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2006/03/02

浜名湖は二つある。

田辺史子からなかなかabstractの
メールが来ないなあ、と思っていた。

6月に英国のオックスフォード大学で
開かれる国際会議、ASSCの締め切りは
3月1日で、アメリカ時間の
その日中だとしても、午後3時くらいが
限度であるはずだった。

朝から、猛然と、まずは自分のabstractを
書き、それから学生たちとのabstractを
書き上げ、移動しながらもabstractを書き、
(他にも締め切りが過ぎている仕事が
あるんだけど、やむを得ない)
とにかくabstract製造機と化して
わっせわっせと働いていた。

アタマが加熱して、チエネツがわーっと
出ている気がしたので、
スターバックスでアタマを冷やした。

7つfinalizeして、最後の一つが
田辺のやつなのだが、
なかなか来ない。

そのうち、大宅映子さんとのラジオ
収録の時間が来て、中断。

終わってタクシーモバイルになっても来ず。

天野祐吉さんとの対談の時間が
来て、中断。

終わってメールをチェキしても、来てなかったので、
田辺に電話した。

「あのな、アブストの原稿、まだ終わらないのか」
「あっ、さっきへんなの送ったところです」
「夕方まではサブミッションのページ開いて
いたけど、いつまで開いているかわからないぞ」
「・・・あしたの午後までは大丈夫なはずですよね」
「だって、3月1日は昨日だろう」
「3月1日は今日ですよ」
「うん?・・・・・・」

 またやってしまった。
 なぜか知らないが、時々、「○○は○○だ」
と思いこむと、
 あとはそのことをチェックしないで猪突猛進して
しまって、ふと気づくとゼンゼン勘違い
していることがある。

 なぜか、3月1日は昨日だった、と思いこんでいた。
だから、朝から猛然とアブストを書きまくって
いたというのに。

 一つ書き上げる度に、研究室のメーリングリスト
にそれを送っていた。
 再び田辺との会話。

 「あのさ、おれが朝から次々とアブストを
書き上げているのを見て、何かおかしい、
とは思わなかったの?」
 「猛然とアブストラクト書いているから
ヘンだな、とは思ったんですけど、
茂木さん忙しいから今日しか書く時間がない
のかな、と思って・・・」
 「ひょっとしたら昨日が3月1日だったと
勘違いしている、とは思わなかったか?」
 「茂木さん・・・・」

 私の青春を返せ!
 それと、後回しにされた他の締め切りの方々、
ごめんなさい。

 まあ、結果としては、それくらいで
やらなかったら間に合わなかった仕事なので、
良かった。

 時々やるポカ。

 車の免許はイギリスでとったが、
試験通知をろくに見ず、午後6時からだと
思いこんで、
 「余裕だよ」とふらふらケンブリッジ大学の
近くにある会場に歩いていったら、
 なぜか入り口が閉まっている。
 「あれれ」と思ってしばらくぐるりと
回ったが、やはり閉まっている。 
 そのうち、試験を終えた受験生たちが
ぞろぞろと出てきた。
 リュックの中の試験通知を見たら、
「午後5時」と書いてあった。
 なぜ、午後6時と思いこんだのか、
未だに判らない。

 結果として受け直したペーパーテストは
全問正解だったが、
 インストラクターのデイヴィド・アッシュに
さんざんばかにされた。
 ケン、おまえはアタマがいいはずなのに、
時計の時刻もわからないのか、と。

 その昔、小津安二郎の映画の中で
原節子が娘とあんみつを食べたシーンが
しっとりと美しく、
榛名湖に行きたい! と思い詰めた時にも
カンチガイした。

 「あのさ、群馬にあるハマナコに行きたい
んだよ」
 (相手、おずおずと)「ハマナコって、静岡にあるんじゃ・・・」
 「違うよ、近くに山があるやつだよ」
 「やっぱり、ハマナコは静岡にあると思うけど」
 「そうじゃない、ハマナコは二つあるんだ!」

なぜ、ばーんと机を叩く勢いであのように
言い切ってしまったのか。
 自分でも今でも判らない。
 浜名湖は二つあると言い切られた
 相手はいい迷惑である。

 思うに、「せっぱつまってがーっと
集中している」「熱情に駆られて、だーっと
動いている」「いろいろ思考が拡散して
たくさんのことを考えている」
ような時に、大カンチガイをしてしまうようだ。

 時間を戻す。
 大宅映子さんとは以前私が懸賞論文の賞で
行ったバリ島の地中海クラブでご一緒して以来、
20年ぶり。
 収録語、大宅壮一文庫の裏話を
お聴きしたのが楽しかった。

 天野祐吉さんとは、昨年の広告批評の
年間CMベスト10審査以来だった。

 天野さんが、「私は批評は、作り手に向かって
書いている。よりよい作品をつくるための糧として」
と言われたので、なるほどと思った。
 褒めるにせよ、けなすにせよ、消費する側にとっての
ガイド、という批評の立ち位置に以前から
あまり納得していなかったからだ。

 創造のためにこそ、批評はあるのであって、
消費のガイドは副次的なものなのではないか。

 終了後、桑原茂一さんの緑のジャガーに
乗って、
 行った西麻布のRice Terraceの
タイ風しゃぶしゃぶがおいしかった。

 昼間のうちに必死になって仕事をした
甲斐があった!

 桑原さんにプロデュースしていただいた
野口英世写真(メイキングは
こちら
は引き合いが次々と。
 その度にクラブキングにつないでいる。

 さすが天才プロデューサ。talk dictionary シリーズ
といい、感嘆することしきりである。

3月 2, 2006 at 06:55 午前 |

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コメント

浜名湖?榛名湖?……ハマナコは二つあるといってしまって後で「勘違い」と気付く、そんなポカを私も時々やってしまう。

嗚呼、勘違い…。

仕事に、あるいは何かに夢中になりすぎて、「○○は○○だ」と思いこみ、正確な事柄はどんなかを確かめもせず、ただ猪突猛進で突き進んでしまう。自分もよくやるんですよ(苦笑)

結局一人で空回り。今回のエントリーじゃないけどヘタすると「私の青春を返せ!」な~んて空に向かって叫んだりしている。

嗚呼、赤っ恥。←これは茂木さんのではなく私の場合です、念の為。

でも、今回の茂木さんの場合、昼間必死にお仕事をされた甲斐があって、おいしいものに巡り合えたから、めでたしめでたし。

人生にドジと勘違いはつきものなんですねぇ。

毎日懸命に生きて、しかし、時々はポカもやる。でもそれでもまあいいじゃない。そんなあなたが、みんな好き。

そしてみんな大なり小なり、ドジとポカをやってます。ハイ

投稿: 銀鏡反応 | 2006/03/02 18:49:01

 あ~あ。これじゃあ、一人で空回りして騒いでいる、ただの勘違いおやじだよー。
 とっても微笑ましいけど。そうやってまわりのみんなは、茂木さんを許しちゃうのかなぁ。
 ぐふふふ。

 「ハマナコは二つある!」って言い切られたら、私の知らないハマナコがもう一つあるのかもしれないと、弱気になって、巻き込まれちゃうのも良いかな。じゃあ探しましょうか…って。

 もう一つの、茂木さんの頭ン中のハマナコは
どんなだっただろう?
 
 ハマナコがハナマコになってきちゃった…。

投稿: | 2006/03/02 16:12:56

猛烈にお忙しいのに、この読み応えのあるブログを更新できる茂木さんはスゴイ。
毎日読んでるこちらは楽しいのですが、さすがに年明けてからの茂木さん本当においたわしい。
お体大切に!
心からエールお送りします。

投稿: | 2006/03/02 15:44:06

ハマナコ?ハルナコ?
最高ですね。
言い切る強さがサイコー。
先生の様子が目に浮かぶようです。

投稿: | 2006/03/02 12:50:48

初めての書き込み。
写真のメイキング、今頃ですが見させていただきました。さすが桑原茂一さん。そして、なんと似ていらっしゃること。クラブキングを通して、僕がまだ茂木先生の存在を知らなかった頃、CGだと思っていました。それが、まさか実写だったとは驚きです。
クラブキングの茂木健一郎。
大好きです。
うまいもの食べて、お仕事頑張ってください。

投稿: | 2006/03/02 12:14:00

ウーさん先生の記憶追加。
だんだん記憶がひきだされてきました。
ウーさん先生はそのとき朝から教壇で眠っていたのです。そしてちょっと目をさまし、私に質問し、また眠り、次に起きたときに再度質問したのですね。その30分の間に彼にはもう一日が経ってしまったのでした。

投稿: | 2006/03/02 11:24:14

おはようございます。

日付・曜日・時間・場所の勘違い
思い込い込んで 切羽詰っている時の
それに向かっているときって
すごいパワーで 活動していますね。
それを ふと気がついた瞬間

すごい ダッシュしすぎて脱力感の感情で一杯の自分

相手に対して 勘違いを説明している自分

こんなことでもなければ終らなかったと思う自分

茂木さんが書かれていた 変だと思わなかった?と相手に聞いてしまう自分

又、相手は 茂木先生が忙しいから 自分のスケジュール的に行動していたのかと解釈されていた自分

日付の勘違いで いろんな気持ちが
ば~~~~っと押し寄せますね。
それが 勘違だとわかると
あのスピードが ひゅ~とダウンして
なんともいえない ほっとしますよね。
笑いにもなるし。

私の勘違いをご披露
スッタフが 水銀の血圧計がない!と
騒いでて どっか病室でもあるんじゃないと
思いながら 捜索につきあう。
犯人は私だったのです。
なんと 血圧計は ステーション内の冷蔵庫から 見つかった。
見つけたのは自分だったのです。
探している間に もしや私・・・冷蔵庫?
開けたらやっぱり
私は普段、あーいう形のものは
冷蔵庫に入れたくなるんですよね。
その後は みんなに色々いわれました。
まさか、冷蔵庫とは 冷やすと長持ちするのとか? もう~や・め・てとおもちゃうぐらい
いわれましたよ(笑
それから 物品がなくなると まっさきに
冷蔵庫開けちゃいます。

昨日は 文章に対する 批評が 作家・読者の立場であるべきかというお話だったのですね。


私は 本を読むとき 先入観を持って読むと
つまらなくなってしまうので
ガイド的なはなしは ちょっと頭の隅におきます。
全部読み終わってから ガイドなり批評なりよんで そこでの違いを考えます。
自分の感覚を読んだら ぜんぜん違うじゃん
ニュアンス違うじゃんと思う事ありますね。
自分自身に読む力がないんだなって思う事も
ほんと多いなと感じたり。

なるべく 別なとこでも書いたんですが
私は 本屋さんで本を買いたい
ネットで注文できても
ちょっと 手にとって ぱらっとみて
おもしろいかもって わくわくして
お金を払って 家に帰る この時がたまんない
読む前にガイドで色々書いてるのみちゃうと
時に損はしないこともないかもしれないが
この わくわく感を保ちたいので 本屋で買っています。

私は 小学生の時から国語の授業が大嫌いだったのです・・・今日はこの辺で!

投稿: | 2006/03/02 11:04:32

時間と言えば、学校がまだのどかだった時のこんな思い出が…。
私が小学2年生のころ、担任のウーさん先生(いつも酒飲んで町をふらふらしているのでそう呼ばれていた)と教室での会話。
「イガラシ、今日は何曜日だ?」
「ハイッ、火曜日です」
(…30分後)
「イガラシ、今日は何曜日だ?」
「ハイッ、火曜日です」
「何? いつまで火曜日だと思っているんだ!」
「……」
家の人に話したらウーさん先生は朝から二日酔いだったという話になりました。

投稿: | 2006/03/02 9:46:21

なるほど!アノお写真は、野口英世さんをイメージしていらしたんですか!

以前、裏磐梯のほうに旅行したとき、
生家にちなんだ記念館があったように記憶しています。

そういえば、東京の私の生まれた家の近くにも、ゆかりのある施設があったと思いますが
今は、どうなっているんでしょうね・・・?

小学生の頃、よく図書室で伝記ものを借りて読みました。
思うに、私は、本や映画などから、いろいろな方の生きる姿や
悩みながらも何かに打ち込む姿を知るのが本当に好きです。

自分にはできないかもしれないけれど
そんな生き方にあこがれたり、少しでも近づきたいと思うことで
自分の成長していく上での、エネルギーが湧いてくるような気がします。

さて、朝のニュースで、いま“大人のぬりえ”が大人気とのことでした。

お年を召した方が
懐かしい歌詞を読み、声を出して歌いながら、手を動かして色を塗っていく・・・

想起すること、音読、呼吸と声と発声、音楽療法、作業療法、色彩による心理効果 etc
脳への計り知れない効果もさることながら

何より楽しそうにぬり絵をしたり、生き生きとお話をしている様子から
あれこれ理屈を言う必要もない、たしかさが伝わってきました。

子どもたちのこと、ご高齢の方のこと、そして若い世代と同年代の人たちのこと・・・

近ごろ、いろいろと想うことが、ふえました・・・

投稿: | 2006/03/02 9:11:20

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