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2006/04/27

間違いない一つの徴候

東京大学駒場キャンパスで、
中央公論新社の黒田剛史さん、ノンフィクション作家の
山下柚実さんにおめにかかる。

 銀杏並木に立って、写真部長の
立林映二さんに撮影していただく。

 私がこのキャンパスにいたのは
2年間。もう二十年以上前のことである。
 「いちょうなみきをごつうこうちゅうの
すべてのがくゆうのみなさん、こちらは・・・・」
という宣伝文句が耳に残っているが、
 あのようなことを言う習慣
はまだあるのかしらん。

 生協食堂の横で、二時間、山下さんと
五感についてお話する。

 池上高志がやってきて、
ファカルティ・クラブの一階に
あるフレンチ・レストラン、
 Lever son verreで食事をする。

 茂木さんと池上さんの掛け合い漫才
は面白いですね、と山下さんに言われる。
 確かに面白いかもしれない。

 15号館で授業。

 最初は、認知科学における統計的
手法の効用と限界について、
 行動経済学におけるSt. Petersberg paradox、
Ellsberg paradoxなどを例に、
 有限資源性の効果などを論じる。

 それからアンサンブルを巡る
ダイナミックスの厄介な問題。
 統計的記述というミネルヴァのふくろうは、
アンサンブル設定という前提がなければ
飛び立たない。
 この脆弱性は、
 意識がなぜひとかたまりの脳髄に
随伴するのかというメンバーシップ問題にも
つながるし、
 量子力学の波動関数の成立、観測問題
ともおそらくは同型である。

 後半は、より具体的な認知科学の
トピックについていくつか
pick upして議論した。

 しかし、科学というのはできそうな
ことばかりやって、
 本当に重要で、本質的、しかし
やっかいな問題は平気で放って
おくものである。

 王様は裸だと見抜くことが
大事だぞ、と私は3年生に言いたかった。

 終了後、再びファカルティ・クラブに
行き、池上たちとワインを飲みながら
談笑する。
 渋谷慶一郎さん、佐々木厚さんも登場。

 しばらく座って飲んでいたが、
ふと横を見ると、気持ちのいい庭がある。

 こんな時は、ワイングラスを持って
ふらふらと立って歩くのが良いのではないか。

 ひさしぶりに池上とゆったり話したが、
おそらく二人とも心の中にうごめく衝動を抱えている
点が共通しているように思う。

 池上は超ひも理論は確率解釈から
逃れられないじゃないかと言っていたが、
王様は裸であると言い続けることは、
 胸の中に潜むデーモンの間違いない一つの
徴候である。

 ちょっと工夫して精神運動をすれば、
めくるめく新世界が広がっていることは
間違いなく確信されていて、
 ただ、目が曇っていてそれが見えない。

 もっと高い真理のエネルギー領域があるんだよ、
というデーモンのささやきに
耳を傾け、コンベンショナルな世界観など、
クソクラエ、と人生の中で思ったことがある
人は、みんな仲間だ。

4月 27, 2006 at 08:31 午前 |

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コメント

「(前略)科学というのは出来そうな事ばかりやって、本当に重要で、本質的、しかし、厄介な問題は平気で放っておくものである。」
そういえばそうだ…。厄介で大事な問題はほっぽっておいて、やさしい問題ばかりを取り上げる。そこに今日の“易し過ぎる”脳ブームがはやる要因があるような気がする。

胸の中のデーモンが

「王様は裸だ、裸だぞ!」
「このコンベンショナルな世界の外には、もっと高い真理のエネルギー領域があるんだよ!」

と言いつづけるのに耳を傾けることから、彼方に広がる目くるめく新世界を見るための精神運動は始まるのに違いない。

そうしないと、「クソ食らえ」的なコンベンショナルな世界観にずっぽりんこ!と埋没するだけの人生に終わるだろう。

いま、ニュースでホリエモンが保釈されるかされないかで騒いでいるが、ホリエモン本人も、彼が保釈されるのを今か今かと待ち構えているメディアも、野次馬達も、そしてその様子をTVで見て待ち構えている我々視聴者たちも、みんな、コンベンショナルな世界観の中に埋没しきって生きているように見えてくる時がある。

そんな世界観に疑義と異議を持ちつつ、なおかつ、真理と宇宙の摂理を観ようと、精神の闘争のようなことをし続けるのが、21世紀をよりよく生きるための摂理の一つかもしれない。
茂木さんやその他の良質な科学者の姿勢にそれを見出している。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/04/27 18:28:20

>ちょっと工夫して精神運動をすれば、
>めくるめく新世界が広がっていることは
>間違いなく確信されていて、

曙光が、雲間からさしてくるような感じでしょうか。
わくわくします。
ご期待申しあげます。

投稿: 河村隆夫 | 2006/04/27 9:09:18

「王様は裸だと見抜くことが大事」と言うお話を聞いて

20歳くらいの方たちの心には、
どんな波紋がひろがっているんでしょうね・・・?

さて、ひとつ思いついたことですが

『オ-ケストラの素晴らしさ』・・・

それぞれの楽器の持ち味が生かされて、お互いの相乗効果で

美しいハーモニーが奏でられ

演奏する人も聴いている人も、ひとつになって心が響きあう…


そんな世界を、また夢見てしまいました・・・

投稿: TOMOはは | 2006/04/27 9:03:47

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