« クローズアップ現代 読者の心をつかめ | トップページ | 離島 »

2006/03/23

我ら洞窟の住人に幸あれ!

ソニー教育財団の評議会。

 出井伸之さんに久しぶりにお目にかかる。

 和樂の渡辺倫明さん、橋本麻里さんと
原美術館、三井記念美術館へ。

 原美術館は展示替えの期間だった。
 内田洋子さんと久しぶりに話す。
 ゲルハルト・リヒターの「船遊び」
にしびれた。

 着飾った淑女たちが船に乗って
川を下っている場面を描いた作品だが、
 一皮むくと、その裏にどくろの世界が
ある。
 
 生の躍動の頂点が、同時に死の世界でも
ある。
 生きているうちから、私たちは皆亡霊である。
 そのような視点の衝撃。

 三井記念美術館では、三井本館の歴史を
いろいろと伺った。

 日経サイエンス編集部で、 
 広島大学の長沼毅さんとお話する。

 これは面白かった!

 長沼さんのご専門は、深海底の熱水
噴水口や、地中、南極の氷の下の水、
洞窟など、極限的な環境に棲む微生物。

 深海4000メートルに潜ったり、砂漠
に行ったり、いろいろな場所で微生物を
採集し、解析する。
 
 そのような極限状況における微生物の
生態研究が、生命の起源や、地球外生命体の
可能性の探究につながる。

 私自身、この問題には大変関心を持ったことが
あって、一時期かなり調べた。
 ルーマニアの洞窟の微生物の生態系など、
とてつもなく面白い。

 生命の本質にかかわる研究が、インディアナ・
ジョーンズのごとき探検の中に行われる
というところが何とも言えず良い!

 長沼さんは、ひょうひょうとしながら
熱を帯びた調子であまりにも面白い話を
次々と繰り出して、時間があっという間に
過ぎてしまった。

 すぐ近くの読売新聞まで歩き、
読書委員会へ。

 終了後、ノートブック・コンピュータで
わさわさ仕事をしていると、
 町田康さんがわらわらと寄ってきた。

 「茂木さん、茂木さん、私は、単発のエッセイ
の仕事はあまり受けないですけど、たまに
やって掲載誌が送られてくると、必ずと言って
いいほど、茂木さんの文章も載っているじゃないです
か。これはどういうことですか」
 「いや、その、編集者の趣味が一致している、
ということではないですか?」
 「茂木さん、因みに、キャプテン・ビーフハートは
どうですか?」
 「おもしろそうですね。小説のタイトルでしょ?」
 「そうじゃなくて、ミュージシャンのキャプテン・
ビーフハート」
 「ごめん、それは知らないです。」 
 「ザッパの友人ですよ。」
 「ああ、それなら判ります。そうですか、面白い
ですか」
 「書評委員の誰も知らなかったんですよ。」
 「そうですか、鵜飼さん、どうですか? ザッパ
ならご存じですか?」

 「名前くらいなら知っているけどなあ」
と鵜飼哲夫さん(@読売新聞文化部)。

 そうか、キャプテン・ビーフハートは、
洞窟の中に棲むスゲーおもしろいバクテリアだ!
 そして、世界には洞窟が沢山あるのだ。
 すべからくケーヴ・ダイビングをすべし!

 根津の車屋へ。
 助手の任期を満了して故郷の尾道に
帰る津口在五さんの送別会。

 思えば、3年前に初めて東京芸術大学の
美術解剖学教室に行った時に
 最初に喋ったのが、津口くんだった!

 あれから、沢山の水が橋の下を流れた。

 荻野夕奈さんが色紙を持っていて、
皆で寄せ書きをした。

 俺は、フラワーピッグの花瓶生けを
描き、「一生つるんでいようぜ!」
と添えた。

 しみじみとしていたのに、 
 P植田がフキンシンな絵を描いて、
津口家の居間に飾るには公序良俗に
反することとなった。

 夜の街は雨。
 小さな水が沢山あつまって、
川となり、人生を形づくる。
 
 その中に、沢山のバクテリアが
棲んでいて、ウゴウゴ、
うごめいているのだ。

 我ら、洞窟の住人に幸あれ!

3月 23, 2006 at 07:34 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 我ら洞窟の住人に幸あれ!:

» 歴史線(特許8) トラックバック 御林守河村家を守る会
それは最初、 ウィルソン霧箱のなかを走る 宇宙線の飛跡のように、 時空連続体をつらぬく世界線のすがたをして 私の脳裡にうかびました。 物理学では あらゆる質点が (x,y,z,t)であらわされる 四次元空間のなかを 白いすじをえがいて飛びつづけているのです。 それと... [続きを読む]

受信: 2006/03/23 7:37:49

» 「生命とは何か」エルヴィン・シュレディンガー トラックバック 54のパラレルワールド
量子力学の、シュレディンガーの猫でお馴染みのエルヴィンさんです。非常に面白い本でした。生命についての新しい見方ができます。今回はアトムとエントロピーについて。 原子はなぜ小さいのか。顕微鏡でも見えない。電子顕微鏡でやっと見える。電子顕微鏡は電子を当ててその跳ね返りを見ているわけだから、実際には原子を見てはいない。しかしながら物を見るというのは光が物体に反射したのを見ているわけだから、�... [続きを読む]

受信: 2006/03/23 7:45:20

» ガリア戦記 トラックバック ホワイトヘッド
前58年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。 当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手になるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。 タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。 ■ガリア戦記作者: G.J. カエサル出版社/メーカー: 講談社発売日: 1994/05メディア: 文庫 ... [続きを読む]

受信: 2006/03/23 21:12:56

» 歴史量(特許9) トラックバック 御林守河村家を守る会
日本地図を思いうかべてください。 長方形の地図を、 水平にしたまま 置いてある机の面にたいして 垂直に動かすと、 地図が移動した跡に 直方体の空間ができます。 時間とともに机のうえに積み重ねられる 無数の日本地図がつくる 透明な地図の堆積空間、 その空間こそ ... [続きを読む]

受信: 2006/03/24 5:43:55

コメント

>我ら、洞窟の住人に幸あれ!

茂木さん、正統な人生を歩んできたけれど、「不良」というカテゴライズにちょっと憧れているでしょう。正統なんだけど、正統過ぎないスタンス、というものを標榜したい、というような気持ちを感じ取ることができます。それこそ「贅沢」というものだと思うけど、共感できます。

投稿: とみきち | 2006/03/25 2:48:02

町田康さん会ってみたいな
芸大の講義に呼んでくださいよ
「きれぎれ」とかすきですよ
うらーって

投稿: 杉原 | 2006/03/24 15:47:23

「生の躍動の頂点が、同時に死の世界でもある。

生きて居るうちから、私達は皆亡霊である。」

生と死はコインの裏表、いま町をあるいていても、そばに死があんぐりと大口を開けて待ち構えている…。

その一方で、流れる水の中に豊穣なる生命の躍動が垣間見られる。

バクテリア、プランクトン、古代よりカタチを変えずに生命をつないで生き続けるシーラカンスのようないきもの…。

地球外へと視点を移せば、銀河の何処かに命の息づく星のありやなしや、とみる。

そして、我等地球に棲む生命全ての起源と思われる、宇宙から隕石に付着して地球に到達した宇宙バクテリアの存在を思う。

脳科学者も夢見る生命の豊穣、そして生と死は二つで一つだという真理。

離島に旅立つひとりの、少壮の脳科学者を、春の海はやさしく迎えてくれるであろう。離島にも生命の不思議が潜んでいる。

美しい穏やかな海が、彼の魂を都会の「毒素」から解放するに違いない。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/03/23 18:07:42

『シュレーディンガーの猫ーパドラックスを生きるー』小倉千加子著を今、読んでいるところですが、何なのぉーこの題名?と思っておりました。コメントを読ませていただいていた所、おや!この名前・・・人の名前だったのかぁ~と
グーグルで検索、(かなり安易ですが、本当に便利ですね。)やっと、わかった!
しかし、底知れない、私の頭では理解しきれない知の領域が広がっていました。人の名前だとわかっただけでもよかった!ありがとうございました。
話題が飛躍しすぎるかもしれませんが、知る喜びは、人の幸せに繋がっているように思います。心の中に抱いていたものが、何かに出会い、気づき、新しい自分を創ることができたら夢を実現できるかもしれない。
昔、『図書館のめざすもの』竹内惣著ブックレットを読んだ時、涙が出るほど感動した事があります。
沢山の本のなかで、また沢山の情報のなかですべての人が学習できる図書館という所をもっともっと大事にしたいのですが・・・縮小の傾向にあるのが悲しいです。図書館は成長する有機体であるとランガナタンという人が
言っています。
 


投稿: | 2006/03/23 13:18:52

生命の不思議を、語られると

不得意な物理関係の本を読みたくなってしまいます・・・

けれど、その境界は、もしかしたら意外なほど
あいまいなものなのでしょうか?

シュレディンガー・・・は、どうだかわかりませんが
竹内薫さんの本でしたら、私にも読めるでしょうか?

今、とんでもない素人の頭の中に

上に向かって螺旋上のスロープが上っていて

上から見ると円運動で
横から見ると、ジグザグに触れながら上昇しているイメージがありますけど

コレって何なのでしょうね・・・

わけがわからなくて、いつもすみません・・・

投稿: TOMOはは | 2006/03/23 9:14:04

極限状況における生物、地球外生命体の可能性、、
シュレディンガーの「生命とは何か」では、生物はエントロピーの増大に逆らっているという視点を得た。
では、逆にエントロピーが増大しても生きていられるような生物はいるだろうか。ふとそんなことを考えました。
ばらばらになっても一つの生物でありうる生物。広い宇宙のどこかにはそんな生物もいるのではないか。
こんな想像をするのがおもしろい。。

投稿: 54notall | 2006/03/23 7:48:13

コメントを書く