« サイエンスラウンジ 竹内薫×茂木健一郎 | トップページ | 『クオリア入門』3刷 »

2006/04/21

十分ウェアラブルに

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録は、日産のテスト・ドライバーの
加藤博義さん。

 スカイラインGTRやフェアレディZ
などの開発にかかわってきた。
 
 車の「乗り味」を最終的に決めるのは
加藤さん。
 その卓越した運転技術は、たとえば、
スピードメーターを見なくても、
 時速60キロで走行できるという点に
表れている。

 「大体誤差はどれくらいですか?」
と聞くと、
 「プラスマイナス1キロくらいかな」
という。
 周囲の景色の流れ方でわかるというのである。
 
 確かに、原理的には視野の中のoptical flowで
わかるはずだが、それにしても凄い。
 テストドライバーの走行は、機器で
測定、記録されているので、ごまかしは
きかないのだ。

 「同じ軌道」を走るのも、単純に
同じタイミングで同一の運転操作をすれば
良いというものではないと加藤さん。
 たとえば、運転ロボットがいて車を
制御しても、タイヤと路面の状態が
時々刻々と変わるから同一軌道は再現されない
というのだ。

 機械的だとさえ思える同一の軌道を再現するためには、
人間がリアルタイムで感覚に基づくフィードバック
制御をしなければならないというパラドックス。

 チーフプロデューサーの有吉伸人
さんは車好き。
 収録中、やたらとうれしそうだったのが
印象的だった。

 収録語、NHK出版の大場旦に
「もぎさん、そろそろ」とすごまれた。
 男の握手をさせられた。

 同じくNHK出版の高井健太郎さんにも
さいそくを受けた。すみません。

 同じくNHK出版の小林玉樹さんには、
できあがった「プロフェッショナル 仕事の流儀」の見本
をいただいた。
 これは終わった仕事なので、すっきり、にっこり。

 NHKに向かう時、迷ったが電車にした。
 空いた角を見つけて、しゃがみ込んで
パワーブックのキーボードを打つという
もう自分では慣れてしまった進行。

 「ヘンな人がいる」と周囲には思われていたかも
しれない。
 しかし、諸君、見た目よりも仕事を進める
方が大事なのだよ。

 ウェアラブル・コンピュータが出来たら
うれしいが、今のコンピュータでも、
意志とやけくそがあれば十分
ウェアラブルになるのだ。
 たとえば、片手で持ち、片手でキーボードを
打つスタイルでも、
 それなりにテクストを吐くことはできる!

 ケンブリッジの恩師、Horace Barlowと
久しぶりにメールのやりとり。
 6月の学会の時に訪問する予定。

 Horaceが元気だと、何だかうれしい。

4月 21, 2006 at 08:46 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 十分ウェアラブルに:

» 名探偵ドイル(後編) トラックバック 54のパラレルワールド
ドイル「奥さん、そのゴミ袋、いいですか?」 奥さん「え、あの、、、」 ドイルは奥さんの手からゴミ袋を奪い、中身を調べ始めた。 ドイル「これは!」 (>>「名探偵ドイル(前編)」) ゴミ袋の中から血で真っ赤に染まった包丁が出てきた。 ドイル「まさか奥さん、あなたが犯人なんじゃ、、、     第一発見者が犯人だって言うし!」 奥さん「ち、違いますよ!だって男を見てくださいよ、     血なんてどこにも出て�... [続きを読む]

受信: 2006/04/21 9:53:29

コメント

“人間力”って、どんな“力”でしょうか?

たまたま、気になっていた日経新聞の記事
(4月14日付「ネットと文明」)の見出しにも
「リスク克服へ『人間力』」とありました。

世の中に、表出している様々な言葉の「もつ意味」や
書き手の伝えようとしていることに、思いを寄せてみますが・・・

そこにも様々な解釈があるような気もするので
掛け合わせて出てくる答に、普遍性を見出すことは
できるのか?できないのか?

朝から、こんなことを言っているのも変ですよね・・・

これからcafeのほうに、昨日の“朝カル”のことを書くつもりです!

投稿: TOMOはは | 2006/04/22 6:12:07

電車の中でPCのキーボードをしゃがんだ姿勢で打つ、というのは過日の「クオリア日記」でも書かれていたが、この日もそんな姿勢で、意思とヤケクソでおやりになったのではあろうが、電車の中で人目を気にせず仕事に没頭するその姿こそ、真摯な仕事人としての輝きを観る思いがする。

「今のコンピュータでも意志とヤケクソがあれば、十分ウェアラブルになるのだ。たとえば、片手で持ち、片手でキーボードを打つスタイルでも、それなりにテクストは吐ける!」

コンピュータを使う仕事でもそうでない場合でも、仕事の姿勢、スタイル、人目を気にしていては、本当の意味で好い仕事なんて出来ないと、つくづく思う。
クリエイティヴィティも、そうでないと、発揮できない。

テストドライバーの話は、本日の朝カルでも聴かせていただいたが、やはり、自動車の走行テストでも“人間力”がものを言うそうな。

「機械的だとさえ思える同一の軌道を再現するためには、人間がリアルタイムで感覚に基づくフィードバック制御をしなければならないというパラドックス」。

ロボットなど、機械に何もかも任せていては、好い走りをする車など世に出せないのだ。肝心要なクルマの“走り”を見るには人間のもつ感覚が大事なのだな。

クルマの走りの質も、その他のものの質も、教育の質も最後は必ず「人間」の持つ力で決まる。

その「人間」がこの国では崩れつつあるように思えるのは自分だけであろうか。

「プロフェッショナル 仕事の流儀」の本がもうすぐ出るんですね!楽しみです。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/04/21 22:15:15

私の場合、レポートを書く前の
気になることを考えながら、本を読んだり寄り道をしている時のほうが

悩むけど、なんだか楽しいような気がします。

終わってしまったときの開放感も、それはそれでいいですけど・・・

とはいえ待つ人は、気が気でないかもしれませんね・・・

自然に、思わず人が動いてしまうようなワザはあるのでしょうか?

あったら、ぜひ教えていただきたいものです!

投稿: TOMOはは | 2006/04/21 16:16:47

しゃがみこんでキーボードを打つ姿は、
茂木先生のファン(?)なら、
「がんばってー」と声援を送ると思います。

見た目より仕事を進めることも、才能のある方だからこそ!

テレビで先生の右腕的存在(?)の方、出てましたよね。

才能のある人が羨ましい・・
凡人は、無難に正装するだけ??

投稿: yuri | 2006/04/21 11:05:09

電車の中で片手打ち、ってすごいですね。
茂木さん、かなり忙しいでしょう。
でも忙しいほうが暇なときよりもいろんな考えが浮かんできてクリエイティブになれる、
と最近思っています。
今の茂木さんはさぞかしクリエイティブでしょう。。

投稿: 54notall | 2006/04/21 10:00:10

コメントを書く