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2006/03/10

プリオンの話はもちろん

 朝一番で、日本経済新聞社会議室。
 『日経サイエンス』の対談シリーズ第二弾。
『プリオン説はほんとうか?』
福岡伸一さん。

 養老孟司さん、瀬名秀明さん
の後を受けて、対談シリーズをやりませんか、
と依頼された時は光栄に思うと同時に、
いろいろな科学の分野について知見を広げる
チャンスだと思った。

 最近つくづく思うのは、
専門性を突きつめる一方で、広い視野に
経った総合性を志向しつづけなければ
ならない、ということだ。

 特に、知性とは何か、生命の本質とは
何かといった問いに対しては、
 ダーウィンが『種の起源』で行ったような
アウフヘーベンが必要となる。

 福岡さんも、分子生物学が
分子レベルでの精緻な記述をすることを
是としつつ、一方では「生命とは何か」
という大きな構えでの問いも忘れては
いけない、というお立場。

 結局、できることは、常に全体性を志向しつつ、
かといって安易な概念に飛んでしまうことではなく、
目の前の具体的な問題に取り組んでいくことでしょう、
と福岡さん。

 プリオンの話はもちろん、科学論や
文学の話にまで及んだ1時間半は
楽しかった!

 NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録はスタジオ・ジブリのプロデューサー、
鈴木敏夫さん。

 宮崎駿さんとの出会いは、『アニメージュ』記者
時代にコメントを取材にいって、
「そんな下らない雑誌にはコメントできない」
と言われたこと。

 話していて、この人は本当に不安や
重圧というものを感じないのかもしれない!
と思った。

 夏目漱石のような自己懐疑のある
インテリジェンスがある一方で、
 自己懐疑への不感症というものが
有効に作用する場合もあり、
 何十億という制作費を投入して
一本のアニメ映画を撮るという
「賭け」に出るプロデューサーは、
むしろ不安不感症の方が良いのではないか!
と思った。
 
 鈴木さんは、『脳と仮想』を読んで、
20人にリコメンドして下さった
そうである。
 ありがたく。
 私も、『ゲド戦記』を20人にリコメンドする
ことに致します。

 収録が終わったタイミングで、新潮社の
金寿煥さん登場。

 3月15日(水)放送の『クローズアップ現代』
で、新書の特集があり、
 その中で、金さんと打ち合わせをしている
場面を放送するというのである。

 メガヒット続出の新潮新書編集部が
今一番力を入れている新書! という
ことで、金さん、北本壮さんと作った
「ひらめき脳」(仮称)が登場。

 様々なタイトル案をモックで作った
装丁で見て、比較検討した。

 新潮社には、10万部を超えた本を
革装して展示する「殿堂」の部屋があり、
 そこに入れればいいなあ、と
思う。
 なにを隠そう、私は10万部の
壁をこえたことがまだないのだ。

 来週、さ来週と収録がないので、
有吉伸人CPもゆっくり休める。
 いつもは、収録が終わったと思うと、
次の放送回のVTRの編集、試写と
息つく暇もないのだ。

 それで、有吉さんを慰労することを
主目的に、慰労会をする。

 NHK出版の小林玉樹さんとにこやかに
談笑している所に、大場旦乱入!

 オオバタンに、「最近の日本の
思想のサブカル化について」激しくも
真摯なる本音を吐露したところ、
オオバタン激怒!

 「真剣にやってるんだよお」
と言い、「今日はアッタマにきたあ」
と叫びながら、あっという間に帰っていった。
 ちゃんと生ビールは二杯飲んでのことである。

 ぼくは、オオバタンが何と言っても、
日本のいわゆる「思想系」の人たちが
サブカルに堕しているという印象は変わらない。
 自分たちを「文系」と規定している
時点で、アウトである。
 
 勘弁して欲しいよ。
別にフランス現代思想やフッサールや
ベルグソンを読んでいればそれで済むんじゃなくって、
物理もやれば、ネットワーク・サイエンスも
追って、脳科学をやり、
web 3.0も考えなければならないんだよ。
 そうじゃなくっちゃ、世界全体なんて
見えてこないし、 
 そもそも現代と向き合うことなんて
できるはずないじゃん。
 
 現代では
 「文系」=「サブカル」
(部分問題を解くヒト)ということを
肝に銘じて欲しい。
 もちろん、その意味では自分を
「理系」と規定してそれで良しとする
人もまたサブカルであるが、
思想系の人たちは、あたかも世界全体を
引き受けているような顔をしているから、
時に始末が悪い。

 以上の議論が極論であることは
わかっているが、
 それだけこっちもアッタマに来るような
出来事が時々あるんだよ。

 もちろん、反論があることは重々承知。
その方がおもろい。
キッタハッタ、チョウチョウハッシで
行きたいものである。

 オオバタンと、また机どんどん!
してビールが飲みたい。

3月 10, 2006 at 04:09 午後 |

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コメント

 あの日、いつもは見ないテレビ番組を見て、茂木さん
(の実験失敗ヘア、今よりもっと強烈に爆発していたように思う)
にピーンッ!ときた理由がわかった気がします。

 …そーかぁ、そうだったのかぁ…これって
必然っていうやつかなぁ…。
 
 …こーやっていろいろ繋がっていくんだぁって
いう瞬間。不思議で怖い!

 茂木さんを見た記憶をつかんではなさなかった私の脳に、
「でかしたぞ!」と言ってあげることにします。

 「そ~言えばあの脳科学者…確か
こんなような名前…」
と、ふと思い出して、ここを知ったのは、
テレビを見てから一ヶ月は
たってたんだからさぁ…。

 う~ん、よくできました!

投稿: | 2006/03/12 17:10:27

理系・文系の別なく、クリエイティヴィティを持つ人間は、けしてサブカルなるものに堕することはないはず。

ネットの世界でも、ユニークなクリエイティヴィティ煌くものよりも、ハンで押したような、どこにでもありそうなポップアートの方(そういうものこそ茂木先生のいわれる「サブカル」なのに違いない)が売れる時代だ。

そんな時代に、志をおなじうする人達と、ともどもに風穴をあけていきたいと私もつらつら思うのでアリマス。

カネ、地位、名聞名利、ブランドに執着する人間なんか、この世の中にははいて捨てるほどいる。こいつらは、ハッキリ言って「スカ」だ、と思う。

少なくとも自分は、その中には入りたくないと思う。スカにはなりたくないからです。

茂木先生、スカ丸だしのサブカルなんて、斬って斬って、斬りまくろうではありませんか。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/03/10 17:59:54

はじめまして。

言語学の音韻論をやっていたら
音声学がおもしろくなって、音響学も
物理学もやりたくなって手をだしてい
たら、周りの「文系文学・思想」の人
から「変わった人」と見られていた時
代がありました。

でもさ、「文系だから」「理系だから」
っていうのがおかしいんじゃないで
しょうか?

学問って、世界をつかむって、そう
いうもんだと思ってます。だって、
線がひけないもの。

茂木さんの著書やブログに出会った
時、すごい味方を得たように(失礼で
すが)思いました。

これからもキッタハッタしていきましょう!!

うわ~、元気出てきた!!

投稿: | 2006/03/10 17:58:34

どんどん斬っちゃって下さい!

僕は高校時代は理系クラスだったのですが、大学は経済学部に行きました。
まぁ、理由は色々とあるのですが、茂木さんの仰られることはよく分かります。
もう基本的に文理に分けること自体ナンセンスなんでしょう。
今は将来のことをよく考えるのですが、creativityな仕事というのは文系ではかなり少ないように感じます。
creativityこそ人間の最も価値のある能力の一つだと思うのですが、どうやら地位・名声・ブランド・金などに生きがいを感じるサブカル人間が多いように感じます。
そこに僕は何も未来を感じないんだけどなぁ。

投稿: 平成の芥川龍之介 | 2006/03/10 17:10:40

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