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2006/05/09

同じモンスターでも

早朝、新潟から新幹線で東京に戻る。
 
 NHKで打ち合わせ。
 住吉美紀さんが買ったコーヒーメーカーで
みんな飲んでいる。
 私はそれを忘れていつものように
100円でカフェラテを買った。

 夕刻、Apple storeへ。

 松任谷由実さんに初めてお目にかかる。
 屋上で傘を差して撮影。
 桑原茂一さんが
ブリティッシュな傘を手配してくださったが、
結局ビニル傘になった。

 対談は、とてもエキサイティング。

 ユーミンは、歌をフィクショナルな
「私小説」として構築している。
 自分の体験から確かに素材を得ているが、
そのまま描くのではなく、
 独立した創造物としてメロディや
歌詞をつむぎ出す。

 「海を見ていた午後」や、
「泣きながらちぎった写真」
が本当にあったわけではなく、
このメロディでこんな歌詞をつければ、
こんなクオリアが生まれるという直観から
全てを生み出しているのだ。

 いいものが出来たときは、一つの
「発明」や「発見」と感じられるという。
 そのクオリアは、宇宙開闢以来あった。
 
 恋愛における感情のアップからダウンを、
仮想として創り出すことができる。
 強靱でなかなかバランスを崩さないから、
自らの心を傷つけて、それが回復する
プロセスにおいて様々なものが生み出される。

 お話しているうちに、松任谷由実さんが、
人間とはまた少し違った存在、
 人類の未来を切り開く「希望に満ちた怪物」
(hopeful monster)
であるような気がしてきた。

 もちろん、同じモンスターでも
チャーミングな怪物です。

 打ち上げは
「たらふくまんま」へ。
 塩谷賢に似た大将が繰り出す驚きの
美味を堪能しながら、
 松任谷さん、吉村栄一さん、桑原茂一さんと
よしなしごとを話し合った。

 吉村さんとも意見が一致したのだが、
桑原さんはとにかく天才プロデューサーで、
やることなすことが絶対外さない。
 ものごとをつなぐ補助線がくっきりと
見えてしまうのであろう。

 仕事の山積で呆然、時間破綻。

 そんな中での奇跡の時間であった。

5月 9, 2006 at 06:49 午前 |

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今、聴いているアルバムのタイトルです。 趣味は何ですか?と聞かれたら 月並みですが、「読書と音楽・映画鑑賞」と答えます。 ほんとうは『一人旅』といいたいこともあります…けれど ひとりで旅に出られるような状況では、なかなかありません。 ただ最近は、ひとりで出かけていても、誰かしら気になる人のことを あれこれ想いうかべたり、考えながら歩いていることが多くなりました。 それは誰かは…まぁ、皆... [続きを読む]

受信: 2006/05/09 9:28:47

コメント

研究材料に私を使わないで下さい。

投稿: 千歳飴 | 2006/05/10 14:15:13

ブルジョアの恋愛中ならそれでもいいかもしれないけど。一回ジャンピングジャックフラッシュ聞いてノリノリで生活してたけど、実は男の子が聞くための曲で女子高生は真似して聞いてはいけないシビアな芸術だったんだと反省した事がある。女の子がストーンズの精神性を持って行動するとどうなるか・・。
自分の娘がミックジャガーさんの真似したら芸術ってすばらしい、これでこそ芸術だ!なんて絶対いえないよ。ストーンズの本当のココロをちゃんと理解しないと痛い目に会う。図書館で彼らの事をキチンと調べたら大変なことがわかった。ただでは返れない、虎子がいるから虎穴、では虎穴にはほかに何がまっているでしょう!そう思えば触らぬ神にタタリなしと言うことわざが連想されます。芸は難しいです。それと、疲れてるのでそっとしておいてください。心配してくれてどうもありがとうございます。愛ゆえですね。有る意味うれしい事です。

投稿: 千歳飴 | 2006/05/10 13:59:33

>chizuru様
本当のことをそのまま歌にしたものも、それはそれでよい歌だと思います。でも、事実に基づいても、そうでなくても想像を駆使して作り上げた歌も素晴らしい。音楽に限らず、芸術というのは事実をそのまま表現するばかりでなく、多少なりともフィクションの要素を取り入れるのも芸術なのです。
芸術は多様性が大事です。事実をそのまま出すだけが芸術ではありますまい。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/05/09 18:13:36

ユーミンが、人類の希望を切り開く「希望に満ちた怪物」(=Hopefull monster)であるとは…。恋愛にしろ、事実をそっくりそのまま歌にするのではなく、豊かなる想像力&創造力で、素晴らしい(といっても、ユーミンの曲を頻繁に聞く私ではないのですが)
クオリアの感じられる芸術として生み出してしまう。

恋愛の悲哀を謳いながらも、その曲調は甘く、明るく、未来への希望に満ちている。ユーミンとはそういうアーティストだったのか!と今回の対談を拝聴して感じた次第です。

しかし、ユーミンと楽しく対談していた茂木先生も、実は、情報過多と脳化現象に苦しむ現代人に希望を送り続けるHopefull‐ monsuterではないか、と私は思うのでアリマスが…。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/05/09 18:06:42

エキサイティング×直観×人類の未来を切り開く「希望に満ちた怪物」=奇跡の時間

とんでもない連想が生まれてきました!


ユーミンや中島みゆきさんは、特殊な巫女さんのような能力(?)を
もしかしたら、持っていらっしゃるんでしょうか?

朝から、飛んでる場合ではありませんね…

皆さま、お仕事が順調にはかどりますように!!

投稿: TOMOはは | 2006/05/09 7:05:05

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