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2006/04/17

ハトはご飯粒を食べるんだなあ

羽田空港で、ブルータスの副編集長の鈴木芳雄さん、
橋本麻里さんと待ち合わせ。

 鳥取空港へ。
 
 鈴木さんと橋本さんは、飛行機の中で
お弁当を食べたらしい。
 私は「飛行機に乗ると爆睡する」
という最近身につけてしまった反応のため、
 はっと気付いた時にはもう空港だった。

 空港へのタクシーの中で食べるわけにも
行かない。

 うだうだしているうちに、
鳥取駅着。
 香住への山陰本線の発車まで、まだ40分
ほどあった。

 みんなでコーヒーショップに入ったが、
持ち込み弁当を食べるわけにも行かない。

 私は意を決し、「ちょっと弁当を食べてきます」
と言って、駅前のベンチに向かった。
 
 ゲリラ的に弁当を広げる、ということに
関しては、原体験がある。
 東京学芸大学付属高校の時、同じ
卓球部だった早坂孝志君が、
 地下鉄日比谷線の中でいきなり
弁当を広げて食べ始めたのだ。

 確か広尾あたりだった。
 昼下がりの車内に、いきなり早坂君の
アルマイト弁当箱に入ったのり弁の匂いが
ぷーんと漂い、私は内心ひどく
焦ったのである。

 同時に、早坂君をひそかに尊敬した。

 あれに比べれば、鳥取駅前の
奇妙なオブジェの前で、寒風に吹かれながら
弁当を食べるなど、大したことではない。

 橋本さんの選んだ老舗弁当は
卵焼きまでふっくらおいしかった。

 ハトはご飯粒を食べるんだなあ、と
当たり前のような新発見。

 香住に向かう列車の中で、
橋本さんが持ってきた内田樹さんの
本を読む。

 途中で、はっと一瞬ホームを見ると
「余部」とある。
 
 「余部鉄橋だ!」
と立ち上がると、ちょうど列車が通過した。
 今でも不思議。なぜ、あの時だけ
顔を上げて飛び込んで来たのだろう。

 掛け替えをするという鉄橋を見るのは
私にとっては最後かもしれない。

 香住で内田樹先生と合流。
 大乗寺へ。

 丸山応挙とその弟子が描いた襖絵を
和ろうそくで見る。

内田先生と、ねころがって、至福の時。

 「あわい」という言葉が死語となって
しまった現代から抜け出して、古の人たちの
生活を思う。

 意識されるか、されないかの、
閾値にあるものたちの固有の感触を味わう。

 城崎温泉へ。
 
 志賀直哉で有名だが、
私はずっと伊豆あたりにあるものと思っていた。
 
 夕食を取りながら、内田先生と
対談。

 面白かった!

 10時頃、みんなで外湯に行く。
「御所の湯」は、源泉の温度が高くて、
身体の芯から温まっていくような
気がした。

 開けて午前4時起き、
タクシーで空港へ。

 眠れるか、と思ったが、
ずっと運転手と話していて
さえざえとした。

 鳥取空港に着き、あんパンを
食べてこれを書いている。

 応挙経由、城崎行き、東京へとんぼ帰り。

4月 17, 2006 at 07:11 午前 |

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コメント

茂木君お久し振りです。早坂君とは三年間同じクラスでしたが、彼は自宅が遠いので下宿してましたね。黒ブチ眼鏡の似合う、みんなから一目置かれるまじめな男でした。

投稿: | 2009/05/20 0:27:03

茂木さんも附高に日比谷線で通っていらしたんですね。私は日吉行きで爆睡して、多摩川を渡る鉄橋の音で目覚めることがしばしばでした。同じクオリアを感じたこともあったかもしれませんね。

投稿: hirakawa | 2006/04/19 19:07:28

応挙寺、ご堪能されたご様子。良かったです。それにしても、ハードスケジュールで大変そう……。

投稿: | 2006/04/18 1:27:13

早坂孝志君の電車内弁当を目の当たりにした高校生の茂木さんと全く同じような経験あります!
チョイ迷惑?系だけどモノ落ちしない態度は尊敬に値する。
この人どんな環境で育ってるんだろう?って大いにプラスの興味が沸きますよね。
電車でPCも私にとっては尊敬に値する行動です。
勿論TPOと自分の気持ちを尊重した「駅前のベンチランチ」もditto。

投稿: | 2006/04/18 0:48:24

「ひらめき脳」購入しました。西武池袋線のぎりぎり東京にあたる駅の行きつけの書店なんですが、お店のおじさんに「今日入ったばかりですよ、よくご存知でしたね」と感心されてしまいました。「私この人(すみません、茂木さんのことです・・・)のファンなんですぅ」と言って帰ってきました。
高校の名前が最近よく登場してうれしいです。
紺の詰襟に銀ボタンの好青年(おそらく)が日比谷線のなかで早弁してる風景を想像するとほほえましいです。隣で驚いている詰襟姿の茂木さんも目に浮かびます。かつてのその紺詰襟の少年が、いまや名編集者石川次郎さん、ジャニーズV6の国分君、井ノ原君まで、多種多様な人脈ネットワークを持ち活躍しているすごさに驚きます。
最近、日本各地をとびまわっておられる感もあり、ぜひ、楽しみながら新たなひらめきにふれ、私たちに新鮮な感動を与えてくださいね。

投稿: | 2006/04/18 0:30:27

↑㊤のコメントの補足です。

お弁当といえば、高校時代、お昼の時間になる前に食べてしまう、いわゆる「早弁」をやっていました。
食べ盛りだったもので、つい(^ゝ^);

登校の最中、電車の中でお弁当を広げて食べる、つまり電車で早弁!ということはしなかったけれど…。

温泉に折角浸かったのに、朝4時おきで東京に「とんぼ帰り」なんて…せめてもう一日くらいゆっくり…と掲示板にも書きましたが。

などとここまで書いて、ふと思ったけれど、この「クオリア日記」に初めて来た時、自己紹介と昨年郵政民営化がらみの、あの総選挙における民主党のロゴスのなさについて書いたことがある。

あれから、半年以上が経った。その間、茂木さんが体調を崩されたり、自分のブログに不心得者がろくでもないコメントをしたり、またこの日記にも何者かが変な悪口を書いて行ったりしたこともあった。また、それに反論したこともあった。長いコメントもあり、短いそれもあった。

最近コメントを書くと長くなるようになった。
いろいろと伝えたいことがあるからだ。でも、スペースに限りがある…。

もっと、茂木先生と、そしてこのブログを訪れるブロガーの皆様と仲良くなりたいものだ…。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/04/17 20:19:07

かの円山応挙とその門人たちの絵に出会い、如何やら、我等が茂木博士は至福のクオリアを味わわれたもよう。
意識するしないのすれすれで味わう名匠の絵のクオリアもまた妙なのに相違ない。
自分もそういう芸術との出会いをしてみたいな。

城崎温泉「御所の湯」か…いいなぁ。体の芯まであったまる温泉…。ここんとこ、入ってないんだよ。あー温泉に行きたいな。
茂木先生は城崎だったけど、自分は箱根でイイや。
内田先生と語らいの時間が持ててよかったですね。

そういへば、TOMOはは様が私の前のコメントで
>ひところに比べて、お仕事がいっそう面白くお感じの様子が軽やかな言葉の流れからも伝わってきて…

と、ご感想を書きこまれていらっしゃいますが、このエントリーを読んでみると、3月中旬までの(こう言うと申し訳ないけれど)「毎日が忙しくてヤダ!」みたいなムードが無くなっていて、トテモ充実しておられる様子が伝わってくる。

茂木先生、あいも変わらずお仕事大変だけれど、毎日が非常に充実していらっしゃるのだな…。先生にとっては一日一日が新しい「出会い」の連続なのに違いない。

p.s.芸大・美術解剖学授業での茂木先生の勇姿、是非見てみたいです。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/04/17 18:06:27

茂木先生の「城崎紀行」・・・とても楽しく、生き生きと感じられました。

ひところに比べて、お仕事がいっそう面白くお感じのご様子が
軽やかな言葉の流れから、伝わってきて

読ませていただいている私も、何とはなしに心が晴れやかになります。

それも、こちらの心もちによるものかもしれませんね・・・

いま想いつく言葉は、『余裕と自然体』でしょうか・・・

このことを意識せずに、想いのままに動けるようになったら

免許皆伝(こんな字なのかしら?)かもしれません・・・

けれど、奥深く、終わりはないので
また次の課題が待っているような気もします・・・

投稿: TOMOはは | 2006/04/17 8:24:22

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