さんというのはお堅い人なのかな~と思っていましたが、このブログを拝見するに、普通の方なんだなとちょっと不思議な感じです。
テレビに出られるほどの有名人の方にコメントを寄せるのは多少緊張しますが、これも何かの縁?ということで思い切って書いてみました。
またちょくちょく読ませていただきます。
お酒が好きなようですので、どこかで接点があるかも?なんて淡い期待を抱きながら・・・。
投稿: J子 | 2006/06/10 21:34:34
茂木先生、ずっと11月以降、スケジュールが真っ白だったらいいですよね…!私もそう思います。
年末までぎっちり詰まっていたらもう地獄ですもの。自分だったらあまりの過密ブリに半狂乱(?)になるかもしれない。(マジで)
林真理子さんの作品は実は全然読んでいないのですよ。自分自身が一連の林さんの小説作品に興味がなかったからです…。林さんの著作もそうですが、恋愛とかがテーマの小説作品は案外、苦手なもので…。
茂木先生は恋愛小説に興味はおありでしょうか???
閑話休題、多摩川からの帰りに用賀までてくてく歩いて、そこから田園都市線に乗り渋谷でひょいと降りたら、土曜の昼間からもう人間が沢山歩き回っていて、茂木先生が歩いておられた金曜の夜の如くでありました。
渋谷は眞白き大地どころか黒山の人だかり。心眼をはたらかすまでもなく、げんなりとしてしまった。
嗚呼、降りるんじゃなかった…。音楽を聴いて気をとりなおして、私は五反田ゆきの東急バスに乗りこみました。五反田駅前でバスを降り、山手線に乗って恵比寿駅で降り、駅ビル内の本屋に立ち寄り、「食のクオリア」を入手!早速、読み始めています。
多摩川のさわやかさとは正反対のあまりにもせわしなく暑苦しい風景。
繁華街というのは如何して何時もこうなのだろう。
茂木先生の、今年下半期のスケジュールが渋谷のようにならないことを祈る。
投稿: 銀鏡反応 | 2006/06/10 21:07:04
茂木先生へ
いつもユーモア溢れる茂木先生の日記を拝見して、楽しくなります。(^-^)
けれど、最近は、いくら機械のように優秀な茂木先生の脳と強靱な精神と肉体でも、少しばかりの黄色の点滅信号を感じます。
いつも私は、茂木先生のパワー溢れる仕事ぶりに、私も見習いたいと励まされております。でも、先生の体が心配。きっと、周りの方も心配されているのでは?
私の身内で、スーパーマンのように働いて、ストレスが溜まり脳梗塞でダウンし、一時片腕が全く動かない状態までなった人がいますので、くれぐれもムリをし過ぎないよう体をいたわって下さいね。その人は今は元気に海外を飛び回っていますけど。
脳科学者が脳にダメージ、では笑い話にならないので・・。
よけいなお節介だったらすみません。
私は茂木先生の大ファン(ちょっとラブも入っているかも)
ですので、茂木先生には長生きをして頂きたいのです。80歳90歳でもすばらしい若さを保った脳の大学の先生とかいますでしょ。茂木先生の80歳の未来を楽しみにしているんですから。ネ!
投稿: tachimoto | 2006/06/10 19:44:56